andesさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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運び屋(2018年製作の映画)

3.7

ずっと「遺作」を取り続ける男、イーストウッドの2018年作。どうやら実話ベースらしくビックリ。全体的なトーンはいつものイーストウッドで「軽くない佳作」といったところ。
主人公アールが基本的にクズよりで
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博奕打ち 総長賭博(1968年製作の映画)

3.8

観る前から、ある程度面白さが担保されている映画。キャストと監督で退屈しないのことが確約されている。逆に言えば、プログラム・ピクチャーで鶴田浩二も若山富三郎も「いつもの感じ」ではあるが、この雰囲気を否定>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

不気味さとユーモアが同居した作風に磨きがかかり、今回は輪をかけて説明が少ない。SF映画ながら荒唐無稽で突っ込みどころは多いものの、演出が上手く引き込まれる。
多くの「地雷」をギリギリ回避できているのは
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

2.6

正直、かなり長く感じた。劇中、何回か「なんの映画を観ているんだっけ」と自問する作品だった。
そもそもの話、「クローン人間」「遺伝子組み換えイナゴ」ってジュラシック・パークでやる必要があるのか。「恐竜と
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妻は告白する(1961年製作の映画)

4.0

サスペンスっぽい雰囲気から愛憎劇へ。各々のモノローグと回想で進む前半はテンポ良く、若尾文子の底しれぬ雰囲気がスリリング。徐々にヘヴィな色恋にシフトしていくので、前半後半で印象がかなり異なる。増村保造の>>続きを読む

ヒルコ 妖怪ハンター(1991年製作の映画)

3.2

諸星大二郎原作まさかの映画化。主演はジュリー。なんで、この企画にゴーが出たのかわからないけど、バブルの徒花でしょうか。塚本晋也が何故抜擢されたのかもわからない。
妙な緊張感と女優を美しく撮るのは監督の
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.1

オマージュ満載のCG全開娯楽作。オタクのための映画でありながら、万人向けにできたのはスピルバーグならでは。こんだけ飽和した情報をまとめたのは、まず流石。ただ、大味で予定調和、ご都合主義っぽさはどうして>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

2.9

誠に時代性を捉えた映画。ジェンダー、me tooなど、ホットな話題をいち早くピックアップしているが、映画としては際どい。バランスが悪いというか、ヒロインが「どういう人」か掴みづらいし、リアリティライン>>続きを読む

C.R.A.Z.Y.(2005年製作の映画)

3.8

思わぬ拾いものだった、ジャン=マルク・ヴァレの初期作。甘酸っぱい青春ものと高をくくっていたら、真に迫る家族モノであり、アイデンティティの確立の物語でもある。主人公の出自や提示される「信仰」のシンボルな>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.0

聾の要素に引っ張られそうになるが、そもそもベタな話で青春もの。『リトルダンサー』(2000)との類似点も多い。悪い映画ではないけど、批判し難い要素があるだけで実際は並の映画である。
一つ見落としてはい
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

3.5

カンバーバッチなので、割とすぐフィルの性質には気が付く。ただ、単純なジェンダー映画にならなかったのは良い。現代的な映画であるが、普遍的な「不寛容」「無理解」を根底に「強さ」の意味を突く作品。
劇中ほと
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時をかける少女(2006年製作の映画)

3.0

シーンとしての面白さ、というかエモさはあるので飽きはしない。タイムリープと恋愛モノを上手く(?)絡めたのもまぁ悪くない。ただ、けっこうギリギリの作品である。
謎のオレンジ髪の美青年をはじめキャラクター
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テキサスSWAT(1983年製作の映画)

3.4

SWATは関係なし。冒頭からノリスを象徴すると思われる狼が出てくるが、本編はあまり一匹狼(ローン・ウルフ)でもない。一応家族にも愛されているし、上司部下にも恵まれている。まぁ、彼の仕事の風格(スタイル>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

3.5

15年くらいぶりに再見。ニューシネマとか歴史的意義とかを取っ払うと、宗教的なロードムービー。意外や意外、ヒッピームーブメントに対する疑問もあり、本当の「自由」を問う(問おうとしている)作品。
結局、ア
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

前作より高い点数を着けるのが適切なのかはわからないが、続編として意味のある映画。そしてトム・クルーズの生き様を見せつけられる作品。
イーストウッドやスタローンもそうであるように、トム・クルーズも映画を
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トップガン(1986年製作の映画)

3.4

前見たのがいつかわからないくらいの再見。軽いMTV映画って印象だったが、思っていたよりちゃんとしていた。意外と演出は控えめな所が多く派手ではない。訓練場面がほとんどなので、スポコンや学園モノみたいな青>>続きを読む

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)

3.8

10年ぶりくらいに再見。当時はジブリに期待していた整合性やディティールがデタラメでガッカリしたが、「風立ちぬ」までのキャリアを知ってみると悪くない。むしろ欲望に忠実で、なにより画で語ろうとしているのは>>続きを読む

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)

3.5

後進への影響大の名作SF。今から見るとレトロフューチャーなデザインが素晴らしく、美術・セットだけでも楽しめる。原作は未読なのでセリフがどこまで引用されているのかは不明だが、広島への言及は驚いた。20世>>続きを読む

アネット(2021年製作の映画)

