子持ちのカイロレンさんの映画レビュー・感想・評価

子持ちのカイロレン

子持ちのカイロレン

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

5.0

 一見モノクロの記録映像のように見せかけて、「いかに観客にショックを与えるか」という一点に恐ろしいほど神経が注がれた、スピルバーグの悪魔的演出の最高傑作。
 全編とにかく嫌がらせのような、悪意ある(で
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フローズン・グラウンド(2013年製作の映画)

3.5

 殺人鬼界隈(?)ではわりと有名なロバート・ハンセンの逮捕までを描いた実録サスペンス映画。普段はパン屋を営む傍ら、売春婦を強姦・監禁し、野に放ってからライフルで撃ち殺すというマンハントスタイルで少なく>>続きを読む

ドライブ・アングリー3D(2010年製作の映画)

5.0

 モーテルで服着たまま、葉巻吸いながら女を抱くニコラス・ケイジ。『なんで服脱がないの』と聞かれ、『銃撃戦の前は脱がない』と返す。女『!?』。その途端部屋に男たちが押しかけ降り注ぐ銃弾の雨。無敵のニコラ>>続きを読む

オレの獲物はビンラディン(2016年製作の映画)

4.5

 ゲイリー・フォークナー、ロサンゼルス在住の46歳。普段はお酒好きの陽気なアメリカ人。でも人工透析をしないとすぐに幻覚症状を発症し、遂に神様が目の前に現れる。
 『オサマ・ビンラディンを殺せ』と命令さ
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レンフィールド(2023年製作の映画)

4.5

 昔はイモータン・ジョーに、今作ではドラキュラに、といつも怪物上司に依存してしまうニコラス・ホルト君が、不健全な関係性から脱却する話。自分も似たような経験があるので共感しかなかった。心が弱った時ってあ>>続きを読む

ナイト・ストーム(2019年製作の映画)

3.0

 ある夫婦から庭の柵の修理を頼まれた若い男が、嵐のせいでその家に一泊。地獄の一夜を過ごすハメになるという、ジャケットからは全く想像がつかないサイコスリラー。
 監督はイーストウッドの右腕カメラマンとし
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ザ・ビースト(2020年製作の映画)

4.0

 ジャングルで珍しいホワイトタイガーを捕獲したニコラス・ケイジ。貨物船でプエルトリコに密輸を企てるも、その船には凶悪犯も乗っていて…
 ニコラス・ケイジが猛獣+凶悪犯と一騎打ちする欲張りなアクション映
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ダーティー・コップ(2016年製作の映画)

5.0

 常に不安そうなイライジャ・ウッドと、『stay positive』しか言えないダメ上司のニコラス・ケイジが、身の丈に合わない犯罪に手を染める、観客に媚びない上質の犯罪映画。
 ローアングルの移動撮影
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ウィリーズ・ワンダーランド(2021年製作の映画)

3.5

 ニコラス・ケイジが遊園地の殺人マスコットたちに襲われるホラー映画。遊園地というと聞こえはいいが、要は温泉地にある個人経営の怪しいやつと一緒。伊東にある『怪しい少年少女博物館』とかと同じ規模感。
 冒
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コカイン・ベア(2023年製作の映画)

4.0

 コカイン吸った熊は予想通りの大活躍。でもそれより印象に残ったのは、田舎に住む人たちのとぼけた愛らしさ。若いバカップルと年取ったバカップル、オーラゼロの元ハンソロ、「ナポレオン・ダイナマイト」に出てき>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

 契約問題で揉めて一旦編集作業が中断、その後編集やり直しを経て完成した本作。どうもこの時点で監督の熱が失われた…としか思ない、普通の映画じゃありえない歪な作品。時間を置いてあらためて作品と向かい合った>>続きを読む

戦争と人間 第三部 完結篇(1973年製作の映画)

