石口さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

石口

石口

映画(151)
ドラマ(0)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.0

小屋に誰か入ってくるたび、ドアに板を釘で打ち付けなきゃいけないのが面白すぎた。反復が生み出す笑いが見事。構成はタランティーノのいつものパターンで、新鮮味はないものの楽しめる。徐々に存在感を増していくジ>>続きを読む

ハードスキャンダル 性の漂流者(1980年製作の映画)

3.0

主人公が少年って設定が強調されるが、台詞でそう言ってるだけで幼く見えない。ポルノに未成年をキャスティングするわけにもいかんだろうし仕方ないが。ボーイミーツガール映画として見ると性急すぎる展開でイマイチ>>続きを読む

放浪記(1962年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

この地味で辛気臭い話がどうしてここまで面白くなるのかが謎すぎる。とにかく見ていて退屈に感じるところがまったくない。個人的には成瀬のベストの一つ。

貧困に苦しみ、すぐ感情をあらわにして人と衝突し、どん
>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

聖女なのか嘘つきなのかマジで狂ってるのかよく分からないがとにかくぶっ飛んでるベネデッタが謎のカリスマ性で成り上がっていく様は圧巻。終盤のシャーロット・ランプリングも壮絶。暴動が起こる映画ってやっぱり問>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

5.0

奔放で己の心に正直に生きる母を、葛藤しながらも許し受け入れていく主人公。スピルバーグが彼なりに真摯に吐露した家族への思いに感動。未熟な恋もいじめっ子との思いがけない心の交流も、一筋縄ではいかないが豊か>>続きを読む

東京画(1985年製作の映画)

4.0

作り手は何の感慨もなさげだが、にも拘らずスタイリッシュに切り取られた80年代日本の日常風景は今見ると新鮮で目が離せない。「小津というフィルターを通した東京」以外にマジでこれっぽっちも関心ないらしいヴェ>>続きを読む

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

3.0

抑揚を抑えた演出が味わい深いような、ただ単に退屈なだけなような、何とも言えないジャームッシュらしい作品。構成は気が利いているのに、それが面白さに繋がっていかない微妙さがもどかしい。工藤&永瀬カップルの>>続きを読む

トラック野郎 御意見無用(1975年製作の映画)

4.0

この猥雑な画面の中で繰り広げられるのは誤解やミスを起点とした意外にも本気の純愛ドラマ。お京(夏純子)と千吉(湯原昌幸)のエピソードはとりわけ感動的。登場人物が馬鹿ばかりでもそんな彼らに対する作り手の共>>続きを読む

恋する女たち(1986年製作の映画)

4.0

柳葉敏郎との対話シーンで斉藤由貴の心の声を手書きの文字で画面に出すとこが可愛い。相米のやりたい放題な「雪の断章」と比べればウェルメイドだが、これはこれでアイドル映画の枠内で大森監督が持ち味発揮したと思>>続きを読む

いたずらロリータ 後ろからバージン(1986年製作の映画)

4.0

安っぽい作りの荒唐無稽なドラマなのに、この圧倒的な切なさは一体何なんだ。「桃尻娘」以降の青春系ロマンポルノの中でも白眉と思わせる名作。主演の水島裕子の可愛らしさは感動的だ。情感を盛り上げる雨の描写も実>>続きを読む

ピンクのカーテン2(1982年製作の映画)

4.0

一線超えたいという欲望とそれはダメだという理性のせめぎ合いが頂点に達するラスト。1作目より踏み込んだ描写で更に浮き彫りになる変態性。大きな声では言えないが堪らんものがある。終始鬱屈している兄役の阿部雅>>続きを読む

宇能鴻一郎の濡れて打つ(1984年製作の映画)

3.0

とことんバカバカしいけど後味が良く爽やかな青春コメディの佳作。ポルノとスポ根という組み合わせをしっかりギャグに昇華しており見事。天然キャラが炸裂する山本奈津子のモノローグが味わい深く、肉棒注射というワ>>続きを読む

