シズヲさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ロリ・マドンナ戦争(1973年製作の映画)

4.1

「昔はよかった」
「変わっちまったんだ」
「ここには愛が満ちあふれていた」

アメリカ南部の田舎町、私有地を巡って対立する二つの大家族が崩壊へと突き進んでいく。主役であるフェザー家とガットシャル家以外
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バファロー大隊(1960年製作の映画)

4.0

「白人の女が殺された」
「俺たちに勝ち目はない」

白人少女暴行殺人の容疑によって裁判にかけられた黒人騎兵を巡る法廷西部劇。黒人の冤罪を焦点に当てた内容からして西部劇版『アラバマ物語』のような趣がある
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ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「やり直そう」

復縁をきっかけに香港からアルゼンチンへと旅立った同性愛カップルの物語。主演であるトニー・レオンとレスリー・チャンの耽美な佇まいがやはり秀逸。情熱的な愛をぶつけ合う冒頭のシーンから始ま
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.0

「最後に行く場所を天国って言うのなら」
「ここが天国ってわけかい?」

《むかしむかし、“円”が世界で一番強かったころ》という前置きから始まる異色の設定、ゴールドラッシュの終着点と化す日本。現代社会の
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キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

3.7

営業不振の証券マンであるジミーのもとに700万ドルの遺産相続話が転がり込む!相続の条件は27歳の誕生日までに結婚すること。誕生日はいつだ?今日だ!走れジミー!花嫁を探せ!三大喜劇王バスター・キートンの>>続きを読む

月曜日のユカ(1964年製作の映画)

3.9

奔放な小悪魔ユカ、愛の探求。中年男性のパトロンを持ち、誰にでも身体を許し、男に尽くすことに喜びを感じるというユカの人物造形は如何にもファンタジー的。しかし「キスだけはしない」とする昭和的な純潔思想や敬>>続きを読む

硝煙のカンサス(1943年製作の映画)

3.3

銀行強盗を撃退したことで保安官に任命されたガンマンが街を牛耳る権力者と対峙する。80分前後の尺なので展開が早く、銀行強盗発生→保安官任命という導入部の流れも開幕数分でそそくさと処理される。全体的にはB>>続きを読む

フィッシャー・キング(1991年製作の映画)

3.7

自らの発言が殺人事件を誘発してしまったことをきっかけに落ちぶれていった元ラジオDJ。罪の意識を背負い続ける彼の前に、妄想の世界に囚われたホームレスが現れ……。テリー・ギリアム監督作であり正気と狂気の狭>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.9

佐々木!佐々木!佐々木!底抜けに明るく、周囲からのコールが掛かればいつどこでも服を脱いで踊り出す。クラスきっての剽軽者だった佐々木の残像を、大人になったまま燻り続けるかつての親友が振り返る……。俳優を>>続きを読む

恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

3.8

有名な吊り橋のシーン、気が狂ってるくらいの熱量。CGなき時代の圧倒的な執念を感じる。命懸けで進むトラック、軋みながら揺れ動く橋、叩き付ける暴風雨、足元に広がる激流の河……「どうやって撮影したんだ?」と>>続きを読む

赤い矢(1957年製作の映画)

4.0

西部劇にして一種の戦争映画。草原に転がる死体を映し出すカットに始まり、彷徨う騎兵→唐突な銃撃→騎兵越しに現れる南軍兵……という冒頭のシークエンスの掴みが秀逸。要所要所のロングショットも渋い。白人の兵士>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.5

“不要なもの”としてカットされる自主制作映画のワンシーン。映画や漫画はスゴい、何故なら街が変わっても無くなってもそこに残り続けるから。それを言うなら街もスゴい、変わっても無くなっても“そこにあった”と>>続きを読む

バニシング/ダーティ・デカまかりとおる!(1976年製作の映画)

