観々杉さんの映画レビュー・感想・評価

観々杉

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.7

娯楽系作品の名監督と見做されるノーラン監督を巨匠へと格上げした作品。原語版で鑑賞したが、専門的な用語が多く、必要以上に難解に感じた。著名な物理学者たちが言及されるなど、鑑賞前に物理学を見直すとより楽し>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.7

ランティモス監督とエマ・ストーンのコンビが、新たな次元の作品を生み出した。美術性が高く評価されており、ドレスから客船が浮かぶ海原まで色彩に溢れている。魚眼レンズを多用して歪んだ世界を作り出し、見たこと>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.8

人気のゲームシリーズを映画化。家族と共にブルックリン在住という独自の設定が付け加えられた。マリオと80年代ハリウッド映画の融合という感じで、当時のヒットナンバーがBGMとして流れる。様々な作品からネタ>>続きを読む

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.5

ライカート監督が独自の視点による西部劇を作り出した。実在したフロンティアガイドのミークが一団とともに新たな道を開いて進む物語。鈍行な旅は、途中で出会うカイユースの男によって大きく動き出し、彼と旅団メン>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.5

ライカート監督によるドラマ作品。前作と大きく変わり、社会派の作品である。故障した車と愛犬を取り戻すべく奮闘する労働者ウェンディの物語。ネオレアリズモのアメリカ現代版といった作風であり、悲劇的な展開で彼>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

山脈にある温泉を目指す二人の男と1匹の犬のロードムービー。強烈なイベントはほとんどなく、二人の間に交わされる会話を中心に進行していく。終始トレッキングをしているかのような穏やかな雰囲気が続く。この点に>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.5

世界中で人気の人形バービーを題材にしたブラックコメディ映画。見た目だけなら批評に適いそうもないイメージだが、社会を痛烈に風刺した作品である。作中は常に何かを弄るような演出が行われており、それらが登場人>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.7

イングランドのアン女王を巡る二人の女性の争いをギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモスが監督。下品な所も含めて当時のイングランド社交界を優れた美術演出で描き出した。脚本も優れており、バックボーンから魅力的>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.3

労働者三部作の二作目。今回は男と母子という組み合わせである。登場人物たちが境遇から犯罪に手を出してしまいがちなカウリマスキ作品の中でも、特に違法行為が密接にストーリーに関わる作品である。印象的なタイト>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.1

労働者三部作の一作目。カウリマスキ監督の常連俳優であるマッティ・ペロンパーとカティ・オウティネンが出演。本作の登場人物たちは厳しいながらも、ある程度安定した生活を送れており、衝動でそれを変えていくよう>>続きを読む

エイリアン3(1992年製作の映画)

3.4

エイリアンシリーズの3作目。後にファイトクラブやセブンで有名になったデヴィッド・フィンチャーが監督を務めた。前作までの展開を否定するような過去作の登場人物の扱いは特に非難される点である。脚本が何度も書>>続きを読む

風が吹くとき(1986年製作の映画)

4.5

同名の漫画を映画化した作品。救いが無い作品は度々SNSで話題に挙がるが、本作はその筆頭といえる。前半部分は世界情勢のニュースについて話し合ったり、イギリスらしいジョークも交わされたりと穏やかである。転>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

4.7

不況により職を失った夫婦の物語。ジャンルとしてはドラマに分類されるシリアスなものであるが、コメディ要素も散りばめられており、カウリマスキ監督の撮影スタイルがそれを強調させている。客に同情を与えようとし>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

4.4

カウリマスキ監督がマッチ工場で働く少女を描く。穏やかな会話劇にポップ音楽を加えた独特な音の構成が特徴。終盤に一連のサスペンス要素が発生するが、具体的な結果を描写することなく、イリスの視点だけで全てが進>>続きを読む

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.3

アメリカインディペンデント界の重要作家ケリー・ライカート監督の長編デビュー作。ゲリラ撮影で描かれる中年に差し掛かった男女の逃避行劇。イベントが断片的すぎるため感情移入して楽しめるタイプの作品から遠い位>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

4.6

一人の女優の人生を取材する二人は、回想の作品の中に巻き込まれる。構造は複雑ではあるものの、一歩引いた人物による現状へのツッコミがあり、今敏映画の中でも東京ゴッドファーザーに次いであたりやすい作風だとい>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.9

トッド・フィールドによる久しぶりの作品。主人公ターのカリスマ性の高いキャラクターは、素人には難解なクラシック談議を繰り返しながらも、作品に興味を持たせ続ける事に成功している。的確に仕事をこなす主人公の>>続きを読む

天使のたまご(1985年製作の映画)

4.7

押井守監督による芸術的なアニメーション作品。カメラワークを抑えることで特徴である壮大な音楽と微細な動きを際立たせることに成功している。天野喜孝によるキャラクターデザインも作品の雰囲気や扱う要素と合致し>>続きを読む

ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007年製作の映画)

4.5

エドガー・ライト監督によるコメディ映画。イギリスの警官は転属させられた先の田舎で、陰謀めいた事件に立ち向かう。村社会をユーモアを含めて弄りつつ、イベントをテンポよく挟むことでミステリーとしての飽きさせ>>続きを読む

