na坊さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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愛なのに(2021年製作の映画)

4.0

官能をかなり激しく描きながらの女子高生との純愛に泣くんですよ。愛って幅広いけど、どれもかけがえのないものなんですね。

向里祐香さんの眼鏡を掛ける仕草がヤバすぎました。そことの落差で二枚目俳優、中島歩
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猫は逃げた(2021年製作の映画)

3.5

ほんとに猫で世界が回ってるんですよね。それに比べれば男女の仲なんて……って話ですよ。ハリボーを投げる女、手島実優さんに惚れました。とにかくこれは俳優さんが光る映画です。城定さん解釈の今泉作劇、男女横一>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

4.7

序盤こそみんな良い顔をしているが、本音がポツリポツリと出始めるところの妙。そんな中、最初から自分の「生活」しかない杉村春子がやはりいい。あと酔った笠智衆と東野英治郎が管を巻くシーンだけは異色だ。話の展>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

3.8

『岬の兄妹』ミーツ『冷たい熱帯魚』のような奇妙な感触が新しい。片山慎三監督の社会を底辺から見つめる視点と土着的なエロスをどうエンターテイメントに落とし込むかに苦心の跡が見られる。西成周辺にカメラが向>>続きを読む

お茶漬の味(1952年製作の映画)

3.6

矢野顕子じゃないがラーメン食べたい お茶漬け食べたい 野球観たい パチンコしたい 競輪見たい 温泉行きたい ですよ。そんな幸福。共に気やすい関係がいいんだけど、男と女のあいだには深くて暗い河があるって>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

4.6

結婚を巡る話でありながら友情や家族関係に到るまでの悲喜こもごも。
真の主役はショウジくんと呼ばれる戦地から帰らぬ兄ではないか。その決して映り込まない息子に涙する『岸壁の母』東山千栄子の目が印象的。そし
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晩春(1949年製作の映画)

3.6

笠智衆と杉村春子のミニマルな会話から生まれるグルーヴ。また壁のない日本家屋を会話しながら行ったり来たり、交差したり離れたりする心情表現。
いつものテーマに"具材"は少なめながら、少しづつ捻ることで詰め
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恐怖のメロディ(1971年製作の映画)

2.8

たぶんストーカーなんて概念がなかった時代なんですけど、なかなかリアルに怖いです。モテ男を自作自演するイーストウッドが掛け値なしでカッコいい。だからドライブシーンをやたら空撮しても嫌味はありません。スト>>続きを読む

殺人魚フライングキラー(1981年製作の映画)

3.5

ジェームズ・キャメロンのデビュー作。『ジョーズ』のバッタもんとは聞いていたけど しっかりキャメロン印が刻まれており、本気度は最近のサメ映画とは桁違い。エロのルーティンをこなしつつ、時間と人間関係の交通>>続きを読む

彼女は夢で踊る(2019年製作の映画)

4.0

胸をかきむしるような圧倒的な美しさ。思い出が、岡村いずみが……昭和の残香、裏ぶれた興行の世界を描きながら洒落たヨーロッパ映画のような雰囲気。

松山千春からRadioheadまでの選曲、天岩戸伝説から
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.0

甘く可愛い外見に騙されちゃあいけない、ウェス・アンダーソンの本質は『ネスカフィエ』の話のとおりの「猛毒」を孕んでいる。
扱われる題材(記事)は街の裏側や、凶悪犯、学生運動の闘志に誘拐。
また脱走兵の脱
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ももいろそらを カラー版(2020年製作の映画)

4.7

ひょっとしてこれ、当初はカラーで仕上げるつもりだったのだろうか?池田愛の部屋着や部屋の配色、サンダル、ぬいぐるみ……小物使いにヴィヴィッドはピンクが多用されていることに気づく。明らかに『ももいろ』を意>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

3.1

文字通り"実験"的な作風なのだけれど、これは意外と大学という場に溢れ出す「エロスの風」の本質を映し出しているんじゃなかろうか。いかにも黒沢清な建造物。アヴァンギャルドな世界観には寺山修司の匂いも。胡散>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.4

閉ざされた空間で迫り来るパワー系サイコパスを松重豊が怪演。『シャイニング』や『悪魔のいけにえ』を想起させながらバイオレンス描写が容赦なく、上記の名作と遜色ない。すぐ隣りにある闇や人間の暗部、暴力。この>>続きを読む

打鐘(ジャン)~男たちの激情~(1994年製作の映画)

3.3

1000人に1人と謳われる天才競輪選手。だけど彼の実態は空洞で、大杉漣が独壇場的に虚像を祭り上げていくスタイル。ところがこれがなかなかおもしろい。繰り返されるダンボールへの衝突。まさかの中野浩一の登場>>続きを読む

愛のまなざしを(2020年製作の映画)

4.3

やや理屈っぽいかなとも思うが、グイグイ引き込まれるおもしろさ。幽霊映画でもありサイコサスペンスでもある。目に見えない事象、心の動き、人間が堕ちていく様を形として浮かび上がらせる手腕が見事。

杉野希
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

4.5

牧瀬里穂の空洞のような快活さと、バブル期の東京、広告業界の煌めきが逆に隣り合わせの終わり(死)を意識させる。
バーガーショップのワンカット、屋形船の屋根の上から見る花火。ここぞで流れる『帰れない二人』
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哀愁しんでれら(2021年製作の映画)

3.5

なんとも言えないクセになる気持ち悪さ。

「あり得ない」を強引なまでの演出力で自分の世界に引っ張り込む渡部亮平監督、確実に映画の魔が宿ってる。あとギリギリ品を保っているのも好感度。

わかりやすいサ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.2

『竜二』のように抗えない情動についての映画かと思ったら『ヤクザと憲法』のような社会的な視座もある。

西川美和監督はその偽善的な態度と結末をはっきり描かない匂わせ演出が苦手だったが、この作品ではそれら
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.6

大泉洋も松岡茉優も巧くて引き込まれる。だけど「めちゃくちゃおもしろ」いかと言われればうーむ。原作を上手に纏めましたねという感じ。もう一つ突き抜けが欲しいと思うのは高望みなのかな。文法が小説なんですよね>>続きを読む

ビーチ・バム まじめに不真面目(2019年製作の映画)

4.6

人智を超えた大傑作!

