湿疹さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

湿疹

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大理石の男(1977年製作の映画)

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50年代にレンガを三トン積み労働英雄として讃えられ、その後闇に葬られた男について、70年代の若い学生がドキュメンタリーを撮るために数人の撮影クルーをしたがえて真相を追う、社会主義ポーランド版『市民ケー>>続きを読む

ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

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友人に目が悪くなるよと注意され、最近部屋で映画を観るときは電気を消さないようにしてたんだけど、これは始まってすぐにおお……と思って電気消して観てた。素晴らしい。なにがいいのかわからないが宇宙を感じた。>>続きを読む

すべて売り物(1968年製作の映画)

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こんな映画も撮ってたのかと驚いた。写されるもののどこまでが映画内映画なのか、映画のストーリーの次元に属してるのか、それともドキュメンタリー性のあるものなのか、その戯れの仕方が独特で面白い。ニュースやド>>続きを読む

シベリヤ物語(1947年製作の映画)

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普段は去勢されたスターリニズム文化なんてクソ食らえという態度でいるが、こういう観るに耐えるクオリティの社会主義リアリズム映画観ると色々わからなくなる。観るに耐える以上のものではなかったがこういう音楽好>>続きを読む

黒い瞳(1987年製作の映画)

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もっとお耽美な文芸映画かと思ってたらマストロヤンニのおかげか活き活きしたコメディだった。製作がイタリア側だからかあまりソ連映画っぽくない。マストロヤンニが、イタリアの保養地で出会って姿を消したロシア女>>続きを読む

レースを編む女(1977年製作の映画)

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上司みたいな抑圧インテリ彼氏にも何か言いたげなレースを編む彼女にもどちらにも心当たりがあり、神妙な気持ちになりながら観てしまった。ナチュラルボーンな人に職業ごと人格を否定されたように感じた経験もあるし>>続きを読む

美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

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べちゃべちゃ水彩を塗る描き方の持続をずっと観ているのは楽しかったが、それ以上のことはない。見知らぬ女性の横顔を窃視して絵にする恋人の姿を、さらに遠くから写真に撮ることで客体化していたように、マリアンヌ>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

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なんでヒッチコックの映画ってこんなに面白いんだ。早く新作出してくれ。電車の中も遊園地も豪邸もテニスコートも全部素晴らしい演出があった。よくできすぎていて言うことがない。母親が持たせてくれる名前入りの持>>続きを読む

よみがえるブルース/トゥー・レイト・ブルース(1961年製作の映画)

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後期のカサヴェテスならもっとホモソーシャルを冷徹に突き放して撮っていたと思うが、これはこれで面白かった。ホモソって野蛮なのに変なルールあって繊細でほんとめんどくさいな。あわよくばヒロインを、男のコミュ>>続きを読む

歌う女・歌わない女(1977年製作の映画)

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男女(というノスタルジー)の恋愛や婚姻の関係がずっと続いて、最後はその関係性の中にいた人たちが男も女もみんな等しく写されるのがいい。こういうのを観ると、改めて、女性がカメラの前に立たさせられるのをやめ>>続きを読む

夜行列車(1959年製作の映画)

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いい列車映画だった。列車がその速度で無機的に人間のドラマを置き去っていく感じが素敵。強制収容所の記憶で二段ベッドで眠れない老人が、通路で座ったままこくこくと眠っているのが朝陽に照らされている。車掌が停>>続きを読む

沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)

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勧めていただいたので観た。時次郎が一宿一飯の義なんてくだらねえと仁義や武士道に対して冷めた態度を取りながら、それしかできることがないから嫌々渡世人をやっているのが素敵。モラルスティックだった。高度な空>>続きを読む

キンスキー、我が最愛の敵(1999年製作の映画)

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(『アギーレ』撮影中のキンスキーは)自分が風景の一部に過ぎないことを理解していたが、それでもカメラの正面に立とうとした。『アギーレ』や『フィツカラルド』が、本当に大自然の中で起こったことに対して(彼が>>続きを読む

アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

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カメラにすっと入ってくる「キンスキーのひねり」すごい。ファーストショットが夢のようだった。

コブラ・ヴェルデ(1988年製作の映画)

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一日60キロ歩くのに靴や馬を信用していないから裸足で歩くキンスキー。流刑の地で反乱の指導者になり、王の首をとりに行く道中に目にしたコブラに対し、「俺がコブラだ」と一切譲らない。本人が肩を切って逃げて移>>続きを読む

シュトロツェクの不思議な旅(1977年製作の映画)

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こちらも素晴らしい。生きてるだけで面白い人たち。監獄の中だろうがベルリンだろうが先住民を征服してできた大国だろうが、受動的な人間の生の場としては差はない。無人で発火しながら駐車場を回るボロい車と、それ>>続きを読む

フィツカラルド(1982年製作の映画)

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超面白かった。オペラに感激した男が、ペルーの街にオペラハウスを建てるためにアマゾン川を進み、オペラを流した船が先住民族たちの神になり、山を越えナイアガラを渡る。神話的想像力とエネルギー。ぐるぐる回るモ>>続きを読む

タブロイド紙が映したドリアン・グレイ(1984年製作の映画)

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このゴテゴテ感私は好き。新聞社の人たちは新聞紙でできたグラスで乾杯するらしい。ゆるい被造物による創造神の克服。墓穴に車が覆い被さるところなど笑える。肩に通信機アンテナがついてるドレス欲しい。ハリウッド>>続きを読む

白い鳩(1986年製作の映画)

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小宇宙。カラーとモノクロとセピア調の全然違うフィルム使うのって、ソクーロフとかもやってるけど、なにか共有している手法だったんだろうか?詳しい人は教えてください。

ジプシーは空にきえる(1976年製作の映画)

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ラーダが十二単みたいなスカート脱いでる間主人公が手持ち無沙汰で木の枝折ってるところで笑った。エネルギッシュで悪くない。多分当時の文芸映画にしては相当面白い。

怒りの葡萄(1940年製作の映画)

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パワフルでショックな展開のなかで、風景にポツンとあり少しずつ移動する人間や車の寂寥感に胸がいっぱいになった。土地を奪われ、これまでの人生に否応なしに別れを告げ、行く先も全く定まらない、初めから強制され>>続きを読む

無情(2019年製作の映画)

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ちょっとこれは面白かった。この人の動きに冷淡な、無機的な編集大好き。シンメトリーの構図とか変な置いてけぼりのテンポ感で笑ってしまう。起こってることに伴奏しきれてない音楽もいいな。