ささんの映画レビュー・感想・評価

さ

枯れ葉(2023年製作の映画)

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カウリスマキと音楽の方向性が初めて合った。maustetytötというバンドの演奏シーンがかなり良い。
人生で起こる悲劇的な出来事を悲劇的に描かない優しさがあり、これこそ真顔のユーモアの真骨頂ではない
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

バスを待つおじさんに1番共感していたのでオチは腑に落ちたけど、異性愛規範のしんどさがしんど過ぎて割とノットフォーミーだった。客はめちゃくちゃ入っていた。

はかな(儚)き道(2016年製作の映画)

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かなり難易度が高かった。ブラインドを下げて上げるシーンはめちゃくちゃよかった。

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

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直球の友情映画かつドーナツ映画。ライカートを数本観たなかでは一番とっつきやすかった。あらゆる展開がオープニングの寄り添う遺骨に還元される導線で、目の前のシーンとは別に二人の友情が半永久的に広がるような>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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小学生並の感想だけど、私って普段清掃の方と目を合わせたことがないな?となった。これでもかという顔アップや夢のイメージ、またトイレという最も私的で身体に結びついた空間のモチーフが、平山と観る者を強制的に>>続きを読む

ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版(1973年製作の映画)

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映画内で描かれる、カフェ空間におけるコミュニケーションのオープンさには目を見張るものがある。基本的に主人公にムカついた4時間弱だったが、看護師が突然語り始めるシーンは好きだった。
恋愛対象じゃない性の
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アンダーグラウンド 4K デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

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必ず額で酒瓶を割ろうとするのは何なんだ。
戦争に人生も国も奪われる悲哀が根底にありながら、ただただ喜びに溢れた祝宴のプレイバックで締めくくるの本当にずるい。監督の現在の政治的スタンスは一旦置いといて、
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クリティカル・ゾーン(2023年製作の映画)

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商品を仕入れ手ずから梱包、犬と戯れながら就寝という日常の所作を淡々と描く幕開けで、以降ていねいな暮らしという概念にずっと思いを馳せていた。物語全体を駆動するような意味のあるセリフは少なく、運転席を真正>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

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ポール・メスカルの背中っていつもあんなにスーパーホットで肉感的なのに、なぜか触るとひんやりしてそう。最初に訪ねてきた後の玄関が、体温を残してるみたいにぼんやりオレンジに発光してるのがよかった。
アンド
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アル中女の肖像(1979年製作の映画)

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え!??女でもこんなにふざけてていいんですか!?!??!ってなる快作。主人公が言葉を持たないのと対照的に三人の魔女が連ねる空虚な発話は、だからこそ鏡を滑る水の美しさと同じくらい心地がいい。(この三人は>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

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鬱バービーPV以外はずっと「これは私の物語ではない」と感じていた。死について考えるのは自分だけではないと知れたのはよかったけど。
全方位的な目配せが冴え渡るお利口さと、ライアン・ゴズリングとシム・リウ
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メーヌ・オセアン 4Kレストア(1985年製作の映画)

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まさか検札のおじさんのロードムービーで終わるとは思わんくない?這ってでも出勤するのは目に見えるんだけど、この物語くらいテキトーな週末を過ごしたい。バゲットはひたひたで。

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

土壇場クライマックスでトマースがロザリオを投げてよこしたとき、今年の最大瞬間風速が吹いた。日本でうまくバズっただけで時間と共に忘れられてしまう作品だと思うけど、こういう映画でしか得られない驚嘆が確かに>>続きを読む

山女(2022年製作の映画)

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怪物は怪物なりに実は結構穏やかに過ごしてたりする。(ので、お構いなく。と言い切れるくらいテクノロジーと個人主義が発達した時代に生まれたのほんとにラッキー。)
主演もよかったけど、したたかだけど嫌な奴す
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そして泥船はゆく(2013年製作の映画)

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舞台である大田原市と同じ北関東で生まれ育った身としては、地方のどん詰まり感とそれでも不足なく続いていく生活の果てしなさに、強烈な共感を覚えて即引き込まれた。
渋川清彦(群馬の映画ファンの星!)の澱みな
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少年、機関車に乗る 2Kレストア版(1991年製作の映画)

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あまりにも自然な「お前の弟まだ土食ってんの?」的なセリフがおかしくて吹き出しそうになった。お父さんが水に落ちる引きのショット、ああいう滑稽さと憐れみが共存する場面が大好き。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

クラブの明滅の中でかつての父と踊るシーンの尊さは今年ベスト級にエモーショナル。幼い自分では与えられなかった抱擁を父に、という切実な願いは、父がくれたあの夏の記憶と同じくらい鮮烈にスクリーンで輝く。
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ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

