aecomonoiさんの映画レビュー・感想・評価

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

原子力爆弾という大きなテーマと複雑な政治背景、専門性の高い技術用語などを映画として組み直したという意味では、構成と映像は文句の付けようがないくらいに良く出来ていた。

職業柄、自分の関わった研究が社会
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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

5.0

事実を映した映像と、それを説明する言葉で伝えるには充分である。
飾り立てた演出も、伝わりやすい単純な物語りに仕立てるための編集も不要である。

民間人が犠牲になっている状況を伝えて欲しいと頼む医師も、
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

美しい恋物語のように思えたが、冷静に捉えてみると、国境を跨いだ遠距離、仕事やパートナーの有無といったしがらみにがんじがらめになって自分の感情に従って行動できなくなった現代の大人の代表的な物語を描いたと>>続きを読む

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

2.2

108分の映画の中で多くの感情が変移していった。
傷ついたり、失ったり、「最後」だったり、死の訪れがないと人は大切なものに気付かない。
最近の映画やドラマは、どうやら登場人物にこういった格言を言わせて
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ゆるし(2023年製作の映画)

-

この映画に関わったすべてのひとに向けて。

映画というフィールドにこのような題材を持ち込むのであれば、「表現作品」として成立するようにしてほしい。でなければ、いくら内容が正しくとも「陳腐」に伝わってし
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ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

4.0

スクリーンの右端や左端にちらちらと映るネオンや、登場人物が動くたびに一緒に動く煙草の光が美しかった。

ヴィッキーが様々な男性との出会いのなかで、表情が変わっていくと共に彼女の生き方も変わっていった。
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.0

メディアにとある現象が出ると、演出が加わり、時に真実が歪んでしまうことがある。
周囲の人々がさまざまな角度からその現象を分析する場、例えば法廷では、事実を解き明かす過程のなかで、当事者の手からその事実
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

人間がこの世界に生まれ落ちてから、知識を得て、さまざまな人との出会いのなかで社会と理を知っていく過程の物語。
様々な要素が適切なバランスで成立しており、映像に映り込むもの全てに美学が宿っている。

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茶飲友達(2022年製作の映画)

3.0

「正しい」からこぼれ落ちるひとの希望になるのは「正しくない」とは限らない。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.2

「夜明け前が一番暗い」「朝の来ない夜はない」と夜にまつわる諺が多くあるように、夜があるから、朝がある。
休日があるから、平日がある。
悲しい時があるから、楽しい時がある。
そんな人の人生の揺らぎを穏や
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生きちゃった(2020年製作の映画)

2.0

日本「的」な家族の詰め合わせと、どこかで聞いたことのあるような台詞と、実際に起きた過去の事件で構成された、大層に退屈な映画。
大島優子の困り眉毛が気になってシリアスなシーンでも眉毛と眉毛の隙間から目が
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

一見変哲のない街でも見る側の意識次第で、楽しいことが潜んでいる。
たったひとりの人が側に居るだけで、人生の苦難の場面でも笑うことができる。
視界の中に明るい色があるだけで、生活が彩る。
夕食へのお礼に
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

触れるか触れないかの距離の人間関係でもその間に温かさがあれば、ひとりでも孤独や不安を感じることはない。
日々のほんの少しの幸せを見つけて愛でる心があれば、たくさんのお金や名誉など必要ない。

人に優し
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

2.0

あまりにもかみ合わない会話と全く異なる価値観。
世界と触れ、他者と話すと今自分がいかに同質的な人々の中にいることを自覚する。

だからこそ、旅に出る。

違いを通じて、自分の輪郭を確かなものにするため
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SEE HEAR LOVE 見えなくても聞こえなくても愛してる(2023年製作の映画)

1.3

あまりにも陳腐だった。

同監督の「サヨナライツカ」は何度も観返すほど好きなだけに残念。

未帰還の友に(2023年製作の映画)

2.2

ただお酒を飲むこと、ただもう一度会うこと、ただ恋をすること、ただ生きることがこんなにも叶わなかった戦争の時代を私たちは決して忘れてはいけないと改めて思った。
平和と資本主義と大都市しか知らないことを恥
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.6

すべてが<愛>で満たされていた。
食、調理、道具、調度品、家具、恋愛、友愛とすべての対象とその間において<愛>が在った。
その充分なまでの<愛>を受けて、足りないわたしも満たされる。

映画を観ている
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市子(2023年製作の映画)

4.3

一寸足りとも救いの入る余地がない。
「感情移入できた」という言葉を軽々しくは言えない。
あの目を持つひとの心に容易く触れられるとは思えない。

キリエのうた(2023年製作の映画)

4.3

観終わったあと、無性に歌いたくなってカラオケに行ってみたが、当たり前にキリエのようには歌えなかった。
似合わないことをするもんじゃあない。

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