やさしいけれど、やさし過ぎない世界。悪くない。ただこれが三宅唱の映画と言われるとうーむとなってしまう。いちいち意味のある台詞と説明的なショット。三宅がフィルモグラフィーに刻んできたイリュージョン(©>>続きを読む
市井に生きる者にとっての戦争とは。煎餅布団で汗にうなされる夜。家から一歩も出ない女とかつての上官の家の周りを逡巡し続ける男。自在に世界を動き回れるようでいて、一番の犠牲者である子供。ミニマルな手法>>続きを読む
そうだよなあ人が死ぬってこういうことだもんな。ホラーですよ。霊になって出てくるから怖いんじゃないんです。ただ人がいなくなる、それでも世界は普通に続いていくってことの恐怖ですよ。超唯物論。深層真理に潜む>>続きを読む
自己模倣っていうの?あまりにカウリスマキ過ぎて誰かがパクったように思えてしまう映画だったな。『枯れ葉』という割には水色をはじめパステルカラーが多用されてかなりスイート。ほかに特に語るべき点もあんまり>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
2000〜10年代を扱いながらも70年代風、新宿、エロスと荒井晴彦のすべてが詰まった私小説的映画(もちろん原作はある)。
基本、ホン・サンス『ハハハ』の語り口。だけどもちろんハハハとはいかずウェット>>続きを読む
うわぁ、キツいわあ……疲れるわあ……殺風景で台詞もほとんどない中、地獄のような苦難の数々。ほぼ拷問体験だけど続きを見ざるを得ないまさに限界《リミテッド》映画。
ダレ場の蠍と野犬の繰り返しは川口浩探検隊>>続きを読む
やはりルーヴル美術館ロケは圧巻。だがそれ以上に目に見えないものの描き方や血の問題、記憶などの盛り込み方でそこらの『ザ・ムービー』と一線を画す。古今東西、縦横無尽、自由自在なコントロール。新解釈なJホラ>>続きを読む
あまりに空疎。ある種のジャンル映画に陥ることを恐れるあまり、なんだか中途半端なところを落とし所としてヌルい笑いに逃げた感があるんだよな。
冨永昌敬の映画に「いいたいこと」なんか端から求めていないとして>>続きを読む
井口昇監督の濃い、濃い、部分を煮詰めたようなピュアネスの大暴走。
正直ここまでやるか……との思いもあったけど、妄想の中に立ち上がる私小説的なリアリズムで『変態』の極北をみせる。
だけど果たしてこ>>続きを読む
正直『千と千尋の神隠し』以降で最高のおもしろさと言っていい。
セルフオマージュか?自己作品の総決算か?はたまた宮﨑駿の創造力の限界か?どう捉えるかは人それぞれだろうが、つまり「そういう作品」である。>>続きを読む
究極の体験である戦争とその対極にある2次元。このおとこたちは美女の写真(など)に釣られて戦争に出向き、戦地でも映画(2次元)のスクリーンの女性に抱きつき、戦争から戻ると万物が写った絵葉書を持ち帰る。人>>続きを読む
ほとんど寝ました。低いトーンのフランス語でモノローグみたいな語りが始まるとむり、眠気に勝てない
メロドラマ的な愛、友情、大義、抵抗。こういうちょっと恥ずかしくも古典的な主題を「アリ」どころか「まさに今!」と有効にしてしまう異常な熱量と過剰な描写の乱れ打ち。インドが辿った不幸な歴史的背景があるか>>続きを読む
とうもろこしの汁、分泌物、滴る墨汁、裸足の裏、血液……粘着質で生理的な不快感を煽る描写の数々。
おそらくあみ子はADHDだろうが周囲の無理解が本人を孤立させる。井浦新も重度のネグレクトだ。
悲惨さ>>続きを読む
視覚から得られるものは限られてはいるが、その情報の深度を思い知らされる傑作。
それは観客に(映画を)『見る』(観る)という行為そのものを再認識させる試みでもある。
赤と青を基調とした色使い、光と影>>続きを読む
大げさな物言いではあるが、現代映画史の到達点。
アクション、SF、アート、コメディ、下ネタ、感動、家族もの……すべての映画がやろうとしたことのすべてをぎっしり詰め込んでやり切った映画ではないだろうか>>続きを読む
これは『ニコラス・ケイジの撮休』ですね。ただし全然休まらないどころか大活躍するんですけど(笑)もしくは『ニコラス・ケイジの穴』でしょうか。もう彼の日常は主演映画そのまんまという……頭ん中まで我々の想像>>続きを読む
「闘う」ことに特化した最高ライダー。ここには『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』になかった肉体性がある。観念的な台詞やチープさが微笑ましいが、庵野氏による2次創作品として観れば納得。ルーティンはそ>>続きを読む
