河さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ライオン狩り(1967年製作の映画)

4.6

最小限の物語的要素で作られた寓話みたいなドキュメンタリー。数年かけて撮られた映像を一つの物語に構成したものらしい。個人的には初期の短編のおどろおどろしさや、ある夏の記録や人間ピラミッドあたりの頭割れそ>>続きを読む

人間ピラミッド(1961年製作の映画)

4.2

白人と黒人が混合しているクラスがあって、互いに触れ合わないようにしている。そもそも社会としてもそれが常識になっている。
映画を撮る、まずは何人かにレイシストを演じてもらうっていうところから始まる。映画
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僕は黒人(1973年製作の映画)

4.6

アフリカの中心地に金を稼ぐっていう夢を持って若者が流入してくるけど、スキルがないため日雇いの肉体労働をするしかない。アフリカの若者は伝統と近代社会に引き裂かれている、例えばイスラム教信仰と映画などのア>>続きを読む

メートル・フ/狂気の主人公たち(1955年製作の映画)

4.8

近代化した社会の周縁のような位置で労働者として人々がいて、低賃金に対するプロテストが起きていて、同時にテクノロジーの崇拝も存在することが示される。
その人々によって、支配者であるイギリスを演じる儀式が
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Mammy Water(1953年製作の映画)

4.8

海によって生活が成り立つ、海によって生かされているようにも海と共に生きているようにも見える民族がいて、その民族にとって死は悲しみでも喜びでもあるってナレーションがあって、その両義的な捉え方をされる死が>>続きを読む

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

5.0

何も言ってない恋愛劇にもその奥に何か真理のようなものがあるようにも見える映画で、映画見てる間中ずっとわからないままいたら最後そのまま謎を明かすつもりもないようにドアが閉まって終わった。遺作として最強す>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

4.6

教会による同化的・排他的な制度、婚姻制度によって抑圧された社会があり、魔女狩りが行われている。魔女狩りの根拠となる信仰が、実際に起こったのか不確かな魔術と同等に、この社会の誰もが信じてるものとして置か>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

社会からこぼれ落ちる人をキャッチして戻す話。アメイジングスパイダーマンの時にあった困難を乗り越えて前に進むことの比喩としてのスパイダーマンの上下動が、さらに落ちる人を助けて上にあげるっていう福祉的な行>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

まさかの面白かった。スパイダーマンの中で内容としてはこれが一番好きかもしれない。
前作はヒロインの父との約束やおじの最後の言葉によって才能に対する責任に従うことがテーマになっていたけど、それを守るだけ
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アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

落下からスイングすることによって飛んで前に進む、その時に周囲に高いものがないといけないっていう蜘蛛の糸の視覚的なイメージが、困難によって成長する、隣人としてニューヨークに住む人と相互に助け合うっていう>>続きを読む

スパイダーマン3(2007年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

童貞だった男が成功して認められて尊大になってドラッグにハマって破滅しかけるっていう話。これまで主人公と同じような人が何かに憑かれることで承認欲求とかを拗らせて他者に攻撃的になることで悪役になってたけど>>続きを読む

デジレ(1937年製作の映画)

4.6

この人の映画はどれも、サイレント映画ではモンタージュや役者の動きで担保されていた多幸感的な何かを映画全体の情報量を変化させずに言葉に変換しているような感覚がある。『夢を見ましょう』ではその視覚的な情報>>続きを読む

カドリーユ(1937年製作の映画)

4.8

サッシャギトリが脚本を書いていて、他の役者はステージングするように身なりを整えて音楽担当照明担当が映ってっていうタイトルロールからもう好きだった。その後続くハイテンションでコメディ的な俳優のシークエン>>続きを読む

夢を見ましょう(1936年製作の映画)

4.2

最初の陽気な演奏からそのまま人々の会話を繋ぎながら結婚と浮気について短く語られていく室内演劇のような社交シーン、そっからの互いの魂胆が丸わかりだけど妻が上手っていうやたらお洒落な会話劇であたたまったと>>続きを読む

アラン(1934年製作の映画)

3.8

スラップスティック的な農業や釣りのシーン、アクション映画のようなサメ漁のモンタージュなど、ほとんど演出のように見えないモアナに対して、この映画は明確に劇映画的な演出がされていることがわかるようになって>>続きを読む

モアナ~南海の歓喜~(1980年製作の映画)

4.8

監督本人の憧れや畏怖のような感情の入り混じったような主観的な視点に置かれるような、異様な没入感がある。営み自体、画面的な美しさに加えて、その主観的な視点に同化させられることで伝わってくる感情によって、>>続きを読む

極北の怪異/極北のナヌーク(1922年製作の映画)

4.0

冒頭で撮影から数年後に主人公のナヌークが餓死したことが示される。綱渡りのような狩猟生活に対して家族との親密な時間がある。危険な状況を切り抜けた後に雪の家の中で安心して眠るクローズアップに対して、その外>>続きを読む

伯林-大都会交響楽(1927年製作の映画)

4.4

アヴァンギャルドとドキュメンタリーの交錯したジャンルとしてcity-symphonyなるものがあるらしく、同じ時代に近代化していく街をドキュメンタリー的に撮っているっていう点で共通している。
ドキュメ
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(1929年製作の映画)

