Takuさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

Taku

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パッション(1982年製作の映画)

3.5

ゴダールによる映画製作映画。たまに口の動きと声がずれる。俳優を固定して絵画を再現しようとするが、彼らはその構図から逃がれる。製作上のゴタゴタを捉えた場面に一番のアクションがある。「仕事=快楽」だと言う>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.0

スパイディ映画のキャッチコピーには「運命」が入るのがお馴染みであるが、それをマルチバースの中でメタ的に捉え直す。アートの域に達した映像表現は、冒頭の物語説明から凄まじい。『ザ・フラッシュ』同様、人命救>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.5

CG満載の作品だが、特に良いのはキャラ同士のフィジカルな触れ合い。共に喪失を経たバリーとブルースの対話、二人のバリーのコミカルなやり取り、失われた母子の対面(感涙)。また、いつも言っている通りヒーロー>>続きを読む

The Potemkinists(英題)(2022年製作の映画)

3.5

ラドゥ・ジュデの短編。戦艦ポチョムキンがルーマニアに亡命した事件を基にした彫刻を作ろうとする話。エイゼンシュタインの映画の影に隠れた史実を炙り出すという意味で、芸術で歴史を再構築しようとしたジュデの『>>続きを読む

ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.5

何気に未観だったので映画館で体感できて良かった。
「紫禁城は観客のいない劇場だった。そこで俳優たちは舞台に残り、虚しい熱演を続けていた」
…好きだ。

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.5

「俺がボクシングを教えた」と言うデイムに対し沈黙するクリード。ふとした瞬間に旧友への複雑な心境とロッキーの影を微かに感じる。過去から脱却し自身の物語として歩もうとする物語はアツく、その意味でロッキーの>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.0

エミリー・ドゥケンヌ、どこかで見たことあると思ったら、『ロゼッタ』の人か!ダルデンヌ兄弟は対象を執拗に捉えるが、こちらは表情を追いかけ、そこから感情を繊細に紡いでいく。反復される疾走シーンの意味合いが>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.0

1800年代くらいが舞台かと勝手に思い込んでいたら、途中で現代(2010年)の出来事だと気付き混乱したが、大変良かった。女性達が主体性を取り戻していくなか、その受け手に回るベン・ウィショーの素晴らしい>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.0

傑作。某作の構成を踏襲するがそれをミステリーの道具にせず、クィアネスを「消費」しているとは感じなかった。人が無自覚に規範を押し付ける様もよく描いている。個人的に『千夜、一夜』でミスマッチを感じた田中裕>>続きを読む

Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)

3.5

主役の少女はほぼ不機嫌な表情でアナーキーな佇まい。どこか『冬の旅』のモナを思わせるが、こちらは「漂流」ではなく、「疾走」する。バイクでの疾走シーンが特に良い。バイクが身体の一部となり、そこから感情が伝>>続きを読む

ヤンコおじさん(1967年製作の映画)

3.5

『アニエスによるヴァルダ』で最初に引用される、彼女の家系に関する作品。ヴァルダがヤンコおじさんに出会う場面では、何度もテイクを重ねる様子が軽快に映し出され、ヴァルダの作風であるドキュメンタリーとフィク>>続きを読む

プチ・ニコラ パリがくれた幸せ(2022年製作の映画)

4.5

これは広くおすすめしたい作品。創作におけるイマジネーションと、そこに見える作家の人生が愛らしい表現で素晴らしく描かれていた。

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

4.0

一家の人生の瞬間と80年代のパリの空気感を切り取った物語。ノスタルジーを感じる、夜に合う作品。少し焦点が定まっていない気はするが、それも人生か。ゲンズブールが実母ジェーン・バーキンと娘役で共演した『カ>>続きを読む

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

4.0

『インフィニティ・ウォー』×『ダークナイト』みたいな感じで両者に比べて洗練はされていないが、そこはシリーズのノリで突っ走る。自分は結構好きで、かなり楽しめた。もはやミーム化されている「ファミリー化」を>>続きを読む

テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

3.5

万人におすすめできる快作。描き込みに物足りなさは感じるが、テーマとなる型からの脱却、それを象徴するラストは清々しいまである。

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.5

素晴らしかった。それぞれ綴る愛が伝統を丁寧に解体。美しく青いカフタンの魅せ方に感動。『モロッコ、彼女たちの朝』から続き傑作。

波紋(2023年製作の映画)

3.5

『川っぺりムコリッタ』で孤独や貧困の問題をクスッと笑える人情物語に仕上げた荻上監督が、今度は更に広範な社会問題を詰め込み、ブラックユーモアに昇華する。前作同様、豪華なキャスト陣が魅力。主演の筒井真理子>>続きを読む

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

4.0

コナンの基礎の基礎しか知らないような人間だが、結構面白かった。今までのおさらいをしてくれるOPはカッコよくアクションもサスペンスも期待以上。ふと思ったのだが、対象でもある小さい子供は難しいと感じるだろ>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

