sさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

小説家の映画(2022年製作の映画)

3.0

あいかわらずのキム・ミニ愛だけれど今回はさらに増してる感がある。いつになくパーソナルなラブレター。それも込みでいよいよマンネリ感が凄くなってきた。作品それぞれに微妙な差異があり個々に与えられたカタルシ>>続きを読む

ありきたりの映画(1968年製作の映画)

3.0

79年まで続くリアルタイムな五月革命を当時の映像をモンタージュして見せる手法と、草むらでの学生と労働者が対話、議論するありきたりな風景を映すドキュメンタリーとフィクションの狭間にあるような映像。脅迫的>>続きを読む

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

4.0

初カウリスマキ。ずっと観たかったやつ。メディアテークのvhsコーナーありがとう…。ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』のような男三人が醸し出すゆるさというかローファイ感が絶妙。カウリスマキの徹底的な>>続きを読む

メイド・イン・USA(1967年製作の映画)

3.5

『彼女について私が知っている二、三の事柄』と同時期、掛け持ちで一ヶ月くらいで制作したらしい。リチャード・スタークの小説ベースでベン・バルカ事件が背景にあるとはいえいつも通りオリジナルで破茶滅茶な映画。>>続きを読む

ウィークエンド・シャッフル(1982年製作の映画)

2.5

ピンク映画の中村幻児の一般映画進出第一作。原作は筒井康隆。秋吉久美子を主演で使うあたり、全然ピンクから抜け出せていないのだけれど。『逆噴射家族』的なのを期待して観始めるも泉谷しげる演じる偽夫が生理的に>>続きを読む

孤高(1974年製作の映画)

4.0

『処女の寝台』に引き続きティナ・オーモンの色気と艶かしさも健在。ガレルがジーン・セバーグのために作った映画というだけあって人生ベストで美しいジーン・セバーグの姿を観た気がする。

処女の寝台(1969年製作の映画)

3.5

意思を持たない映像の断片たち。海辺に置かれたベッドに横たわる女(ロメールの『愛の昼下がり』のクロエ役)のシーンで始まる美しいオープニングは言わずもがな、ピエール・クレマンティのナヨナヨしたキリスト役が>>続きを読む

NO CALL NO LIFE(2021年製作の映画)

3.0

ティーネイジャーの頃に春川みたいな男を好きになってしまう気持ち、めちゃくちゃわかるなと思った。今は全くわからないけれど。

秘密の子供(1979年製作の映画)

4.0

ガレルが丁度ニコと離婚する時期に制作したニコとの時間を記録した作品。ほぼすべてを固定ショットでやりきる凄さとその構図の絵画的美しさ。彼女の記憶を映画の中に閉じ込めたいと思うほどの愛があるのに対して、映>>続きを読む

愛の誕生(1993年製作の映画)

4.0

ジャン・ユスターシュの『ママと娼婦』的な会話劇。あれが彼が自殺した部屋だと、ジャンのことを語るシーンがあった。『愛の誕生』というタイトルを掲げながら描かれるのは愛の終焉というアイロニー。男女の間に蔓延>>続きを読む

ドラえもん のび太の南海大冒険(1998年製作の映画)

4.0

小学生ぶりに観たら超面白かった。ルフィンもドラえもんもかわいい。Stranger things、絶対この影響受けてるよな?な描写がたくさんある。

面白かったワードメモ
・キッドさん
・時間犯罪者

彗星まち(1995年製作の映画)

4.0

成人館公開題「獣たちの性宴 イクときいっしょ」。とても岡崎京子でとてもリバーズエッジ。この無気力さとやるせ無さがこの時代を表している。青春の不発弾という言葉が妙にしっくりきてしまう。

ウォールデン(1969年製作の映画)

4.5

ソローの森の生活。after sunを観終わった後、観ずにはいられなかった。メカスの映画日記で「ホームビデオには詩がある」と書いていたがafter sunはまさに台詞で語らず、ホームビデオの映像がその>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

