シズヲさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

シチリアを征服したクマ王国の物語(2019年製作の映画)

4.0

クマの王様、行方不明の息子を探して人間の住まう世界へと向かう。残忍な大公との対立や様々な旅路を経て、再会と共存へと至るが……。フランスとイタリア合作のアニメーション映画。絵画を思わせる色彩や構図、絵本>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.7

イーストウッドは『グラン・トリノ』や『運び屋』では自己の総括をしつつも確固たるテーマを物語っていたけれど、本作ではそうでもない。終盤に本作のメッセージが直接的に言及されるものの、マイロ爺さんが旅路の中>>続きを読む

懲罰大陸★USA(1971年製作の映画)

3.8

ベトナム反戦運動に対する非人道的弾圧を描いたモキュメンタリー映画、つまりフェイクもの。公開当時は各メディアから猛バッシングを喰らい、また映画館においてもごく短期間で上映が打ち切られるなど、色々と曰く付>>続きを読む

傷だらけの栄光(1956年製作の映画)

3.7

札付きの不良からボクシングのミドル級チャンピオンにまで登り詰めたロッキー・グラジアノの半生。元々はジェームズ・ディーンが主演を務める予定だったらしいけど(サル・ミネオは完全にタイプキャストめいてる)、>>続きを読む

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

3.5

大富豪と同姓同名だったボンクラ男が巻き込まれた滑稽な珍騒動。元々は興行面でも批評面でもあまり評価が高くなかったものの、ビデオ化などを皮切りにカルト的人気を獲得したという不思議な経歴を持っているのが面白>>続きを読む

ワイルド・ウエスト 復讐のバラード(2017年製作の映画)

3.5

オレはバカだからよく分かんねえけどよォ……ここ最近のマイナーな西部劇の邦題や国内版ジャケットってのは必要以上にB級アクション風味にし過ぎなんじゃあねえのか?(物事の真理を突く脳筋キャラ)

そんな訳で
>>続きを読む

決斗!一対三(1952年製作の映画)

3.3

決斗!一対三!言うほどそんな話でもないのは愛嬌。実在のガンマンであるジョン・ウェズリー・ハーディンを題材にした作品。「15歳で殺人を犯したのを皮切りに生涯に40人以上を殺した」という筋金入りの経歴の持>>続きを読む

祇園の姉妹(1936年製作の映画)

3.8

「なんで芸姑みたいな商売があるんや」
「ほんまに、こんなもん無かったらええんや」

義理人情を重んじる姉と強かで気丈な妹、京都の花街に生きる芸姑姉妹の顛末を描く悲喜劇譚。今となっては音声的にちょっと聞
>>続きを読む

アイの歌声を聴かせて(2021年製作の映画)

4.3

AIロボの女の子と5人の学生が織り成すジュブナイル×ミュージカル。とても優等生的な作品で、“AIが試験導入されたごく近い未来の田舎町”というシチュエーション以外はだいぶ率直な内容。「転校生のシオンが学>>続きを読む

真夜中のカーボーイ(1969年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

※再レビュー

《太陽が照り続ける場所へ行くんだ》
《土砂降りの雨を抜けて》
《俺に相応しい場所を目指すのさ》

遠い大都会に“理想郷”を見出した男。そこに行けば俺は成功する。金持ちの女を相手にすれば
>>続きを読む

ラスト・ラン/殺しの一匹狼(1971年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「時間こそが敵だ」
「無限に思えて――」
「ムダにしてしまった」

ハリー・ガームスはかつて犯罪組織の運び屋として活躍し、現在は一線を退いて孤独な隠居生活を送っていた。引退から9年の歳月を経たある日、
>>続きを読む

マイ・プライベート・アイダホ(1991年製作の映画)

3.6

ポートランドで男娼として暮らす若者二人の青春と旅路、そして離別。中年男性相手の売春行為や近親相姦をルーツとする出自などのハードな設定が目立つものの、映画自体はあくまでストリートの下層で生きる若者達を詩>>続きを読む

