二人の些細なトラブルが国全体に広がる暴動へ発展する様子がリアル。見るうちに、アラブ社会の複雑な社会背景も浮き彫りに。社会問題とエンターテイメントの融合が素晴らしかった。
内戦後レバノンの建設現場で働くシリア難民の姿を映す。「24時間、ベイルートは私達の上にある」という言葉が重い。
戦争で破壊されるシリアと、発展を遂げるレバノンの対比的なシーンが随所に散りばめられる。>>続きを読む
死の別離を、死者の側から描いた作品。愛する人と思い出の家を忘れられず、その場に留まり過去に執着してしまうC。記憶の旅の果てに何を想ったのだろう。見終えた後にも余韻が残る。
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鑑賞直後は「え、これで終わり?」と拍子抜けしたが、考察を深めてゆく中で納得。
一言でいえば「何事にも打ち込めない青年(宏樹)が親友で尊敬の対象だった桐島の存在を失い、自分の好きな物事に熱中する同級生>>続きを読む
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"霧の中の密室"という設定を活かして、集団で恐怖状態に置かれた際の人間心理をうまく描いてました。奇しくもコロナウイルスが蔓延した現在の社会と重なる側面も.......。
<映画のテーマ>
・得体の知>>続きを読む
5-10分に1回恐怖シーンを強制的に作り出せるのでだれない仕組み。
前半30分は純粋なホラー、後半1時間はサスペンス要素と主人公の成長物語とちょっとしたロマンス。仕掛けとして斬新で面白い映画でした。(>>続きを読む
都合のよい展開なんて皆無で、主人公たちは己の弱さに流されるし、行き詰まる。それでも容赦なく日常は、人生は続いていく。
「まーちゃん俺たち終わっちゃったのかな?」
「ばかやろう、まだ始まっちゃいねえよ>>続きを読む
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「Fukushima50」で引っかかった点を3点挙げます。
第一に「福島原発事故発生時のドキュメンタリーを商業的なエンタメ映画にしようぜ」というコンセプト。
第二に「現場にいる俺たちが国を守るんだ>>続きを読む
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「どん底で終わるより一夜の王になりたい」
孤独な男性の狂気的な承認欲求と、なぜ人はコメディを求めるのかを描く作品。
現実と妄想がごちゃごちゃに描かれ、徐々に妄想が現実を浸食してゆく。
最終的には>>続きを読む
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主人公の暴力性が思わぬ形で暴発してヒロイックに仕立て上げられた。しかし根本にある優生思想は非常に危険。
日本にもこれに近い状態に身を置く人がたくさんいるかもしれない。どうしても他人事とは思えないテー>>続きを読む
螺旋模様を描く映画だ。信じていた居所を失い、そこから走り出して、旅を経て、元いた所に戻る。でも、一巡りした後は決して同じではない。全く新しい、熟した関係を結び直す。
人間の条件とは何か。その問いを画面いっぱいの暴力とベートーベンの音楽が照らし出す。善か悪か、社会は白黒はっきりつけたがるが、人間なんて誰しも善悪入り混じった存在である。欲求の発露による暴力と欲求を抑え>>続きを読む
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2022.08.27
☆4.6
初めての鑑賞から約2年半。
全く映画の見え方が違いました。
まだCGもない時代にどうやってこの映像を撮影したのか。初見では難解だったシーンも今見返すとすべて映像でストー>>続きを読む
人類滅亡の危機を前に遅々とした議論を続ける為政者、ホロコーストの引き金となった選民思想への皮肉をブラック・コメディへ昇華した映画。「この映画はフィクションです」って前置きがむしろ滑稽。
真実を追う記者、不正を隠蔽する官僚の対立構造にもう少し深みがあると面白かった。ラストシーンは結局、立場を異にする二人はお互い交われないことの示唆か。
(と思ったら森友事件の顛末が「新聞記者」の映画内>>続きを読む
普通の大学生が非日常に焦がれ、強盗事件を起こすまでを描く。
実行犯4人(本物)の語りは所々食い違い「人は自分に都合の良い真実を語るもの」と皮肉ったメッセージを伝える。
シネ・リーブル神戸のレイトショーで鑑賞。「現実よりフィクションに真実味を感じる」徹底した現実主義者の彼が小説にこだわる理由がこの一言に集約されていた。確かにサリンジャーの作品は、嘘がひとつもない虚構だ>>続きを読む
少年少女が世界の命運をにぎるいわゆる「セカイ系」が苦手なので、新海誠監督の作品はハマらないことが多いんですがこの作品は抵抗感が少なく好みの部類でした。
キャラクターの描き方、映像美は申し分ないです。>>続きを読む
インドとパキスタンの国際事情、宗教の違いを背景に描きつつ、血の繋がりのない2人の愛と絆を描いた物語。素敵でした。
胸焼けする程の自己陶酔感と色気に満ちた映画。道徳観云々はさておき、太宰治はやっぱり物語映えするし、何かしら人を惹きつける力があるね......。映画のラストシーンで太宰が水の中でかっと目を開いた瞬間、>>続きを読む
寿命に拘る社会批判、「人間失格」のキャラクターの再解釈、SF要素とセカイ系を一挙に詰め込みすぎてストーリー崩壊。
「人間失格」に対する「人間合格」という概念がとにかくダサい。(良い点を挙げるなら声優>>続きを読む
死に直面したとき残された時間で何をするのか、考えさせられた。死にゆく母が繋ぐ家族愛に溢れた作品。
(3年程前に鑑賞した作品なので、今見直したら評価が変わっているかもしれない)
見終えた後じりじりと余熱が引いてくれない。若者が置かれる環境や渦巻く無力感、それが爆発したラストシーン。
村上春樹の原作「納屋を焼く」をなぞり、フォークナー「Barn Burning」を手に取り、フ>>続きを読む