5.0

 ついに日中戦争が開戦。手前に子どもたちの死体、その向こうを走っていく兵士たちというタイトルバックからして強烈。記録写真を使って伝えられる南京事件の壮絶さ、山本圭が体験する軍隊の鬼しごき、殺人の強要な>>続きを読む

戦争と人間 第二部 愛と悲しみの山河(1971年製作の映画)

4.5

 第一部で少年だった中村勘九郎がどんなDNA変化か北大路欣也に成長、人妻の佐久間良子と愛を育む。吉永小百合は山本圭と恋に落ち、高橋英樹は浅丘ルリ子と遠距離恋愛などメロドラマが進展。それぞれのキャラクタ>>続きを読む

戦争と人間 第一部 運命の序曲(1970年製作の映画)

4.0

 日中戦争開戦前夜からノモンハン事件までの約十年間を駆け抜ける、山本薩夫監督、全三部作(9時間半!!)の超大作。
 戦争を食い物にする伍代産業の面々が物語の中心となり、そこに関東軍と日本軍部中央の派閥
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

1.0

 反戦じゃなく単なる特攻批判だった「永遠の0」と根っこは同じ。今度は戦法を変えて戦争のやり直しをしてるだけ。そこに池井戸潤ドラマみたいなノリをぶち込んで高揚感を煽る手法が本当に気持ち悪い。スローモーシ>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

2.0

 展開が分かりやすく、演出が派手になればなるほど、悪魔のやりたいことのスケールが小さく感じてしまう逆転現象。世界征服を狙ってる敵とのバトルぐらいのテンションで物語は進むのに、悪魔がやりたいことはそうじ>>続きを読む

地獄の7人(1983年製作の映画)

2.5

 ベトナムに取り残された捕虜を救うために再び戦地に向かう帰還兵たち。PTSD描写もあるがみんな戦争大好きなのでノリノリでベトナム再突撃に志願。戦場経験のブランクを埋める為、敵地を完全再現してしっかり予>>続きを読む

西部の男(1940年製作の映画)

5.0

 ウォルター・ブレナン演じるロイ・ビーンが悪質で天然という憎みきれないキャラクター。流れ者ゲイリー・クーパーが居を構えるまでのラブコメも楽しく、観てる間多幸感で満たされる。後半かなり辛い展開が待ち受け>>続きを読む

ピースメーカー(1997年製作の映画)

5.0

 冒頭の核弾頭強奪から、ウィーンのカーチェイス、ヘリコプターとトラックの危険な接近戦など、リアル志向のアクションに目を見張る。ジョージ・クルーニーの熱演は「バットマン&ロビン」で溜まったフラストレーシ>>続きを読む

エグゼクティブ・デシジョン(1996年製作の映画)

4.5

 冒頭のチェチェンマフィア本部突入作戦からハイジャックされた飛行機に乗り込むまで、どうもセガールのやる気が感じられない。頼れる兄貴的な見せ場もなく、嫌味な奴のまま映画から退場してしまう。テロリストのボ>>続きを読む

ラスト・ボーイスカウト(1991年製作の映画)

5.0

 公開以来ぶりに見直したらめちゃくちゃ面白くて心に沁みた。ブルース・ウィリスとデイモン・ウェイアンズの負け犬っぷりと、ボロボロになりながら巨悪に一撃喰らわす姿に思わず涙ぐんでしまった。こんな面白かった>>続きを読む

影の車(1970年製作の映画)

4.0

 昭和45年、今は住宅街になっている田園都市線藤が丘駅周辺が舞台。東急による宅地開発真っ只中で、まだ未開発の場所は山林のまま。平凡なサラリーマン加藤剛を誘惑する岩下志麻が住むのはそんな山の中のポツンと>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

5.0

 早熟な天才キッズ、喪失感を抱えた大人達、未知との遭遇、と初期モチーフをハイブリッドして洗練させたような傑作。能面早口トークから突然漏れる本音の、可笑しさと切なさ。この面倒くさい表現のウェス流エモーシ>>続きを読む

マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.5

 ディズニー/ピクサーのアニメーション作品で久々のラブストーリー。ラブコメの王道を押さえつつ、男らしさと対極なキャラ設定や、差別と経済格差(とそれに対する無自覚さ)もさりげなく込められていて、最後は泣>>続きを読む

しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜(2023年製作の映画)

2.5

 アイドルオタクの派遣社員のルサンチマンが怪物となって野原一家を遅い、格差社会を炙り出す。まごうことなき大根仁映画だった。この人の映画って社会的弱者を描きながら急に上から目線になったり、根性論で雑にま>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.5

 男らしさを徹底的にバカにしながら(matchbox twentyの使い方に爆笑)、単に突き放すのではなく、尺の配分崩れるくらい時間を使って丁寧に男性性の解決を探っていく。後半、映画がスピーチの場と化>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.0

 『ネタがないのにここに立ってるメンタルって凄くないか?』
 たしかにThe Second決勝にネタなしで挑んだマシンガンズは凄かったけど、脚本なしで2億ドルの映画の現場回すトム・クルーズはもっと凄い
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予期せぬ出来事(1963年製作の映画)

3.5

 空港のVIP席に集まる人々の群像劇で原題も「The V.I.P.s」。人生の折り返し地点を過ぎたVIPたちが、離婚やビジネスの失敗など、苦くて犬も食べないような悩みを2時間繰り広げる。実際は結婚直後>>続きを読む

クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男(2019年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 2019年のドキュメンタリーが「パルプ・フィクション」のリバイバル上映に合わせて公開。内容は薄めだけどタランティーノのキャリアを振り返るのにはぴったり。やっぱり安定していい作品を作る監督は、撮影現場>>続きを読む

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)

2.0

 悲惨な歴史を扱う意義は置いといて、映画としては正直酷い。シベリア抑留の話で「ショーシャンクの空に」という刑務所ファンタジー映画をベースにするミスマッチ。「戦争って酷いものですね…」セリフで言わせたら>>続きを読む

ドラゴンロード(1982年製作の映画)

5.0

 ジャッキーは屋根の瓦の上から転げ落ち、マースは三メートルぐらいの高さから一回転して落っこちる。ラストは頂上の金の玉を奪う謎の競技ゴールデンポイントで、人が虫ケラのようにわらわらと落下。ジャッキーも頭>>続きを読む

プロジェクトBB(2006年製作の映画)

4.0

 全体的にカンフーの見せ場が大充実。遊園地のシークエンスとか話の持ってき方が強引すぎるけど、アクションから展開を無理矢理作る、これぞジャッキー映画。敵のアジトに雑多な小道具がたくさんあって、それらを使>>続きを読む

ラッシュアワー3(2007年製作の映画)

2.0

 実年齢52歳のジャッキーが女性と2人きりで部屋に入るのを見て、クリス・タッカーが、『今日、相棒が遂に男になる!』とはしゃぐ。さすがにその歳でこの童貞ノリは痛々しい。全体的にギャグがジャッキーの加齢に>>続きを読む

ラッシュアワー2(2001年製作の映画)

3.5

 前作ではまだアクセル・フォーリーになりきれなかった落ちこぼれ刑事、って感じだったクリス・タッカーが、香港旅行でただの性欲の化け物に。マッサージ店での件は「TAR/ター」を観た後だけに、リアクションの>>続きを読む

ラッシュアワー(1998年製作の映画)

4.0

 定番の異文化バディもののフォーマットで、クリス・タッカーとジャッキーの掛け合いは今観ても十分面白い。脚本は「ヒドゥン」のジム・カウフ、ということでエイリアンを香港マフィア置き換えればなんとなく似てる>>続きを読む

80デイズ(2004年製作の映画)

5.0

 ジャッキー初のディズニー映画で、監督はアダム・サンドラーの相棒フランク・コラチ。これは面白かった!ジャッキーへの敬意が至る所で感じられて、懐かしの拳法や、椅子を使ったカンフー、からのサモ・ハン登場で>>続きを読む

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