不在を抱えた人間が不在を辿り、辿り着いた不在もまた不在を抱えてうずくまっているようだった。それでいて、いつまでも埋まらないその不在があるからこそ、皆己で在り続けることができている。
出来事の輪郭ははっきりとしているのに、その中身は明かされない。けれど、この星にある関係性は、どんなものも詳らかに核について明かし合うことはないのだから、明かされなさがとても自然で、この映画は「本当」だ>>続きを読む
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自分の存在が罪であるのではないかとずっと悩みながら生きてきた女性が妊娠し、異食症になってしまう話。
異食症は自傷行為に当てはまるのかわからないけれど、自傷行為はただただ苦しいだけではなくて、その行為で>>続きを読む
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タイトルが「哀れなるもの」ではなく「哀れなるものたち」であることについて考えている。
常識と呼ばれる歪な箱の中では、ベラの境遇は不憫なのかもしれない。けれど、与えられた絶対的に安全な温室のような箱庭か>>続きを読む
「多様性」「ダイバーシティ」なんて言葉は、一部の許された側にいる人のための言葉でしかなく、マイノリティの中でも断絶がある。私たちはすぐに線を引くことで安心して、線を引いた向こう側のことを認識さえしない>>続きを読む
これは、「君たちはどう生き、どう死に、どう生まれ変わり、どう生まれゆくのか」だ。
生きることの話、自死の話、戦争の話、殺生の話、自分がいなくなった世界で自分が築き上げてきたものを自分以外の人たちに続>>続きを読む
今までの人生で見てきた映像作品の中で最も素晴らしかった。
目線、距離感、間、わずかな抑揚の差、それだけで人と人との会話は全く違うものになる。
途中、やりすぎなのでは?と思ってしまうような演技をするシ>>続きを読む
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土地の美しさをふんだんに映し出しながらも、異質な出来事を受け入れさせる説得力のある画面作りが秀逸。青みかかった画面の加工も嫌味がなく、心情を映し出しているようだった。
人間の形を模しているということ>>続きを読む
最果タヒさんと佐々木俊さんが好きなので視聴。
タイトルに相反する黄味の強いエフェクトの映像に俗な内容。役者の中途半端な演技。
随所に散りばめられている詩と台詞だけが良かった。
こういう映画を好きだと言>>続きを読む
互いのまなざしが交わらないさまを、静かに見守る。そんな作品だった。常に視点は俯瞰であり、登場人物の誰にも投影ができない。生と死というのは、そういうものなのかもしれない。
静かな状況の中、不動の過去によ>>続きを読む
終始頬が緩む作品。美しい街並みとオフィスに映える美しい社長の凛とした佇まいが映える。あたたかなベンの人柄との人間関係のコントラストも良く、気持ちよく物語が進む。良い映画です。
目を瞑るな、逸らすな、背けるな、と強く念じながら観ていた。画面からそう言われているような気がしたから。
目を覆いたくなるような演出の中に、釘付けになってしまう絶妙なライティングや音響による演出や映像美>>続きを読む
随所の虐待シーンがかなり自分がされてきたことと似ていて、子供側の気持ちになってしまって一緒に同じ様に泣いてしまい、視聴を断念するか冒頭でかなり悩んだ。けれど、救いを求めて最後まで観てしまった…観てよか>>続きを読む
良い意味で2回目も観たくないなと思わされた作品。学校教育の教材で取り入れてほしいくらい、わかりやすく無惨。こういうテーマって何時間もかけるより、数十分の方が伝わりやすく、人の心に残りやすいのかもしれな>>続きを読む
不在の話かと思いきや死臭のひどい映画だった。
観る側に行間を読ませても良いシーンも一滴もこぼさず描き切っていて、作品への気概、何かを作り切ることの誠実さがひしひしと伝わってきた。この監督はきっと情念に>>続きを読む
感想を言語化しても良いのか、それさえ野暮なのか…言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消える。とにかく、今まで観てきた映画の中で群を抜いて、とびきり強烈に好きな作品だったということだけは言える。
途中の友>>続きを読む
やることが意外に早く済み、外を見たら雪が降り始めていたので、観るなら今日だ!と思い、雪の中自転車漕いで観に行った。
