シズヲさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

アリス(1988年製作の映画)

3.5

「いつも遅刻だわ 首をちょん切らなきゃ」

“不思議の国のアリス”をベースに描かれる悪夢的幻想世界への旅路。全編に渡ってストップモーションアニメが駆使され、時計のウサギやハートの女王などのシュールなキ
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

3.9

ザ・テキサス・チェーンソー・マサクゥル!!!直球の原題ほんとすき。公開当時全米での大ヒットを記録し、全国各州で上映禁止処分にもなったという殺人鬼ホラー映画の金字塔。おどろおどろしい映像と共にニュースの>>続きを読む

波止場(1954年製作の映画)

3.6

ヤクザがビジネスを牛耳り、労働者が不当に搾取される波止場。ゴロツキ同然の元ボクサーが友人の死とその妹との出会いをきっかけに、権力との対峙へと向かっていく……。弱者を虐げて抑圧する支配構図とそれに従わな>>続きを読む

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

4.0

「我らが神よ!あれは何だ!?」

行方不明の少女捜索を依頼され、孤島へと飛んだスコットランド人の警官。そこで彼が目にしたものは、キリスト教が淘汰されペイガニズム的な土着信仰が生き続けるコミュニティーだ
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わんぱく戦争 デジタルリマスター版(1961年製作の映画)

3.9

「嫌になっちゃう 来なきゃよかったよ」

片田舎の村同士で勃発する悪ガキ共の抗争!!ナメられたらやり返せ!!でも煙草と酒はやめてね。どうやら冷戦状態だった当時のフランスの世相を風刺した作品みたい。総勢
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縛り首の木(1959年製作の映画)

3.6

物騒なタイトルなのに結構明るいカントリーソングで幕を開けるのでビビる。ゴールドラッシュに湧く町を舞台にした西部劇で、主人公が医者という部分がけっこう珍しい(銃を携えているのでほぼガンマンスタイルだけど>>続きを読む

ガンファイターの最後(1969年製作の映画)

3.6

昔ながらの保安官VS近代化の進む町。訳あり作品に便宜上の監督名として載せられる“アラン・スミシー”誕生のきっかけになった映画らしい。明らかにニューシネマ期の気質へと向かいつつある西部劇で、『真昼の決闘>>続きを読む

必殺の一弾(1956年製作の映画)

3.7

銃の名手だった雑貨屋の葛藤と対決。“早撃ちの達人であるが故に安息を得られない男”というガンマンの内面性に迫った題材は『拳銃王』などから連なる系譜であり、如何にも50年代の西部劇らしい。しかし本作におけ>>続きを読む

大草原の渡り鳥(1960年製作の映画)

3.5

小林旭の渡り鳥シリーズ、どうやら5作目!!日活無国籍アクションということもあって西部劇要素の色濃いシリーズだけど、本作はその辺が殊更に際立っているので趣がある。“飛行場建設を目論む資本家に迫害されるア>>続きを読む

涙を、獅子のたて髪に(1962年製作の映画)

3.6

ヤクザの手先として矢面に立ち、労働者達からは憎まれる。ヤクザからは犬同然に扱われ、尊厳さえも飼い慣らされる。弱者の側にも強者の側にも彼の居場所は無い。孤独感によって忍び寄ってきた相手との間にも結局は根>>続きを読む

早射ち野郎(1961年製作の映画)

3.6

何だこの町!?“エースのジョー”こと宍戸錠主演の日活無国籍ウエスタン!フロンティアそのまんまの町並みにカウボーイスタイルの住民達、更に登場人部が当然の如くライフルや拳銃で武装している絵面など、世界観が>>続きを読む

サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

3.0

ポエット!高校生×俳句という題材はともかく、グラフィティ俳句(というか落書き)はなんかヒップホップみたいでフフってなった。ビビッドでポップな色彩感覚は確かに可愛いし、感情豊かなキャラデザも良い意味でア>>続きを読む

ベルヴィル・ランデブー(2002年製作の映画)

