えすさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

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勝手にしやがれ!! 英雄計画(1996年製作の映画)

3.7

シリーズ最終作にして大胆に路線から逸脱していく野心に満ちた一作。権力への抵抗を傍観する6分半にも及ぶ長回しにはアンゲロプロスがチラつく。当然物理的な長さは感じるんだけど、その用意周到さとフレーミングの>>続きを読む

勝手にしやがれ!! 黄金計画(1996年製作の映画)

4.1

台詞、言い回し、動線の設計など完璧でまずコメディとして死ぬほど面白い。おまけに『ドッペルゲンガー』へと繋がる轢死、刑事には無表情で銃殺する『CURE』的な凶悪性と空虚さが付与されていて最高。次のカット>>続きを読む

人魚伝説(1984年製作の映画)

3.8

終盤の阿鼻叫喚な大殺戮は、時代劇における百人斬りを見ているかの様な気迫と疲労感。白都真理の上昇を伴って、死が充満した画面に再び命が宿る美しさ。採れたてのアワビがこんなにも不味そうに見える映画他にあるの>>続きを読む

スターマン/愛・宇宙はるかに(1984年製作の映画)

4.1

大傑作。あまりに優しきカーペンターで感涙。語られる愛の定義が、目の前の奇跡を経て体現され、その物語の終幕に相応しい光が2人を包み込む。

パラダイム(1987年製作の映画)

4.0

大好き。OPから延々流れる劇伴の高揚感ったらない。『ハロウィン』のブギーマンを想起させる人が直立不動で佇むショットの恐ろしさよ。この表現の源流はやはりクレイトンの『回転』だろうか。他にも虫による人体破>>続きを読む

ヒッチャー(1986年製作の映画)

3.8

理由なき殺戮が犯人との奇妙な距離感を持って、ひたすら繰り返される面白さ。トランクから滴る血があれば死体を見せる必要は無いし、カード遊び→ルドガー・ハウワーの顔のアップで警官殺しは成立する。行動が支離滅>>続きを読む

キッスで殺せ!(1955年製作の映画)

3.2

イカれてる。とんでもねえ怪作で空いた口が塞がらない。人が光が音が何もかも暴力的で強烈。多くのクリエイターが本作にオマージュを捧げているのも頷ける。

CUBE 一度入ったら、最後(2021年製作の映画)

2.1

感傷的な回想のインサートにスロー処理やら良くも悪くも日本映画らしい湿っぽさが目立つ。唯一の期待であった栗田豊通のカメラもこのCUBEの中では単調でイマイチ…。人体を貫通するカメラにおっとなったが、キャ>>続きを読む

メイド・イン・L.A.(1989年製作の映画)

3.5

サブプロットを削ぎ落としたタイトな『ヒート』で勿論最高。この一貫した行動原理の明確さ、私生活を犠牲にしプロフェッショナルに徹する男達、堪らない。予算の差を感じさせない銃撃戦の迫力で大満足。

天使の復讐(1981年製作の映画)

3.8

唐突な暴力性にクラクラする。西部劇ノリでチンピラと対峙するシーンが最高。クローズアップがバシッとキマる女優でカッコよかった。

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

2.9

リー・ピンビン凄い。この長回しで人物を追い続けるカメラと光の設計。疲れでウトウトしてしまったが、クラブシーンと夕張の優しさはしっかり脳裏に焼き付いた。

ハングマン(2015年製作の映画)

3.1

そこに佇んでいると思わせるようなクローゼットの暗さや鏡の配置が良かった。ジュースの件みたいな露骨な嫌がらせよりも、動作の緩慢さの方が気持ち悪かったりする。食事中に家主が帰宅してきても、慌てる素振りなく>>続きを読む

シューテム・アップ(2007年製作の映画)

3.2

ひたすら荒唐無稽に突き進む気持ち良さ。如何にして面白い銃撃戦を撮るか、に終始していて最高。

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.8

傑作だった。見事な横移動撮影。視覚的な心地よさに加え、その移動方向によってミシェル・ウィリアムズの心理状態も捉えている。冒頭のルーシーとの散歩とは対照的に夜の森から逃げ出すシーン等はカメラが右→左へ。>>続きを読む

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)

3.4

最近の死霊館ユニバースだと出色の出来では。暗闇を活かすこの光源の少ない画面が良い。やり過ぎなまでの逆関節描写や、霊視して犯行に使われたナイフを言い当てるシーンで、金銭を賭ける警官を捉えた些細なシーンだ>>続きを読む

レミニセンス(2021年製作の映画)

3.2

佳作。水没都市という近未来的な舞台装置だが、中身は凄いクラシカルなフィルムノワールでびっくり。負のイメージとしてだけでは無い水の使い方が良かった。境界線に足を踏み入れ、あの過去から現在へと向けられる視>>続きを読む

ガール・イン・ザ・ミラー(2018年製作の映画)

2.9

デ・パルマが好きなんだろうな。「鏡」をモチーフとした演出(スペル、性質の反転など)はよく見るやつ。復讐劇が似合う陰気美女で良かった。

モード家の一夜(1968年製作の映画)

4.0

ロメール暫定ベスト。傍観的なカメラの動きが多い分、教会でのローソクの灯りとバローの横顔を捉えたショットや車窓から見せる追跡劇が忘れ難い。抑制の効いたモノクロ画面からは心地好い冷気と格調高さを感じた。全>>続きを読む

ホイッスラーズ 誓いの口笛(2019年製作の映画)

3.3

口笛言語から銃声を経て、ラストの切り返しによって果たされる再会があまりに感動的。ドラマチックな視線の演出。

ラスト・ボディガード(2015年製作の映画)

3.8

ジャケで抱いたイメージとは裏腹に堅実で、全編に不穏が蔓延る傑作。PTSDによる不安、焦燥感がシャローフォーカスを多用して演出される。些細な音に対しても思わず神経質になる様な作りで、ゲサフェルスタインの>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

3.5

超面白いんだけど、ゼロ年代のシャマランと比較すると数段落ちる印象。『ハプニング』の興行的・批評的失敗を踏まえてか、ご丁寧に説明する終盤に冷めてしまう。こういう哲学性を帯びた不条理劇ならブニュエルみたく>>続きを読む

ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷(2019年製作の映画)

3.0

ほぼ前置き無く、動機不明瞭のままアトラクションとして進んでく簡潔さは清々しい。DVのトラウマとの紐付けがエモーショナルに作用する事無く、只の反撃へのトリガーでしかないのが残念。お化け屋敷のギミックを活>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.5

孤独と喪失の補填。戯曲とドラマが呼応し、過剰な程に多声的で多層的な179分。後部座席で切り返しによって西島秀俊と岡田将生の視線が交錯するシーン。空間が断絶され、ドライバーである三浦透子の存在が消失して>>続きを読む