ヒポクラテスたち(1980年製作の映画)

4.0

80年代的な軽さが充満してる一方で、内藤剛志のキャラやその周辺描写に学生運動の残滓を感じる。時代の端境期という雰囲気が全編濃厚。こういう作品を今狙って作ろうと思っても作れないんだろう。古尾谷雅人も伊藤>>続きを読む

ピンクのカーテン(1982年製作の映画)

4.0

本来アブノーマルなものでしかない近親相姦スレスレな妹萌えドラマをポップな雰囲気に押し上げた美保純の魅力に尽きる。マジ可愛い。タイトルになってるカーテンも含め兄妹が住む部屋の装飾が素敵で、撮影は充実して>>続きを読む

少女暴行事件 赤い靴(1983年製作の映画)

5.0

非行に走る無気力な少女少年たちを描きながら映画はまったく無気力な作りではなく、彼らの怠惰な生を瑞々しい映像で切り取っている。セックスシーンにさえ常に不吉な予感が漂い、悲劇的なラストへと徐々に近づいてい>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.0

狂気は伝わるものの、問題作というより単に作りが拙いだけの微妙な作品に思える。しつこすぎるモノローグがまったく好みでない。ただ、主人公に襲われる一家の娘役の女優が可愛い。できればこんな内容じゃない映画で>>続きを読む

銀河(1969年製作の映画)

5.0

全編宗教論争ばかりで丸々1本映画を撮るという試みが凄いし、シュールレアリズム的表現も随所で冴えている。無茶苦茶面白い。ブニュエル流のユーモアを堪能するのと同時に、いつの時代にも対立し分断してきた人間の>>続きを読む

PASSION(2008年製作の映画)

5.0

グズグズに絡み合った男女のだらしない関係性を描いて、ヒリヒリと切迫した情感を表出させており圧倒的。それぞれが隠していた他者への本音を吐露し、誤魔化していた己の気持ちと向き合う。そういった愚直な描写の積>>続きを読む

アシャンティ(1978年製作の映画)

2.0

人身売買という社会の闇を描いてるが切迫感はこれっぽっちも伝わってこない。壮絶だった「マンディンゴ」のたった3年後の作品なのに、このフライシャーの腑抜けっぷりはどういうわけなんだろう。そもそも何が売りで>>続きを読む

怪談昇り竜(1970年製作の映画)

4.0

筋は普通の仁侠映画だが、胡散臭い見世物小屋的なディティールが散りばめてあっていかにも輝男っぽい。とにかくこういうジャンルの作品撮るのに全然乗り気じゃないんだなってのがはっきり伝わる脱線ぶりと人物描写の>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

パゾリーニ作品はどれもラストが良いのだが、とりわけ本作のラストの衝撃は比類ない。

難しいことはよく分からないが、パゾリーニが理想と考えていた共産主義の実現を示唆する物語なのだとは思う。ただ彼の映画に
>>続きを読む

ズームアップ 暴行現場(1979年製作の映画)

4.0

これは結構よく出来ていて感心した。強引なとこもあるが、先が読めないヒネリの効いた脚本。目撃する側とされる側が入れ替わる展開が楽しい。ラストも決まっていて、小原宏裕の職人的な巧さを堪能。

刺青(1984年製作の映画)

3.0

ロングショット長回しに拘る曽根中生のスタイルは好みなのだが、ストーリーテリングが下手だというのも感じざるを得ない。木之元亮の一本調子な叫ぶ演技も没入を阻害する。冒頭の風俗レポなどは当時を記録した映像資>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.0

古い時代を現代的視点で見つめ直し、性被害者への抑圧の構図を浮き彫りにしているのが意義深い。独りよがりの男性性を女性側から批判的に描いた第三章が肝であり、その部分を際立たせるための仕掛けとして羅生門形式>>続きを読む