4.1

ツール・ド・フランスに参加した孫がマフィアに誘拐された。おばあちゃんは孫を救うべく飼い犬と共に大都市ベルヴィルへと向かい、そこで往年の大スター歌手だった三姉妹の老婆と出会う……。数々の映画賞にノミネー>>続きを読む

真夜中のパーティー(1970年製作の映画)

4.1

「こんなにも自分を嫌わずに済んだら」

ゲイの友人グループが集った真夜中の誕生日パーティー。そこに友人の一人である異性愛者が突然現れ、人間関係を取り巻く均衡が崩れ始める……。それまでのハリウッドでは専
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戦争のはらわた(1977年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦の東部戦線を舞台に、過酷な戦場に身を置くドイツ軍人達の姿を描いたサム・ペキンパー製戦争映画。子供達の合唱する「幼いハンス」をBGMにナチス・ドイツの記録写真が映し出されるオープニング、あ>>続きを読む

ビッグケーヒル(1973年製作の映画)

3.6

ジョン・ウェインVS理由なき反抗!!西部劇でありながら“親からの愛情と承認を受けられなかった子供の反発”を主題に置いているのが何だか面白い。半ば家族ドラマへと片足を突っ込んでいる。子供達に対峙するデュ>>続きを読む

カプリコン・1(1977年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

「作り事の世界が本物に見える」
「あれだけ優れた技術があれば」
「人を簡単に騙せる」

人類初の火星着陸をNASAが壮大にでっち上げる!宇宙開発を題材にしたポリティカル・サスペンス。あからさまにアポロ
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安藤昇のわが逃亡とSEXの記録(1976年製作の映画)

3.7

「皆さんがそれだけ注目してるんだ」
「すぐに捕まっちゃ申し訳ねえだろ」

リアルヤクザ安藤昇、横井英樹襲撃事件における34日間の逃亡記録を自ら本人役で演じる。タイトルが強すぎる。どうやら安藤組シリーズ
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御用牙 かみそり半蔵地獄責め(1973年製作の映画)

3.8

「我も裸になり、相手を安心させておいて術を施すのじゃ!」
「こいつキチガイか……?」

かみそり半蔵地獄責め!!!凄いタイトルだが概ね間違ってはいない。前作で導入はもう済ませたので、続編である今回は冒
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ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

3.7

「来世で会おう」
「来世でな」

保釈中に逃亡した会計士と彼の護送を依頼された賞金稼ぎがマフィアやFBI、商売敵に追われながら各地を走り回る逃亡劇ロードムービー。やっぱりキャラクターが良いのが好印象で
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狂熱の季節(1960年製作の映画)

3.5

太陽族の系譜から和製ヌーヴェルヴァーグへと突入した作品。何はともあれ川地民夫、超絶なチンピラぶり。のこのことスリやるわ、仲間とゲラゲラ騒ぐわ、女性に乱暴はするわ、只管やりたい放題。そのギラついた風体や>>続きを読む

パニック・イン・テキサスタワー(1975年製作の映画)

3.6

「チャールズ・ホイットマンを知ってるか?あいつは500ヤードの距離で柱の陰の男を撃ち抜いた。どこで射撃を習った?」
「海兵隊であります!」
――『フルメタル・ジャケット』

1966年に発生したテキサ
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無宿 やどなし(1974年製作の映画)

3.5

勝新太郎×高倉健×梶芽衣子!!なんだこの布陣!?助演に安藤昇などもいるので実に豪華、絵面だけでも美味しすぎる。名優達の演技はやっぱり良くて、精悍とした佇まいの健さんと豪放磊落な勝新のアンサンブルが面白>>続きを読む

燃えつきた地図(1968年製作の映画)

3.5

失踪した会社員の捜索を依頼され、次第に自己を見失っていく探偵の怪異譚。勅使河原宏と安部公房が組んだ作品のひとつで、当時『座頭市』や『兵隊やくざ』などシリーズ物のマンネリから脱却しようとしていた勝新が主>>続きを読む