3.3

邦題『ダーティ・デカ まかりとおる』!!なんだか間が抜けているが、内容的には概ね合っている。だってダーティなデカがまかりとおってるんだもん。イタリア製のポリスムービーで、所謂『ダーティハリー』から連な>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

夏の高校野球、甲子園のスタンド席の端っこ……ルールも知らずに観戦する演劇部二人、遅れてやってきた元野球部員、ひとり佇む成績優秀の女子。母校の野球部の応援に来た四人の高校生の話。元は高校の舞台劇らしいけ>>続きを読む

サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス(1974年製作の映画)

3.3

スウィートバックは必ず仕返しに帰ってくるが、この土星人はもはや帰ってこなかった!宇宙へ旅立った音楽家サン・ラーが“新天地”となる惑星を発見し、ソウル・パワーによる転移で黒人達の救済を試みる……。おっぱ>>続きを読む

さらば荒野(1971年製作の映画)

4.0

「私たち、これからどこへ?」
「カリフォルニアかな」

牧場主の妻が無法者一味に攫われた。無法者のリーダーは旅路の中で次第に彼女と惹かれ合っていくが、暴力的な牧場主は執念に駆られて彼らを追跡する……。
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ゴーストタウンの決斗(1958年製作の映画)

3.4

『OK牧場の決斗』『ガンヒルの決斗』に並ぶジョン・スタージェス製の決斗西部劇。冒頭のリチャード・ウィドマークによる電撃的な早撃ちで痺れる。自由を奪われた主人公+ヒロインと二人を取り囲む悪党一味という構>>続きを読む

捨身の一撃(1955年製作の映画)

3.6

終わらない暴力の連鎖に身を置く老保安官の西部劇。如何にも“悪名高いならず者”のように現れるガンマンが序盤で始末されて面食らう。ガンマンを撃ち殺し、ひとり苦悩の表情を見せる保安官の姿が示す“銃を取った者>>続きを読む

アニーよ銃をとれ(1950年製作の映画)

3.0

富や名声より愛だぜッ!ワイルド・ウエスト・ショーで活躍したお転婆な射撃の達人“アニー・オークレー”の恋を描く喜劇的ミュージカル。西部を伝説化した華やかなショウビジネスを背景に、『ショウほど素敵な商売な>>続きを読む

ララミーから来た男(1955年製作の映画)

3.6

ララミーから来た男、弟が犠牲になった虐殺事件の真相を追う。主役のジェームズ・スチュワート、相変わらず西部の男には見えない上品な顔立ち。でも高身長の偉丈夫なので何だかんだカウボーイスタイルが様になってい>>続きを読む

絞首台の決闘(1959年製作の映画)

3.6

強盗に加担した青年を絞首刑に処すべきか否か?まさかの法廷西部劇。『GOOD DAY FOR A HANGING』なる原題が妙に味わい深い(絞首刑にはいい日だ、なんてテンションの映画ではない)。銀行強盗>>続きを読む

ワイアット・アープ リベンジ -荒野の追跡-(2012年製作の映画)

2.8

かつてはドク・ホリデイだったヴァル・キルマー、本作ではワイアット・アープに転生。保安官であるアープがバントライン・スペシャルを贈られるまでの過程を回想形式で描いた西部劇。かの有名な“OK牧場の決闘”で>>続きを読む

カウボーイ(1958年製作の映画)

3.6

ゴキブリは銃で撃つ!ホテルマンが恋人のためにカウボーイの一員となる西部劇。豪華なホテルを舞台に始まる冒頭の絵面はウエスタンとしては中々に新鮮。ジャック・レモンはどちらかと言えば小市民的で喜劇俳優のイメ>>続きを読む

ランブルフィッシュ(1983年製作の映画)

3.5

不良青年が見たモノクロの白昼夢。現実と空想の狭間に立たされているような幻想性。白黒の映像はノスタルジーを掻き立てるというよりも一種の閉塞的な非現実感を表出させている。彷徨い歩くような手持ちカメラの撮影>>続きを読む