3.5

楽しんだが、世間が言うほどではなかった。映像面以外では確かに映画的面白さはあまり無かった。ただ、劇場にいた子どもたちは結構楽しんでいたようだし、世界観構築には成功しているのでこれはこれで良いと思いつつ>>続きを読む

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

4.0

オルガ=ミハリナ・オルシャニスカが素晴らしい。佇まいや表情、鋭い眼光が全てを物語り、ガス・ヴァン・サント作品のような死の匂いが常に漂っている。頻繁にタバコを吸うが、何処か不慣れなのもポイントだ。
ジョ
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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.0

ヒーローを「救う者」としたときそれらしからぬ彼らに少し冷める一方、本作の主役が何故このヒーロー映画の主役たるのかを語り始めたあたりからグッとくる。チームの話としては申し分ないラストであり終わり良ければ>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.5

これは面白かった。前作は「夢の国」に隠れた現実を見せる映画だったが、今回はそういう現実に生きるコミュニティにもう一人の忘れられた存在として有害さの塊みたいな男が投入され、やりたい放題振る舞う。反復され>>続きを読む

トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.0

ダルデンヌ作品らしく構造の暴力が描かれるが、そこで踏み躙られるのは生存以上に人間として生き方であり、それを求める故の悲劇。89分で実録的かつ劇映画的面白さを両立させる腕は流石だが、構造よりも個人の選択>>続きを読む

フリークスアウト(2021年製作の映画)

4.0

面白かった。X-MENのようであり、デル・トロ版『ヘルボーイ』の味もする。ヒーロー映画的なツボを押さえており楽しいんだが、根底には「異形と見せ物」というテーマが通底しているのが良い。その意味で、敵とな>>続きを読む

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

3.5

面白かった。主人公がシェフとして再起していく物語と、移民の子供たちの成長物語。この二つをどう料理するのだろうと思ったら、予想外の切り口。食という眼鏡で世界を見ることで、彼らが生き生きとした姿に変わって>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

4.0

『ストーリー・オブ・マイワイフ』『フランス』に続きレア・セドゥの「顔」が魅せる名演。父が父でなくなっていく様を目の当たりにする娘の顔、妻帯者を愛してしまう女性の顔。一人娘を育てる親の顔。様々な顔を見せ>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

3.5

もっと面白くなりそうだが、良くも悪くも期待通り。やはりエスターはファーマンの歳相応に見えるが、正体が既知の状態から始まるので、それもある程度プラスに働いている。前作からのツイストが好み。ああいうvsも>>続きを読む

洞窟(2021年製作の映画)

4.0

深淵に向かう洞窟探検隊と死にゆく老人を極力台詞を排したモキュメンタリータッチで描く。知的好奇心に動かされる生と対比されるように緩やかな死が並行されるが、それを引きと寄りの対比で表すのが良い。空間や光の>>続きを読む

帰れない山(2022年製作の映画)

4.0

大人になっていく周りと比べて自分の人生を悔やむが、不意に自分の居場所を見つけることがある。一方、そこから生涯逃れられない人もいる。そういう人生の在り方を二人の友情を軸に描く。少し長く感じはしたが、とて>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

4.0

前作から面白さを損なわずに、むしろデジタルネイティブを主役にすることで違った魅力を引き出し、手数も多く更にパワーアップ。真犯人発覚後の展開の見せ方(アップ多用)が少し気になるが、総じて良い。物理的奥行>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

本筋のミッションに無関係なところは切り「お仕事映画」に徹する潔さ。競合他社を抑えて如何に契約まで漕ぎつげるかを交通整理しながら明快に描く。主人公がジョーダンに語る演説の内容が、大衆に都合よく利用されて>>続きを読む

スマイル(2022年製作の映画)

3.5

理解不能な言説を精神疾患と処理する『透明人間』、伝染系の『イット・フォローズ』、他にも『ヘレディタリー』など色々な映画の要素がありそれらに比べ突き抜けてはいないが、これはこれで楽しい。笑顔の暗喩などを>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

4.5

かなり良い。部室という同じ空間で、互いの話が聞こえないように耳を塞ぎ、各々がぬいぐるみと対話する。それを捉えたショットが社会の縮図に見える瞬間が白眉。新谷ゆづみは『麻希のいる世界』に続いて一癖あり重要>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.5

個人的にアルジェント映画は「面白くないが好き」枠だが、今回も同様。失われる視覚を示唆する日食OPやゴブリン風劇伴に気持ちが上がるも、全体的にはやはり盛り上がらない。諸設定が生かされないのも歯痒い。が、>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.5

大傑作。微妙な点が特にない(字幕版にも日本語版主題歌が流れるのはどうかと思うが)。まずはキャスティングの大勝利。あらゆる要素において各キャラの特性が存分に活かされ、その魅せ方も良い。つまり素材も調理も>>続きを読む