chickenheartさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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エンジェルス・イン・アメリカ(2003年製作の映画)

4.5

(TVドラマシリーズ) ‪なんというか、特別な作品。「アメリカには天使はいない。あるのは政治だけだ」(3話)しかし、にも関わらず天使は存在してしまう。なんといってもアル・パチーノ扮するゲイのヘイトスピ>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.1

‪「昔はな…」と年寄りのノスタルジイを語ろうとするも、スコセッシ特有の記号論的なフットワークの軽さが随所で光る為に年寄りになりきれず、純粋にエンタメ化してしまうーーという複雑さ。そしてNetflixと>>続きを読む

「A」(1998年製作の映画)

4.3

‪ 宮台真司『絶望・断念・福音・映画』関連作品群/4◼︎狂ったオウムを潰そうとする狂ったセカイ。どっちがより狂っているのか? 間違いなくオウム真理教関連の史料の中では第一級もの。あとはこれを我々がどう>>続きを読む

アクト・オブ・キリング オリジナル全長版(2012年製作の映画)

4.5

‪歴史観を余裕でひっくり返す怪物ドキュメント。「殺人者だって反省する」と捉えると核心からズレると思う。彼らが「自由と民主」という私たちの当たり前から虐殺に至ったという事実が遂に残されてしまった。「良き>>続きを読む

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)

3.4

宮台真司『絶望・断念・福音・映画』関連作品群/3◼︎ ‪ジャケ写が壮大なネタバレ。「とあるレジスタンスの一日」を本当にそのまま活写してしまっている為、小説で読んだ方がいい感。『甘い生活』(60)もそう>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

4.2

D・フィンチャー-セレクション/1◼︎流言と懐疑心が横行する。容疑者の「心は無垢な少年」感が堪らなく不気味かつ秀逸。「軍靴の音」に頼らず「1930年代感」をここまで炙り出せるとは。

カサブランカ(1942年製作の映画)

3.8

全米撮影監督協会-推薦作品/2◼︎ ‪多文化が交差するなかで「仲介」役に買って出るアメリカ的な理想主義(のプロパガンダ)。最終的にはNazisをも仲間として引き受けるところもパワフル。いまのMCUシリ>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

3.9

宮台真司『絶望・断念・福音・映画』関連作品群/2◼︎村上春樹的な弱さ/情けなさ/ironyの濃厚エキス。沈黙の使い方が上手い。1966年で話が止まってるけど、調べてみたら翌年文革の影響で香港の人口が大>>続きを読む

アイム・ノット・ゼア(2007年製作の映画)

3.8

石岡良治『視覚文化「超」講義』関連作品群/2◼︎映画としては首を傾げるところは多々あるが、dylanに関する史料としては見所がある。dylanを直接描かず、多面体として投射することによって「dylan>>続きを読む

マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)

3.6

斎藤環セレクト/‪『この世界の片隅に』(16)の前哨戦。地道な技巧の連続で超歴史的な感覚を捕まえようとしている。良くも悪くも「フワフワ」している。この「フワフワ」感が第二次大戦という最近ますます笑えな>>続きを読む

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

4.1

石岡良治『視覚文化「超」講義』関連作品群/1◼︎‪物語メディアにとっての脅威となって久しいソーシャルメディアの指揮者達に対して勢い良く中指を立てる潔さ。小林よしのりの漫画バリの誇張はあるにせよ、確かに>>続きを読む

ビリディアナ(1960年製作の映画)

4.2

Y・ランティモス-セレクション/5◼︎‪父権なき世界での中流階級の態度を批判している。彼らが築き上げた擬似家族共同体がひと時の「晩餐」を境にして、「退廃」をもたらす。下流階層への生理的嫌悪感を隠さない>>続きを読む

美女と野獣(1946年製作の映画)

3.6

‪ニコラス・W・レフン-セレクション/10◼︎‪戦後初期の『自転車泥棒』(48)や『羅生門』(50)のように「廃墟」は映さず、あえてファンタジーを映した。一種の人間賛歌として『素晴らしき哉、人生』(4>>続きを読む

甘い生活(1959年製作の映画)

3.5

‪ニコラス・W・レフン-セレクション/9◼︎‪面白いのは日本と同じく敗戦を経てアメリカ文化が混入された状態でイタリアが消費社会を迎えた点。それを体験した上流階級の悲観がここで描かれている。ただ今観ると>>続きを読む

マイライフ・アズ・ア・ドッグ(1985年製作の映画)

3.7

‪ ニコラス・W・レフン-セレクション/8◼︎構造自体は「昭和三十年代ノスタルジー」のそれに近い。同時代性の罠から抜け出せていない気がする。ただ少年少女の「性差」が浮き彫りになる過程は優秀なモチーフと>>続きを読む

マイ・ボディガード(2004年製作の映画)

3.7

ニコラス・W・レフン-セレクション/7◼︎ ‬(原題:燃える男) D・ワシントンの不器用さどころか作り手の不器用さが痛いくらい伝わってくる。「喪失」を抱えた父性がヤケクソになる様子がそんなピュアさで反>>続きを読む

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.4

‪ 宮台真司『絶望・断念・福音・映画』関連作品群/1◼︎題材からして反則技なのだが、極めて普遍的な領域を突き抜けている。完璧なノンフィクションであるので、『シンドラーのリスト』(93)辺りと比べて映画>>続きを読む

マンハッタン(1979年製作の映画)

3.9

Y・ランティモス-セレクション/4◼︎ ‪(人によるが)憎めないショーモナイ与太話。日本でいうところの浅田彰的な(或いはそれ以降の)いわゆるタレント知識人/ネタ消費対象としてのインテリの正しい典型が示>>続きを読む

