樅さんの映画レビュー・感想・評価

樅

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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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いきてはたらくなかで暗闇からでてゆく穏やかな映画だった。髪を切るシーン。故人の声が流れるカセットテープ。エンドロールまでが本編という感じで、エンドロールに"夜明け"を感じた。

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

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ホームビデオの誕生日ケーキのろうそくの火。終わってしまう花火。団地のうつろな現在の様相は、幸福なかつての映像の数々を映すためにあったのかなと思った

王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

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あるいはその家について、の"イエ"の閉塞の暴力についてシーンの反復によってこれでもかというくらい描かれていた

個人と個人の王国と、家の作る王国の違い、個人同士の関係が家の作る王国に排除されること、こ
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きのう生まれたわけじゃない(2023年製作の映画)

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演技体のせいもあって言葉自体は悪くないのに俳優から発せられているのは嘘の言葉だ、となぜか思ってしまった バッドバイブス

東京暮色(1957年製作の映画)

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小津映画、画面以外にバイブスが合わないかもだが、いい画面になるときの画面が良すぎる

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

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決まるシーン、カットの決まり方がものすごく、特にラストアル中女が倒れて雑踏に存在を覆い隠された場面から転換して、鏡を踏み割りながら歩く場面になったのがすごかった
アル中女が基本喋らないのがよくて、酒を
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

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待ち続けていた老人に来るはずのないバスが来るシーン、ここではないどこかへ連れてってくれる奇跡みたいなものを、切実に望んでいた日々のことを思い出した
モラトリアムが終わったあとの日々みたいな中盤の、"生
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

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ものすごくミソジニー映画ではあるのだけど、少なくとも今はミソジニーに抑圧される女性の内面を克明に描き出しているように見える

メイベルが"ヒステリック"な表象の範疇にある中で、ニックの言動もなかなかめ
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眠る虫(2019年製作の映画)

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目に見えないものの気配が丹念に追われた映画ですごくよかった
葬式の場面をぼやけた映像と音だけでやるの好きだった
本編だけじゃなくてエンドロールの映像もすごく好きだ…

ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

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淡々と進むのに、エヴァはここではないどこかへ行きたいんだろうな、みたいや機微がわかる めちゃくちゃ見せ方がうまくて最高
掃除機をかけるのを"ワニを窒息させる"って言うの好き

背 吉増剛造×空間現代(2021年製作の映画)

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アフタートークで七里監督の映し方が「真顔」という言葉が飛び出てきたけれど、映像が抑えられている分、吉増剛造と空間現代(特に吉増剛造)が際立つ 吉増剛造にはやはり何をしていても面白みの出るような佇まいの>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

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前半の単調気味な描写が日記を読み上げるシーンでオーバーラップするような形ですごく効いていて、そこが好きだった
思っていたより情と機微の映画だった

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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ぬいぐるみにしゃべる、から対話に至って「大丈夫じゃない」と言い合う場面で泣きそうになった。優しさゆえに辛さの吐露で人を傷つける恐れからふたりが踏み出せたのが自分のことのように嬉しい。個人的には原作の終>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

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劇的ではないけれど、そこにぐっときた
三浦透子はずっとよいのだけど、前田敦子が登場してからの展開が良くて、だからこそさみしくはあった

もうちょい観ていたかったかも

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

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万引き家族は家族からはみ出した人達が擬似家族を作って暮らしている話だったけれど、ベイビー・ブローカーの擬似家族は目的のための連帯、擬態からいつしか情がうつる形で、家族という形式に対して万引き家族ほど寄>>続きを読む

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる(2022年製作の映画)

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さらざんまい以降の方向でリライトがあるのではないか、と思っていたけれどそうではなく愛する/愛されることで私たちは何者かになるのだ、ということがTV版より明確な形で描かれたのだと思った。前者を期待したの>>続きを読む

WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

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ワンダが人生で初めて自分を認めてもらえたのであろう瞬間がよりによって…という感じで終始キツかった

犬王(2021年製作の映画)

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いなかったことにされた人たちを語り直す映画であり、作中で語られる平家の亡霊自体も歴史の"敗北者"なのでそこはパラレルなのかも

アヴちゃんの歌がめちゃくちゃ力強くてよく合っていた

リトル・ガール(2020年製作の映画)

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そこで終わるのか…という部分の救いのなさ 周囲が変わっていないわけではなくてもまだ未来は明るくない
サシャのあり方はサシャのあり方として、トランス女性としてのある種のわかりやすさが担保されている人しか
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恋の秋(1998年製作の映画)

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恋愛相手の提供を媒介としたマガリを巡る女同士の友情の物語、逆ホモソーシャルみたいな感じで観てて面白かった
あと画面や流れにストレスが全くないなめらかさはものすごい、と思う

マイスモールランド(2022年製作の映画)

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日本の入管の酷さや難民申請の厳しさを知っていると、そこに触れられることは予想がつくのだけど、サーリャの立場が生々しく想像されることで制度の理不尽さは文字を介するより際立つ(しかしその理不尽さを無関心を>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

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インタビューと作中に引用される文章が全部いい…

インタビューを受ける子供たちの何人かと同じく、ジェシーはこどもなのに大人のようにならざるを得ない部分がある子どもなのだけど、それが終盤の2人のやり取り
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パリ13区(2021年製作の映画)

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ノラに最初起きたことは本当に酷いのだけど、ノラとアンバーの間に生まれるシスターフッドよ…
アジア系(というか華僑?)や黒人系の人々の存在がきちんと描かれるの爆信頼、という感じ

音楽もすごくよかった!
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囚われの女(2000年製作の映画)

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シモンの妄執をずっと観る中では客体になってしまうアリアーヌが別れ話の最中はいきいきし始めるのがよかった

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