しの田さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

呪詛(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 進むか戻るか、という選択肢を自分で行わないといけない時がいちばん怖い。現実に侵食してくるというより、私自身が物語の一部になるよう。呪文を唱えさせたり、錯覚を利用したり、最後に選択肢を与えたり、新しい>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

4.0

 新しい展開が来る度に、ヘンテコでダサって思ってニヤけるけど、いつの間にか引き込まれて魅了された。かっこいい。一見歪で不安定なようだけど、振り幅が広いだけで物凄く安定していて計算されていて調和が取れて>>続きを読む

スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

4.0

 弱い立場の人間を支配して尊厳を踏みにじっただけでなく、被害者を精神的に孤立させ、消えないトラウマを植え付けた。この映画の中のサバイバーの証言という間接的な表現で十分そのむごさは伝わる。
 記者の奮闘
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ドッグマン(2018年製作の映画)

4.0

 どんな衝撃も、どんな痛みも、どんな迷いも、その日常を変えることは無い。犯罪や旅行や殺人は、日常から非日常への入り口では無い。なぜなら日常からして既に「おかしい」から。もがいてももがいても何も変わらな>>続きを読む

ジュリー&ジュリア(2009年製作の映画)

4.0

 ジュリアとは生きている時代も地域も違うジュリーだが、料理をきっかけに彼女に親近感を持ち始め、沢山の共通点を見出す。あくまでも彼女が理想とするジュリア像ではあるが、確かに彼女の支えとなった。
 食の楽
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白痴(1999年製作の映画)

2.0

 浅野忠信の牛歩にイライラしどおしの2時間超。「文学的」な作品特有のゆったりと丁寧なテンポ感が薄気味悪さを助長し、ぼそぼそとした臭い演技によって、異世界の雰囲気に酔う。雰囲気やキャラ造形が良いが、時々>>続きを読む

吾輩は猫である(1975年製作の映画)

3.0

 夏目漱石『吾輩は猫である』を原作に、神経質で頑固な英語教師とその周辺人物のドタバタを冷笑的に描く。飼い猫の目線に立って書かれた小説とは異なり、名の無い猫も俯瞰される登場人物の1人であるが、人間世界と>>続きを読む

サラの鍵(2010年製作の映画)

4.0

 ホロコーストは何度観てもショッキングで、それが子供に関するものならば特に目を背けたくなる。冷静でシステマチックな虐殺は底知れぬ恐ろしさを感じる。
 ユダヤ系フランス人の少女と、彼女の足跡を追う現代の
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ルシアンの青春(1973年製作の映画)

2.0

 まだ若く未熟なルシアンは、偶然にして縁を持ったドイツ警察へ、スリルを求めてのめっていく。はじめての仕事、はじめての権力を手にして、段々と傲慢が発露する。命を守るために仕方がなく、政治的地位や経済利益>>続きを読む

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(2014年製作の映画)

3.0

 中学の合唱コンクールを思い出した。練習に真面目に参加しないばかりか、くだんねー冗談を連発して時間を無駄にしまくってた問題児がいて、先生には何度も怒られて生徒にもウザがられてて、私も一生懸命やりたいの>>続きを読む

遠き落日(1992年製作の映画)

2.0

 ストレートな伝記映画で、苦労して育てた母と出世して恩を返す子供。はいはい。
 主人公のキャラクターがすごくしたたかなのは面白かった。母と子の閉鎖的な関係にフォーカスが当たっていて、だいぶ脚色して感動
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僕らはみんな生きている(1992年製作の映画)

4.0

 企業戦士の苦労と悲哀。基本はコメディだけど、明らかに戦時中と重なる。

犯人は生首に訊け(2015年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 韓国映画らしい?湿っぽくてうす汚く、過激なスリラー。面白い。
 意図的に観客に隠す情報があり、現実と妄想が入り混じり、信頼できない語り手であることは序盤で察しがつく。いろいろな伏線とか描写とかに気を
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劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(2010年製作の映画)

3.0

 原作の雰囲気を残しつつ、子供向け冒険物語の枠は崩さずに、かなり良い作品だった。ビョークの歌が良い。
 暗い雰囲気や独特のパペットが怖いアニメだけど、なんといっても世界が崩壊する様の描写が生々しい。あ
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

2.0

 ウルトラマンは知らない。シン・エヴァンゲリオンもシン・ゴジラも観に行かなかった。だけど今日は時間があったので映画館へ行った。
 世界観の端的で大胆な説明や、独特のキャラデザ・アクションなど、冒頭から
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善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

2.0

 崇高な理想を胸にした主人公はしかし、「人間的」な生活を監視するもそこへ立ち入ることはできない。全く異なる立場の二人の人生が芸術の力によって引き寄せられ、絡み合うも、相互の関わりはついぞ無かった。
 
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.0

 内容は隠喩が多くよく理解できなかった。しかし、縦横比とか音質、画質がわざと荒くしたこだわりを感じたし、緊張感が積み重なっていく音楽が良かった。繊細な陰影を強調するための綺麗なモノクロではなく、本当に>>続きを読む

