ありさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.0

 いわゆるLGBTQをモティーフにした作品であるが、それ以上に普遍的なメロドラマとして興味深く鑑賞することができた。

 この年頃の子供たちは、社会や学校といった周囲の環境にどうコミットし、そこでどう
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

 ウェス・アンダーソン監督らしい遊び心に満ち溢れた作品である。

 まず、映画の構造が少し変わっていて驚かされた。アステロイド・シティで起こる悲喜こもごもは劇作家が描く劇中劇という形になっている。映画
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.0

 火、水、土、風の4元素を擬人化したアイディアが大変ユニークである。個人的には同じピクサー製作のアニメ「インサイドヘッド」を連想した。「インサイトヘッド」も人間の喜怒哀楽の感情を擬人化したアニメだった>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.6

 バービー人形を主役に一体どういう物語を作るのかと思ったら、なるほどそう来たかという感じで中々面白いと思った。バービーランドは人間界と別世界にあり、バービーとケンが両世界を往来しながら物語はファンタジ>>続きを読む

658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.7

 陽子が外の世界に出ていくことで少しずつ社会との健全な繋がりを取り戻していくというドラマは、人間関係が希薄になりつつある現代社会において、とても大切なメッセージを放っているように思う。奇しくもコロナ禍>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.6

 昨今はこうしたタイムループ物の作品も色々とあって、どうしても既視感が拭えなくなってきたが、本作はたった2分という限定された時間に目を付けた所が新鮮だ。
 延々と繰り返される2分間という時間に閉じ込め
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.8

 物語は消化不良感が残るものの、アクションシーンについてはこれまで以上にサービス精神てんこ盛りである。

 何と言っても圧巻はクライマックスシーンである。予告編でも紹介されていたので知っていたが、実際
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 本作は元々は同名の小説からインスパイアされたということだが、基本的には宮崎駿の完全オリジナル作品となっている。
 ただ、後で調べて分かったが、元となった小説(未読)は主人公の少年と叔父さんのやり取り
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

 ロバのEOのつぶらな瞳が非常に印象的な映画である。果たしてその瞳には、人間の醜い争いや理不尽な行為がどのように映ったのだろうか?物言わぬ動物ゆえに澄んだその瞳が雄弁に語る。鏡が人の心を映すが如く、そ>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.7

 基本的に本作はフラッシュのバックグラウンドを一から描いて見せているので、初見の人でも入り込みやすいように上手く作られている。この手のユニバース系は一見さんお断りみたいな作品が多い中、今回はそのあたり>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

3.6

 前作は様々なスパイダーマンが登場するというマルチバースという設定が斬新だったわけだが、今回はそれが更にスケールアップし、登場してくるスパイダーマンは実に240体にもおよぶというから、もはやカオスであ>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.5

 最初はよくある虐め問題かと思って観ていたら、途中から事件の真相が徐々に明るみになっていくことで予想外の方向へドラマが展開され、最後までグイグイと画面に引き込まれた。

 脚本を担当したのは坂元裕二。
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9

 自分はクラシック音楽に明るくないというのもあるが、指揮者というともっぱら男性というイメージを持っていた。しかし、本作で描かれているように、数は少ないながら女性の指揮者もいるということである。古い伝統>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.5

 今回はガーディアンズのメンバー、ロケットを中心としたストーリーになっている。彼の出自を巡る戦いが、お馴染みの面々の活躍を交えながら軽妙に描かれている。

 ロケットは第1作から強烈な個性を発揮したキ
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

3.5

 共にアフリカから移民してきたトリとロキタは同じ養護施設で暮らしながら本当の姉弟のような深い絆で繋がっている。そんな彼女らの”子供らしい”やり取りを見ていると自然と心和むのだが、同時に裏ではドラッグの>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.8

 巨漢のチャーリーは自力で動けないほど太っているため、必然的に室内だけで物語は展開されることになるのだが、元々の原作が舞台劇だと知って納得。物語は彼と彼の周辺人物の会話だけで構成されており、一見すると>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.5

 最終的にソニーはジョーダンと契約を締結することになるのだが、その結果が分かっていても面白く観れた。そこに至るまでの関係者の苦難の道のりがドラマチックに描かれているからであろう。そういう意味では、本作>>続きを読む

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

3.5

 人喰い族というホラー映画然とした要素が売りの作品であるが、本作はただそれだけの作品ではないように思う。そこにはマイノリティの苦悩が隠されているような気がした。

 マレンやリーのカニバリズムの衝動が
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.8

 富める者と貧しき者の悲喜こもごも、人間の浅ましさ、エゴのぶつかり合いが、時に過激に、時にシニカルに表現された風刺性の高い作品である。

 監督、脚本は「フレンチアルプスで起きたこと」、「ザ・スクエア
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対峙(2021年製作の映画)