犬神家の一族(1976年製作の映画)

4.5

市川崑監督による金田一耕助シリーズの映画化作品。両足を出したまま沈められた死体やスケキヨのマスクなど、現代でも語り継がれている要素が多い。入り組んだ過去が物語のベースとなっており、次々と起こる事件の展>>続きを読む

バッファロー’66(1998年製作の映画)

4.7

ヴィンセント・ギャロが監督及び主演を務めた作品。刑期を終えた男ビリーが偶然会った少女レイラを拉致する。編集の優れた作品であり、ゆったりとした雰囲気に見応えのある演出を挟むことで、どのイベントも飽きるこ>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.8

老齢の女とモロッコ移民の男の愛と苦難。ニュージャーマンシネマの旗手ファズビンダー監督の代表作でありながら、長らく日本での上映が行われていなかった。メロドラマと人種差別が融合されており、温かいロマンスと>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.6

庵野監督によるシンシリーズ第四弾。初代仮面ライダーを独自解釈で描く。その評価を巡って賛否が大きく分かれた作品。戦闘シーンのライダーのマスクのアップがやたら多く諄い。戦闘時の大雑把なカメラワークも気にな>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.7

テリー・ツワイゴフによるアメコミの実写化。登場人物達は皆風変わりで社会規範から外れた者ばかり。序盤から中盤にかけてはコメディ中心に進むが、後半には人間関係のバランスの崩れによる深刻なシーンが段々と現れ>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.5

スパイダーバースの続編。アニメーション技術を極限まで発展させた。今作のヴィランであるスポットとの戦闘シーンや追われるマイルスと対立するボス格スパイダーマンの戦いで非常に効果的に使われており、独特なセン>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.6

宮崎駿監督の待望の新作。事前に情報が伏せられており、これが興収に良い効果を齎した。実際に見た内容から本作は普通に宣伝してもあまり集客できないように感じる。誇張し過ぎず程よく滑らかなアニメーションは日本>>続きを読む

ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ(1985年製作の映画)

4.8

三島由紀夫の人生を彼の作品を交えて描く。脚本家としても知られるポール・シュレイダーが日本で教授をしていた兄からの提案を受けて製作された。役者は日本人で揃えられ、豪華俳優陣によって演じられている。三島が>>続きを読む

8 1/2(1963年製作の映画)

4.9

アイデアが決まらない映画監督の悩みと回想。映画の題材をベースとなる過去の体験から探る制作段階を現実の監督の周りの環境と同じ映像下に置いた事で不思議な魅力が発生している。主人公グイドを取り巻く嫌味な人々>>続きを読む

セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

4.2

進路と友人の二択を迫られた青年と盲目の軍人の交流。アルパチーノ演じる軍人の威圧感は強烈。脚本が優れており二人の儚さと優しさがあからさまにならない具合に上手く描き出されている。感動できる名作。

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.5

スパイダーマンのアニメ化作品。従来のスパイダーマンの皮を破る画期的な作品。多様性という点でも進化を遂げている。様々なアートスタイルで描かれるキャラクターが共存している絶妙な空間が見所。しばらく批評的に>>続きを読む

リトル・マーメイド(1989年製作の映画)

4.2

90年代ディズニー黄金期の先鋒であるお伽話のアレンジ。ディズニーのミュージカルスタイルに合わせる為か、ストーリーや雰囲気は元ネタであろう人魚姫と比べ快活であり愉快である。一方でスリルのある演出もあり飽>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.7

中国系移民の性格にやや難があるランドリー経営者エヴリンがマルチバースで世界を救う。予想もつかないジャンプの手段や複数の宇宙のモンタージュなど視覚表現が並外れている。下手するとB級にも見られかねない奇妙>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.2

羊から産まれた羊人を子供として育てていく夫婦。衝撃的なシーンの合間に家庭的な演出も見られるなどバランス感覚の良い映像センスが見所である。残念なのは物語の展開が少ない所。装飾や雰囲気が派手ではないのでマ>>続きを読む

食人族(1981年製作の映画)

3.9

前半では民族からの排外を受ける教授、後半ではそれに至るまでの一団の横暴を収録したビデオを再生する。モキュメンタリースタイルで力強いメッセージを打ち出した。一方で、作中での動物の殺害は明らかに問題である>>続きを読む

レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.5

淋しげな暮らしをする家族や友人がドラッグに嵌ることで破滅していく。希望と裏腹に落ちぶれていく展開と不安定な光や音の演出が上手く調和し心を掻き乱す。映像の湿っぽさも相俟ってとにかく陰鬱で気分の悪い作品。

アタック・オブ・ザ・キラートマト(1978年製作の映画)

2.5

人々がトマトに襲われるB級映画。見ての通り演出が非常に乏しくしょうもない。ただし安っぽさを逆手に取ったかのようなふざけた展開は馬鹿馬鹿しいので楽しむことはできる。B級映画としては比較的見やすい作品であ>>続きを読む

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