リコリスさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

リコリス

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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.4

国が崩壊するときに、孤立無援で生きる重さ。(もちろん国内だって何が起こるか分かりはしないが)異国で、ある程度の期間を暮した者には突き刺さる怖さ。また韓国の社会派映画に魂持ってかれた。アクション大作のよ>>続きを読む

ワン・セカンド 永遠の24フレーム(2020年製作の映画)

4.3

ビャンビャン麺とフィルムの滝。事前知識白紙で見たら、もっと引き込まれたかも。フィルム一巻を巡って男と少女、映画館主のスルスル巻物をほどくようなハラハラしていつの間にか泣ける語り口。それぞれに生きる痛み>>続きを読む

ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行(2021年製作の映画)

4.3

111本、調理方や素材別に並べたビュッフェを一口ずつ試食する感じなのではと悩んだけれど、自分の映画記憶試しの気分で観ることに。

映画を文字で批評する方法から映像で語る方法が主流になるんだなぁと感慨(
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.9

トム、ありがとう(泣)。劇場公開を待っていた甲斐あり。まさにトム自伝!!

ピート・マーヴェリックにとって戦闘機乗りであることが職業でなく自分そのものであるように、トムは映画スターというよりトム・クル
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オールド(2021年製作の映画)

4.2

劇場で見落としたやつ。面白かった。宇宙から人間の一生を眺めると、結局こんな感じじかも(悲哀)。ホラーというより、離島サバイバルサスペンス→社会派SF+家族愛。

コロナ禍で好きなように旅も出来ないから
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犬王(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

松本大洋と言えば見なければなるまいて。何となく何かに似て…と思ったら ピンク・フロイドの「ザ・ウォール」(あれはあの時代に新しかった)に「KUBO」(大筋より細部に凝った作家性)。嫌いじゃないけど、音>>続きを読む

ラスト サムライ(2003年製作の映画)

4.1

何回、見ただろう(最初は海の上、おが丸で)、つい、また最後まで見てしまう。

明治の鎧兜や忍者、髪型など、マイナス点はあるけれど、毎回、西欧化で失われていく精神文化の最期の抗い(西南戦争や戊辰戦争では
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「ナイト・オン・ザ・プラネット」や「ミステリートレイン」はすきなんだけど。。。幾たびも寝落ち。

「双子」「いとこ」「いとこ?」は好き。「ルネ(グロリアはカサベテス?)」「テスラコイル(女の子の顔)」
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

3.9

昔、毎日違う人の身体に入って目覚める男のSFを読んだ記憶で見たくなる。毎日、違う人間になってしまう男はアイデンティティをどう保つか…という話ではなく、内面は同じで外見が変わる人間を同じ人として受け入れ>>続きを読む

夢のアンデス(2019年製作の映画)

4.8

これは映像による祈り。

違う意見や考え方の人間を排除する不寛容の恐怖。多様性と真っ向から対立して暴力で押し潰そうとする。民主主義、言論の自由を勝ち取るために、どれほど多く血が流され、命が失われたか。
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カナルタ 螺旋状の夢(2020年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

ナンキ、覚えておいてくれ、伝えてね、とセバスチャンや妻が語る。ナンキにビジョンを見せるために、セバスチャンはマイキュアを作り、祖先の霊を歌で呼ぶ。プ~ン。

セバスチャンがシュアール族の伝統にこだわり
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ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ(2015年製作の映画)

4.7

国や人種、文化の多様性のある街を多面的にスケッチしたドキュメンタリーと思っていたら 、所属先コミュニティのショーケースのような感じから、市場経済優先の資本主義批判になっていく。

宗教(ユダヤ、イスラ
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ひまわり(1970年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

どこまでも続く向日葵畠。ヨーロッパは陸続きで一つ。汽車で行けるのだ。

徴兵されロシア戦線に向かうアントニオとジョヴァンナのミラノ中央駅での別れ。
ロシアにアントを探しに行き、全てを知りアントと入れ
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The Hand of God(2021年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

この映画は、やはり最後に必ずあぁっ、となること必定。旅立ちの途中駅で、パトリッツアおばさんも会ったサンジェナーロがファビエットを見送る。エンドロールのファビオの表情と音楽、そして無音の中の波音…。。喪>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

4.5

グラニー、87歳ジュディ・ディンチが、最後に全てさらっていった感じ。

フェリーニの「アマルコルド」のような幼年時代への甘い郷愁もあるが、アイリッシュのディアスポラの悲哀が胸に迫る。

正に現在進行中
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墨東綺譚(1992年製作の映画)

4.1

出てくる女優が皆さん凄い。恥ずかしながら知らなかった荷風の墓遺言(鷗外から耽美派一直線の系譜)。永井荷風に惹かれ、前知識無しで見た。

家の重圧と世相に逆らい女性に溺れ、文才を国や社会か評価しようが、
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パリ、テキサス 2K レストア版(1984年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

クルマ無しでは暮らせない広いアメリカ。ライ・クーダーの乾いたギターに、サム・シェパードの緻密なシナリオ。圧倒的映像美。

テキサスの道路だけが続く抽象的な自然と、飛行機が発着し沢山の家々や車が見える郊
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ベルリン・天使の詩 4K レストア版(1987年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます


原題が「ベルリンの上空」、英仏訳が「希求(願望?)の翼」。どうして「天使の詩」なのか。これは「人間の詩」なのに。

ヴェンダース以外は皆、天使になってしまった2022年ウクライナ侵攻の今、東西冷戦で
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王女メディア(1969年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

