シズヲさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

クレイジー・ママ(1975年製作の映画)

4.0

若き日のジョナサン・デミが撮った愛おしきB級クライム・コメディ。『血まみれギャングママ』『ビッグ・バッド・ママ』に続くコーマン印のママ三部作の最終作(ほんとは『血まみれ〜』から鑑賞したかった)。孫娘・>>続きを読む

顔役(1971年製作の映画)

3.8

勝新太郎の作家性炸裂、狂気の初監督作品。メガホンのみならず製作も主演も担う。“勝新演じる一匹狼の刑事がアウトローな捜査で事件を追う”という内容は殆ど『警視-K』の原型に近い。嫌味な課長のキャラクターも>>続きを読む

トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ガンマンvs食人族!!邦題は完全にB級スプラッター映画のノリだが、そのセンスに違わず作中に出てくる食人インディアンはかなりどぎつい。異形じみた白塗りの風貌だけでも威圧的なのに、殺意も残虐性もガチなので>>続きを読む

快楽殿の創造(1954年製作の映画)

2.9

アメリカにおけるアバンギャルド作家の先駆者であるケネス・アンガー監督作。彼が傾倒していたアレイスター・クロウリーの呪術儀式と宗教的思想をイメージしているらしい。真面目に考察する気も失せるほど前衛的。い>>続きを読む

アンドリューNDR114(1999年製作の映画)

4.1

家庭に仕えるロボット・アンドリューNDR114、200年の時を費やした“人間へと至るまでの旅路”。序盤を見ながら「アンドリュー、人権無いんだなあ」と当たり前ながら思ってしまう。礼儀正しい所作と芸術の才>>続きを読む

監獄ロック(1957年製作の映画)

3.1

みんなでロックだ、監獄ロックだ!“キング・オブ・ロックンロール”ことエルヴィス・プレスリー3本目の主演映画。「田舎者がカントリーを経由してロックの才能に目覚め、瞬く間にスターへと上り詰めてハリウッドに>>続きを読む

黄金の七人(1965年製作の映画)

4.4

『ルパン三世』にも多大な影響を与えたらしいイタリア製の犯罪娯楽映画。巨大金庫から大量の金塊を盗む計画を企てた犯罪集団の活躍。とにかくユーモラス、そしてスタイリッシュ、要するにめちゃ楽しい。アルマンド・>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.2

トム・クルーズをスターダムへと押し上げた航空映画。Kenny Logginsによる主題歌『Danger Zone』は空を突き抜けるような爽快感に満ちていて兎に角ブチ上がる。シンセサイザー重点のBGMや>>続きを読む

大列車強盗(1972年製作の映画)

3.3

御大ジョン・ウェイン、70年代でも変わらぬ偉丈夫っぷり。概ねいつものデュークだけど『勇気ある追跡』以降ということもあってか、自分がロートルであることを既に意識しているのがしみじみする。頑固な自分を省み>>続きを読む

猿の惑星(1968年製作の映画)

4.5

猿が人間を支配している!後にシリーズ化もされたSF映画の金字塔的作品。社会風刺にして娯楽映画のド傑作。後年の作品にも多大な影響を与えていることが伺える。ラストシーンはまさに映画史に残る“衝撃の結末”だ>>続きを読む

プラン9・フロム・アウター・スペース(1959年製作の映画)

2.0

「強大?ほら見ろ愚か者め!愚か者!バーカ!」

“アメリカ史上最低の映画監督”ことエド・ウッドが世に送り出した代表作。どうやら彼の最高傑作にあたる映画らしいが、噂に違わぬつまらなさで微笑ましくなる。S
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ヘラクレス(1957年製作の映画)

3.3

マッチョ俳優が演じるイタリア製の神話・史劇アクション映画、通称“ソード&サンダル”。本作は1950年代後半~60年代前半に渡ってジャンルの火付け役になったパイオニア的作品だ。主演であるスティーブ・リー>>続きを読む

雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.0

50年代ハリウッドを代表するミュージカル映画。サイレントからトーキーへと移りゆく1920年代の映画業界をユーモラスに描く。

ジーン・ケリーらが高らかに歌い上げる歌唱パートは言うまでもなく素晴らしい。
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

漢・煉獄さん、一世一代の晴れ舞台。煉獄さんがめちゃカッコいいのとゴリゴリに盛られた映像がエグいのはもはや言うまでもない。炭治郎もやっぱり良い主人公だし、同期トリオの絡みも含めて好き。原作から改めて見て>>続きを読む

ジャック(1996年製作の映画)

4.1

「ジャック 遊ぼう!」

常人の4倍もの速度で肉体が成長する10歳の少年・ジャック。両親と家庭教師に支えられながら自宅に引きこもる生活を送っていた彼が、生まれて初めて“学校”へと通うことに……。ジャッ
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鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)

4.0

「♪とかく浮世はままならぬ 日傘指す人作る人」

戦前の日本映画黄金期に爆誕した陽気なミュージカル時代劇。諸事情で他映画のスタッフを流用して急遽作られた作品らしく、“早撮りマキノ”の異名を持つ監督が一
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人生の特等席(2012年製作の映画)

3.8

『グラン・トリノ』を経てもまだまだ役者やれた御大、流石と言う他ない。後に『運び屋』もやるもんなあ。すっかり監督業が中心になっていたイーストウッドにとって久々の主演オンリー作品。とはいえ製作はいつものマ>>続きを読む

ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)

3.9

ロッキー・バルボア、カムバック!!まさかの16年越しの復活劇。『ロッキー5』は別に最後のドラマではなかった。すっかり高齢に差し掛かったスタローンや前作との間を考えると「ここまで来てロッキー引っ張り出す>>続きを読む