ヤング・オーナーズ(1959年製作の映画)

3.0

保安官パトリック・ウェイン&被告人デニス・ホッパー!メキシコ人を挑発して射殺したアメリカ人の裁判を巡る西部劇。米墨戦争直後の1840年代後半を舞台にした話であり、アメリカに帰属して間もない(それ故に白>>続きを読む

ホワイトハンター ブラックハート(1990年製作の映画)

3.3

『アフリカの女王』撮影時、ロケ現地にて映画そっちのけで象狩りに没頭したというジョン・ヒューストン監督の暴走を基にした映画。「サクセス・ストーリーにあまり興味は無い。人生の大半が挫折者であることは周知の>>続きを読む

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)

4.0

「“ああ、ニガー”と言えよ」

“黒人と白人の友情”に投影される視点の揺らぎ。格差と人種によって変化していく街、そして“ルビンの壺”のような心理学的盲点を孕み続ける銃社会アメリカの縮図。撃たれる黒人と
>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

3.9

「あの人の家も鉄のドアに替えるんだよ」
「鉄のドアは一生壊れんからだそうだ」
「一生ってそれほど長いものなのかね」

間違って友だちのノートを持ち帰ってしまった。今度こそ宿題をやってこなかったら友だち
>>続きを読む

パラダイスキャニオン(1935年製作の映画)

3.0

本作のデューク、終盤まで正体を隠すこともなく初っ端から連邦保安官。この時代のB級西部劇、「謎めいた流れ者の正体は連邦捜査官だった」みたいなパターンが多かったので逆に新鮮。冒頭から偽札偽造犯を追いかける>>続きを読む

ユタから来た男(1934年製作の映画)

3.3

ギターを持った渡り鳥、デューク!弾き語りをしながら登場するデュークの姿は古典西部劇の味わいがあって新鮮(『バスターのバラード』でもパロディ化された“歌うカウボーイ”の一例めいてて印象的)。ただ、このキ>>続きを読む

西部地獄街(1937年製作の映画)

3.0

西部地獄街!!言うほど地獄か?50分前後のB級短編西部劇。どうやらリメイク作品らしいけど、本作自体が古いのでその辺りはあまり詳しくない。そしてまたまた若い頃のデューク、今回は饒舌な相棒と組んで根無し草>>続きを読む

ブルースチール(1934年製作の映画)

3.4

『駅馬車』に出る前のデューク、若いし細身なので見てて新鮮な気持ちになる。偉そうでふてぶてしい後年のデュークが馴染み深いだけに、さも好青年のように爽やかな笑顔を作ってる様は奇妙な違和感があってやたら印象>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

3.8

「何も……何も無いんだ」

ジョージ・A・ロメロ監督が教会の依頼によって撮影し、そのまま長年お蔵入りになった幻の作品。当時米国で社会問題となっていた高齢者虐待を取り上げた作品で、ご丁寧に主演俳優が冒頭
>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

3.6

色々とテーマ性を根付かせてはいるが、よくよく考えたら普通に吉田新太演じる親父のための映画。娘に目を向けてやれずに父親として挫折したことに折り合いを付けられなかった男の暴走、そして自己を省みて浄化に至る>>続きを読む

西部開拓史(1962年製作の映画)

3.6

新天地を目指した開拓者一家の旅路から始まる西部開拓の歴史。開拓初期、ゴールドラッシュ、南北戦争、鉄道開拓、終わりゆく銃の時代……親子3代の移り変わりを軸に、半世紀にも渡るフロンティアの歩みが描かれた叙>>続きを読む

民衆の敵(1931年製作の映画)

3.7

『犯罪王リコ』や『暗黒街の顔役』に並ぶ1930年代ギャング映画の金字塔。いずれも80~90分前後で無駄なく物語が進んでいく。ウィリアム・A・ウェルマン監督は西部劇でもあの『牛泥棒』を撮っていたりなど、>>続きを読む

