オクターヴさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

オクターヴ

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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.9

限りなく満点に近い映画。三宅唱監督の凄さは「きみの鳥はうたえる」からリアルタイムで追っていたのでわかってはいたが、今作は代表作になると思う。松村北斗と上白石萌音が本当に素晴らしい。パニック障害とPMS>>続きを読む

修羅雪姫(1973年製作の映画)

4.5

母親の仇討ち本懐を遂げるためだけに鬼として育てられた梶芽衣子演じる主人公の壮絶な復讐劇。場面転換の多さと内容の濃さが半端じゃなく、97分があっという間に終わるのだが、一つ一つのシーンのインパクトが強す>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.2

生き残った人間には役目がある。超絶熱い。キャラクターに魂が宿るあの瞬間を見たか?あの山﨑賢人の包容力を。山田杏奈の心強さを。高畑充希の悲しみを。玉木宏の執念を。ダイナミックな人間ドラマが爆誕した瞬間、>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

3.5

夜の商店街で踊るシーンの長回しに心が揺れるのは、二度と会わないかもしれないという危うさがあるからである。夢のように過ぎ去った時間は二度と戻らない。また、戻る必要もないかのごとく存在する。しかし、たしか>>続きを読む

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.5

過去作の総集編だから、すべて観ていたものの、記憶が曖昧なこともあり、まったく別の作品に見えた。こんなグロかったのか…こういう世界観は今の時代あまりないし、リアルタイムで追ってたわけじゃないけど、よくこ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.2

かっこ悪いし、泥くさい、戦争を一つも美化していないことがわかると、この映画は信頼してよし!というサインが我が魂に点灯する。大事なものをじゃんじゃん捨てていく彼らの物語がゴジラによるマイナスより大きく響>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.5

円井わんが素晴らしいな。彼女の変化が楽しい。あのオフィスもいいね。前半のミステリアスなところが好きなんだけど、そこをもっと掘り下げてほしかったと思いつつ、スポ根みたいな方向にいったのも一つの正解なんだ>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.5

とにかく岩下志麻が美しい。「秋日和」では台詞無しだったが、今作では小津調にピタリとはまる。わざと感情表現しないことで逆に深みが増し、独特な会話の撮り方、影、インサート、ローアングルも健在。次回作があれ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.4

役所広司は好きだが、平山を好きになれない。ヴェンダースに問題がある。まわりの登場人物もことごとくダメだった。そもそも日常の切り取り方に対するピントがあまく、深みとなるはずの情感もない。なら寓話にしてほ>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

男は酔っ払って路面電車の停留所で爆睡する。そこに女が通りがかると路面電車が奥からスゥーっと走ってくる。女は乗車しようとするが男が気になり振り返る。はたしてこの二人の結末はどうなるのか?乾いた空気が続く>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.6

こりゃ凄いわ(笑)上映後に見知らぬ観客同士でアイコンタクトしちゃうくらいみんな真顔で帰っていく映画(笑)これは観客を選ぶよ、むちゃくちゃ選ぶ。ようこんなの撮ったわ。サイレント期の映画じゃねえか。カラー>>続きを読む

アカルイミライ(2002年製作の映画)

4.9

今日の時点で黒沢清監督マイベストは「アカルイミライ」のまま更新されていない。映画音楽を担当したPACIFIC 231とのコラボレーションが最高だった。まるで音楽が先にあり、この映画がそこから誕生したか>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.3

小さな発見ですら大きな感動となる子供の世界というのは、ひたすら尊い。トットちゃんの感性を通して見せる景色は奇跡の時間であり、ピアノの演奏を聴きながら子供たちが床に絵を描くシーンが泣ける。些細な描写の積>>続きを読む

工場の出口(1895年製作の映画)

4.7

人々が工場の出口からたくさん出てくる。たったそれだけなのにずっと観てられる。カメラの位置、被写体との距離、すべてが完璧なのだ。おそらく少しでも違っていたら、飽きてしまう可能性がある。映画とは何か?その>>続きを読む

ある惑星の散文(2018年製作の映画)

4.2

とにかく映像のインパクトが大きな映画だった。長く記憶に残っている。映画のすごいショットってこういうことか。あのオープニングのカメラの横移動からやられちゃったし、音楽も絶妙にマッチしていた。画面の質感、>>続きを読む

PATHAAN/パターン(2023年製作の映画)

4.1

早々に濃厚アクションが展開され、氷上のルバイで昇天するほど興奮するのだが、中盤から一気に予想もしなかった地獄の深部へと突入する。観客が引くほど絶対無理な状況からパターンと我々は連動を強いられ座席が浮き>>続きを読む

辻占恋慕(2020年製作の映画)

4.5

この映画を観た直後だと感想の書き方が大変難しい。どうしよう。大傑作なんですけど。新作トップガンの余韻が全部ぶっ飛んだよ。どうしてくれる?IMAX版観たいのに責任取ってくれよ。予告で面白いのは予想してた>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.7

なぜあのオープニングが泣けるのか自分でもわからない。アラナとゲイリーが出会ったキラキラしたあの瞬間がエンディングにも見えるからという理屈で納得させているが、これからどのような物語が展開されるのか?と観>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.8