4.0

 ある事件によって息子を失った被害者の両親と、その事件を引き起こした加害者の両親の対峙をスリリングなダイアローグで綴った作品。全編ほぼ4人による密室会話劇となっており、終始ヒリつくような緊張感が持続す>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.0

 庵野監督にとって念願の企画だったらしく、その思い入れは十分に伝わってくる作品だった。原作に対するリスペクト、マニアであればクスリとできるような小ネタがふんだんに詰め込まれていて、旧作ファンなら十分に>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.8

 カトリック教会を舞台に同性愛、魔女狩り、拷問、権力闘争を描いており、かなり挑発的な内容の作品になっている。しかも、事実を元にしているという前振りをわざわざクレジットする大胆さで、このあたりに鬼才ヴァ>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.2

 MCU作品などですっかりお馴染みとなったマルチバースを、現代のアメリカの下町で再現したアイディアが秀逸である。どうということはない家族再生のドラマなのだが、それを全宇宙的なスケールで描いた所が痛快で>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.2

 幼い頃の映画との出会い、夢中で撮った8ミリ映画、両親との関係、学園生活や初恋、映画人との出会いなどが、150分という時間の中にみっちりと詰め込まれており大変見応えのある作品になっている。一人の少年の>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.0

 事件そのものはいたってシンプルなのだが、本作の肝はヘジュン刑事と容疑者ソレのスリリングな心理合戦にあるように思う。
 いわゆるフィルム・ノワールではよくある構図であるが、本作はその過程をじっくりと描
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.8

 イニシェリン島というのは架空の島で実際には存在しないということである。島の対岸ではアイルランド人同士で内戦が行われており、島の人々はそれと全く無縁な平和な暮らしを送っている。どこか朴訥とした安らぎを>>続きを読む

マッドゴッド(2021年製作の映画)

4.6

 めくるめく悪夢的世界に圧倒されてしまった。

 物語はあってないようなもので、ある目的を持った一人のアサシンが地下世界に潜り込んでグロテスクな光景を目撃していく…という体で進行する。何の脈絡もなくシ
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

4.0

 いじめ問題を題材に、少年少女の葛藤と成長をファンタジックに描いた良作である。

 学校に限らず、どこにでもいじめは存在するものだが、問題はそうなった場合、どうやって周囲の人間が救いの手を差し伸べてや
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.5

 赤ん坊を取り違えた二人のシングルマザーの数奇な運命をスペイン内乱の歴史を交えて描いた作品。

 監督、脚本はペドロ・アルモドヴァル。かつてのキッチュな露悪趣味を封印し、今や完全にベテランの貫禄で堅牢
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あのこと(2021年製作の映画)

3.5

 アンヌはたった一度のセックスで妊娠してしまい、堕胎を決心する。しかし、1960年代のフランスでは中絶は違法で、大きな罪とされていた。彼女は成績優秀で周囲からの期待も大きい優等生である。世間体のことも>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.5

 前作は3D映画ブームの火付け役というだけあって、その迫力と奥行きのある映像に圧倒されたものである。パンドラのビジュアルも最先端のVFXで美しく表現されており、今まで観たどのSF映画よりもクオリティが>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.2

 実在の聴覚障害の女子プロボクサー小笠原恵子の自伝を元にしているということだが、エンドクレジットで本作はフィクションである旨が記される。原作は未読なので分からないが、調べてみると時代背景を含め色々と脚>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 自分は原作とテレビアニメを見ていたこともあり、作品に対する思い入れはそれなりに強い。だからこそ、なぜ今になって劇場用アニメ化?畑違いの井上雄彦にアニメ映画の監督が務まるのか?そうした心配があった。>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 何ともシュールで不気味な絵画を捉えたオープニングショットから引き込まれる。男が鏡を見つめているのだが、そこに映るのは彼の正面ではなく後姿なのだ。これは一体何を意味しているのか?映画を観進めていくうち>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 AIの進化が著しい昨今だからこそ、ここで描かれる物語を観ると色々と考えさせられるものがある。

 ジェイクの家庭は少し複雑である。白人のジェイク、アフリカ系黒人のカイラ。そして娘のミカは中国人の養女
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.5

 大ヒットし社会現象まで巻き起こしたアニメ「君の名は。」、「天気の子」の新海誠の新作ということで誰もが注目するところであるが、今回も安定のキャッチ―さ、ポップさでエンタテインメントとしてそつなく作られ>>続きを読む