嫌でも関わる他者のコミュニティ、曝け出した先には自分と変わらないものを持っている。
自分のせいじゃないこともきっとある。
そんなときはいっそ逃げ出してしまえばいい。
理想とはいかない現実の歪さ、美>>続きを読む
ジャン=リュック・ゴダールの才がここに。
開幕早々、宣言される単語によって、これは「定義」を利用した映画であることが分かる。
スタンドプレーによる、あり得ない程引き締まったチームプレーを見せられた>>続きを読む
アナの純粋無垢な瞳に導かれ、現実は不思議な世界(映画)へと変化する。
失踪したアナを探す父、姉、母親。
そのなかでアナを探し出す行動範囲、そして結果近づく身体距離が心のキョリの表現になっていた。>>続きを読む
物質主義の遺物としてのゾンビ。
ジム・ジャームッシュの人物配置、画面構成が最高。
ジム・ジャームッシュはいつも捉えようのない煙のような映画を撮っている。
「死」が煙によって消えていくように。>>続きを読む
ブレッソンスタイル確立以前の作品。
人物を捉える距離、職業俳優による微かな演技。
スリやムシェット、ラルジャンを見た後だと、逆にどれも新鮮に映る。
中世貴族を現代のパリに置き換えた演出は、少し無理>>続きを読む
光。それに意味はあるのか。
社会的で哲学的要素が多いベルイマン。
神の沈黙を、それに悩む仔羊を、光を通して描ききる。
顔のアップ、こちらを見る目。
僅かな筋肉の動き。潤い、焦燥、祈り。
神の不在>>続きを読む
ブリグズビー・ベアが世界だった男
突きつけられる現実はあまりにもフィクションだった。
偽の両親の心情を継ぎながらも、本当の家族と仲を深める。
クラシック作品からの引用、パロディに至るまで。
社>>続きを読む
ショートターム、少しの期間に濃密な時間。
小さなセカイが全てだから、逃げ出すことも分からなかった。
悩む必要のないことでどれだけのヒトが声を失ったか。
ありのまま生きることの辛さ、大変さ、そして>>続きを読む
最高にイカしたルーザーズファミリー!
家族とずっと一緒にいる居心地の悪さを描きながら、時には笑ってしまうような下らない会話。
ボロ車を押して(力を合わせ)協力しながら、みんなが同じ方向を向いて走る>>続きを読む
THUG. あなた(たち)がくれた憎しみ。
デモの当事者と第三者。
本質には興味を持たず、自分への影響のみで判断する友達。
政治に関心があるようで自分にしか興味がない人たちによる悪気のない言動。>>続きを読む
「社会に適応出来ないのが障碍ならおれもそうだ。」
「普通って何。恋をしちゃいけないの。」
過度な演出はなく、そこには現実の音が流れる。
隣人に愛をもって接すること。
年齢など関係なく、ましてや立場も関係ない。
シングルマザー、ケイティ達
役所のおばさん
パソコン教室で手伝ってくれる学生etc.
見返りのない優しさが描かれる。>>続きを読む
愛と罪、約束の果てに交わされるもの。
デヴィッド・ロウリー監督作品。
フィルムノワールでいて、アメリカンニューシネマを彷彿とさせる。
悲劇でありながら、光の描写に圧倒された。
なんなんだこの世界は。
辛い事象が重なり、人々は連鎖し、身近で繋がっていく。
ラストが決まっていて、それに辻褄を合わせるように作られたのかと思うほどのご都合主義。
背景をボヤかせる光の取り込み方>>続きを読む
さまざまな事象が繋がり関係が交差する。
一難去らずに、また一難。
かなり重い設定や事件を扱っているが、アニメーションによる緩和とコミカルに描かれたキャラクターたちによって、エンタメとして鑑賞するこ>>続きを読む
夢と現実の境目、曖昧なものさえ真実になる。
行列のできた祝祭は悪夢と化し、その世界の中へ次々と飲み込んでいく。
トラウマとの対峙、隠秘の解放。
この普段見せない不安や恐怖が夢であり、付け入る隙にな>>続きを読む
決定的瞬間、それは誰にでも起きうる。
感染と混乱、目に見えないモノに怯える。
物語はDAY2から始まり、発端である感染初日(DAY1)が明らかになっていく。
無意識の行動にどれだけ注意を向けられ>>続きを読む
狭い世界の港町。ボロ家に暮らす兄妹。
段ボールで光は閉ざされ、外界とのリンクは切れている。
錠で繋がれた妹。
障碍を持ちながら素直に生きていた。
足を引きずる兄。
脚の痛みを隠すように、隠し事をし>>続きを読む
実際に起きた凄惨な事件をお伽話に。
監督の愛と優しさの詰まったストーリーテリング。
現実と映画で異なるのはカメラの存在。
監督の意思(カメラ)とゴーストであるジュゼッペの視点は、ときに重なり、そ>>続きを読む
少女ムシェットに降り注ぐ災難。
ダルデンヌ兄弟のオールタイムにも入っている作品。その理由が『ロゼッタ』による現代オマージュの影響下からも分かる。
無表情と抑揚のない言葉から、豊かな感情が溢れ出し、>>続きを読む
寓話を描いているのではなく、寓話が浮かんでくるような映画。
ロバを介して見えてくる人間の醜さ、汚さ、愚かさ。
シンプルなモンタージュによって淡々と物語が紡がれる。
そこに現れるのは習慣であり本質だっ>>続きを読む
誰かの小さな罪が1人の男の人生を揺らす。
本作は、ブレッソンのモティーフである「手」や「視線」の他に、「扉(窓)」の使用も興味深かった。
扉や窓は思惑に限らず、強制的に社会や他人とシャットダウンす>>続きを読む
Bang…銃口のその先にあるのは愛だ。
主役は、楽しく生きるイカしたおじさん紳士。
前作同様、テンポの良いモンタージュがスタイリッシュに挟まれ、状況理解を一瞬で整える。
何気ないカメラワークは全>>続きを読む
デヴィッド・ロウリー!