ハンバーガー・ヒル(1987年製作の映画)

3.8

「何度丘に登った?10回か?」
「それでも認められない」
「俺たちって何なんだ?」

ベトナム戦争に参加した新兵達の生きざま。1969年に南ベトナムで勃発した“アパッチ・スノー作戦”を題材に描かれる。
>>続きを読む

ビッグ・ウェンズデー(1978年製作の映画)

3.6

ベトナム戦争前後のアメリカ、変わりゆく12年の歳月の中で青春をサーフィンに捧げた三人の若者の物語。南カリフォルニアで育ったジョン・ミリアス監督の実体験がモチーフになっているらしく、全編に渡ってノスタル>>続きを読む

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

超弩級兵器、ケイバーライト爆弾出現!!!!何だこの威力!!!?ケイバーライト爆弾という直球すぎるネーミング、スチパン世界観であることを考慮してもヤバすぎる過剰火力ぶりなど、はっきり言ってかなり荒唐無稽>>続きを読む

ポセイドン・アドベンチャー(1972年製作の映画)

4.4

大津波によって転覆した豪華客船からの脱出を試みる人々のドラマ。ハリウッドにおいてパニック映画というジャンルを確立させた金字塔的作品。当時大ヒットを記録したことで20世紀フォックスの経営を救ったらしいの>>続きを読む

自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.0

第二次世界大戦後、人々が貧困に喘ぐイタリア。妻子持ちの失業者であるアントニオは苦しい生活の中でようやく職にありつけたが、その矢先に仕事に必要な道具である自転車を何者かに盗まれ……。1940~50年代の>>続きを読む

ミラノカリブロ9(1972年製作の映画)

3.0

すり替えられたマフィアの大金を巡る“仁義なき戦い”。タランティーノの好きな作品らしいけど、そもそもタランティーノは引き出しが多すぎて凄い。70年代イタリア製映画ということもあり何処となくマカロニ・ウエ>>続きを読む

ソング・オブ・ザ・シー 海のうた(2014年製作の映画)

4.0

アイルランドの神話を題材に、人間と妖精セルキーの間に生まれた兄妹の冒険を描いた欧州産アニメーション映画。監督がジブリ作品から多大な影響を受けた人物らしく、キャラクターの造形や場面の構図など様々な点でオ>>続きを読む

クランスマン(1974年製作の映画)

3.5

アラバマ州の片田舎を舞台にした人種差別の紛争。60年代に活発化した黒人の公民権運動を背景に、KKKの影がちらつくアメリカ最南部の根深い保守性や人種間の確執が描かれる。当時の革新的な作家であるサミュエル>>続きを読む

弾丸を噛め(1975年製作の映画)

2.9

元祖『スティール・ボール・ラン』!!20世紀初頭の大西部にて、700マイルもの荒野を横断する乗馬レースが開催される!!アレックス・ノースの雄大な音楽も相俟って70年代西部劇らしからぬ明朗な雰囲気がある>>続きを読む

KIDS/キッズ(1995年製作の映画)

3.4

セックスに明け暮れ、麻薬にのめり込み、刹那的に若さを消費していく少年少女の生態観察。90年代NYにおける不良達の日常風景を切り取った疑似ドキュメンタリーめいた趣に溢れている。何気にガス・ヴァン・サント>>続きを読む

アリス(1988年製作の映画)

3.5

「いつも遅刻だわ 首をちょん切らなきゃ」

“不思議の国のアリス”をベースに描かれる悪夢的幻想世界への旅路。全編に渡ってストップモーションアニメが駆使され、時計のウサギやハートの女王などのシュールなキ
>>続きを読む

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

3.9

ザ・テキサス・チェーンソー・マサクゥル!!!直球の原題ほんとすき。公開当時全米での大ヒットを記録し、全国各州で上映禁止処分にもなったという殺人鬼ホラー映画の金字塔。おどろおどろしい映像と共にニュースの>>続きを読む