あべさんの映画レビュー・感想・評価

あべ

あべ

ペルシャン・レッスン 戦場の教室(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

しみじみと良い映画だった...。
奪われた命の名前を覚えているか?という問いかけと犠牲者の名簿が燃やされていくところから映画は始まっていく。
名を覚えない彼らへの対抗としてユダヤ人の名前から偽のペルシ
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渚にて(1959年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

静かにゆるりと終わりに向かって生き続ける。ずっと悲観的なムードではなくむしろ普通に粛々と生活している中、時折それが崩れる瞬間が非常に良かった。

「たまらないんだ」と。
グレゴリー・ペック、とても好き
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.8

思ってたよりもかなりしっかりとパイロットを描いていて機長としての責任と覚悟が熱いお仕事映画でもあった。ちょっとなめてました。
そしてたまたま居合わせた殺人犯との短くも確かなリスペクトの応酬。渋い。マイ
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.2

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冒頭の見上げるショットからググッと引き込まれる。枝葉の重なりが、カメラがゆっくりと動くだけであんなに豊かな映像になるんだな...。石橋瑛子の劇伴も相まって素晴らしいシークエンスでした(それに相対する最>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

本当に素晴らしかった。
生と死、過去と未来が共存するこの不確かな世界において、頑然と存在する「孤独」の実在感とそれに対抗し得る愛の姿。
これだ、これこそ私が映画を見る理由であり心を奪われ続けるものです
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

どれだけ鍛えてもどれだけ体を痛めつけても心の傷と哀しみは消えないんだよ、ということを懇切丁寧に描いていて良かった。
あまりにもあんまりな悲劇の連続に絶句し、泣きました。

哀しみを無視し続けた先にいる
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.7

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見ていてじんわりとしたしんどさが全編に。それでも景色とYo La Tengoのおかげで最後まで見れた。
何もかも古びて変わっていくがそこには確かに喜びがあったと。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

私が映画を見る中でとても好きな瞬間が、役者の顔に一瞬の内にありとあらゆる感情がごちゃ混ぜになった表情が写るところなのですが、あのラストシーンで泣いてしまいました。
あまりに多くを語る沈黙。
とても、と
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

3.9

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結局殺してないし、男女といってもなんだかんだ行動を共にせざるを得ないだけだし、料金所は抜けられず自分の街から出ることができない。
このどうにもならない雰囲気がとても良いし、そんな雰囲気がずっと漂った上
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

心の底から面白かったです...。
ずっと懸念してたような作品じゃなくて良かった。この作品が日本で公開されてよかったなと思った。
音、音がとにかく素晴らしい。

ノーランにしかできない方法で、アメリカと
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マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.8

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ゲラゲラ笑えるたのしいロマコメ。ミスティーク以外ほぼ見たことなかったジェニファー・ローレンス!理想的年上おねーさんだ...。すごい爽やかな終わりでよかった。

ラスト・リペア・ショップ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

大人たちの各々の人生の苦難と、救われた子どもたちの明るい希望の対比。その軸にあるのは楽器であり、音楽であり、彼らのこれまでとこれからが共存する最後の演奏には思わずウルっときてしまった

夕陽のガンマン 4K復元版(1965年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

一見公平そうで不利な決闘をオルゴールの音で繋ぐ、画面外から現れるイーストウッド、己のガンベルトを託し仕切り直された決闘。そしてあの表情だけで全てを語るリー・ヴァン・クリーフ。
このシークエンスを本当に
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荒野の用心棒 4K復元版(1964年製作の映画)

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真っ赤なオープニングアニメーションと一音目を聴いた時点で鳥肌。
これを4Kスクリーンで見れたことに、劇場の音響で聴けたことに感謝です。

4Kに復元されたことでレオーネ印のクローズショットがとんでもな
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.2

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メキシコ国旗を見てようやく真っ赤なスーツと全てを塗り潰すような緑のペンキがこの国を表していることに気づいた。
オープニングの淡々と映し出される強烈なイメージに期待を膨らませていたのだけど、期待以上のも
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.9

いつもの人たちがいつも通りいて楽しい。
私はウェス・アンダーソンの映画に出てくるジェイソン・シュワルツマンを見るたびに天才マックスを思い出してほっこりしちゃいます。

π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

ドラムンベースでハチャメチャ時代を感じる。
ホエール見て期待してたけどそこまで期待は超えず。ただ、太陽を目に入れたばっかりに魔に魅入られてしまった彼が、その才能と運命、執着を手放す着地がかなりグッとき
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

密室劇。主演と掛け合いしていく4人の来訪者。それぞれが抱える怒りと哀しみと後悔、宗教的葛藤と倫理的葛藤。
受け入れがたい言葉に背を向ける動作や、肩に手を置くのを躊躇する手の動き。彼らの所作、一挙手一投
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.5

ムビチケ買って準備万端だったけど3時間見て最終的に何とも言えない気分で帰るのヤダなあとか思ってギリギリ滑り込みで見た。
やっぱり超面白かった。
のっけからこれは劇場の音響で見て正解だと思ったな。ずっと
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

結婚して家庭を持つということは人生を共有せざるを得ないのであり、夢も目標も仕事も何もかも他人事ではなくなってしまうのだなと。ゴーンガールを思い出した。

法廷劇としてかなり真っ当に面白く、次々に新しい
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

ソニー特有の絶対にこの先のこと何も考えてないポスクレシーン大好きだったので今回なくて寂しい

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

求めてたものがそのまま出てきたので非常に満足です

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

主題は皮肉的な物語でありつつ意外にも家族との不和に向き合い成長していく、というわりと見覚えのある作品でもあった。
これは他の人の感想を見て気づいたことだけど、見覚えがあると私が思っていたものはすべて白
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小さな修理屋(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

中盤までこれはどういうお話なんだろう、ホモソーシャルをこれから解体していくのか?と思ってたら、ラスト30分180度方向性が変わりあまりに切実なテーマになり一気に目が離せなくなってしまった。

あんまり
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ケイコが良かったので期待してたけど本当に良かった。
記号としてのキャラクターではない、人間が描かれている。こんなあたたかな作品が日本で作られたということがとてもありがたい。フィルムグレインの温かみがす
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.9

大傑作だ...。
凄い凄いとは聴いていたけどここまで凄いとは...!緻密に計算され何度も何度もリハーサルしたことが窺える、見事なショー・パフォーマンス。
コンサート映画としても傑作だし、そこには物語が
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

今まで見たどんな西部劇よりも生きた西部の雰囲気を感じた。それは画面の中の生活が息づいていたからかも。
キノコを摘み火を起こし箒で掃く...など。穏やかに流れる時間の中カメラに捉えられ続ける、なんてこと
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

3.6

ちょうどよ作品だ。
セットっぽさや悪の組織の戦闘員みたいな敵から漂うニチアサ感。

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