政府の曖昧なプロモーションを散々映した後『殺人』シーンをどうするのか?がポイントでしたが、そのズルさ含めてちゃんとやりきりましたね。周辺の仕事をするのが若者(ワーキングプア)や外国人労働者というのも>>続きを読む
画面では結構なことが行われているのに、いい意味で緊張感がありません。迷いも葛藤もなく、吹っ切れているからこその爽快感。美男とは言い難いウォルター・マッソーは決してかっこよくありませんが、クールな立ち回>>続きを読む
ちょっと面食らうくらいリズム感が自由自在。ユルさもありつつ随所にかなりクドイ演出も。矢を抜くとことか『棒の哀しみ』みたいな変なこだわりを感じた。ハコとハコの転がし方は雑に、ハコの中身はネチネチと。イー>>続きを読む
『風に濡れた女』奇妙な質感でありながら、ある種まじめにポルノをやろうとしてるのにびっくりした。禁欲から寸止めへ。そして間宮夕貴の棒を使ったエチュードから主人公の男のタガがはずれ、徐々にエロスだけで成り>>続きを読む
イーストウッドから完全に雄《マッチョ》の部分が脱色されているのに驚く。恐るべき達観と聖母マリアのような眼差し。
かと思えばじゃじゃ馬を慣らす手練は現役そのもの。
彼なりの現代アメリカへの置き手紙の>>続きを読む
クセになるしみったれた画づくり。かと思えば屋台の追っかけっこみたいなムダな疾走感で緩急をつける。
何かの儀式のようでありふざけているようでもある濡れ場の数々。
大阪城と太陽。民謡や歌謡曲、果ては君>>続きを読む
これは映画の映画ではあるんですけど、とりわけ編集の映画といえますね。実際、密室での「切る」作業描写への熱量がハンパなく、撮影や現場への関心は薄い様子。冒頭で触れられる「いいショット」とは何か?の疑問に>>続きを読む
さびしさと孤独は違う。
横浜聡子の映画にはいつも孤独ではなく さびしさとそれに寄り添う温もりが映し出されているから好きだ。
訛り丸出しの田舎が舞台で土着的な素材を扱いながらどこか洗練されているのも不>>続きを読む
森田芳光監督は苦手だ。
正直よくわからないのが多い。これもご多分に漏れずだけど不思議な吸引力があって飽きない。
ちょっとシャマラン的な視座もあるのか?誰かに監視されながら操られてるみたいな。
ち>>続きを読む
気恥ずかしくなるくらいキメッキメ。クリストファー・ドイルのショットの決め打ちと、スタイリッシュなカメラワークに色彩。
そしてここぞの『スカボロー・フェア』。
今観るとめちゃくちゃキザではあるけど、あ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ひなびた風景と独特の視点からの暗い画面はもろにゼロ年代のタナダユキ。
脚本が向井康介なので期待したが日本映画のダメなところを煮詰めた感じ。
曖昧でご都合主義なリアリティライン、生い立ちによる不幸の連>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
オリジナルファン大歓喜!
辻褄がちょっと謎⁉︎
でもあな、おもろ おもろ。
ただ オリジナルの脚本家ハロルドに捧げてるけど、圧倒的にユーモアが不足してるのな。笑えるとこはその遺産に頼りっきりだしさ>>続きを読む
ストーリーや説明、繋ぎなんかには目もくれず、とりあえず屋外の『動』を捉えるショット命。特に自転車と坂道のシーンが冴える。
当時の流行語や音楽、風俗がたくさん取り入れられているのも楽しい。
鶴見辰吾>>続きを読む
さかなクンのキャラクターと沖田修一監督のユルく優しい世界のベクトルが完全に一致。
のん の目の輝きと天性の無垢さだけで男女の壁を簡単に越え、実にさかなクンたらしめているのだ。
これは人生の物語じゃ>>続きを読む
Gの表現が秀逸でね(うんたらかんたら)……そんなことはもうどうでも良くて、観客の人生そのものを投影させながら、同時進行で映画に焼き付けられたのはトム・クルーズとスタローンぐらいじゃないの?って話。>>続きを読む
昔観たとき無条件にこの映画はいいと思った。
北九州の殺伐とした空気感と翳りのある深い森の緑。
ことが起こる予兆とそれを超える突発的で過剰な暴力の上塗り。そしてことの後の気まずいような腑抜けた時>>続きを読む
ひとりの女を巡り紅に染まってしまった雷さま。ぼろぼろになりながらも品格を保ち、尚も復讐に燃える姿は市川雷蔵にしか出せない境地と言っていい。
忠臣蔵の外伝的な要素もあるが、やはり忠義も愛には敵わなかっ>>続きを読む
90年代アメリカ映画の匂い(臭い)アリ。よくわかんねぇ映画だけど最高じゃん!
保守的なアメリカ家庭の食卓に唾吐くジャンクフード&ドラッグ&パンクロック with バイオレンスムービー。
冴えない眼>>続きを読む