河さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

ヌーヴェルヴァーグ(1990年製作の映画)

4.8

ヌーヴェルヴァーグの時代とそれ以降の映画産業含めた社会とゴダールもしくは映画の関係性の話 恋愛含めた関係性、社会活動、社会制度や物に名前をつけることなどの人間の行為を、自然とその時の流れの大きさと対比>>続きを読む

自由は何処に(1952年製作の映画)

3.8

シャバじゃなくて牢獄にいたいっていう価値観が転倒した主人公の、その転倒を仕掛けにしたすれ違いコメディみたいな裁判パートと、その人はなぜその価値観に至ったのかを描く回想パートで構成された映画

ロッセリ
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冬冬の夏休み(1984年製作の映画)

4.6

子供の、友達間以外では状況に対して何もできないってことがルールとしてあるのが良かった 何かあった時には年上に言うしかないし、それが聞かれなかったら他の人に当たるしかなくて、基本的には歩き回って周りで起>>続きを読む

童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)

4.8

文字通り時の流れが収められたような映画で、その時の流れに伴い社会が変容し、その影響を受けつつ主人公の家庭も変容していく。そして、主人公自身も変容していく。

社会の変化として、日本の支配からの解放、蒋
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風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)

5.0

めちゃくちゃ好きなやつだった。主人公である少年が大人になる直前の悪友や片想いの相手、親の家族像をなぞることなどに対する葛藤についての物語であり、モラトリアム映画。それと同時に、日常、そして自分の過去の>>続きを読む

少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.2

冒頭の鳥と同様に、ムシェットは地べたでの生活をしており、どこに行っても罠がある。その中で、物理的にも雨に打たれて泥まみれになるのが描写されていく。母親の死と強姦によって周囲からも疎外され、完全に罠にか>>続きを読む

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

4.6

幸せそうな家庭があり、ほとんど結ばれてるような幼馴染がいて、大切に飼われているロバがいるという理想的な状況がある。しかし、その幼馴染は結ばれず、家庭は破産し農具が近代化することでロバは必要なくなる。既>>続きを読む

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

4.6

カール・テオドア・ドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』が権力差や体制の暴力性、内的な葛藤など、裁判に関わる要素の象徴的な演出に溢れていたのに対して、この映画は主軸の3人、そのうちの2人の会話を手続き的に繋>>続きを読む

Loulou(1980年製作の映画)

4.2

嫉妬したら反射的に感情的になるような決定的な自己肯定感の低さがあって、けど本来は優しい人だったんだろうなみたいな嫉妬がパーソナリティに深く刻み込まれてるような男が出てきて、その男が実際そのまま妻か彼女>>続きを読む

Graduate First(英題)(1978年製作の映画)

4.6

アメリカングラフィティとかバッドチューニング的なハイテンションかつセンチメンタルなモラトリアム卒業群像劇かと思いきや、モラトリアムの終わり=人生の死になるような狭いコミュニティの田舎に生きる若者達が無>>続きを読む

開いた口(1974年製作の映画)

4.8

母が病気でジリジリと動けなくなって死んでいく映画 冒頭の直感的に死を自覚してる母とそれを知ってる子の間の会話のあの気まずさと親密さが同居する会話のセンチメンタルさに対して、それ以降その母の死に映画的な>>続きを読む

夏の嵐(1954年製作の映画)

4.2

ひたすら人工的かつ美しい絵面で、思い描いていた理想というかファンタジーが叶わない、もしくは叶った瞬間崩れていくところが描かれていくっていう、見てるだけで最高な映画

国や家庭として理想とされていること
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揺れる大地(1948年製作の映画)

4.4

画面がずっと最高で、魚と天秤放り投げるシーンとか集団を映したショットが特に最高 ただ、本当にずっと人工的で美しいショットが続くから、現地の人をドキュメンタリー的に撮ったって背景から想像できるような、そ>>続きを読む

郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年製作の映画)

3.6

二人で違う場所に逃げたいっていう願望がどうやっても叶わない話 最後やっと叶いそうな時に現れる、何かの比喩になってるだろう不条理な煙がめちゃくちゃに良い 中盤の事故でそれぞれがどれくらいの積極性でどう関>>続きを読む

イタリア旅行(1953年製作の映画)

4.2

人生ははかないから楽しまないといけない、けど相手といてても一人でいてても他の人といても全く楽しくないっていう2人の話で、その楽しくなさをひたすら確認していくような映画

そもそも結婚に原因がある感じは
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ヨーロッパ一九五一年(1952年製作の映画)

3.8

ブルジョワ家庭で自分も仕事を持っていてって言う女性が、子供の死をきっかけにその今までの自分の外にある社会を知るようになって、意識高くそれを解決しようってする 最初はお金や仕事を与えたり、自分の社会の中>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

最後のあのでかいあいつが地球にやってくるとこの空に物凄いものが浮かんでてこっち見てるって言う絵面でかなり満足したところがある

人類の歴史、その中でも虐殺の歴史を中心に辿りながら、人類が保存されるべき
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ストロンボリ/神の土地(1949年製作の映画)

3.8

思春期的で冒険的な生活から、結婚を機に小さな島の排他的なコミュニティに住むことになるけど、何も起きないし恋愛できないし、模範的な役割を演じないといけないような場所で母として生きなければいけないことに葛>>続きを読む