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とりあえず状況を整理させてくれって思いながら気づくと終わってる映画。凄惨な幻視を強制させられる映像というメディアというか、映画(館)というフォーマットが好きだ。現代に設定し直すならインターネットだろう>>続きを読む

遺灰は語る(2022年製作の映画)

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おじいちゃんが作った映画、という印象で私にはまだ早かった。でも自分の死を受けてこういう映画が作られてたらちょっと嬉しいと思う。

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

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映画館でこんな健やかな気分になったの初めてでは!ってレベルで健全可愛い。気丈に振る舞ってるのに言葉の端々から孤独が見え隠れする台詞回しがえぐい。コミュニティに属する安心感や世界と繋がる喜びを象徴するラ>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

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若かりし大杉漣、寺島進、勝村政信のマブさという時間的なバフを差し置いてもさすがに全て完璧すぎる。

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

法廷内の差別描写と育児ワンオペ話が淡々と続くのがしんどくウトウトしていたが、最後の弁護士の弁論に大打撃を喰らって飛び起きた。女は怪物という言葉に涙腺が決壊して、クレジット中も劇場出た後もしばらく呆然と>>続きを読む

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年製作の映画)

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新作に備えてシリーズ完走。体育会系吹部でエンジョイ勢やってた身としては常に動悸と冷や汗。吹奏楽部特有の女子社会と、敵が見えづらい競技性がもたらす人間ドラマを見事に捉えていて、私が当時仲間たちに抱いてい>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

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もうこういうのを本人たちでなく親の気持ちで観てしまうフェーズに人生が突入してしまった。パッケージ化された関係性から解放された世界に早くなってほしい。
二人の関係が崩れた始めた後の、夜の雨の中トラクター
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大いなる自由(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

社会的な要素も多分に含むが、思ってたより直球な愛の物語だった。タイトル回収後のオチがお茶目で愛おしい。本に託して愛を綴ることと辛い記憶を書き換えるタトゥー、針を刺すという2つの行為。恋愛でも友情でも規>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

中盤まで脚本もアクションもキレキレで大変感動したのだが、イルサ退場にショックで思考停止して敵の設定とか全然入ってこなかった。1両ずつ列車を垂直移動するシークエンスの緊張感でなんとか持ち直す。
不可能な
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

白城ちゃん…!白城ちゃん!!
それまで匂わせてきたフェミニズムが麦戸ちゃんの告白シーンで爆発するのとても溜飲が下がった。長セリフ長回しの直後に呆気なく主人公にカットバックしてずっこけたというか、もっと
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

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末期の眼的なものを予告編から予想して見に行ったら、意外にもお仕事モノ×喪の作業って感じ。「よかったんですよ、邪魔することなくて。」のサゲがかなり満足度が高い。

ディア・ハンター(1978年製作の映画)

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現代の映画ではあり得ない緩急と説明の無さ。デニーロとメリル・ストリープの若さより何よりもクリストファー・ウォーケンのシャープで繊細な存在感に心奪われた。
私がマイクだったら色々耐えられなくて自分の頭に
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故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

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咀嚼はしきれないけど、この映画を観れてよかったと心から思える鑑賞体験だった。「リトアニアへの旅の追憶」の逆位相といった印象。
視線を排した定点映像は街の営みに抱かれてずっと見ていられる心地良さで、それ
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街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

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冒頭は見逃したがかなり好き。「ジャンヌ・ディエルマン」しか見てなくてアケルマンのこともてっきり鉄仮面だと思っていたので、最後の監督:アケルマンのキュートさに刺さる。

余裕をもって出たのに上映時間に間
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ダークグラス(2021年製作の映画)

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道理が一切存在しなくてすごい。正直駄作だと思うけど、殺し方のむごさや動物に襲われる恐怖感はフェティシズムを超えて血気迫るものがあり決してB級とは呼ばせないパワーがあった。(ダリオ・アルジェントっぽい音>>続きを読む

名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

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ツッコミは全然追いつかないけど、原作をかじった身としてはとてもとても楽しく観た。哀ちゃんはシリーズ内の女性キャラ解釈のハブになっていて、原作メインヒロインである蘭ちゃんのヘイトを溜めないどころか親愛で>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

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チクチクどころではない刺激的な言動になんか疲れる作品だった。性的/恋愛指向のスペクトラムって税金とかと同じで学校で教えといてくれよ〜〜ってなる。(現状に即してるとはいえ、アセクシュアルという言葉が作中>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

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クリケットがかなりコオロギなのに愛らしくて、人生で初めて昆虫を可愛いと思えてしまったの大発明すぎる。ダークだけど心温まる父子の物語としてよく出来ていた。

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

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ダンスバトルの出オチ以上のものは得られなかった。リリィシュシュ観てたらもっと上手くいっただろうか。
血が繋がってなくても家族!みたいな設定は平均的家庭でのうのうと育った身には説教臭く見えることが多いけ
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