アウトサイダー(1983年製作の映画)

3.6

「Stay gold.」

コッポラが送るヤングアダルト映画の代表作。原作もまたヤングアダルト小説の古典らしいけど、本作自体『理由なき反抗』などといった不良映画の系譜を継ぐような古典的なムードがある。
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東京流れ者(1966年製作の映画)

3.5

「東京〜流〜れ者〜♪」古き良きヤクザ映画というより任侠歌謡ファンタジー映画。やけに鮮やか、というか時折アバンギャルド。モノクロの導入部を経てから一気にカラーへと変わるオープニングを皮切りに、現実と虚構>>続きを読む

ロッキー5/最後のドラマ(1990年製作の映画)

3.3

『ロッキー』はいつだってマイナスからプラスへと向かっていく物語だった。1作目では負け犬の矜持を、2作目では負け犬の勝利を、3作目では挫折からの再起を、4作目では亡き友のリベンジマッチと国境を超える喝采>>続きを読む

ブラック・クランズマン(2018年製作の映画)

4.2

歪みの中の断絶、根深き人種差別!今もなお怒れる男、スパイク・リー!ブラックスプロイテーションめいたオールドスタイルの作風で描かれる続・地獄のアメリカ!あの激動の公民権運動を経ても、『ドゥ・ザ・ライト・>>続きを読む

レッド・サン(1971年製作の映画)

3.8

チャールズ・ブロンソン×三船敏郎×アラン・ドロン×ウルスラ・アンドレス!!各国のスター大集結の異色欧州ウエスタン。夢の共演と呼ぶ他ないアンサンブルの時点で既に素晴しく、特に主役三人はそれぞれきっちり魅>>続きを読む

リービング・ラスベガス(1995年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

落ちぶれて酒浸りになった男と日々磨り減っていく娼婦の儚き純愛。何処にも居場所は無く、緩やかな破滅へと下りゆくだけだった二人が見出した束の間の安息。

現在ではすっかりB級スターのような立ち位置になって
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キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

3.7

チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイドと共に名を連ねる“三大喜劇王”ことバスター・キートンのサイレント映画。南北戦争を背景にした活劇的スラップスティック・コメディだが、撮影は普通に凄い。ここまで蒸>>続きを読む

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

「Well,nobody's perfect.」

ビリー・ワイルダー監督のコメディ映画。ギャングに命を狙われてしまったが為に女装して逃げる羽目になるジャック・レモン&トニー・カーティスの漫才がひたす
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アメリカン・アウトロー(2001年製作の映画)

3.5

『地獄への道』『無法の王者ジェシイ・ジェイムス』など幾度となく取り上げられてきた伝説のアウトロー、ジェシー・ジェームズの西部劇。開幕からド派手な銃撃戦を繰り広げるところから大体察しはつくが、伝記物の要>>続きを読む

動物農場(1954年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

支配階級の打倒、理想的な共産主義国家の樹立、狡猾な独裁者の台頭……革命を成し遂げた家畜達の顛末。皆で力を合わせて体制を転覆させた筈なのに、やがて集団の中から新たなる支配階級が出現していく。人間社会を寓>>続きを読む

ハスラー(1961年製作の映画)

3.8

「敗北するのは容易い。勝つことは大変な重荷だ。だから人は口実を作って重荷を下ろそうとする。そして悔恨の念に浸ることを楽しむ」

ビリヤードの賭博師“ハスラー”を描いた若きポール・ニューマンの代表作。
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映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

めちゃめちゃ緩い世界観で描かれているが、要するにはぐれ者やマイノリティーの話だ。“寒がり”なシロクマ、本当の自分を探し求めるペンギン、目的を果たせずに捨てられたトンカツ&エビフライのしっぽ(すごいキャ>>続きを読む

二十日鼠と人間(1992年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

“臭くて病気持ちで見るに耐えない”という理由で老犬が撃ち殺されるエピソードが途中で挟まれるが、知的障害を持つレニーもまた人間になれなかった犬だった。社会が弱者を庇護する建前さえない時代において、社会に>>続きを読む

スコピオ・ライジング(1964年製作の映画)

3.3

ケネス・アンガーの代表作のひとつ。バイカーのイメージを中心にモンタージュを繋ぎ合わせたような抽象的映像世界。「既存のロックやポップスなどを挿入歌として起用する映画は『イージー★ライダー』以前まで皆無だ>>続きを読む

花火(1947年製作の映画)

3.6

ケネス・アンガーによる性と暴力の処女作。短編映画ながら、40年代後半という時期を考えると相当に先鋭的な内容。男に抱え上げられる主人公のイメージやじっくりと映し出されるマッチョな肉体など、倒錯的な演出に>>続きを読む

C・C・ライダー(1970年製作の映画)

2.9

世界一スタイリッシュな万引きサンドイッチから始まる暴走族映画。70年代初頭という時期的に『イージー★ライダー』の後追い感が半端ないし、作中でも主人公が“EASY RIDER”と揶揄されている。とはいえ>>続きを読む

ダイヤモンドの犬たち(1975年製作の映画)

3.0

ダイヤモンド強盗団に潜入せよ!ピーター・フォンダ主演のサスペンス・アクション。ニヒルな魅力たっぷり(汚い髭はあまり似合わないけど)のフォンダを始め、テリー・サヴァラス、クリストファー・リー、ヒュー・オ>>続きを読む

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

4.1

「ぼくは一生この町に居るのかな」
「何だってできるさ」

過ぎ去った思い出への郷愁。人口1200人程度のちっぽけな田舎町で子供達が見出だした束の間の非日常。やることは“線路沿いを歩いて死体を探すこと”
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