ストレンジラヴさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

憂国(1966年製作の映画)

3.9

「至誠」

昭和11年2月26日、帝都で青年将校が叛乱を起こす。世にいう「ニ・二六事件」である。この時青年将校たちは新婚の武山中尉(演:三島由紀夫)には声をかけなかった。このことによって、武山中尉には
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クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「"死がふたりを分つまで"って真実だわ」

※ややネタバレあり。
これから書くことは、一独身主義者のドグサレ男性から見た感想である。ゆえにその観点には偏りがあることをご了承願いたい。途中、不快に思える
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.8

「僕たち、間違ってたかも」

第二次大戦中のドイツを舞台にしているにも関わらず、いきなりビートルズ「抱きしめたい!(ドイツ語版)」で開幕。なんともブッ飛んだ始まり方から登場したのは忠誠心だけは人一倍だ
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用心棒(1961年製作の映画)

4.6

「俺の名は桑畑三十郎...いや、もうすぐ四十郎かな」

「荒野の用心棒」(1964)は観たのだがこちらはまだ観ていなかったので観ることにした。いや、痛快そのもの。まず話が分かりやすい。そして天秤の如く
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炎のランナー(1981年製作の映画)

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「勝利への公式などないのです」

古代、かの足がイングランドとスコットランドの大地を駆け抜けた。ある者は自身の存在のために、またある者は神の御心のために。
今更紹介の必要もないほどの世界的名作。だが、
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

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「ステキなことはいつも夢から始まるの」

もともと観るつもりはなかったのだが、「翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜」で「チャーリーとチョコレート工場」(2005)のあからさまなパロディシーンがあったこ
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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「何も変わんないなんて、そんなわけないですよ」

舞台は東京。スカイツリーを仰ぐ古びたアパートに住むトイレ清掃員・平山(演:役所広司)の1日は決まっている。夜も白んでいない朝、近所のおばちゃんが道を掃
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ブラック・レイン(1989年製作の映画)

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「長生きはするものだよナァ?」

役者という職業は残酷だ。本人がいかなる状況であれ、一度役を引き受けたからには全てをこなさなければならない。本人が口止めしていたとはいえ、松田優作に上記の台詞を吐かせて
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

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「その前に先生と少しお話をしないかい?」

ご存知、女性テレビ司会者の第一人者にしてテレビ草創期の生き証人、90歳を過ぎた現在も元気いっぱいの黒柳徹子さんの物語。

とてもよかった。同時に、とてもつら
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ナポレオン(2023年製作の映画)

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「人生で最も難しいのは他人の失敗を許すことだ。失敗を許すな、成功をたたえろ」

本来ならばもっと早く観たかったが少し出遅れた。いやなに、地面が乾くのを待っていたのさ。さ、さっさと書き上げてしまおう。モ
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

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「まずいぞ...このままでは日本全土が大阪になってしまう!!」

感動しました。観終わった時、僕は溢れ出る涙を止めることができませんでした。(32歳 男性)
大嘘ロングビーチです。そんな訳がなく、抱腹
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(2023年製作の映画)

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「みんな、アホか?」

構想30年、北野武監督最新作。
1581年、荒木村重(演:遠藤憲一)の謀反から1年以上鎮圧に手を焼いていた織田信長(演:加瀬亮)。子に将器なしと見た信長は、羽柴秀吉(演:ビート
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野球どアホウ未亡人(2023年製作の映画)

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「好きも嫌いもない。私は、野球だ」

そうか…野球って一般的にはこういうふうに見られているのか(んなわけあるか!)
もう何から突っ込んでいいのやら...まず、キャストが全員合わせて10人だ。野球映画な
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駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

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「どうありたいかさえ分かっていれば、どこから始めても辿り着けるはずさ」

色々とこみ上げるものがあって涙が出てくる。
その昔、成人になりたての僕は「せっかく成人したのだからお酒の造詣を深めたい」と思っ
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レオン 完全版(1994年製作の映画)

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「根がないんだ、俺と同じさ」
「大地に植えれば根は張るものよ」

15年ほど前、WOWOW制作の番組「映画を観て旅に出た」という番組を観た。旅先はニューヨーク、案内人は濱田岳だった。ルーズヴェルト島に
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暗殺の森(1970年製作の映画)

