GTさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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まあだだよ(1993年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

黒澤明監督の遺作。
まるで昨今の「日常系アニメ」のように、徹頭徹尾清浄な世界が展開される。教師を辞め小説家になった先生とその教え子との交流、ひたすらそれだけを映す。その交流も説教臭いメッセージはほとん
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(1954年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「サテリコン」や「オーケストラリハーサル」等難解なイメージのあるフェリーニだったが、それとは対照的にヒューマニズムに溢れた作品であった。
フェリーニの初期の作品ながら、小気味の良いテンポ感だったりチン
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ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「マイケル・ジャクソンとしてしか生きられない男」と「マリリン・モンローとしてしか生きられない女」のラブストーリー。自分が何者か分からない、他人の仮面を被ることでしか生きる術を知らない不器用な人達の物語>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

-

映画などの映像、文章、音楽のコラージュ。流石ゴダールといった感じで、全く理解不能。というか、これは映画なのか?画面にデカデカと文の断片が出てきたり、意味不明で詩的なナレーションが延々と続く感じだったり>>続きを読む

少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

時系列がバラバラに登場うえ説明らしい説明もあまりないものの、ストーリー自体はあまり難しくない。派手な赤色が全編にわたって登場、また建物の内装なども綺麗で、美術に関しては拘って作られているのが見て取れる>>続きを読む

鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

妻も子も亡くし独り身、担当する駅の線路も廃線が決まっている定年間近の駅長が人生という旅の終わりに体験する、ちょっと不思議な出来事。
登場人物達全員が本当に暖かい。注意していないと聞き取ることが難しいほ
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モテキ(2011年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

あらすじで「4人の美女の間で揺れ動く」と書かれているのだが、実際には長澤まさみ演じるみゆきにほぼ一辺倒であり、愛と素子に関しては恋愛的なものはほぼ無い。予告でもジャケットでも、この2人も恋愛対象という>>続きを読む

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)

4.6

チェコの民話を元にした映画。
ヤン・シュヴァンクマイエル監督の作品は短編集を見たことがあるんだけど、やはりそれと同じく非常に不気味で気持ちの悪い作品。ただそれだけでなく、フッとなるような多少のユーモア
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馬の骨(2018年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

最高だった…と言わざるを得ない。ノスタルジー、哀愁、泥臭さ、そして音楽に対する限りない愛。この世の「エモーション」の全てがここに全て注ぎ込まれている。
イカ天で賞を取ったもののバンドは売れず今は交通整
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プレイタイム(1967年製作の映画)

3.8

ストーリーはよく分からなかった。が、どうやら「分からない」でいいらしい。そういう映画だと割り切っていれば…。要は雰囲気を楽しむ映画。
登場人物の背景はおろか名前すらろくに出てこないうえセリフが非常に少
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

話題沸騰中の本作。バットマンは全く観たことがないんだけど、テーマが面白そうだったので観てみたら、本当に最高の作品だった。
ストーリーは大筋だけ見ると意外と単純で、「社会に鬱憤を募らせた男の我慢が限界に
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ヤン・シュワンクマイエル短篇集(1965年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

①フード
朝・昼・夜の3つに分かれた食事を題材とするアニメーション。3つとも意味不明で不気味な世界観でいい具合に気持ち悪い。コーヒーにネクタイが入り込んだ時のビチャみたいな音だとか、絶妙に食欲を失せさ
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パッチギ!(2004年製作の映画)

4.7

ジャンルとしては青春モノになりそうなのだが、そこに在日朝鮮人の問題やベトナム戦争といった当時の時代背景、そしてフォークを中心とした名曲の数々など色々な要素が混ざり合い、非常に密度の濃い映画に仕上がって>>続きを読む

神々のたそがれ(2013年製作の映画)

5.0

一言で言えば「死ぬほど汚い映画」。『ピンクフラミンゴ』の500倍くらい汚い。正直途中で吐き出しそうになった。
一口に汚いといっても『ピンクフラミンゴ』みたいなカルト映画の明るいノリと違って本当にどこま
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フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)

4.5

カオスの塊、まさにそんな映画だ。
とにかく情報量が凄まじい。狭い室内に誰が誰だか分からない素性も全然分からない人々がひしめきあい、唐突に怒り出して暴言を吐くまったり暴力を行ったりする。論理性の通った会
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わが友イワン・ラプシン(1984年製作の映画)

-

どうやら「スターリンの粛清が始まる前の平和ながら不穏な空気」を演出した作品らしいが、そんな事を知らない俺は、説明がないため人間関係がイマイチついてつかめずこれといった盛り上がりもない平坦なストーリーに>>続きを読む

戦争のない20日間(1976年製作の映画)

4.2

題名の通り、戦争中の休暇で起こった出来事を描く映画。
映画全体を通して退廃的かつ虚無的な雰囲気が充満している。機関車が大きな唸りを上げて蒸気を噴出させるタイトルバックからして既に不吉で、今が戦争中であ
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道中の点検(1971年製作の映画)

3.3

ドイツに占領されたロシア。ドイツ軍に抵抗するパルチザンに、一度ドイツ軍に降伏した後脱走してきたラザレフという男が捕虜として捕らえられる。ラザレフはもう一度祖国の為に戦いたいと願うが、周りの人間は疑惑の>>続きを読む

