たかっしさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

たかっし

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クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.7

ドキュメンタリーである裁判の場面の終盤。
映画、芸術への愛を語り、俳優として演じるのが夢だと言った被告に対して、監督が言った言葉。
「もう貴方は演じてますよ」
ドキュメンタリーと再現シーンが瓦解し、裁
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メッセージ(2016年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

かなり前に見たので記憶がおぼろげだが、タルコフスキーの惑星ソラリスは異星の存在と接触することで、亡き妻の面影に遭遇して過去から逃れられない男の話だったと記憶している。

近年のSF映画でとにかく評判の
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.5

クエンティンタランティーノ監督約30年前のデビュー作。

やさぐれ宝石強盗達の与太話と、血まみれのバイオレンスが半々の割合を占めた苦手な人にはどこまでも苦手な怪作。

しかし、これが何故かスタイリッシ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.0

そもそも1954年→1947年と終戦直後に設定を変更したのは、これが第二次世界大戦の代理戦争であるのは間違いなく、生きろというメッセージと相反する、特攻という行為と元海軍兵士たちの敬礼を格好良く配置す>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

4.8

こちらは公開時以来、20ウン年ぶりに視聴。
変わらず良き映画でした。

今回は夫婦2人ダブルで堕ちて行きます(泣)
ダブルなだけに不幸のプロセスも多岐に渡ります(泣)
しかしダブル仏頂面で淡々と諦めず
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さかなのこ(2022年製作の映画)

4.8

沖田修一監督の横道世之介は私の中で青春映画のナンバー1だ。
皆が知っている、さかなくんが誕生するまでを描いたこの作品も負けずの傑作。

ずれた笑いとちょっぴりビターなエピソードを絡めつつ、見終わった後
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街のあかり(2006年製作の映画)

4.4

今回も無愛想な主人公が堕ちるとこまで堕ちます。しかし諦めない主人公の最後には僅かな希望が。
カウリスマキやっぱり大好きだ☺️

別れる決心(2022年製作の映画)

4.2

酷く歪だけど、反面ストイックなラブストーリーだなと思った。
暴力やセックス描写はないけどオールドボーイと描きたい本質、堕ちていく感情は変わらないのだろう。

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.1

役所広司
観た後彼の名前しか思い浮かばないくらいの圧巻の存在。ほとんど喋らないのに…。













それとヴィムヴェンダース監督は、今は亡き盟友ルーリードのパーフェクトデイをダニーボイル
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.6

映画の西部劇の世界とは違う、荒ぶる男しかいないリアル西武開拓史のオレゴン。
領主の牛の乳を夜な夜な盗み、それを原料に美味しいドーナツを作り一攫千金を狙う2人の優しい男。

ケリーカイラート監督が描きた
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スモーク(1995年製作の映画)

5.0

毎年(たまに多忙で見れない年もあるけど)
クリスマスに鑑賞して10何年。

この映画の登場人物たちとエピソード。最後に語られるクリスマスストーリー。たばこの煙のように掴みどころがなくふわふわとしている
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真夜中の虹(1988年製作の映画)

4.0

炭鉱が閉山し、行き場を無くした男の行く末。
無表情。行動の経緯より結果に行き着く手法はロベールブレッソンに他作品よりより近い。
ぶっきらぼうだけど、要所で趣あるところが後の作風に繋がるのかと。
特に壊
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過去のない男(2002年製作の映画)

4.7

凄く良かった。
暴漢に襲われて記憶を無くした男の話。
結果彼は記憶を無くして、人生をやり直して良かったかもしれない。

オフビートで皆無表情。
しかしヒロインのカティオウティネンの仏頂面に最初失笑しつ
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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

4.5

約30年振りぐらいに再見。
辛くてキツい内容けど、主役の女優さんの幸薄い仏頂面を見るとどうしても笑ってしまう。
アキカウリスマキ監督は久々に新作が公開されるので、まずは強烈に記憶に残っているこの作品か
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.8

the smithに感情入れすぎ、腕は確かだかメンタルの弱い殺し屋の復讐ストーリー。

ジャッカルの日、サムライの流れを汲むスローな展開の殺し屋の仕事振りはハマる人にはハマる。
きっとデビッドフィンチ
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.8

前科者の更生の難しさを表した社会派のテーマを突き抜けて、愚直に生きることの虚しさ、真っ直ぐに生きれないことの切実さを表した傑作。

役所広司の演技は神がかり的で、観る側への共感を呼ぶ希求力が半端でない
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.1

160分でナポレオンの生涯を描くとやっぱり駆け足になってしまう。
演技、美術、撮影等超一流なだけに残念。
ナポレオンの感情のうねりを感じることは出来なかった。
4時間半あるという完全版に期待か。

殺しが静かにやって来る(1968年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

なかなかのバッドエンド。
多分ハッピーエンドとバッドエンドが用意されていて、結果バッドエンドが選ばれたという感じ。余り必然性は感じない。

しかし雪原の美しさと対照的なバイオレンスは一見の価値あり。
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シャッター アイランド(2009年製作の映画)

