このレビューはネタバレを含みます
コーエン兄弟のいけすかなさをおもいださせてくれるくらいにはいけすかなくはないのだけど、てがみが3度も読みあげられ、てがみの予告どおりに、過去の蛮行を語るやつがバーにあらわれ、看板に火をつけたものはあっ>>続きを読む
切り替えし云々を無効にする、相手を見ないで詰める技術について弁護士が語るとき、フィクションとしてなにか不安定な位置を獲得しそうになるが、着地はきちんとしてしまう
メロドラマにきる舵を、おもいのほか力んでしまったがために、外部でおこっていることの扱いがどっちつかずになって、ロウソクに照らされるチャステインの顔が浮かばれない。
なんか全然好きじゃない。ソフビでばーんつって終始遊んでるみたいだったな。
むすめの登場シーン、コクリと頷くカメラに萌える。チャームな映画でこまった。
顔にのる表情で不条理があらわれでる魅力と、たとえば標的をネットで漁る場面にみられる露悪さの食い合わせが微妙。そうか、あたらしさかこれが。
各挿話が分断され、持続が困難になっている。理由のひとつは音の演出の過剰さにあるかとおもうが、関係性という糸を縒る、見るものの手をあらかじめ借りることが前提のような怠慢が致命的。
佐藤健は、実話に基づく物語に棲むエルフのよう。そして土屋太鳳の、フィクションへの特異なアプローチ支持。暗転から明けた朝のすばらしさ。
イメージやモチーフの隣接や反復につぐ反復をおそれない語りくちと、幼稚な道義と贖罪で、見るものを置いてけぼりにする。
各人物を正確にとらえた、また声の差異の小気味好い層があざやかな対話劇が、空間をぶつ切るような性急な編集にたよらずに、スリリングさを獲得している。傑作。
女優ふたりがよく走るが、走ることをたのしめるのは、せいぜいさいしょのほうだけで、じじつ、橋本愛さんの走り姿は、なりふりかまわないときにいい意味で不細工で好感がもてるものの、あまりにも走りすぎるので、こ>>続きを読む
バス停留所の品のない列演出やゴミを漁る子犬など、なんだこれはとひどい気持ちになる。池松くんの人物造形は後半へいくにつれて内面が2枚目になってゆくので、終盤の、おれといっしょだ、が序盤のそれ(私と)と呼>>続きを読む
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のりしろを余白だと言い張ってしれっと建てた国道沿いのモデルハウス。そこで、ゴズリングがなんと犬死するという奇跡がさいごにおこる。
語られていることを追うのを断念したときに、いままさにスクリーンでおこってることを、ただ見ていればいいという夢のような事態は、よろこびから遠くて、そうかあと。
ながくいっぽんの線を最後までバーホーベンに引かせてしまうお嬢はスペシャル。線の濃淡をたのしむ。
家屋内を撮ることのオブセッション、などにより、奥行きが潰えてゆく。フレームの外側を推測できるものはなにもない。はためくシネマスコープの世界で、地球は滅亡の危機をむかえ、愛がうたわれる。泣いた。
ジョッキのビールを眺めていて、ふいに、店内をみまわし、またビールを見るというような思惟的場面に、まったく意味合いを寄せつけない清廉さがあるいっぽうで、通勤路の、なんとまあきもちのよいこと。
かくすことをかくしすぎて、情感のおこしかたがいささか脅迫めくが、劇としてのおもしろさは損なわれない。そして、夥しい戸、戸、戸、さらに戸。
画面のほとんどを覆うはいだままの、計算外の形状の布団の塊のむこうで、計算づくの特別なことをおこそうとしており、興奮した。
脱力と束ねるにはあまりにもゆたかなじかんと、あざやかなおどろきがふいにあらわれる。
余韻をすすんでわすれたシーンのおわりと、シビれる省略が、性急さに与しない不思議。おおらかなモーションで放られる豪速球。ヤバい。
逃走車内でハンドル状のわっかをにぎっているだけのように見えるおとこと寄り添うおんなの窮屈さと、ソーロングソーロングつっていったんわかれてもどるところは思いかえすだにぐっとくる。
アクセルを踏みこんではハンドルをふりまわす目眩がするようなでたらめ、さいこう。
役者の切実さが、その強さゆえに風雪に耐え、むしろノイズになってしまうという。
ものがたりの全貌が容易にはあきらかにならず、ずりずりと終盤へ押しだされるよな快感。
弟子筋が奥さんにせまるところは、一人ごっつマネキンコントの源流といってさしつかえないだろう。
クロスオーバーを目論む色目のためにいろいろとりこぼしている。墜落してゆく飛行機からおんなを脱出させたあとの艶やかなトム!