不意打ち(1964年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「“騒々しい都会の中で”」
「“我々は恐怖を克服しただろうか?”」
「していないわ」

自宅のエレベーターに閉じ込められたブルジョワ老婦人が直面する恐怖の混沌。鉄格子を連想させる映像に加え、喧騒の中で
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フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

3.9

本物の身体障碍者を多数起用して見世物小屋の愛憎劇を描いた伝説的映画。当時の国内では激しい批判に曝され、イギリスでは上映禁止の憂き目に遭ったりと中々に曰く付き。監督のトッド・ブラウニングがサーカスと関わ>>続きを読む

おしゃれ泥棒(1966年製作の映画)

4.0

お洒落に着飾ったロマンチック・クライムコメディ。ある危機に追い込まれた贋作芸術家の父を救うべく、娘と泥棒が贋作の彫刻を美術館から盗み出す計画を企てる。潜入などのスリリングな要素も楽しいけど基本的には主>>続きを読む

アクション・ジャクソン/大都会最前線(1987年製作の映画)

3.3

HOT!! HOTTER!!! HOTTEST!!!!デトロイトの獰猛な刑事、アクション・ジャクソンに気をつけろ!!ロッキーと殴り合い、プレデターとも殺り合ったカール・ウェザース主演のポリスアクション>>続きを読む

レニー・ブルース(1974年製作の映画)

3.9

「これで永遠におさらばだ どうでもいい 勝手にしろ」

漫談家レニー・ブルースの生涯。1950~60年代にかけて政治や社会を風刺するジョークで一世を風靡し、その過激な言動から公的権力に弾圧され零落して
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荒馬と女(1961年製作の映画)

3.6

「何で放した?」
「自分で決めたかったからさ」

この映画においてマリリン・モンローは男達を包容し、彼らの孤独を癒やす存在である。時々ひどく繊細で蠱惑的な魅力を放つマリリンは、その甘ったるい声も相まっ
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アヴェ・マリアのガンマン(1969年製作の映画)

3.5

ギリシャ神話の悲劇譚を下地にしたというマカロニ・ウエスタン。フェルディナンド・バルディ監督作のマカロニは『盲目ガンマン』や『西部のリトル・リタ』とか好きな佳作が多いんだよな。本作はそれらと比べれば物足>>続きを読む

復讐の用心棒(1967年製作の映画)

3.0

ペコスという男に気を付けろ!いつものように復讐劇のマカロニ・ウエスタン。主人公ペコスはいちおう謎の流れ者として登場するものの、冒頭の主題歌が「復讐を果たすその日まで」と親切に語ってくれるので復讐者であ>>続きを読む

さすらいのカウボーイ(1971年製作の映画)

3.8

※再レビュー

「助けたら戻ってくる、また三人で暮らせる」
「戻ってこないわ」

旅から帰ってきた男の物語。アメリカなるものを求めて旅立ち、遂にはそれを見つけられなかった『イージー☆ライダー』の変奏。
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哀しみの街かど(1971年製作の映画)

4.3

“ニードル・パーク”と呼ばれる麻薬常習者が屯する公園を中心に、麻薬と共に生きる男女の愛と堕落を描く。70年代のアメリカン・ニューシネマで描かれるニューヨークはいつも退廃に満ちている。街の底では常に社会>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

4.1

キャリー、孤独の青春。学校では虐められ、家庭では毒親に苛まれ、何処にも居場所を見出だせなかった。束の間の希望さえも土壇場で踏み躙られ、結局全てをぶち壊すしか無くなる。遣る瀬無い程の哀しみ、その中で突き>>続きを読む

イグアナの夜(1964年製作の映画)

3.6

「ある人が別の人の心に巣を作るとき――大事なことは永続でも繁栄でもない もう孤独ではないということです」

姦淫による暴走をきっかけに教区を追われ、旅行バスのガイドへと落ちぶれた牧師の物語。どういう訳
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