『スパイダーバース』はビビッドでアート感の強いグラフィティのようだったけど、本作は厚塗りや線の質感が意図的に強調されているビジュアルである。ライトの光源や背景の輪郭など、線画の感触をわざと目立たせたタ>>続きを読む
「人間には2種類いる」
「首に縄を掛けられる奴と」
「その縄を切る奴だ」
“善玉・悪玉・卑劣漢”……隠された20万ドルの金貨を巡り、三人のガンマンが南北戦争下の西部を駆け抜ける。『荒野の用心棒』『夕>>続きを読む
「何を賭けたんだ?」
「お前の命さ」
『荒野の用心棒』から連なり、後世におけるジャンルの肖像を確立させた偉大なる作品。前作でクリント・イーストウッド=名無しの男がアイコンとしてのガンマン像を打ち立て>>続きを読む
「バクスターがいて」
「ロホがいて」
「その間に俺だ」
この男が銀幕の世界に颯爽と現れ、後世における“西部劇のガンマン”のイメージは完全に決定付けられた。本作はあくまで『用心棒』の換骨奪胎ではあるも>>続きを読む
むっちゃんはベンジーが好き、ベンジーはグリコが好き、グリコはモーが好き、モーはむっちゃんが好き……。4人全員がそれぞれに片想い、何一つ矢印が噛み合っていない面々によるヘンテコ恋愛漫才映画。『このハンバ>>続きを読む
またまた短編映画。「鬱屈の日々を過ごすサラリーマンが同じく鬱屈を抱える若い女の子と出会い、一緒に海へと向かう……」という粗筋はあからさまに出来すぎてて引っ掛かるが、二人が海に行ってからの雰囲気はちゃん>>続きを読む
たまには短編映画も齧りたくなる。パパ活で生計を立てる売り専のあんちゃん、冬の日にふらりと現れた雪女と同居する。夏になると行き場を失う彼女の胸には、海への憧れがあって……。
土台の設定からして何だかユ>>続きを読む
観覧車での告白を皮切りに、代わる代わる繰り広げられるマンツーマンの会話劇。『違う惑星の変な恋人』を見ようかなぁと思ったまま時間ばかりが過ぎて、結局なんやかんやでこちらを先に鑑賞。どうやら元々ドラマだっ>>続きを読む
新世紀を迎えて間もない2001年、台北の片隅に横たわる若者の刹那的な記憶。主人公を取り巻くのは“閉ざされた空間”であり、閉塞的な“屋内の世界”である。クラブやパブで過ごす鮮やかな喧騒、恋人と暮らすアパ>>続きを読む
借金まみれのB級映画プロデューサー、一発逆転の奇策!!多額の保険金をかけた老・西部劇スターを撮影中の事故に見せかせてブチ殺せ!!あらすじの清々しさに関しては始まる前から優勝している。どうやら1980年>>続きを読む
“芸術家”として枯れた老人と“真なる芸術”を体現する美少年。老いと若さ、虚構と真実、理性と感覚。その境界と対比に“挫折感”や“伝染病”という破滅のイメージが重なり、やがて死の倒錯へと縺れ込んでいく。こ>>続きを読む
アイルランドの自然情景が印象的に描かれていた時点で連想させられたけど、そもそもの原題が『The Quiet Girl』であることに思わず感動してしまった。『静かなる男(The Quiet Man)』だ>>続きを読む
仕事帰りの電車で寝過ごし、終電を逃してしまったアラブ系中年女性が真夜中の市街地を彷徨い歩く。多民族社会であるブリュッセルを舞台にしており、ヒジャブを巻いた移民系の女性が主人公として据えられているほか、>>続きを読む
※再レビュー
“THE STING(とどめの一撃)”
大物ギャングを騙くらかせ!コンゲーム映画の代表的作品。数年前に見た時は「思ってたよりまあまあかな」くらいの感想だったのに、リバイバル上映で久々>>続きを読む
この映画を作った直後にタルコフスキーがソ連から亡命しているという事実、なんというか本当に大きな恐怖と深い未練が混濁していた中での決意だったことが伝わってくるし、その感覚を何としてでも芸術による“救済”>>続きを読む
『ライク・ア・ヴァージン』の下ネタ話で幕を開けるというタランティーノ節全開の冒頭シーンで何度見ても「大丈夫か?」とソワソワさせられるが、いざオープニングに突入すると問答無用で引き込まれる。黒スーツの男>>続きを読む
ダリオ・アルジェントが送る極彩色のグラン・ギニョール。連続猟奇殺人を描いたサスペンス的構図と虚構性を突き詰めたアーティスティックなビジュアルの共存。非現実的な美術設定の数々が映画の不条理性と絡み合い、>>続きを読む
開拓時代の最初期、白人のコックと中華系移民のコンビが盗んだミルクによるドーナツ作りで一獲千金を狙う。冒頭でウィリアム・ブレイクの詩が引用されて『デッドマン』を思い出す。主演であるジョン・マガロの温和な>>続きを読む
TV版からして元々その雰囲気はあったけど、映画になるといよいよ『ルパン三世』や『名探偵コナン』のTVスペシャルor劇場版にクレヨンしんちゃんのテイストが放り込まれたようなアニメと化す。映画終盤のアーニ>>続きを読む
※再レビュー
『Don't think! Feeeel!(考えるな、感じろ)』