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「どんな仕事でもやるが、卑怯者と組むのだけはごめんだ」

午前十時の映画祭13のうち、最も心待ちにしていた作品。そのため、配信には目もくれず事前情報も極力遮断し続けた。
歴史の重みという欧州の最大の特
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

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「次はあなたよ」

上映時間3時間26分…長い、クソ長い。
劇場で観たから最後まで観られたようなもので、普通なら間違いなくドロップアウトしていた。
アップルが製作のバックについていたということで、配信
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プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

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「しっかり生きろ」

これをどう言葉に落とし込めというのです?
それこそ"フーバー"です。
16年前、当時高校1年生だった僕は現代文の授業で岡真理「虚構のリアリズム」を読んだ。本作の冒頭・オマハビーチ
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遠すぎた橋(1977年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「あの橋は少し遠すぎたな」

※ややネタバレ
極めて異色の作品。まず、題材がノルマンディ以降連合軍の数少ない失態のひとつであるマーケット・ガーデン作戦であること。そして失敗劇をオールスターキャストで描
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花様年華 4Kレストア版(2000年製作の映画)

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「大きな秘密を抱えた人間がその昔どうしたか知っているか?」

もう大人。とことん大人。子供などお呼びでないと言わんばかりに。
クリストファー・ドイルは何故こうも私のツボを絶妙に突く映像を次から次へと送
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ガールズ&パンツァー 最終章 第4話(2023年製作の映画)

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「継続氏にソロマッチで勝つには知力?気力?体力?...いや筋力!」

開口一番...ガルパンはいいぞ
この作品は僕にとっては納税なので新作は問答無用で観ます。なんならガルパンの完結を見届けるために僕は
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沈黙の艦隊(2023年製作の映画)

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「地球をひとつの国家にする」

これは第一楽章、つまりアレグロ・ヴィヴァーチェだ。
軍艦マニアだった父の影響でかわぐちかいじ先生の原作漫画を読んだのは確か小学校3年生の頃だったと思う。
講談社文庫で全
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イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)

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「我が親友にして同志マリオに。詩人パブロ・ネルーダ」

1948年、後にノーベル文学賞を受賞することになるチリの詩人パブロ・ネルーダは共産党員であったことから国外追放処分を受け、イタリア・カプリ島で亡
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激突!(1971年製作の映画)

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「頼む!速く…速くっ!」

いや、スピルバーグ天才だろ。
開始早々、家を出てから市内の道路を抜け、ハイウェイから国道へ。人の行き来は次第にまばらになり、ラジオの音声だけが鳴り響く…このカットだけでも「
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ミッション(1986年製作の映画)

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「力が正義なら愛は必要ない。だがそのような時代に生きようとは思わない」

本作で起こったことは、パラグアイの先住民グアラニー族からすれば「ふざけんな」の一言である。自分たちの住処に勝手に入って来て、や
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劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)(2023年製作の映画)

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「冴羽獠という名前、気に入ってくれているようだな」

前作「新宿プライベートアイズ」(2019)から4年を経ての新作。これはね、僕らにとって「水戸黄門」のようなものなのですよ。モッコリとハンマーとアク
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若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

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「採寸は必要ありません。あなたのサイズは知っています。この手が覚えています」

凝縮された粘り気。
僕は「仕立」という言葉の持つ独特の響きがとても好きだ。職人の柔らかな手が重厚な生地を伝い、縫い糸が通
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恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

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「その時彼女との距離は 0.1 ミリ」

何と言うか、自分の感性ではよく分からなかった。
つまり「オムニバス形式」ってことでOK?通常のオムニバス作品と違って特段チャプター分けがされていないので、トニ
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メトロポリス 完全復元版(1926年製作の映画)

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「あなたは媒介者ですか?遂に来たのですか?」
「あなたが呼んだからここへ来ました」

フリッツ・ラング恐るべし。信じられん、100年近く前の作品だ。前年にアメリカで「ジャズ・シンガー」が公開され、よう
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映画 太陽の子(2021年製作の映画)

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「これが僕たちが作ろうとしていたものの正体なんですね」

終戦記念日を前にもう一作何か観ておこうと思い立ち、前回(「太陽を盗んだ男」)が変化球だったので今回は直球を選ぶことにした。「バーベンハイマー騒
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