えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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黒い罠(1958年製作の映画)

4.2

完全無欠の傑作。カットを割らないこと自体は正直どうでも良くて、流麗なクレーンショットや時限爆弾によって映画的意義のある長回しになっているのが偉い。広角レンズと仰俯角への執着心が、凡庸さとはかけ離れたグ>>続きを読む

突然の花婿(1952年製作の映画)

3.8

僅か3ドルのスピード結婚式に始まる冒頭の多幸感も束の間、『僕の彼女はどこ?』を凌駕する毒親っぷりと、居候過多による凄まじい腹立たしさ。物理的にまで居場所が無くなるという。拝金主義的な思考様式に妨げられ>>続きを読む

ファンハウス/惨劇の館(1981年製作の映画)

4.0

フーパーの中でもベスト級に好き。『悪魔の沼』と違って、その過剰な色彩が舞台設定上適合している。回転するファン越しにエリザベス・べリッジが絶叫するショットが強烈。この為の青い衣装だったのかと思うほど、画>>続きを読む

悪魔の起源 ジン(2013年製作の映画)

3.3

真実で物語を引っ張ろうとせず、それを禍々しいイメージで紡いでいくフーパーの遺作。Jホラーを参照したであろう演出が幾つか有り、結構面白い。常軌を逸した濃霧の閉鎖性。霧のあちらとこちら、その境目にある恐怖>>続きを読む

秘密指令(恐怖時代)/秘密指令 The Black Book(1949年製作の映画)

4.0

仏革命直前のパリをジョン・オルトンの鮮烈なカメラがノワールの黒に染め上げる恐るべき傑作。断頭台に始まり、連なる顔貌のクローズアップがこの映画の暴力性を剥き出しにする。終盤では大胆に血飛沫まで。「黒い本>>続きを読む

ショックプルーフ(1949年製作の映画)

3.9

フラー脚本。唐突な飛び降りが見事だ。偽りの問診を見破ることでパトリシア・ナイトに「頭の切れる女」というイメージを定着させ、心理を読みづらくさせている。対して盲目の母親は黒髪である彼女の本質を見抜く。こ>>続きを読む

Cam Closer II(原題)(2023年製作の映画)

3.3

音響と一つレイヤーを付け加えるアイデアが秀逸。実体的な距離感を意識させるが故に最後はビビった。

Cam Closer(原題)(2013年製作の映画)

2.9

カメラを介した驚きがあと一手欲しいところ。”音“から入るオチが良い。

インシディアス 赤い扉(2023年製作の映画)

2.6

配信スルーは賢明と言える出来。まず前置きにこんな時間かけるのが信じられん。MRIなどの視界が限定された空間の活用には目を見張るが、家族のお話に終始しすぎていて、シリーズの美点である映像的なギミックに欠>>続きを読む

スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火(1989年製作の映画)

3.7

フーパー作品における強烈な光が本作では放射能被害として映し出されるが、思想に囚われてなくてちゃんと面白い。電話越しの相手すら発火していく容赦なさ。口から火を吹くジョン・ランディス!後半の畳みかけがヤバ>>続きを読む

アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.0

やはり脱獄モノはここまで「音」に鋭敏且つストイックであるべきだ。獄中の規則的生活の中で淡々と手順を見せる。打ち合わせを必要とせず、共同してスプーンを盗み出すような職人的な動作が全体のリズムを形成してい>>続きを読む

ターミネーター3(2003年製作の映画)

3.3

『ブレーキ・ダウン』が良かったので、恐らく小学生ぶりに再見。モストウのアクション演出が際立つ真っ当に面白い活劇だわ。

ブレーキ・ダウン(1997年製作の映画)

3.7

追跡/逃走をあらゆるシチュエーションで繰り返して90分間淀みなく面白い。序盤からダイナーを主軸に妻が失踪したことへの焦燥が募っていく。『激突』のような匿名性が無くとも、警官の無力さと、よそ者へ向けられ>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

3.3

フィックス主体の静的な画面構成ながら、驚異的な台詞の応酬と時制の交錯によってテンションを持続させたフィンチャーの力作。この情報量の塩梅が絶妙。そして何よりクラブシーンの生々しい音圧。世界中の人々を繋げ>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.6

丁度良いどころか普通に感動した。全裸でプロレス技をキメるジェニファー・ローレンスに感服。彼女はレッカーで拘束されアクセルをベタ踏みしても動き出せない。物理的な破壊を伴って互いに受容し合い、再生していく>>続きを読む

ホット・スポット(1991年製作の映画)