ヒッチ・ハイカー(1953年製作の映画)

3.5

ヒッチハイカーを装った強盗殺人犯と彼を拾ってしまった二人の男のサスペンス。突発的に現れた異常者との対峙に終始した内容なだけに、フィルム・ノワールというよりは後年のサイコ・スリラーのような趣を感じてしま>>続きを読む

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)

4.2

老いたランボー、最後の戦場へと参戦。実際は何だかんだで『ラスト・ブラッド』に続いてしまうのだが、正直本作がラストでいいだろって思ってしまう。ぶっちゃけ本作こそが決着に相応しい完成度だと思う。「力なき正>>続きを読む

ランボー3/怒りのアフガン(1988年製作の映画)

3.5

孤高の戦士ランボー、トラウトマン大佐を救うべくアフガニスタンへと出撃!!現地のアフガンゲリラと協力し、侵略者であるソ連軍と対決せよ!!前作の時点で相当色濃かったが、当時のスタローンの反共路線がめちゃめ>>続きを読む

ランボー/怒りの脱出(1985年製作の映画)

3.6

“マッチョなベトナム帰還兵が上半身裸で大暴れする”という絵面をこれみよがしに見せつけてランボーの世間的イメージを確立させた、ある意味で記念碑的作品。心の傷を抱え、帰属すべき場所さえも見失っていた1作目>>続きを読む

プレイス・イン・ザ・ハート(1984年製作の映画)

4.2

大不況下のアメリカ、不慮の事故で夫を亡くした女性が綿農家として自立の道を進んでいく。教会の賛美歌から映画が始まり、主人公の元にモーゼスという名の黒人が現れるなど、宗教的なモチーフを随所に感じる。一貫し>>続きを読む

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.8

転校先である田舎町のキリスト教系の学校に馴染めなかった小学生のユラ。そんな彼の前に、祈ることで何でも願いを叶えてくれる“小さなイエス様”が現れ……。監督が当時22歳ということに驚かされるし、海外の映画>>続きを読む

ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

4.2

「なぜ彼らは集まってくるの?」
「本能だろう」

ジョージ・A・ロメロが手掛けた2作目のゾンビ映画であり、同ジャンルを世界的に確立させた金字塔的作品。前作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』における
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反逆のメロディー(1970年製作の映画)

3.6

組の解散を契機に故郷へと帰還した孤高のヤクザ。しかし町は大企業の食い物にされ、そこにはかつて身を置いていた組の幹部達が関わっていた……。学生運動や安保闘争における挫折感を投影したらしいプロットは印象的>>続きを読む

愛馬トリッガー(1946年製作の映画)

3.5

“キング・オブ・カウボーイ”ことロイ・ロジャース主演作。馬泥棒および馬殺しの濡れ衣を着せられたカウボーイが奔走する。自動車が登場するなどあくまで近代以降の話ではあるものの、映像のムードやディティール的>>続きを読む

とむらい師たち(1968年製作の映画)

3.8

「人間は何の為に生きてるんです!?死ぬ為に生きてるんだ!!」

葬儀演出家、開業!ホトケ様への慈しみを忘れた戦後の社会に真の供養というものをを教えてやる!オープニングからおどろおどろしい音楽が鳴り響き
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御用牙(1972年製作の映画)

3.7

「これで俺とお前は穴兄弟だ……」

屈強なデカマラを持つ一匹狼の役人、カミソリ半蔵!!日々の鍛錬で磨き上げた性技を駆使し、ヒィヒィ喘がせながら悪を追い詰める!!!どういうこっちゃねん。

ファンク調の
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やくざ坊主(1967年製作の映画)

3.4

戒律など知ったこっちゃねえ!煩悩に塗れた破戒僧が金を貪り、女を抱き、ヤクザ共をぶちのめす!題名に加えて勝新主演ということで内容的に何となく予想できそうだが、蓋を開けてみれば概ね予想通りだった。本作の勝>>続きを読む