また、好みの監督が1人増えました。
時間を超える記憶の旅
なんて壮大な時間旅行をしたのだろう、と上映時間を見てみたら、たったの92分。
これを可能にしているのは、自然かつ>>続きを読む
ベルイマンの世界に浸る82分。
数多の映画に影響を与えた作品であることは一見して分かる。
大胆かつ美しいモンタージュの数々。
冒頭に物語と関係ないシーンが入ることによって、《これは「映画」である》>>続きを読む
夢と現実、過去と現在。
過去を引きずった夢は、幸せや恐怖を孕んで保存されている。(記憶に残りやすい)
過去の断片を集積して構成された夢は不可解でいてパーソナルなもの。
それを言葉なしで視覚的に理>>続きを読む
自然と社会、自分は何がしたい。
(本作を大学卒業のタイミングで見たのは良かったのかもしれない。)
他人の目を気にして、物や行動(車や運転)を選択する父親。
主人公クリスは、ボロ車であっても愛着を持>>続きを読む
宮崎あおいがめちゃくちゃ可愛い…。それだけが癒し。
登場人物の服装と髪型が一昔前を感じさせる。
かなり大事なポイントである大学生の日常が全く違う。この時点でもう、物語には入り込めなかった。
ほと>>続きを読む
本気って格好良いんだ。
役者陣の静かに狂った演技と心の距離や分断、視線で伝える演出によって映像に説得力があった。
単なる説明台詞ではなく映像で魅せられるため、飽きない。
登場人物や舞台設定は、め>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
トリアーのポップでダークな物語が幕を開ける。
不条理おじさん、本作でもエンジンかかりっぱなし。
「ミュージカルって変、いきなり踊り出さない」
ミュージカル映画では使われないだろう敷地 (厳しい現>>続きを読む
未熟で淡い原石の恋。
知らない土地、知らない街なのに
あの坂も、あの踏切も、あの校舎も
なんだか知っている。
ありふれた街にカントリー・ロード。
Only Yesterday, つい昨日のことのように。
田舎の景色も人が作り出したもの。
自然とヒトの共存した姿。
舗装されていないデコボコした道、虫や水、空気や車内の音、当時の音楽や服装、家の>>続きを読む
宮崎駿の幅広い年代の女性観。
他に魔法をかけると、ヒトの形を保つ魔法の消費が示唆される。
これは『魔女の宅急便』で、キキが他の事に注意を向けると箒が一度落ちる演出と同じ。
女の子が親離れし恋をす>>続きを読む
家族の輪・友達の輪、内と外。
心許せない杏奈はその輪の中に入れない。
湿っ地屋敷を中心にして、水の輪ができている。
そこに杏奈が侵入すること。
それは(自分ではない)外の輪の中に入っていくことの象>>続きを読む
主義のぶつかり合い、共存と信仰。
タイトルによって分かりづらくなっているが、本作はアシタカの物語。
犬神に育てられたことで、森や石、動物などの「自然」を信じるサン(神秘主義)
救われなかったこと>>続きを読む
『ううん、何でもない。』
甘えることから我慢への転換、キキの人間的成長。
タイトルから長らく「魔法」を描いた物語だと思っていたが、本作はある意味でアンチファンタジーだった。
親から離れ、仕事をし>>続きを読む