「離れていても同じ太陽を見ていると、そばにいると感じる」
シャーロット・ウェルズの繊細な眼差しに救われた100分間。強烈なほど鮮明に残る美しい"あの夏"の記憶の奥底に眠る見えない苦しみや痛み、湧き上が
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ヤングガン(1988年製作の映画)

4.0

ビリー・ザ・キットを題材にしたニューメキシコ州リンカーン舞台の西部劇映画。コッポラの『アウトサイダー』感があってとても面白かった。身寄りのないチンピラの若者五人を匿い、服や食事を与えて読み書きを教える>>続きを読む

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

4.0

洲崎パラダイスの話。同年作である溝口健二の『赤線地帯』もそうだけれど、クソ陳腐な社会風刺みたいな描き方をしていないところに共感できる。これは訴えであり警鐘。
江東区、台東区、墨田区周辺に住むことへの抵
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完全な遊戯(1958年製作の映画)

3.5

いつぞやの芦川いづみ特集にて。小林旭とのキスシーンは言わずもがな、二人のデートが可愛すぎる。大学卒業間近の金持ちボンボン5人グループが車で街に繰り出し残り僅かなモラトリアムを謳歌する青春映画かと言えば>>続きを読む

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.0

高校生ぶりに鑑賞。今観ると難なく自分に置き換えて観れてしまうことが恐ろしい。
何かの景色を見た時、何かに触れた時、過去の記憶が花開き、あり得たかも知れなかった未来の自分がぼんやりと浮かんでは消えていく
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.0

高校生ぶりに鑑賞。高揚すればするほど現実が押し寄せて逆に辛くなるしかない今、あの感覚を味わうことは二度とないのだなと思うと未熟ながら高校生の頃少し背伸びして観てよかったのかもしれない。今観ても特別な映>>続きを読む

17歳(2013年製作の映画)

3.0

なんか既視感あるなと思ったらハンス・ヘルボッツの『堕ちていく少女』だった。私が思うこの手の17歳はもはや少女と女性の狭間ですらないのだけれど。

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.0

かつての『Faces』、『こわれゆく女』でも底に堕ちるまでに魅了されたカサヴェテスの公私にわたるパートナー、ジーナ・ローランズが今回も。老いと共にさらに崩壊していく感じ、30歳を迎えた今だからこそ先の>>続きを読む

反撥(1964年製作の映画)

4.0

高校生の頃、TSUTAYAの「発掘良品」的なコーナーで出会ったのが始まり。アントニオーニの『欲望』も確かそうだった。後に『水の中のナイフ』を知り、ART-SCHOOLの水の中のナイフはこれだったのかと>>続きを読む

野性の証明(1978年製作の映画)

3.5

角川映画第二弾。池波正太郎が『映画を観ると得をする』の中で、「この時代の日本映画は誰でも彼でも死なせてしまう監督が多すぎる」と憤慨しめちゃくちゃ批評してたので。池波正太郎曰く、高倉健が最後何十台もの戦>>続きを読む

暁の追跡(1950年製作の映画)

3.5

市川崑×新藤兼人。一番好きな『恋人』の池部良を超えるものはなかったが、浴衣姿、海パン姿は最高。杉葉子とのナイスカップルっぷりにニヤニヤが止まらない。

(1957年製作の映画)

3.5

市川崑のサスペンスコメディ。久里子亭=ミステリー映画脚本の際に用いられるペンネーム「久里子亭」(アガサ・クリスティーのもじり)は、市川崑のペンネーム。
相変わらず洒落たセンスでブラックユーモアに富んだ
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ゴダールのマリア(1984年製作の映画)

4.0

アンヌ=マリー・ミエヴィルによる「マリアの本」と、ゴダールによる「こんにちは、マリア」の二本立て。連作ではあるがイエスの母マリアの処女懐胎を現代に翻訳した一つの作品。

①「マリアの本」 約30分(体
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ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬(2011年製作の映画)

3.5

前作より格段に面白くなってるし、『慰めの報酬』→『気休めの報酬』っていう転換発想意味わかんなくて好き。ジャケで半日笑える。