悪魔の沼(1976年製作の映画)

3.0

ドラマを生み出しそうな背景を持った登場人物が次々に何のタメもなくアッサリ殺されていく。なので物語がまったく形成されていかないというヘンテコな作りの作品。モーテルの場面の真っ赤な照明とか、異様な世界観は>>続きを読む

怪異談 生きてゐる小平次(1982年製作の映画)

4.0

尺を80分足らず、登場人物を3人のみに抑え簡潔極まりない内容だが、撮影はセットもロケもこれぞ怪談映画という雰囲気が充満しており緊張感が緩まない。低予算ながらも拘るべきところにしっかり拘り、みすぼらしさ>>続きを読む

八月の濡れた砂(1971年製作の映画)

2.0

嫌がって抵抗する女を無理矢理・・・って感じの性描写が一箇所ぐらいならまだしも最初から最後まで続いてさすがにウンザリ。こういう無軌道青春映画が「狂った果実」あたりからの日活の得意ジャンルだったことは了解>>続きを読む

インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

4.0

話も世界観も荒唐無稽としか言いようがないがこのいかがわしさが魅力的。ヒーローはいかなるピンチを迎えても絶対に死なないという予定調和の美学。徹頭徹尾中身ゼロのようだが、奴隷として扱われる子供たちの描写は>>続きを読む

嗚呼!! 花の応援団(1976年製作の映画)

4.0

漫画原作映画ならではのドタバタ描写が上映時間の大半を占めるが、やはり宮下順子や水原ゆう紀が絡む場面にこそ監督の持ち味が発揮されている。特に純情な思いが吐露される最終エピソードの不意打ちのような感動。後>>続きを読む

痴漢通勤バス(1985年製作の映画)

3.0

ポルノに三億円事件ネタを絡ませるという発想も面白いが、何より主演女優に結構危険(に見える)なアクションシーンをやらせていてびっくりする。この荒唐無稽でアホな作品のためにそこまでやる?という驚き。事件の>>続きを読む

江戸の悪太郎(1959年製作の映画)

4.0

いつもながらの勧善懲悪時代劇だが貧しい人々の連帯が描かれているのが好ましく、行き当たりばったりの舞台を皆でなんとかするところはマキノらしい群像描写が冴え渡る。大友柳太朗の歌いながらの殺陣も見所。

姉妹(1955年製作の映画)

4.0

性格や考え方が大きく異なる姉妹のそれでも尚深い絆を感じさせる描写も良いが、映画は特に妹の一本気な正義感に寄り添っており、彼女の目線を通じて様々な理不尽への憤りを伝えている。小事件を積み重ねていく作劇に>>続きを読む

吼えろ鉄拳(1981年製作の映画)

4.0

鈴木則文演出は馬鹿なほうに馬鹿なほうに面白さを追求しているので、真田広之がかなり体を張ったアクションを見せてるにも拘らず能力の無駄使い感が凄まじい。個人的にはそういうとこが大好きである。千葉ちゃんは登>>続きを読む

リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.0

冤罪の理不尽さもさることながら、主人公が終始ナメられ軽んじられているのが見ていて辛いが母親と弁護士の存在に救われる。やられっぱなしじゃなく一矢報いる展開もあるものの溜飲が下がるというほどのカタルシスは>>続きを読む

第三世代(1979年製作の映画)

4.0

ゴダール並に音の使い方が凝っているが、やはりファスビンダーにはファスビンダーの世界があると感じさせる作品。物語、台詞、人物描写など何から何まで不可解ではあるが、見せきってしまう力があるのは凄いと思う。

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)

3.0

前半はモブシーンを奥行きのある豪華な画面で見せていて南北戦争の描写の迫力なんか凄いが、後半はダレる一方。スカーレットが嫌な女であることは別にいいとしても、長々と時間かけたわりには周辺人物が不幸に見舞わ>>続きを読む