シズヲさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

モホークの太鼓(1939年製作の映画)

3.8

アメリカ独立戦争の最中、開拓者として逞しく生きる道を選んだ夫婦の物語。ジョン・フォードの初カラー作品らしく、要所要所の風景描写できっちり決まっている。行進していく兵士達をヒロインが丘の上から見送る場面>>続きを読む

タバコ・ロード(1941年製作の映画)

3.4

アメリカ南部の貧困農民を描いた戯曲の映画化作品。甲高く喋るチャールズ・グレープウィンの演技が妙な愛嬌に満ちてて印象に残る。タバコ・ロードの栄枯盛衰ぶりが白々しく語られる冒頭のナレーションから顕著だが、>>続きを読む

俺は善人だ(1935年製作の映画)

4.0

しがないサラリーマンが偶然ギャングと瓜二つだったせいで騒動に巻き込まれる!巨匠ジョン・フォード監督が唯一メガホンを撮ったギャング映画(?)。“ギャングそっくりの民間人”という役どころをエドワード・G・>>続きを読む

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

シャンクスの娘にしてルフィの幼馴染ウタ!!なんだこいつ!?エースといいサボといい、ルフィの身内は急に出現しがちなので毎度ビビらされてばかりである。そしてそんな風に突然出てきたウタの存在感が終始に渡って>>続きを読む

ジャズ大名(1986年製作の映画)

3.3

「いぇーい!!」

南北戦争によって自由の身になった四人の黒人解放奴隷たち。道中でジャズを編み出しながら先祖の故郷アフリカへと帰ろうとした彼らだったが、訳あって幕末の日本へと漂着してしまう……。筒井康
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ジャバーウォッキー 4Kレストア版(1977年製作の映画)

3.8

テリー・ギリアムの初監督作品。怪獣に脅かされる中世を舞台に描かれる、村の青年デニスの奇妙な冒険。モンティ・パイソン的なドタバタ感に溢れた不条理ファンタジーだ。現代的な笑いの感性ではないけれど、何やかん>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

飛ぶことを夢見て、やがてスターとして飛び上がり、そして死ぬまで飛び続けることになった青年“エルヴィス・プレスリー”の人生。エルヴィスをスターへと押し上げて搾取するトム・パーカー大佐も語り部として、そし>>続きを読む

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー(2022年製作の映画)

3.7

当初は「ブロリーがあんだけ大暴れした後に今更レッドリボン軍と人造人間ってのはよォ……ちょっと格落ち感がしねぇか?」と思ってしまったものの、蓋を開けてみればちゃんと差別化されてて結構楽しい。とにかくZか>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

3.7

叔父と甥の共同生活から始まる物語。自己と他者。親と子。内面の見えない“他の誰か”との交流と理解、その模索と葛藤。そんな人生の“不可逆性”と向き合う人々の姿。インタビューを介して語られる見解と価値観は、>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

マーヴェリック、36年ぶりの帰還。冒頭で満を持して流れる『Danger zone』の高揚感、率直だけどやっぱりブチ上がるので味わい深い。初代『トップガン』に望んでいたことがだいたい詰まってる秀逸な続編>>続きを読む

バットマン オリジナル・ムービー(1966年製作の映画)

3.6

《夢と冒険を愛する人に》
《荒唐無稽の楽しさ バカバカしさを愛する人に》
《この映画を捧げる》

元祖・映画バットマン!!総天然色!!TVシリーズから飛び出して大活躍!!オープニングから本作のスタンス
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

空から降ってきて棒立ちで突っ立った姿で初登場したウルトラマン、改めて「何だこいつ!?」感が凄すぎる。馴染み深い無表情フェイスもああして見ると“何考えてるのか全然わからん”度がヤバすぎるので、禍特対(禍>>続きを読む

血斗のジャンゴ(1967年製作の映画)

3.9

肺病を患う大学教授が粗野な強盗団首領と出会い、共に行動する中で次第に己の暴力性へと目覚めていく……。ジャン・マリア・ヴォロンテ&トーマス・ミリアンのW主演が鮮烈な佳作マカロニ・ウエスタン。似たり寄った>>続きを読む

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

3.9

「天国じゃみんな海の話をするんだぜ」

難病によって余命幾ばくもない男達。死ぬ前に何がしたい?一度も直に見たことがない海へと行きたい。天国は海の話で持ちきりらしい。なら一緒に突っ走ろうぜ、俺達二人で…
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映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022年製作の映画)

3.3

オッドタクシーのファンディスク映画。登場人物達が取材を受けて作中の行動や心情を振り返っていく総集編で、更なる掘り下げというよりは補完的な要素が強い。そんな感じにあくまでTV版を完走してオッドタクシーを>>続きを読む

少林寺 4Kリマスター版(1982年製作の映画)

3.7

悪しき軍勢に立ち向かう少林拳の達人たち!!武術家ジェット・リーの映画デビュー作であり、日本においても少林拳ブームを齎した作品。冒頭で少林寺の概要が大まかに語られる他(日本少林拳についても触れられる)、>>続きを読む

イリュージョニスト(2010年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

フランスの喜劇作家ジャック・タチが生前に遺した脚本を『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメがアニメ映画化した作品。主人公タチシェフの出で立ちを始め、淡々とした語り口や寡黙で最低限の台詞回し、計>>続きを読む

ぼくの伯父さんの休暇(1952年製作の映画)

3.0

フランスの喜劇作家ジャック・タチの長編コメディ映画で、その後同監督作で定番化するキャラクター「ユロ氏」のデビュー作。後年ではミスター・ビーンにも影響を与えているらしいのが凄い。好きなアニメ映画である『>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