人生で観てきた映画の数は誇れるほど多くはないが、この瞳が映画的瞬間をとらえてきた幸福な記憶が一斉にザワザワするという感覚。豊かな画面展開といえばそれまでで、もっと何か当てはまる表現がないかと自分の無能>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

4.8

我々は何を観たのか?少し考える時間がほしい。傑作とつぶやくのは簡単で、どうやら私の理解の範疇にないパターンの映画らしい。落ち着くまで時間がかかる。あの指揮者の独白と演奏がむちゃくちゃいい。マジであれ何>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.8

いや、もう劇場(シネマカリテ)から出て、新宿の都会の喧騒がサイレントになるくらいの衝撃的な終わり方。結末は知らされているから、わかっていたことなんだけど、あのラストシーンは焼印のごとく記憶に刻まれる。>>続きを読む

ラルジャン(1983年製作の映画)

5.0

ロベール・ブレッソンは大好きな映画監督(北野武、黒沢清、万田邦敏など)の源流にいそうな監督って感じがして、たまらないんだよね。この「ラルジャン」という映画は何でもないシーンの一つ一つが際立っていて、静>>続きを読む

ミッドナイト・ラン(1988年製作の映画)

4.7

マフィアの資金を横領した会計士、その男を捕まえて依頼主に引き渡したい賞金稼ぎ、そこにFBIとマフィアらも参入してくる冒険アクションなのだが、引き渡し期限の5日間の中で人生模様すらも描き出すから大変だ。>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.9

何がいいって、弁護団のメガネ率の高さ、全体的に暗い照明なところ、地味な事務所と定食屋、レトロな喫茶店だ。役者陣も最高だ。とにかく三浦貴大が良かった。東出昌大との相性が抜群なんだよ。で、吹越満だ。絶妙に>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.2

涙を流す間を与えない怒涛のような展開。映画を信じてきた者だけに許された奇跡の2時間。選ばれた者だけがあの伝説の場面に立ち会うことができる。ゆえに泣くな!と言いたい。しっかりと最後まで見届けよ。映画館と>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.2

深くて、熱くて、温かくて、暗くて、怖くて、悲しくて、ついに始まるのかと思ったら、もう終わってた。あと2時間半は観たかった。映画の王様がもう一つ殻を破ってみせた傑作で、あの嫌な感じもスピルバーグらしいし>>続きを読む

春に散る(2023年製作の映画)

3.7

ベタな演出でありきたりな展開が続いていく中、ジワリジワリと何かが響き始める。多くを語らない橋本環奈が効果的に出てくる。これまた多くを語らない窪田正孝もいい。ボクシング映画に寄せる期待を裏切ることなく、>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

4.4

もはやディアナに全部かかってる映画だけど、あのオープニングのBGMから良くて、これもしやカーペンター映画なの?と錯覚させる大好物な入り方してたね。ならば、何でもありだろ。で、あの謎にいい感じの星降る夜>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

4.1

面白いという表現しか言葉が見つからない。さほど映画を観ている者ではないが、この表現しか使えなかった映画は唯一「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だけである。始まったら物語が高速展開されていき、終わるまで>>続きを読む

こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

3.8

危ない綱渡りとも言えるメロドラマで、前田弘二監督らしいおとぎ話だった。まず、ほとんど遊具が見当たらないあの公園が素晴らしい。あの住宅街も良かった。また、川瀬陽太、成田凌が見事。映画が破綻しないためには>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

4.4

モノクロとカラーの画面が交互に展開されるのだが、画面の強度はさすがで、ホッコリするBGMもたまらない。子供達を率いるマヤ・ホークが素晴らしい。もはや狂気と言える構図へのこだわりも健在。完璧なショットに>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.7

受け身では、わかるまい。その細部に北野武がいることが。その純粋な瞳を限界まで研ぎ澄ませよ。刹那である。その刹那で見れるか?という真剣勝負であった。これは見逃す。とことん見落とす。拾えない。その瞳は曇っ>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

序盤から中盤にかけてのサスペンス・ホラーが見事で、印象としては「犬神家の一族」や「八つ墓村」である。もちろん妖怪も出てくるし、鬼太郎アニメらしいアクションもある。ほんとスーツ水木が最高で、鬼太郎の父親>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

3.9

雷鳴が轟く中、外の様子を心配そうに見つめる佐藤浩市の横顔をカメラがとらえる。この瞬間、この映画を信頼することに決めた。時間の使い方は実に贅沢だ。画面の強度は弱いが、その弱さは俳優陣が見事に補填する。つ>>続きを読む

カゾクデッサン(2019年製作の映画)

4.4

まれに一つの画面を観ているだけでも満足してしまう映画がある。今井文寛監督は照明技師を経験しているという強みがあり、今作の画面作りには光と影、そして色にもこだわりを感じさせた。もちろん、それは画面が綺麗>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.3

イメージの連鎖が圧巻であった。この体験を終えて何が残ったのか?と問われても、それはイメージの連鎖が残ったとしか言いようがなく、好き嫌いとは別のものであると感じた。しかし、これまでと違いヒーロー、ヒロイ>>続きを読む