バブル(2022年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

 良かったところは、エンディングテーマ!吐息混じりというかハスキーというか、儚い声で耳に残るメロディ。
 主人公にあまり魅力を感じなかった。男版ぶりっ子(斜に構えていて常に不機嫌で、可愛くなければ無い
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パーマネント野ばら(2010年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 惨めで滑稽で力強い。そんな狭い漁村の群像劇で、大人しく堅実な主人公の目を通して少し距離を取りつつ描く…と言うのだと思ってた!!!思ってた!
 終盤に急ハンドルが切られ、そのままガタガタの坂を転がり落
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湿地(2006年製作の映画)

2.0

 うへー。家族関係がぐちゃぐちゃで理解が追いつかんが、トリックが解けた時はかなりおおーっと思った。陰湿。
 田舎の狭い世界で凶悪な殺人。そんなのバレずに済むなんてあり得るか?とも思うが、犯罪を犯してい
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メアリーの総て(2017年製作の映画)

2.0

 テンポが良く言いたいことも伝わって、悲しいけれど力強い作品だった。けど、メアリーの受動的な部分がクローズアップされてて少し物足りない。とちょっと感じた。

ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(2014年製作の映画)

2.0

 前半は少女と犬の感動ストーリー、コテコテの描写はハリウッドには及ばないが、独特の雰囲気があった。後半は急にスリラー。パニック映画になってなんか復讐し始めるが、全然スカッとしない。ラストは急ハンドルを>>続きを読む

2012(2009年製作の映画)

2.0

 映像がすごい。話の内容は凡作。まあアクション映画ってこんなもん。
 そうは言ってもちょっと悪い方だった気もする?主人公の独善的で無策な行動が運良く全てうまくいくのに白ける。たくさんの人が無残に死んで
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今日もどこかで馬は生まれる(2019年製作の映画)

3.0

 個人的に感じたことをつらつらと。
 競馬は好きじゃない。けど関わっている人たちが悩みながら最善を尽くそうと模索していることは伝わってきた。それでもなお、仕方がないと、折り合いをつけなくてはいけないと
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ダークシティ(1998年製作の映画)

2.0

 SFをあまり見慣れていないせいか、あまり楽しめなかった。そんな設定成立しないよ!とか、えアクションダサくね?とか、いらないことに気が散って没入できず。ビルがニョキニョキ生えてくる描写は高揚感があった>>続きを読む

Melanie Martinez: K-12(2019年製作の映画)

2.0

 ピンクと水色とラベンダー色、ファンタジーで可愛い世界観で、それだけで見る価値がある。良かった。メッセージは割と直球で隠喩が多いが解釈はそれほど難しくない。いくつかの展開や問題、キャラクターが並列的で>>続きを読む

インクハート/魔法の声(2008年製作の映画)

3.0

 正統派ファンタジーアドベンチャーで楽しかった。登場人物が悉く自分勝手で協力しきれないところがもどかしくも面白い。後悔と心変わりのシーンがいっぱい。中でも作家の、悪気なく地雷を踏み抜くキャラクターが良>>続きを読む

ミラクル・ニール!(2015年製作の映画)

2.0

 くだらないコメディで安心する。合理的な犬がかわいい。

世にも不思議なアメージング・ストーリー(1986年製作の映画)

1.0

 オープニングに眩暈がした。その後もなんとも言えない映像。映画よりずっとテレビドラマという感じがすごい。

クラブ・パラダイス(1986年製作の映画)

2.0

 いかにも古臭いコメディという感じで、反骨精神に溢れたくだらないギャグ。メッセージ性が素晴らしいかというとそうでもない。ハードな展開でものんびりしている雰囲気で面白かった。音楽が良かった。

レジェンド/光と闇の伝説(1985年製作の映画)

4.0

 あー、綺麗!!レトロな映像への懐古趣味から余計に好きなのかもしれないけど、コンパクトな王道ファンタジーで素晴らしい。
 なんとなく牧歌的で神話っぽく、単なるドンパチでなく知恵でなんとかする感じがいい
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ロビンフッドの冒険(1938年製作の映画)

3.0

 かなりファンタジーで見ていて楽しい。歴史物だと、残酷で汚くて画面が暗い…というのが多いが、これは割と明るくてきらきらしている。まあ、その分緩いというか劇っぽいが、アクションは見やすくてかなり好き。木>>続きを読む

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

 金に目がくらみ冒涜に手を染め破滅する、この時期のオカルティズムへの傾倒は頽廃的でロマンチックだ。そんで悪趣味。
 主人公の父親は偽善的な牧師で酒を飲み彼に嫌なことをした?苦労をしたらしい主人公はしか
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.0

 初見が一番面白い。奇抜な構図や独特のリズムといったものは、物語の面白さと同時に味わうことはできず、騙し絵のような関係にある。あらすじも登場人物も多くてよく分からない。よく分からないけど、なんか良い感>>続きを読む

プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード(2016年製作の映画)

2.0

 なんかケバい衣装と不倫とエロいのとエグいの。こ…どういう気持ちになれば良いのかわからない。