七番目の道づれ(1968年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

ロシア革命を題材にしながら、共産党批判でもなければ露骨なプロパガンダでもない、ただただ歴史に翻弄される老夫を描く。
主人公の元将軍の男性がとにかくカッコいい。理知的でどんな物事にも動じず、冷静に状況を
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君の名は。(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

今更ながら鑑賞。
とにかく絵が綺麗。自然あふれる田舎の光景から高いビルが聳える大都会まで、ワンシーンワンシーンが芸術レベルと言えるまで美しい。
ネタバレっぽい画像を何度か見てしまっていたので、何となく
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ディストピア パンドラの少女(2016年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

所謂ゾンビ映画で、「ハングリー」という病気が蔓延した終末世界を描く。
ゾンビと人間のハーフの少女が主人公という事を除けば終盤までは極めてオーソドックスな話の展開。ワクチンを作るために少女を実験にしよう
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ポーラX(1999年製作の映画)

3.5

外交官の息子でありいわゆる「勝ち組」な青年が、ある日突然現れた姉を名乗るイザベラという移民のホームレスと駆け落ちして破滅していく様を描く。カラックスというと『ホーリーモーター』のイメージがあったのでこ>>続きを読む

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)

4.0

物凄く独特な雰囲気の作品。
アニメーションなのだが、絵柄が非常に個性的でパースの狂った背景に殴り書きをしたようなキャラクター達、不健康なほどカラフルな色遣いなど、この時点でかなり前衛的。時折実写になっ
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.3

非常に芸術的で詩的な映画。だが、そのタルコフスキーレベルの芸術さへの振り切れ方は、俺にはまだ早すぎたようだ…。
映像がとにかく美しい。素朴だがどこか陰鬱さも感じさせる村に、ロウソクの灯などの自然の光し
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炎628(1985年製作の映画)

4.7

他のレビューにもある通り、凄まじい作品で、終わった後は魂が抜けたような気分になる。
戦争を題材にした映画なのだが、この作品には救いやカタルシスといったものは一切存在せず、一人の少年がドイツ兵によって蹂
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アノマリサ(2015年製作の映画)

3.8

実写でもなくアニメーションでもなく、ストップモーションの人形劇という珍しいタイプの映画。コマ撮りとは思えないほど滑らかでリアルな動き。さらに使われている人形もシーンによっては人間としか思えないほどリア>>続きを読む

魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st(2009年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

アニメ1期の総集編。非常に上手くまとめられておりアニメを全く知らない人でも楽しめる。中学生の時に一度見たのだが、ストーリーライン以外の細かいところを覚えていないので、比較評価はできない点をご了承願いた>>続きを読む

映画 中二病でも恋がしたい Take On Me(2017年製作の映画)

3.6

アニメ1期2期視聴済。
青春真っ只中の少年と少女の逃避行、彼らは道中色々な事を全力で楽しみ、色々な事で悩み、最後には2人なりの結論を導き出す…と書くと非常にロマンチックなロードムービーのように思われる
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平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

最期に見たのは多分小学生何年生かの時なので、10年以上ぶりに再鑑賞。何度見ても素晴らしい作品だと認識すると共に当時は気づかなかった新たな魅力にも気づけた次第。
チンドン屋を思わせるような剽軽ながらもど
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ねこぢる草(2000年製作の映画)

4.5

ねこぢるのキャラクターを使ってはいるものの、漫画のアニメ化とかではなく全く別なテイストの作品。まるで悪夢を見ているかのような、シュールで不気味、時に幻想的なアニメーション。原作とは違いセリフは全くなく>>続きを読む

ノーゲーム・ノーライフ ゼロ(2017年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

原作、アニメ共に未視聴。
特に後半がそうなのだが、話の設定をほぼ説明してくれないので、何が起きているのかがすごく分かりにくい。アニメを見ていないからというのもありそうだが、アニメの方は1クールしかない
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子宮に沈める(2013年製作の映画)

-

見ていて本当に心が痛くなる映画。育児放棄により2人の子供の命が消える過程を、ありえないほど淡々と、冷徹に描く。全編固定カメラにより撮られており、余計な感傷の付け入る隙を全く与えない。加えて音楽は全く無>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

4.1

非常に静謐で芸術的な映画だ。まどから刺す淡い光、静かな音楽、それほど多くはないセリフと控えめな声量、詩的な言い回しが特徴。岩井俊二の作品は「リリィ・シュシュのすべて」を見たことがあるんだけど雰囲気はか>>続きを読む

ひゃくはち(2008年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

高校野球をテーマにした映画だが、一般的な爽やかな青春モノとは違い、決して綺麗とは言えないようなシーンも多分に含まれる。野球部の内部がリアルで、スクールカースト上位の高校生の雰囲気がすごく上手く出ている>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.8

戦争を題材した映画だが、戦争批判的なメッセージは抑えめで、戦時中の人々の日常を割と淡々と描く。
作画が少し独特で、トボけたような、なんとなく水木しげるの漫画っぽい雰囲気。主役のすずはマイペースな性格で
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どですかでん(1970年製作の映画)

4.7

ゴミまみれの集落に住む人々の様子を描く群像劇。ロクでもない奴らばっかりだし、話にオチがあるわけでもなく、ただその集落の様子を写すだけなので、映画の雰囲気が合わないとつまらないと感じてしまうと思われる。>>続きを読む