ドイツ零年(1948年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ナチスを信じてた人として最後まで軍人として戦った兄と、父のナチスへの反対を先生に密告していた弟がいる
兄はだからこそメディアの情報を信じられなくなっていて、それが家庭の貧困の直接的な原因になっている
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無防備都市(1945年製作の映画)

3.8

マンフレーディ、司祭、その恋人以外の登場人物において、人間性とか行為とその後の展開に物語的な因果がなくて、その人たちも前面に出てきているのに背景のような感じがする それが見終わった後の戦中のスナップシ>>続きを読む

ミラノ、愛に生きる(2009年製作の映画)

4.2

祖父が亡くなることで資本が家族以外に回収されていく没落貴族のような家庭で、その閉鎖的で封建的な中での母親としての役割から、思春期的なところまで退行するというか解放されていく話
We are who w
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胸騒ぎのシチリア(2015年製作の映画)

4.4

凝視したと思ったら急に動き出すような手持ちカメラっぽいショットとやたら走り気味のモンタージュがゆったりしたショットと共存している 物語も後半から急に思わない方向に展開していくし、その後半の展開もシリア>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

母、父、兄が演じてきた家父長的な家庭での役割が家族への葛藤とともにそれぞれ崩れていくのと平行に、その役割を強いてきたんだろう社会に適合できなかった人は死んでいくし、その社会自体もストの垂れ幕や金日成の>>続きを読む

The Skywalk Is Gone(英題)(2002年製作の映画)

4.4

昔慣れ親しんだ街並みが都会化した話 誰も見てない広告を新しいもののように眺めるところから始まる カメラが他の歩行者たちと同じ立場にあるような傍観者の視点になっていて、地に足つかなさと置いていかれたよう>>続きを読む

アシク・ケリブ(1988年製作の映画)

3.6

スラム砦の伝説と似ていて、カメラがほとんど動かないゴシック的な絵面で、たまに幻想的なショットがある より音楽主導になった以外はスラム砦とあまり方向性が変わらなくて、これならスラム砦見ればいいように思っ>>続きを読む

スラム砦の伝説(1984年製作の映画)

3.8

斜面利用した構図と美術がすごい カメラが基本的に固定だから動く紙芝居って感じ この監督の映画火の馬に続いて2作目で、火の馬はフォーヴィスムっぽい絵画的な画面から同じショット内でさらに思いもしないような>>続きを読む

海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.2

恋愛経験がある程度ある人としての大人とあまりない人としての子供を本音と建前を中心に対比させていく話で、表面と内面を切り離せる人物と切り離せない人物、その自分の内面がわかっていない、表面のものを内面とし>>続きを読む

美しき結婚(1981年製作の映画)

4.8

オープニング、違う作品再生したのかと思った なんかやたら絶妙

理想像と現実が乖離していて、そのギャップを社会のせいにすることで正当化している、逆に見れば自分の思い通りにならない社会を受け入れられない
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飛行士の妻(1980年製作の映画)

4.2

自分より若い人を見て自分の年齢を自覚したり、自分より優れて見える比較対象がいくらでもいるからこそ劣等感とか嫉妬を抱かされる街としてパリを撮った映画だと思った

15歳、20歳、25歳の3人が出てきて、
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メーヌ・オセアン(1985年製作の映画)

5.0

相変わらず労働者としての日常からヴァカンスに行って帰ってくる話だけど、中心になる集団がいなくて全員に均等に機会が与えられているのが新しいところな気がした

守るべきルールや社会的な役割、家族とかの関係
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トルチュ島の遭難者(1976年製作の映画)

4.6

これまでは仕事とヴァカンスの行き来についての映画だったけど、今回は仕事でヴァカンスに行く映画

実現性度外しした見た目優先、アイデアだけの旅行の企画を代理店に売って儲けようとしたら、代理店に旅行の進行
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オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.8

ものすごい没入感のあるヴァカンス映画 身内ノリをちゃんと最初から見せてくれるししばらく引き継いでいくから、ヴァカンスを見せられてるってよりはその場にいる感がある 変な発音の町のカジノの看板再度出てきた>>続きを読む

彼女はひとり(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

脚本がすごい映画 自分の周りに関係性はあるけど、自分が優先するほどにはその人たちからはその関係性が優先されてない、その人たちにはそれ以外に明確により大切にしてる関係性があってそこに自分がいない感じ、そ>>続きを読む

カナルタ 螺旋状の夢(2020年製作の映画)

4.8

予告見てずっと楽しみにしてたやつ

音と映像がかなり体感的で、その中にシュアール族の文化だったり考え方、生活や環境、歴史や時間感覚、周囲の社会との関係性だったりの文脈が入ってきていて、その文脈含めて知
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火の馬(1964年製作の映画)

4.6

この監督の映画初めて見たけど、これの他に代表作があるって知ってびびった

べたっとした色彩、斜面とかカメラの置き方とかでかなり遠近感がおかしく見えるようになっていて、カメラに向かう動きがあるのに平面的
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バルドー/ゴダール(1963年製作の映画)

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https://www.cinematheque.fr/henri/film/71267-le-parti-des-choses-jacques-rozier-1963/

英語字幕なくて非常に厳しか
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