mikuさんの映画レビュー・感想・評価

miku

miku

映画(657)
ドラマ(0)
アニメ(0)

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

-

この静かな街では学ぶことと文化が欠落しているよう。持つ者は知識を揚々と語り、持たざる者は姿の見えない何かに焚き付けられてわけもわからずに暴動を起こす。無知とそれにもたらされる不安が最大の悪。静けさから>>続きを読む

おなかすいた、寒い(1984年製作の映画)

-

いかれた行動の繰り返しなのになぜこうも欲望が満たされるのか。恋がしたい女の子の振り返り即ビンタ。レストランで大声で歌いだしては食事を奢られる。結局はマリアデメディロスがかわいすぎるからです。かわいい女>>続きを読む

ある日、ピナが…(1983年製作の映画)

-

男女のリフトが激しくぶつかり合う、そういう衝突と愛と憎悪が極限に達しておんなじになっちゃったところ。生きることは踊ることで、踊ることは生きること。ただ暮らしているすべてが踊りになっちゃうみたいなそんな>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

-

この31年の間にエリセの新作を見ずにいなくなった人がどれだけいるのかな等と考えてしまう。もう一度会おうとしたって会えない人なんかたくさんいるもんね。人との再会は会わなかった時間を悔いたり、会わなかった>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

-

何年も人の後をつけていく、その尋常ならざる感情はどんな決定的な出来事に起因しているの?それがこちらにはまったく伝わってこないから、分からないってだけでそこで感情が止まってしまう恐れがあるね。わからない>>続きを読む

ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版(1974年製作の映画)

-

はい大好き。急に貧困でつらくなっちゃうね。これを見ていると、都会なんてダメで田舎が最高!という気持ちにさせられるけど、一度都会に来ちゃったらもう田舎になんか帰れないんだよ、きっと。遠征で見つけた女、物>>続きを読む

ガッジョ・ディーロ デジタルリマスター版(1997年製作の映画)

-

寒そうな雪道をざくざく歩く足音が聴こえてきただけで劇場で観てよかったと思えた。ロマの音楽を探し求めてやってきた集落。彼らの悲哀なんてなんにも知らなかったことに直面したらわたしは何を思うのか。あの粗悪そ>>続きを読む

Winter boy(2022年製作の映画)

-

17歳ってただでさえ心が不安定でぐらぐらなのに、決定的なことが起きてしまったらもう揺らぎを止められない。気晴らしのために行ったパリはもっとキラキラしているのかと思ったらぐちゃぐちゃだった。好きになった>>続きを読む

浮雲(1955年製作の映画)

-

あんなどうしようもない男に本気になったら負けだから、もっと軽い気持ちで向き合えたら楽しい人生だった。と、口ではいくらでも言えるけど、当事者になってしまったらそんな風にはいかないよね。奥さんがいなくなっ>>続きを読む

バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

-

冒頭しばらくの斜めに捉えたカットのあざとさに心折れかけた。いい話を受け止められないわたしの心の汚れよ。あのカフェは全然お客さんが来ないからこそいい場所なんじゃないの?と思ってしまった。「仲が良すぎるわ>>続きを読む

吸血鬼(1932年製作の映画)

-

大きな鎌を担いで歩く男が一番怖いけど、結局なんなんだか掴めないまま進む怖い夢みたいだった。影が実体の元に帰っていくのとかどうしたら思いつくのだろう。女の子の顔付きの不気味さに、ドライヤーが顔を美しく撮>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

-

寄るべのない世界にも光があるんだってことを信じさせてくれる。どこにでもありそうで無い出会いと、希望と、それに伴う地獄もわたしにも起こるような気がする。地獄のあとには、落ち葉を踏んで歩くみたいな日々があ>>続きを読む

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

-

リハーサルを繰り返すことで生じる役者の身体の変化を撮る。そこにわたしの関心はなかったから、ろくに観察できなかった。だから繰り返しにうんざりするだけだった。うんざりさせるのが目的じゃないのに、結果うんざ>>続きを読む

氷の花火 山口小夜子(2015年製作の映画)

-

学生時代のご友人の方と「セブンティーンを読みながら早く17歳になりたいねって話してた」って、わたしもいつかそんなこと言ってたなって思うとなぜか泣けてきそうだった。山口小夜子さん、あんなに奥ゆかしくてミ>>続きを読む

ラスト・ダイビング(1992年製作の映画)

-

見ているときはあの連続サロメのシーンがなければ100点満点だと思っていたのに、時間が経つとやっぱりあのシーンはあった方がいい気がしてくる。無音で踊る女をよく見続けられたなっていう謎の達成感さえある。結>>続きを読む

素敵な歌と舟はゆく(1999年製作の映画)

-

犬よりも目立つのは鳥だけど、やっぱり犬が好き。イオセリアーニって絶対犬好きだよね。郊外の豪奢な家から船でお出かけするのも、つけ外し式のローラースケートで街を巡るのも、ワインを片手に犬を連れて森に入るの>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

-

夫にこわされゆく女。退院してすぐの妻に片付けをさせるとか、人前で怒鳴りちらすあたり、お前が正気なのか。不器用な愛だとかそんなの生優しすぎやしませんか。この男のそばにいても永遠に元気になれない。妻がどん>>続きを読む

きのう生まれたわけじゃない(2023年製作の映画)

-

麦とホップとレモンサワーと、おじいさんズ。そこにいなかった人が本当にいなくなるってどんな感じがするのかわからない。そこにいても空気みたいに扱われる気持ちはわかる気がする。結局人は人の優しさの上で成り立>>続きを読む

階級関係 -カフカ「アメリカ」より-(1984年製作の映画)