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.3

N・W・レフン-セレクション/6◼︎‪困った事に、流れとして綺麗すぎた。ヌルッと画面に映り込むチェンソー男がまず画面にフィットする。そして身内登場の意外性。ここは七〇年代らしく、日常風景/内部に恐怖が>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

4.1

全米撮影監督協会-推薦作品/1‪◼︎確かに古さを感じるところもあるが、一種の文学論としては殆ど完璧。きれいにひとが位相/立場によってその人格を変容させる光景を化学的に探究している。その人格の変容と人の>>続きを読む

サムライ(1967年製作の映画)

3.7

‪ Y・ランティモス-セレクト/3‪◼︎リアリズムを貫いているようで、実は押井守が言っていたような「アニメ的なもの」がふんだんに用いられている。「サムライ」という型から一歩もはみ出ないドロンの佇まいが>>続きを読む

クローバーフィールド/HAKAISHA(2008年製作の映画)

3.6

‪ N・W・レフン-セレクション/5◼︎公開当時(08)から情報環境を巡ってあまりにも色々なことが起こりすぎているため、評価が難しいところ。本当に状況に流される一般人のみが映るため、やはりこういう「俯>>続きを読む

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)

3.6

N・W・レフン-セレクション/4◼︎ ‪シンプルといえばシンプルだが、当時絶頂期を迎えていた消費社会のことを考えると複雑。要するに本作は消費社会の擁護をしている訳だが、社会進出した男性(モーレツサラリ>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.4

ノーベル文学賞巡り/P・ハントケ(2019)‪◼︎世界を俯瞰する天使/男のイメージ。しかしTwitterさながら民衆達の声を拾っていく様子などは今見ると旧く、かなり脆いと思えた。「かつての天使たちへ」>>続きを読む

ライアンの娘(1970年製作の映画)

4.0

‪◼︎不動の荘厳な風景とちまちまとした醜い人情話との対称。ライアンの娘の倫理感覚が迷子な為、終始感情移入が厳しい。完全な被害者の夫/ハンディ持ちの老人/保守的神父以外の人物たちもそのような感じなので、>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.6

‪◼︎若き日のT・クルーズの破壊力で乗り切った印象。さわやかポップス-戦闘機というこれでもかという質量の80年代感。ここにはジュニア・ノベルつまり俺TUEE系ラノベにまで繋がるある種の「広がり」がある>>続きを読む

ゲーム(1997年製作の映画)

3.9

Y・ランティモス-セレクト/2‪◼︎フィンチャーの「ヤバさ」がいい意味で伝わるジェットコースター・ムービー。C・ノーランの『プレステージ』(06)に近い「映画の自己解体」ともいうべき無茶苦茶さ。「もう>>続きを読む

ローズ家の戦争(1989年製作の映画)

3.9

Y・ランティモス-セレクト/1‪◼︎『アメリカン・ビューティー』(99)に繋がる20世紀後半(もしかしたら今も)を支配したアメリカン中流ドリームの破綻を皮肉げに語る。これは「離婚」というよりかは、「専>>続きを読む

アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.2

‪◼︎ゴリゴリなマルクス主義的集団力学の「美」。抑圧-解放という一図式であそこまで乗り切るという芸当を見せられた。そしてその「美」を語るのにやはり劇映画というシステムは、相応しく適応している。どちらサ>>続きを読む

スピード(1994年製作の映画)

4.2

◼︎「情報化社会はいいもんだ」という台詞と共にドライブする、かなり奇跡的な「均衡」をみせるチキン・レースの言わずと知れた金字塔。G・リッチーあたりが九〇年代末にこなし、普遍性を獲得していく「動画的感覚>>続きを読む

エイリアン(1979年製作の映画)

4.1

‪◼︎現代SFのベーシック・ライン。「閉ざされてた空間」で、「得体の知れない何か」に追われる。焦らし/緩急の秀逸さと共に、いってみればポストモダンの恐怖感をものの見事に体現した。この感覚は例えばPCフ>>続きを読む

狩人の夜(1955年製作の映画)

3.8

N・W・レフン-セレクト/3‪◼︎古典であるために正確に評価を図ることは難儀だが、キャラ造形の精密さなど随所のキメが細かい。牧師/大きな存在を綺麗に反転させ悪魔化することで、「一見善良そうな殺人者」、>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.2

‪◼︎分かり易くした21世紀の『タクシー・ドライバー』(76)。特に前半の「学校嫌い」なら必ず反応しそうな、周りに合わせた神経症的引き笑い演出が痛々しい。アメリカ的なもの/夢と魔法を反転させる目的など>>続きを読む

舞台「鉄人28号」(2009年製作の映画)

4.4

‪◼︎隠れた大傑作。大きな物語/戦後日本の成長神話との決別を謳ったレクイエムだ。中々歳がいっている正太郎デザインを採用する押井に『イノセンス』(04)的なねじれを見る。しかし正義を信じる正太郎と正義を>>続きを読む

Avalon アヴァロン(2000年製作の映画)

3.6

‪◼︎『イノセンス』(04)と近い評価し辛い難物。ただゲーム/アニメ的なリアリズムの徹底化という点で文化史にとっては重みがある。先駆けた故の歪さは見逃せないが、のちのSAO云々に繋がる地に足のついた着>>続きを読む

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)

3.8

N・W・レフン-セレクト/2‪◼︎オウム真理教もビックリのガチガチのサイケ。これはあるジャンルに言えることだが、メッセージ自体は意外と複雑ではない。つまり六〇年代/進歩の季節の終焉に対する嘆き(例えば>>続きを読む