えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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特別な一日(1977年製作の映画)

3.2

浮遊感のあるカメラが窓をすり抜け、ワンカットで大家族を起こして回るソフィア・ローレンを捉える冒頭から凄い。長回しが多用される室内劇だが、豊かなカメラの動きが画面を活気付け、舞台が第2次世界大戦直前のロ>>続きを読む

カウチ・イン・ニューヨーク(1996年製作の映画)

3.0

2人を隔てるものが無くなる瞬間の多幸感。ビノシュの後を追うイッヌが健気で愛しさ満点。もう少し夜のシーン観たかったな。

廃墟の群盗(1948年製作の映画)

3.9

酒場でのグラスの受け渡しからキレッキレで面白い。振り返るアン・バクスターの逆光ショットはキマりすぎ、風が吹くタイミング神。勢力の変遷やクライマックスの間接的な銃撃描写とか凄くて、その後の死体の見せ方も>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.3

ジーナ・ローランズとピーター・フォーク、このベクトルが異なる2人の情動性に唖然とする。スクールバスを迎えるシーンの豹変っぷりとか。アップの多さ、各シークエンスの長さだったり、一見リアリズムに徹しながら>>続きを読む

脱出(1944年製作の映画)

3.1

マッチの扱い方や、幕引きの軽快さは当然魅力的だったんだけど、肝心の会話劇にあまりノレず。ラストのバコールの笑顔にヤられる。

アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

3.0

数多の映画で語られてきたこの主題を120分もかけてやる必要性を全く感じられない。基本的にタイムパラドックスを度外視した作りで、ある1点のルールによってドラマに不可逆性を付与し、感動を父子のシークエンス>>続きを読む

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.0

テクニカルな映像表現で見せる傑作で、何気ないシーンをサスペンスフルにする演出の宝庫。なんと言っても可視化されるロバート・ウォーカーの異常性。遊園地のアトラクションや群衆に混じる彼の視線だけで、それを際>>続きを読む

汚名(1946年製作の映画)

3.7

階段の昇降がサスペンスフルでとても面白い。広間の俯瞰から手元へクローズアップするカメラ、ワインセラー潜入とクライマックスでのカット割りの流麗さは流石としか言いようがない。あとバーグマン綺麗すぎる。

肉体の冠(1951年製作の映画)

3.6

アクションの反復と省略が利いた効率的な語り口で見せる傑作。踊る女と男が視線を交わす、それだけの「一目惚れ」だが十分な説得力を感じてしまう。その視線の交錯が行き着く哀切なラストに涙。

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

3.8

二人一役は女性の二面性、愛情と性欲の差異というよりは対象物として所有することが出来ないという見せ方?爆発エンドにファスビンダーを想起したが、こっちが先なのか。

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.0

気怠い。ちょっと苦手な部類ではある。男女逃避行モノらしからぬ移動距離の短さ。映画的快楽をフレームから排する、引き算的な映画表現が目を惹く。無力な拳銃、突破されない料金所。モーテル前に腰掛ける男との間に>>続きを読む

宝島(2018年製作の映画)

3.5

ワイズマンばりのカメラの透明化。画面の豊かさは勿論、漂う夏の環境音がずっと心地好い。フライボードで水面に打ちつけた顔面が赤過ぎて笑う。ラスト、兄弟へ優しい眼差しを向けるカメラが素晴らしかった。あの被写>>続きを読む

ブルーサーマル(2022年製作の映画)

3.5

良かった。安易に風を描写しない、抑制の効いたフライトシーンに驚く。僅かなグライダーの揺れによって気流を捉えるミニマルな見せ方。普通、アニメなら主人公の初単独フライトを劇的に見せるだろうけど、本作では台>>続きを読む

ヒッチ・ハイカー(1953年製作の映画)

3.4

冒頭3分間で犯人開示と2度の殺人行う手際の良さ。ここの殺人を足元のショットで見せきるので、その後の後部座席の影から顔を出すウィリアム・タルマンがインパクト大。顔面麻痺でサスペンス生まれるのすげー。夜の>>続きを読む

トランス/愛の晩餐(1982年製作の映画)

3.5

とても真っ当な青春映画だった。同体化という倒錯的な愛の形。目元のクローズアップから思春期の脆さと不安定さみたいなものが漂う女優で良いね。

(1928年製作の映画)

4.0

吹き荒れる砂埃、カメラと光の揺動、開く扉、あらゆる手段で視覚化される内面の表象としての風。音を意識させるその凄まじい風の演出にサイレントである事実を忘れそうになる。まるで風が生き物のように撮られ、迫り>>続きを読む

アンチャーテッド(2022年製作の映画)

2.7

微妙。クライマックスの上昇落下とかそれなりに見応えがあったのだけど、腕を掴んで引き上げる動作が上手いこと変奏されないのが残念。退屈な会話のせいか心理戦はあまり盛り上がらない。あと銃撃戦が足りない。

呪怨 黒い少女(2009年製作の映画)

3.2

ほぼ一貫して間仕切りカーテンや扉などの空間を隔ているものの向こうに恐怖の対象があり、その領域に足を踏み込む/踏み込まれる怖さを凄い感じた。夜道での奥行きの無い暗闇はそれに近い役割を成していて怖い。『リ>>続きを読む

牛首村(2022年製作の映画)

3.1

前作の方が好みだけどまあ面白い。アバンからとにかく落下を繰り返す。落下映画。立ちションからの水面に映り込む投身自殺は鮮烈。あと土砂降りの駅ホーム最高。嫌〜な予感に満ちた画面に鳴り響く雷鳴の衝撃よ。一瞬>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.6

画面の黒帯が溶け込む程の暗闇の深さ、ここぞというタイミングで挿入される静謐なロングショットが混沌を助長する。発砲より装填を重要視したようなミシェル・ウィリアムズの一連のアクションが素晴らしい。男性の視>>続きを読む

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(2021年製作の映画)

3.0

省略というよりは説明不足な映画だけど、それなりに楽しめた。暗闇に潜む「何か」へのズームや、マズルフラッシュの明滅でゾンビとの攻防を断片的に見せる演出等良かったものの、イマイチこの画面の暗さを活かせてい>>続きを読む

女獄門帖 引き裂かれた尼僧(1977年製作の映画)

3.5

おもしれ〜。この無意味な暴力が蔓延る悪逆非道っぷりが実に爽快。ピクピク動く首無し死体の唐突さに唖然とした。

DAGON(2001年製作の映画)

3.1

カメラ寄り過ぎで少し辛いが、顔面皮剥ぎからはかなり盛り上がる。村の造形が見事。

フレンジー(1972年製作の映画)

3.9

晩年のヒッチコック、正直なめていたが滅茶苦茶面白い。絞殺魔の部屋の扉が閉まり、静かに階段を降りて後退していくカメラの異様さ。遺体発見シーンの静的な長回しで、室内から漏れてくる声を意識させるので、ここの>>続きを読む

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.4

対立から別れに至るまであまりに簡素な語り口。この追走劇らしからぬ緩さは90歳を越えたイーストウッドの一挙手一投足そのものである。老犬を診た後の「老齢を治療する方法はない、休養するしかない。」という台詞>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

3.0

見せる/見せないの取捨選択、オフスクリーンの使い方は言うまでもなく見事だけど、自分にはちょっとくどい映画だった。

清作の妻(1965年製作の映画)

4.2

増村最高傑作のひとつではなかろうか。工場の金属音が鳴り響くアバンからラストに至る迄、冷たく硬質な感触が付き纏う。社会からの疎外を示す様に若尾文子の顔に照明が当てられ、清作への狂人的な愛によってその光は>>続きを読む