天才と自由と愛、そして金。そんなものをリアルに活写しつつ、しかしそれは死へのアンチテーゼとしての享楽であることを炙り出す。

意識的か無意識か?ムーンドックの行いすべてが死者た
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プロジェクトV(2020年製作の映画)

3.2

あの名作を彷彿させるタイトルとパッケージに偽りありだけど、ジャッキーが本領発揮のコメディアクターぷりでまあ満足。だんだん話がでかくなって米軍機が攻撃し出したりするのはボリウッド的なハチャメチャさで口あ>>続きを読む

きまじめ楽隊のぼんやり戦争(2020年製作の映画)

3.1

これは小津なの?つげ義春?カウリスマキ?ロイ・アンダーソンをやるならもっと画面を作り込んでワンカットでやらなきゃダメだろ。表層が過ぎるし、各シーンの大御所俳優に頼りがち。でもハマらず。きたろうだけが◎>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

なぜこうなってしまったのか?あるいはなぜ人はいつもこうなってしまうのか?

ここにわかりやすい悪は存在しない。一人ひとりはそれぞれの善意で生きている。しかし性善説など唱えないし、性悪説などもってのほか
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子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

3.8

沖田修一監督の飄々とした演出とどこいくねん⁉︎て展開でふわっとした映画なんだけど「教祖」豊川悦司が出てきてからが俄然おもしろい。延期になっても夏公開にこだわるのがわかるザ・夏映画。プールサイドと屋上、>>続きを読む

白い恐怖(1945年製作の映画)

3.1

『白い恐怖』ミステリーにフロイト的な精神分析、そして恋愛を盛り込んだおそらく当時としては画期的な映画。
ただ夢診断が理屈っぽく説明的過ぎるのと、その心理学が現代ではそのまま適用できないためやや鼻白む。
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介監督がチューホフと村上春樹を緻密に読み込み噛み砕き、最初的に放り出すようにテクスト(映画)の奇跡に託す。

生と死を、男と女を、人生を、演技を、演出を。大事なことは全部車中で語られる。


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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

2.9

司祭だって「人間だもの」みたいな映画ですね。結構つまらないことに振り回されたり、村人に悪口言われて嫌われたりで大変です。 

バイクの後ろに跨ってちょっとしたエクスタシーを感じるのも人間らしくて良いで
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下女(1960年製作の映画)

3.7

ポン・ジュノはキム・ギヨンの影響下にあるらしいが、これは「半地下」の真逆で2階を手に入れようとしながら逆に2階を他人に支配されてしまう一家の悲劇。

社会派を匂わせた家庭内スリラー。

そして禁じ手、
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緋牡丹博徒(1968年製作の映画)

3.5

何より藤純子が美しくもかっこいいので 正直、藤が映っているだけでオールOK!
だけど作り込まれた様式美の画面は映画を観る幸福感に浸らせてくれる。
若山富三郎やボンのキャラクターはいかにも脚本の鈴木則文
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.4

鋭利な刃物のようにパキッとした陰影。鮮やかな赤。

湖畔の妖しい裏通りが、リアルな生活臭の漂う舞台として映し出されているのがおもしろい。これぞアジアン・ノワールな趣き。

ただ画調は石井隆でもあの水浴
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

4.1

構図と色彩がまるで絵画。インテリアの使い込み方や壁のシミまで愛おしい。

フィックスの画面の奥で、もぞもぞ動く人物と手前のカッチリした風景の対比がなんとも哀愁。

ヒールの折れた人も世界征服が砕けた人
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

4.1

あの撮影監督の手法は現在では完全に否定されるべきものであろう。しかしこの作品は「映画」撮影における根源的な暴力性をあばき出す。蠢くカオス、撮影現場という極限状態における撮影者と被写体の圧倒的な主従関係>>続きを読む

東京人間喜劇(2008年製作の映画)

3.7

何も起こらないけど不条理なおかしみのあるロメール的な洒脱さから一転、後半は深田晃司監督独特のドロッとしたブラックワールドへ着地。

笑えるか笑えないかの境界を探る感じ。その感覚はまさしく利き手を失った
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ピーターラビット2/バーナバスの誘惑(2020年製作の映画)

3.9

基本的にシニカルなスラップスティックでありながら、メタ的な視点を兼ね備えた重層構造。

絶えず『ピーターラビット』とは何か?を自問自答し 完全オリジナルな『2』を映画化することへの畏れを感じる。

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逃げた女(2019年製作の映画)

2.9

テーブルを挟んだ食事、ヘンテコなズームなどいつものホン・サンスの刻印はあるが、なんだか上滑り気味。

それに加え階上と階下、玄関先での立ち話、防犯モニター、動物、窓の開放、りんごを剥くなどの行為が反復
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