ともかく今だに古びていない、映画館でこそ見るべき映画。映像がアタマに染みついて、どう解釈するのかを問いかけてくる。

マリア・カラスの圧倒的な存在感、神話的で不条理な物語(単純化による普遍的な? まあ
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夜空に星のあるように(1967年製作の映画)

4.5

何で邦題がポエムなのか理解に苦しむ。cowは女性の蔑称なんですね。本当にリアル救いのない下層階級の、更に弱者である女性ジョイが主役。

でもゴリゴリ社会派というより、みずみずしい抒情的な瞬間もあって。
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ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)

4.9

こういう幸せが起こるかもしれない、と暖か〜な余韻が残る。頭がとろける我らの時代の最上級ラブコメ・クラシック。そして今を先取りしたMeTooへの目配り。

生きていると不条理なことばかりだけれど、常識に
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戦慄せしめよ(2021年製作の映画)

4.4

演奏に撃たれた。はじめは雨粒のような心地よさで寝落ちしそうになったが、手や足、声が音楽を生み出して静寂に還ると松明が爆ぜる音が聞こえる、その辺りから魂を持っていかれた。

男性二人が一つの太鼓を叩き、
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.2

枯れてない熟成年、リドリーとクリント。寒い日だからホッコリでなくアツ苦しいほうを鑑賞。サラサラ進むが見終わると知足なき人生の虚しさに打たれる名人芸。 

オペラのアリアと80年代懐かしポップスがガンガ
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TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

4.1

ムーミンを多少読み齧ってないと面白さが半減するかも。

ヴィヴィカは湖にいる美しい竜で、飼い馴らしたら竜じゃなくなる。自分が一番好きな人には、その人が一番その人らしく生きる形にしてあげるのが愛、とか思
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バケモン(2021年製作の映画)

4.1

人は器、芸は人の上を跳び移るもの。人には寿命があるから、
芸はいつか消えていくもの。

長い割に肝心の落語場面は少なく、監督の思い入れ(作為?…書が少し煩い)が強すぎるきらいもあるが、時々ハッとする宝
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紅の豚(1992年製作の映画)

4.6

これ、もう30年前の作品なのね。ジブリで一番好きかも。

何となく『夜間飛行』とか、サン・テグジュペリを思い出す。みんなと違った生き方をすると豚に変わる。

フィオやバアちゃんたち、女たちがパスタもり
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サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(2021年製作の映画)

4.8

あの人類月面着陸の日(を中心に)。分断が続く今の時代、だからこそ見る(次の世代に見せる)べき。
ブラック・ライブス・マター、新たな南北問題、内戦、難民、コロナ禍による格差、科学技術の発展下の貧困、ちっ
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オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

4.7

何遍くらい見たかなぁ。ホントに面白うて、やがて哀しき、うたげかな、という。。。

いつも繰り返す目醒め、音楽、目薬、薬物、ショー・タイム。でも段々と近寄ってくる甘美な死神。救いの光のような愛らしい娘と
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ばるぼら(2019年製作の映画)

4.4

強いて言うと、主役二人が上品過ぎ。清潔なドロドロ(それも良いけど)。全てが造り物めき嘘臭いが、主役二人の熱量とドイルの魔力で見入ってしまった。

ミューズは一番汚らしい都会に住まう野生のオンナ。ミュー
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.8

三部作。何も考えずに監督の言葉通り、森のミニシアターの椅子に身を委ねて。

一番好きなのは一作目。イケメン(しかもイケボ)が出るからではなく(嘘…やはり推し大事)、あんなに短い時間の中で人間関係の地獄
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色男ホ・セク(2019年製作の映画)

3.9

いわゆる気軽な艶笑コメディ(って、どんな層を対象にしてるの? 主役の熟女ファン(笑)だが、大道具・小道具、自然、演者に抜かりなく、さらさら見れる。

女に忍従ばかりを強いる封建的な両班の社会に風穴を開
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茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)

4.8

やはり韓国映画はシネマート鉄板。そして人の心のツボに突き刺さる(泪)

基督教弾圧で流刑となった学者が、両班私生児の漁師の若者と互いに学びあい、魚の本を書く話。

敬虔な信者ながらローマ教皇のお触れに
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

4.8

大事なこと。東日本大震災の日の都心が描かれていて、大きな役割を果たしていること。恋の執着、エロスの力を描きながら、実はリアルにセックスを描いたシーンは無いこと。

この映画の人物、朝子と麦の行動が分か
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わたしはここにいる(2013年製作の映画)

4.6

ペルー映画祭のあらすじ紹介で、「高地のアヤクーチョ、アマゾン川流域のアマゾナス、海岸部のリマを巡り」「知られざるペルーの辺境を旅して」「切り取られた風景の圧倒的な美しさ」というフレーズに惹かれた。映画>>続きを読む

エターナルズ(2021年製作の映画)

4.5

マーベルの中で一番好きかも…ていうか、最もSF的でワクワクする壮大さがある。(DUNE第一作より好み)

エターナルズの誰押しか(マッカリの引き籠もり生活を番外編でドルイグとの進展含め、やって欲しいけ
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最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

4.2

かなり事前に情報入れ過ぎたことを後悔。これから見る人には頭をまっさらで見るよう勧めたい。

小さい頃、いつか太陽が白色矮星になるまでに太陽系が飲まれて消滅に背すじが凍り、自分が無になる考えに震え、エン
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