3.8

とにかく女優が魅力的に映る快作。高低差の位置関係によっても支配的に立ち回るヴァージニア・マドセン。対してジェニファー・コネリーには窓ガラスを介して色気と幻想性が纏わりつく。狭い田舎町にノワールの空気を>>続きを読む

ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995年製作の映画)

3.6

安定に面白い活劇。ひつじ達のアクションが組織的で気持ち良すぎる。広大な夜の街が飛行機の疾走感を生み出す。

ゴースト・ハンターズ(1986年製作の映画)

3.3

景気付けの発砲で、砕けた石材が頭部に当たって気絶するカート・ラッセル。こういう馬鹿らしい事を金掛けて平然と連発するのだから、そりゃ面白い。愛すべき闇鍋映画。

ブロブ/宇宙からの不明物体(1988年製作の映画)

3.1

チャック・ラッセルの中では面白い方。スライム状という性質が閉鎖的な空間で活用され、死に様がしっかり気持ち悪くなるのが良い。あの小さな排水口から出てくるのではなく、引き摺り込むという強引さ。下水道への一>>続きを読む

RONIN(1998年製作の映画)

4.1

硬派な傑作。90年代のアクションは『ヒート』の銃撃戦と本作の生々しいカーチェイスがあれば事足りる。躊躇なく一般市民を巻き込む贅沢さ。低いカメラ位置も市街地の狭さも理想的。ヒッチコック的に、マクガフィン>>続きを読む

ラブ・アゲイン(2011年製作の映画)

3.5

重ね着して取り繕う行為とは対照的に、服を脱ぐ事で本質に気付かされるライアン・ゴズリング。群像劇の教科書のような渋滞っぷりに心底アガった。乱闘後に並列する4人の姿が最高じゃないか。フォトフレームの亀裂、>>続きを読む

逃げる天使(1994年製作の映画)

3.8

世界一幸せな連行じゃないか。脱走しては舞い戻るエリカ・エレニアック。登場して10分足らずでダイナーコス、クラッシュとやる事が早いのよ。金網に拘束された姿キュートすぎ。”1年後“に描かれるのは余計な物語>>続きを読む

4匹の蝿(1971年製作の映画)

3.5

不気味なイメージで溢れているかと思えば、ゴダールみたいなオッサンや、オネエ探偵などの奇人達による脱力感。このバランス感覚。車のギアチェンジと探偵事務所に前進していくクロスカッティング、同年『恐怖のメロ>>続きを読む

シャドー(1982年製作の映画)

3.4

アルジェントの殺しの美学が冴え渡る。窓をぶち破った後、斧を2度振り下ろすミニマルな動作に対してあの過剰な血飛沫の量。壁を赤に染める一筆が美しい。建築物を舐め回す興味深いクレーンショットがあった。屋根を>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

2.2

正直退屈だった。ミア・ゴスの女優としての稀有な才能を表出する以上の意味を成さない長回し、サークへの目配せに興醒め。A24が絡んでるせいなのか、底が見えてきただけなのか。

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.4

昨今ハリウッド映画の上映時間が肥大化する中、3作目にして余計なアクションを排し、100分台に収めるこの潔さは貴重だし、何より『マイ・ボディガード』と地続きかのようで、ダコタとの切り返しだけで込み上げる>>続きを読む

壁の中に誰かがいる(1991年製作の映画)

3.7

扉を開けまくって、内側の空間へグイグイ潜っていく。この屋敷内での位置関係の訳分からなさが最高に楽しい。だからこそ番犬と”音“のギミックが必要不可欠。ラバースーツ装着してショットガンをぶっ放すオヤジの狂>>続きを読む

パブリック・エネミーズ(2009年製作の映画)

3.1

容易に脱獄を繰り返したりして面白いのだけど、マイケル・マン的硬質なプロフェッショナリズムとジョニー・デップがイマイチ合致してない印象。対してスティーヴン・ラングが素晴らしく、『刑事グラハム』で下衆な新>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.8

スコープ越しの窃視や高低差の強調を交え、薬莢回収まで見せきるオープニングに興奮。深い夜の闇に浮かび上がる暴力とネオン、そして十字架。この陰惨さに寄与するアンドリュー・ロビンソンの顔芸は大いに称賛すべき>>続きを読む

牝犬(1931年製作の映画)

3.5

個人的にはリメイクである『緋色の街』の圧倒的な救いの無さを支持するけど、それを内包させつつ微笑ましく仕上げた本作のエピローグも凄い好き。比較すると前半はかなり速い。直接的な瞬間を映し出さずに、ジャニー>>続きを読む