斜里や自然そのものに作り手が向けていたまなざしを、まるでそのまま見せてもらっている>>続きを読む
濱口監督と村上春樹の共通点は、とにかく言葉が多いものの、伝えたいことは言葉の先にあるということだと認識しているが、その魅力が最大限に活かされた良作だった。だからこそ、静寂を含めた音や台詞の掛け合い、間>>続きを読む
テーマや言いたいことがわかりやすすぎるというか、完成されすぎていてこちらが入り込む隙がなく、ぼんやりと見てしまった。
でも埃の映像は綺麗だった。ぼんやりしている時にだけ急に見えるよね、埃。その眼差しの>>続きを読む
話の展開の仕方がとても上手い。ただ淡々と出来事を羅列していっているかのような表現でありつつも、鑑賞側を置いてけぼりにしていない。初めは物語の全貌が掴めずモヤモヤしていたが、徐々に答え合わせをするように>>続きを読む
蹂躙できない領域に染み入るなにかに身に覚えがあって、目の前の物語と同時に自分のことを見てしまった。
1ヶ月、2ヶ月前に観ていたら、後日映画を思い出した際に、偶然に近い奇跡を若干呪ってしまう自分に嫌気が>>続きを読む
図書室の奥の棚に置かれてる、埃っぽい単行本のような雰囲気のある作品。
傷をただの事実として描く誠実性があり、常にお腹がしくしくする作品ではありつつも、安心して観ることができた。人の傷つきを美化しない物>>続きを読む
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同僚の死に耐えきれないのに、生にしがみついている主人公は、余命という逃れられない終わりによって生かされていた。生きていくためには死が必要。人間はいつか死に、いつか来る自身の終わりに怯え、誰かの人生を奪>>続きを読む
自分を信じることって文字にしたら2文字に収まるのに、頭を打って見ている世界を変えるぐらいしなければならないのだなと思いながら観た。そうしなければいけないくらい、外因によって自尊心を擦り減らされる世界で>>続きを読む
とても丁寧に作られている作品だと開始数分でわかり、その初めの感覚がずっと最後まで残っているような良作でした!
どこにも追いやれないのに、折り合いのつけられない感情が全て伝わってきて終始泣いていた…何も>>続きを読む
悪い方に行けば行くほど、冒頭の幸せそうに見えるシーンが過ぎってより辛かった…
共依存ってまわりまわって相手に依存してることになるけど、依存している本質の部分はお互い違うのだろうな。だからすれ違うし、分>>続きを読む
知らないはずなのにとってもとってもリアルに見えてしまったのは、きっとどんな階級でどう育ったとしても、少なからず感じていたはずの蟠りを丁寧に描いてくれていたからだろうな。
美術も脚本も美しくて、今まで>>続きを読む
実際に映画内と似たようなことを何度も言われたことがあるので、痛いほど気持ちがわかり、終始辛かった。
お父様の「孫が抱けないことを恨んだ」がやるせなくて仕方ない…。生物としての正しさは子孫を産み落とし、>>続きを読む
何度も目頭が熱くなり、マスクがびしょ濡れに…笑
小川さんのような人は実は意外といるのかもしれないし、いるかもしれないその人を知らない理由の一部に、無知な自分があるのかもしれないな
政治への興味関心の>>続きを読む
非現実的と言われればそこまでなのかもしれないけど、やっぱりフィクションは幸せなものであればあるほど良いな
どこまでも予想のつかない人生と人間が好きだ
知らない人間の人生を覗き見るのは、たとえそれがフィ>>続きを読む
本当に本当に三谷幸喜の芝居が好きだ〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!
頭をすっからかんにしても入ってくる最高の映画ばかり…大好きだ……
本当に知りたかったことを知った瞬間の落ち込みややるせなさは、深淵まで見つめ合っていたからこそなのだなと思いました。
芸術が、生活のための消耗から自己実現へと変化する様がとても美しく、『俺の人生こそが俺>>続きを読む
人が人を裁くことの是非について考えさせられました。答えのない問いですが、知ろうとすることが必要なのだろうな…
自分から離れている人を(この映画では死刑囚のこと)を人間として認識していなかったのではな>>続きを読む
原作を先に読んでいたので、映画の展開の速さに驚きました。(原作が長すぎるというのもありますが)また、割愛しすぎて伏線回収できていない部分があったのが残念…
回想シーンの親子の演技がとにかく秀逸でした>>続きを読む