ディレクターズ・カット版で久々に視聴。死後のブルース・リーを世界的なアイコンに押し上げた代表作。多くのフォロワーやパ>>続きを読む
カトリックの修道士であり聖人“アッシジのフランチェスコ”とその弟子達の逸話をオムニバス的に描く。ネオレアリズモの旗手ロベルト・ロッセリーニ監督の代表的作品。作中の登場人物はいずれも現地の修道士などが演>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ヴィム・ヴェンダースと役所広司の静謐なるセッション。都内でトイレ清掃員として働く寡黙な中年男性の日常を淡々と描いていく。人々が生きる世界はそれぞれに存在し、影は交われば確かに濃さを増す。良い映画という>>続きを読む
短編映画。イマジナリーフレンドとの出会い、束の間の楽しい一時、そして旅立ちの日。こういう物語は大抵が当事者である子供の視点で描かれるけど、本作は“イマジナリーフレンド側がインタビュー形式で思い出を振り>>続きを読む
アキ・カウリスマキ監督、引退撤回からまさかの電撃復活!6年越しの新作であるが、いざ蓋を開けてみれば全く以ていつも通りの作風である。実家のような安心感がある、というかカウリスマキはそれでいいとさえ思って>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
アキ・カウリスマキ監督による“敗者三部作”の一作目。不況の煽りを受けて共に失業した中年夫婦の奔走と再起。冒頭、路面電車を運転する旦那が奥さんを迎えに来るシーンがやけに愛おしかった。出迎えのキスと共に過>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
あの戦争を生き延びてしまった者達の物語。“焼けた酒屋の一角”という極めて限定的なシチュエーションで進行する構図に脱帽。じっとりと薄汚れた内装のディティール、登場人物の閉塞感を如実に表すような接写気味の>>続きを読む
モラトリアムから抜け出せない女の子のポップな放浪。この映画はポスターだけ見るとソーラ・バーチ&スカーレット・ヨハンソンのW主演に見えるが、実際はバーチだけが主役だしスカヨハは脇役っぽい。レベッカは割と>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
揺れ動く幕末の世。侍としての武功と士官を望み、大老・井伊直弼の暗殺計画に加わった浪人の皮肉なる顛末を描く。岡本喜八監督が初めて撮った時代劇であり、三船敏郎が自身のプロダクションで制作した2作目の映画。>>続きを読む
「さっさと死ねよ!!」
「まだやってんのかぁ!?」
構想30年、北野武が送る時代劇。天下人・織田信長の跡目を狙う侍達の血生臭い狂想曲。北野武が豊臣秀吉を演じても当たり前のように“侍のコスプレをした北>>続きを読む
モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン!!タイトルの字面と響きがなんか好き。他人を操る超能力に突如目覚めた女性が精神病棟を抜け出し、ニューオリンズへと迷い込む。主人公がアジア系であることに加え、人種の>>続きを読む
「君たちは狙われている」
「妻も子供もみんな奪われるぞ」
「やつらはすぐそこに!」
「次は君だ!君なんだ!」
“人間を乗っ取って日常を侵食する未知の存在”という題材を確立させたSF古典小説『盗まれた>>続きを読む
カティ・オウティネンやマッティ・ペロンパーとかが其処にいるだけでカウリスマキ映画のムードが一気に漂ってくること、なんだか味わい深い。
フィンランド人の男二人と異邦人の女二人によるロードムービーだけど>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
本作のゴジラは近年では珍しく、あんまり神格化された存在ではない。震災や原発のメタファーだったシンゴジや半ば神話的に解釈されたレジェゴジに比べると、今回のゴジラは少なくとも作中ではあくまで“バカでかい野>>続きを読む
そういえばジャン・ルノワール、あんまり見てなかったことに気付く。公開前に第二次大戦によってフィルム消失の危機に瀕しながらも何とか乗り越え、戦後になって米国に亡命していた監督の許可を得て再編集したうえで>>続きを読む
“彼らは遠くの奥の森で餓え凍えて死んだのだ”
“そのように思えます”
両親を養いながらマッチ工場で働く冴えない女性の悲喜劇的顛末。『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』に続いてアキ・カウリスマキ監督に>>続きを読む
パリへと向かう長距離列車の中、ささやかな巡り合いから言葉を交わし合った男女。束の間の時間に二人は想いを通わせ、やがて一日限りのウィーン旅行へと向かうことになる。ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、その>>続きを読む