2.8

あまり必然性を感じないカットが多い。カラックスは個人的な映画ばかり撮るが、今回は微妙。冒頭でのナレーションと御本人登場から自意識が悪い方向に出ていると思う。変な演出で変な映画だけど、ストーリーはシンプ>>続きを読む

ジャッキー・チェン/ドラゴン特攻隊(1982年製作の映画)

3.2

「いったい何の映画を見てるんだっけ?」と自問する1時間半。分裂症気味の展開が続き、乱暴なカッティングが不思議なドライブ感を生む。今じゃ撮るのが、いろいろと無理な映画。ジャッキーは脇役と事前に分かってい>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.6

非常に静的な映画のようで、構造的には凝っている。戯曲の台詞がモノローグの様に心情を説明するし、第4の壁と対峙するショットも多く、映画自体「演劇」を強く意識させる。つまり、作中の「不自然は台詞回し」は構>>続きを読む

トラック野郎 天下御免(1976年製作の映画)

3.9

シリーズ初見。荒唐無稽で強引な展開だが、感情には忠実に演出しているので油断してると感動してしまう。豪華キャストを観てるだけで飽きないお得感がある。変な映画なのに要所で重いのが印象的。愛川欽也は儲け役だ>>続きを読む

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

4.3

断片的なエピソードが連なる一年(?)の物語。自身の少年期を回想したと思われるが、「想い出」なので繋がりも曖昧で幻想的なシーンも多い。ここではファシズムもおっぱいも豪華客船も母の死も綿毛も全て「想い出」>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

3.7

数人で7年かけて制作したという周辺情報を差し引いても魅力的な作品。ビジュアルで引っ張る作品で斬新な印象を受けるが、設定はオーソドックス(分かりやすい階層社会)。ただ、それがマイナスではなくギリギリ普遍>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

2.0

いろいろと疑問が残る。誇大妄想を暗示させる場面がありながら上手く機能していない(現実なの?というスリルはない)。リアリティラインが不明確で、シリアスな演出にもかかわらず、劇場や精神病院の警備が甘すぎる>>続きを読む

ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート(2022年製作の映画)

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「ライブ」としてまとまっているのは昔から出回っている「レット・イット・ビー」版。こちらはあくまでもドキュメントで現場の空気感を味わう作り。それでも音と映像がクリアになり発見も多い。ポールがやたら気合入>>続きを読む

そろばんずく(1986年製作の映画)

3.7

一般的には失敗作なのは理解できる。ただ、「時代性のパロディ」として見たときに、とんねるずと森田芳光の組み合わせは成功しているように思う。シュールで軽い演出は「80年代の狂騒」を良く表しているし、とんね>>続きを読む

地獄のデビル・トラック(1986年製作の映画)

3.3

珍作といえば珍作だが、しっかり怖い描写もあり悪くはない。いろんなトラックが出てきて楽しめる。ac/dcは最高。多分、シーンとあってない場面も相当あるけど。新婚2人組の序盤の見せ場が良い。

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.0

前半はかなりキツかった。ヌルいし笑えないユーモア、アホなガキ、過剰に風刺する演出。外したと思ったが、ゲシュタポ登場からハードな展開になり持ち直した。主人公が「不具」で優勢思想のナチでは被差別対象となる>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.4

もともと、その傾向があったが、技巧過剰である。自家中毒に陥っているような気もする。情報量が多く飽きはしないし、1シークエンスの上手さは流石。ただ、凝りまくった映像の中に、印象的な「ショット」は少なかっ>>続きを読む

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)

3.8

霧の動きが良い。風や海も怖く、映像表現として正しい。良く考えると機械がおかしくなったり、ガラスが勝手に割れたり、「霧」の効能があやふやだったり、最後があっけなかったりするが、まぁ見ている間は問題なし。>>続きを読む

海底王キートン(1924年製作の映画)

3.9

ストーリーは単純だがアイデアは多彩。当時の限界に挑戦した水中撮影は素晴らしい。船の揺れを駆使したギャグの数々はとても映像的。セーラー服姿のカップルも微笑ましい。ロマンスに振れないラストはキートンらしい>>続きを読む

生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

4.5

短すぎる、と思うくらいにリズムが良い。単純に面白いシチュエーションが続くのでシンプルに楽しめると同時に、とんでもなくラディカルなユーモア。反ナチ、プロパガンダ的側面もあるが、根底にあるのは普遍的な芸術>>続きを読む

ガートルード/ゲアトルーズ(1964年製作の映画)

4.4

静的な印象を受けるが、揺れ動く心理描写はスリルがある。男性は皆情けなく、ゲアトルーズが求める「愛」は成就することはない。そもそも、その「愛」は叶う類のものなのか。交わらない目線、鏡の使い方、長回し、な>>続きを読む

霊魂の不滅(1920年製作の映画)

4.2

多重露光を駆使した幽体離脱シーンは白眉。時系列が行き来する展開も振り落とされないように興味が持続するドライブ感がある。主人公のクズさが相当なので感情移入できるかギリギリのラインだが、シェストレム自身の>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

4.2

「裁かるるジャンヌ」ほどではないが、やはり顔である。どんな人物か、何を考えているか、その都度顔面で示される。アンネをはじめ、女性の能動的な意志がスリルを生む。