3.7

リアリズムの果ての騎士道物語。聖杯探索に失敗した円卓の騎士が、ランスロと王妃グニエーヴルの不義の恋をきっかけに破綻へと進んでいく様を描く。所謂アーサー王伝説を題材とした作品ながら、作劇的演出を嫌うブレ>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

3.5

ヌーヴェルヴァーグの代表的監督、ジャン・リュック・ゴダールの三作目の長編映画。今日中に妊娠したい女性と彼女を取り巻く二人の男があれやこれやと変な漫才を繰り広げる。アンナ・カリーナはやっぱり可愛らしいし>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「頑張れよ」
「お前もな、カウボーイ」

競技中の事故で後遺症を背負ったロデオカウボーイが、葛藤と苦悩の狭間で自らの生きる道と向き合う。後に『ノマドランド』や『エターナルズ』を手掛けるクロエ・ジャオ監
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

3.5

第二次世界大戦時にナチス・ドイツの暗号機エニグマを解読し、そしてその功績を闇に葬られた数学者アラン・チューリングの物語。彼が開発したチューリングマシンが現代のコンピュータの礎になるなど、電子計算機の開>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

『ブロークバック・マウンテン』でヒース・レジャー演じる同性愛者のカウボーイが奥さんに対して葛藤と表裏一体の“横暴さ”をちらつかせる瞬間があったが、本作の男性性はその極点じみてる。原作は1960年代に執>>続きを読む

ファミリーファミリー(2019年製作の映画)

3.6

おふくろは認知症、長男はニート、唯一の稼ぎ手はアルバイトの次男坊。家庭の貯金も底を尽く寸前という状況の中、次男に予期せぬ不幸が訪れる……。そんなこんなでまたまた短編映画視聴。どう考えても生活保護とかを>>続きを読む

旅立ちの時(1988年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

かつてベトナム反戦運動に身を投じた両親と共に逃亡生活を送るダニー。常に素性を変えながら各地を転々とする日々を送り続けていたが、あるとき彼は自らの才能と向き合い、そして青春を知ることになる……。『スタン>>続きを読む

(2017年製作の映画)

3.6

田舎町の理容師と学生時代の元恋人のささやかな再会、十数年越しの遣り取りを経て得られる小さな“解放”。そんなこんなで再び短編映画を視聴。山田孝之は演技も存在感も抜群で引き込まれるし、中村ゆりの可愛らしい>>続きを読む

ノヴェラ ピカレスカ(2017年製作の映画)

3.6

小さい頃は“悪い子”になりたかった。田舎町で本屋を経営する女性が、親しくなった小説家の言葉をきっかけに些細なバスジャックを計画する……。粗筋が可愛かったのと短編映画に手を付けたくて何となく視聴。

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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

3.9

失語症のように振る舞う女優、その世話役になった看護師。海辺の別荘での奇妙な共同生活、そして自己の混濁と内省。終始に渡って抽象的な演出で映画が進行していき、それ故に上手く咀嚼し切れなかった部分も少なくな>>続きを読む

オクラホマ・キッド(1938年製作の映画)

3.5

まだ『駅馬車』も出てない頃の作品だけど意欲的な要素が見え隠れする西部劇。ジェームズ・キャグニーVSハンフリー・ボガートという対戦カード、ギャング映画やノワール物の趣があって何だかおもろい。饒舌なキャラ>>続きを読む

フロンティア・マーシャル(1939年製作の映画)

3.7

後に『荒野の決闘』でも変奏されるワイアット・アープ伝記。尺が70分前後なので実にコンパクトな内容、ドラマも舞台も緩くこじんまりと収まってる。敵対者であるクラントン一家なんかは全く掘り下げられないので最>>続きを読む

デッドロック(1970年製作の映画)

3.5

ジャーマン・ウエスタン?ドイツ映画界の革命的時代であるニュー・ジャーマン・シネマ全盛期に登場した西部劇っぽい映画。小汚いディテールと濃い顔付きの役者陣などはマカロニっぽいが、どちらかと言えばカルト映画>>続きを読む

ワン、ツー、スリー/ラブハント作戦(1961年製作の映画)

4.0

ヨーロッパでの出世を狙うコカ・コーラ西ベルリン支社長、マクナマラ。あるとき彼は本社重役から令嬢の世話を暫くの間任されることになるが、彼女は奔放な遊び人で……あろうことか東ベルリンの共産主義者と結婚!?>>続きを読む

アメリ(2001年製作の映画)

3.7

フランスを席巻した無邪気でキュートな大人こども“アメリ”の愛ある奇妙な日常。言うほどアート性が高い訳でもなく、ヘンテコとおしゃれの間を反復横跳びしてる感じの御伽噺めいた娯楽作。B級中心の配給会社アルバ>>続きを読む

パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー(1998年製作の映画)

3.6

既存の医療体制に一石を投じ、愛とユーモアによって人々を癒やした実在の医師を基にした伝記映画。患者をケアするホスピタルクラウンという概念の開祖であり、また医療費の自己負担が大きいアメリカにおいて無料サー>>続きを読む

グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.8

※再レビュー

「それさえ守れるのなら あの車はお前のものだ」

イーストウッドは何故真の意味でのスターなのか、それはイーストウッド本人が自己をスターとして定義しているからだと思う。老いてなおスクリー
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ニューヨーク1997(1981年製作の映画)

3.4

1988年――アメリカの犯罪増加率は400%を突破!!そんなことある!?マンハッタン島が巨大な壁で囲まれ、大量の犯罪者をブチ込む監獄都市と化す!!導入から叩き上げられる設定からして凄い近未来SFアクシ>>続きを読む