4.8

雨を通して街を再発見するような短編。水面と光のモチーフから、風が吹き始めてそこから雨が降り始めて、段々と雨脚が強くなっていく。前半は雨による街並みや人の営みの変化など、街が非日常化していく姿を撮ってい>>続きを読む

De brug(原題)(1928年製作の映画)

4.6

同じ橋を色んなところから撮った短編。撮影者とともに橋を初めて発見していくような感覚がある。

橋の上を電車が通る→橋が上げられる→船が橋の下を通る→橋が下げられる→橋の上を電車が通る っていうこの橋の
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トゥエンティーフォーダラー・アイランド(原題)(1927年製作の映画)

4.0

先住民族から24ドルで買った島がマンハッタンで、スペインポルトガルの帝国主義に対して資本主義の始点としてのオランダ、アムステルダムがあって、そこから入植したオランダ人がニューアムステルダムと名付けた場>>続きを読む

時の外何物もなし(1926年製作の映画)

3.6

モニュメントがなければ全ての街は同じに見えるっていう前提をおいているため、パリの市井の人々の24時間を撮ることで、その街に依存せず普遍的なものが撮れるっていうことになる。二つ目の前提として、イメージの>>続きを読む

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.8

進化から取り残された肉食魚のポリプテルスが住む、川の清掃員でも拾えない川の底の蓄積、川の水が溢れてそれらが全て打ち上げられる大洪水。
二人とも互いにとって魚であり水であるようなダンスがあって、そのダン
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パリのランデブー(1994年製作の映画)

3.4

この人の映画の、仕掛けによって登場人物の内側がどんどん暴かれていくような感覚が好きだけど、この映画はその仕掛けのうまさに重点をおいて披露したみたいな感じがした。オムニバス形式で個々の仕掛けへの助走がな>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

3.6

落選した市長が再選に向けて村の再開発として文化会館を建てようとする。住民へのインタビューで以前の政策からの結果としての現状と課題がわかって、それに対する方法もいくるかある中で、文化会館建築は正しい方法>>続きを読む

レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

3.4

1話目の青い時間のシーンが本当に美しいけど、映画自体はその青い時間に車の音が入ってくるのが許せない人がその車と対峙していくような話。
3話目で制度の外側にいる人をどう扱うか、自主的に助けることと結果的
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

5.0

2タイプの男女の組がいて、最初は同じタイプの相手に惹かれ合ってるけどそこがシャッフルされることで互いに逆のタイプを選ぶっていう話。他のロメールの作品にあったヒリヒリする感じがあまりないように感じて、少>>続きを読む

緑の光線(1986年製作の映画)

4.8

自分一人でいることも他人といることも耐えられない主人公の話。上部だけの会話とか行きずりの関係を避けて潔白を守ってきたら理想的になり過ぎてしまったとか、理想的になり過ぎて行動ができないとか現実に対処でき>>続きを読む

満月の夜(1984年製作の映画)

4.4

自由な空間としてのパリの家と建前で動く社交関係、閉所としての郊外の同棲してる家と本音で思ったことがそのまま口に出る人が故に主人公の周囲の社交関係を嫌っている彼氏っていう、主人公がその二つの間を揺れ動く>>続きを読む

アセラ、または魔女の踊り(1972年製作の映画)

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完全に知らない生物だったこともあって、なんか宇宙みたいな背景にどでかいワームみたいなやつがいるってところから殻あってしかも泳ぐん?みたいな感じで、未知のものを知る楽しさがあった その後の数学的な法則性>>続きを読む

タコの性生活(1967年製作の映画)

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前半は1928年のタコとかなり同じで、後半がタコの交尾から出産までになっている ファンタスティックプラネットみたいな電子音がついているのと、語り口もあって、タコというよりは未知の文化を持つ未知の生物>>続きを読む

エビのはなし(1964年製作の映画)

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めちゃくちゃコメディタッチ そしてエビが爆裂かわいい 孵化シーンのゆっくり抜け出てからの跳ねるって動作に美しさがある からの仲間に食われてFINが最高

クリスマルケルの北京の日曜日とか初期のドキュメ
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吸血コウモリ(1945年製作の映画)

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モンタージュとアングル、サイズ感によって、コウモリがモルモットの血を吸ってるところが割とキモめの吸血鬼がキスによって血を吸っていってるように見える 短いし軽くてユーモラスで良いけど、タコとタツノオトシ>>続きを読む

タツノオトシゴ(1934年製作の映画)

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タコと同じように、あのしっぽってそう使うんだとかタツノオトシゴへの解像度があがるほど、異世界がどんどん迫ってくるような異様な感覚があった ブランコから空見つめたら急に地球のでかさに気づいて怖くなる時と>>続きを読む

タコ(1928年製作の映画)

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タコの生態が分節されて映されていくごとに異物感が増す 人間のような目がある臓器のようで、ただ綱から抜け出したりするような陸とは全く違う法則性に生きてる感じもあって、その似てる様な異物のような感覚が良か>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

まさかのインポになる話 電車のシーンで気張ることでヒーローになるの笑ってしまった 敵役は前作とほぼ同じだからか扱いが雑 次スパイダーマン側が第三者の誘惑に晒されるのはわかりやすい展開だと思った マスメ>>続きを読む