-

未完の物語を未完のまま放り投げてくる。話の継ぎ目がぶつ切り。ドイツ語もおそらくぶつ切り。偉い人は奥に、そこに楯突く人は部屋の入り口に。お決まりの構図を繰り返す。どいつもこいつも理不尽だね〜。建物を下か>>続きを読む

ひみつの花園(1997年製作の映画)

-

お金を得るためにお金を使いまくる女の話。大いなる矛盾、大いなる野望。実家で勉強なさったら?っていう野暮なつっこみは置いておいて。貯金が趣味だなんてわたしにはまったく理解できない人生に、打ち込める何かを>>続きを読む

秋のマラソン(1979年製作の映画)

-

ウォッカ飲め飲めハラスメントときのこ狩り。嘘に嘘を重ねて取り返しのつかなくなったおじさんの、永遠の不倫。女からもらったジャケットなんやねん。異世界に連れて行ってくれそうな長いエスカレーターに胸掴まれた>>続きを読む

くちづけ(1957年製作の映画)

-

爆速ラブコメ'57。気づいたら水着になってる男と女はさすがにすごい。速度が異常。留置所の面会で出会った恋だなんて、かつて見たことがない。個人情報ガバガバの昭和。競輪で当たったお金で食べたライスカレー。>>続きを読む

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

-

なんでそうなるのレオー。言葉の全てが薄っぺらく心の中にとどまらない。大真面目にカフェで語ってもなに言ってたかなんて、ひとつも思い出せない。愛とか言ってんじゃないよ。そして、あんなかわいい顔で一目惚れし>>続きを読む

サンタクロースの眼は青い 4Kデジタルリマスター版(1966年製作の映画)

-

ダッフルコートが欲しくて楽そうなバイトをするレオーってだけで大好きに決まってる。本を盗むレオー。売春宿へ駆け込むレオー。レオーがパリの街をぶらつくだけでそれはもう映画なので、これは好きで好きでたまらな>>続きを読む

わるい仲間 4Kデジタルリマスター版(1963年製作の映画)

-

下り坂を転げ落ちるように消えていくろくでなし。無駄に逃げ足が速くて大笑い。男2人が女の子をナンパしてもろくに相手にされず、挙句キレて財布を盗む。ゴミみたいだね。俺意外とイけてるよな?に対して照明のおか>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

-

好きな服着てお酒を飲み歩いてなにが悪いの列伝。酒を飲むというだけの理由で片道切符でベルリンに行っちゃうし、歌いたくなったら歌う。人間こんな感じに生きられたらいいよね。グラス割りまくりで気分がいい。挨拶>>続きを読む

真夏の夜のジャズ 4K(1959年製作の映画)

-

アニタは最高。マベリア・ジャクソンが夜を締めくくる。すんごい伝説たちがたくさん出てるのに、そのライブ映像じゃなくて、それを見ずに過ごしている人たちまで映っているのが良かった。これを観て以来、赤いニット>>続きを読む

アデュー・フィリピーヌ 2Kレストア(1962年製作の映画)

-

フィリピーヌ遊びで大笑いできる感覚とか、あの石だらけの場所でピクニックとか、決して楽しそうじゃない遊びがむしろ眩しい。気づくと女の子が不機嫌になっている。わかるわかるよ。それで成立する関係性が愛おしす>>続きを読む

バルドー/ゴダール 2Kレストア(1963年製作の映画)

-

いちいち男に抱き上げられて移動するバルドーがなんかもうすごい。こういうところなんだよな、いまいち好きじゃないの。

パパラッツィ 2Kレストア(1963年製作の映画)

-

勝手に撮った写真に、あることないこと書き添えて公にしてしまうのは今の時代も同じね。ろくでもない男たちに向けられるロジエの視線の中にほんの少しの悲哀を感じたのに、バルドーのドアップを繰り返し見せる高度な>>続きを読む

メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

-

電車にかけ乗ろうと走る女を追った冒頭で名作が約束された、と思ったのも束の間、こいつら何やってんだろうの無限の繰り返しだった。出勤のためにこんなに必死になるフランス人を、かつて見たことがない。何回船乗り>>続きを読む

アーカイブ・タイム(2019年製作の映画)

-

フィルムの保存は有限であって、それらを救い出すことにもまた時間と労力がかかる。名作であってもそうでなくても、フィルムの中に封じ込められた真実を残す人たちの美しさ。わたしたちがリマスター作品を観られるこ>>続きを読む

不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

-

とにかく差別差別差別という感じで心がヒリヒリしながらも、これを見ている自分にも差別的な感情があることを目の当たりにする。特に同僚に夫の身体を触らせたりするキモさにおばちゃん(ああ、わたしも行く道なのに>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

-

爆発に次ぐ爆発。強かで割り切った女のイかれた終末。なぜ彼女のような女があんな死に方をしたのか、私にはわからない。ガスを消し忘れるほど愚かとは思えないし、自殺することを選択する女とも到底思えない。待ち続>>続きを読む

海辺の一日(1983年製作の映画)

-

ずっと会っていなかった元恋人の妹の13年間を聞く。大切な人はもうそこにいない。その事実も、すべて自分が選択したことに起因すると気づかせてくれる優しさがある。テリー・フーが暗い場所で煙草を吸ってから、こ>>続きを読む

豚が井戸に落ちた日(1996年製作の映画)

-

デビュー作にして酒の席でキレる暴れるの最上級みたいなのが出てきて大笑いした。断り続ける女性にしつこく酒を勧める時点でご退出願いたい。なんならお前は呼ばれてない。くだらなくてだらしなくてみっともない愛み>>続きを読む

>|