4.2


終盤のどんでん返しはじわじわとわかってしまうのだけど、本質は人間の弱さ、虚しさを表すのがスコセッシ&ディカプリオの狙いだと思う。
ナチスや隔離された精神病棟といったシチュエーションがロマンポランスキ
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緑の光線(1986年製作の映画)

4.5

食わず嫌いで見ていなかったエリックロメール。面白かった。
休暇を楽しく、素敵な出会いが起きて、新しい彼氏と過ごしたいけど空回りする疎外感。わかります。
ほとんど即興で撮られたという会話シーンが中心だけ
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

-

その昔犬と共に暮らしたので、最後の別れが辛すぎて客観的に見れないので採点出来ません🥲
ミシェルウィリアムス扮するルーシーの視線、表情と鼻歌が忘れられない。

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.5

悲しみは使い古された喜び
この言葉はそのまま2人の友情にもあてはまるのだろう。
大きなことは何一つ起きないが、旧友とのすれ違いと、過ぎゆく時間と、変わらず見守る森との対比がじんわりくる。

ヨラテンゴ
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暗殺の森(1970年製作の映画)

5.0

ベルナルドベルドリッチ監督の代表作。
25年振りに鑑賞。隙のない映像に圧倒される。

原題は「体制順応者」
幼少期のトラウマから普通になるために全てを注いだ男。
ファシズムの時代に男にとっての普通はコ
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

5.0

公開時に見に行き、こころが暖かいまま帰途についたのをいまでも覚えている。

映画というメディアはジャンルを問わず人間を描写したものが大半だが、人生の光と影、喜びと悲しみをしっかり描写出来ている作品は非
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台風クラブ(1985年製作の映画)

4.5

約30年振りぐらいに見た。
存在そのものが無邪気なパンクスのような映画。
静と動と、無垢と性欲と、若さと諦めと、優しさと暴力、生と死、といった相反するもののコントラストがここまで際立った映画はない。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

5.0

約1世紀前、米国白人の先住民へのヘイト行為をじっくり炙り出すように描いた作品。

久々なデニーロの悪魔振りもゾクゾクするが、長いものに巻かれ続けて1番大事なものを失う、というか何が結局1番大事かわかっ
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.2

「楽しい時間は長くは続かない」
ある人がこの作品で言う言葉。

震災に傷ついた若者たちが、音楽を武器と糧としてもがく群像劇で、この言葉は何度も重くのしかかる。
血縁がないという理由で引き裂かれる路花と
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

4.1

私(51歳)は母(75歳)を誘って見に行きました。

現実とリンクするところが色々あって思うところあり過ぎるし、一方で山田洋次監督はもう91歳なので2023年の会社のリストラの様相は違うし、孫のキャラ
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

6歳の少女の空想と現実がないまぜになった混沌かつ無垢な世界を、スペイン内戦に翻弄される大人達を横軸に、極めて静寂に描いた傑作。

となりのトトロからバンズラビリンスまで影響を受けた作品は多数あるが、こ
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

5.0

ひとのよいところも悪いところもきっちり描き、それでもひとは愛おしいと思わせるのが橋口監督の世界。
今のところこれが最高傑作。

(幻想に過ぎないんだけど)1990年頃に平和な日本が音を立てて崩れていっ
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欲望の翼(1990年製作の映画)

4.6

ウォンカーウァイ作品はこれと花様年華が素晴らしい。

1960年の香港の湿度感。
プイグの赤い唇の影響が漂う恋のかたちとすれ違い。
ラテン音楽と冒頭のフィリピンの密林が後半に繋がる狂おしさ。

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.8

バブルに沸く90年代の台北を舞台に、愛をこじらせた人たちの可笑しく切なく愛おしい人間模様。
人を好きになるって本当はシンプルなのに、皆主義や拘りやスタンスやお金に縛られて、こじれて行く様が可笑しく悲し
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.6

アフターサンを見て、父娘の儚い物語として連想するように鑑賞。
陰影に満ちた映像が美しく、若かりし頃に見た時より父の苦い気持ちがわかったような気がした。

語りがもう少し少なく、映像で語ることに力を入れ
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福田村事件(2023年製作の映画)

3.4

日常が崩れた不安から生みでるヘイト。
1世紀前も今も呆れるほど変わってなく、繋がっていることをリアルに示す。

前半の人間模様が脚本が荒井晴彦のためか蛇足感あり。それがなければ満点。

臭いものに蓋を
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聖なる酔っぱらいの伝説(1988年製作の映画)

5.0

名優ルドガーハウアーの美しいブルーグレーの瞳を見よ。
全ての酔っ払いの魂に安住の地を。

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.5

痛いよ。
少年期の喪失。あまりに酷いよ。
ちなみにBLを想起させるこのポスターはいかんです。