しの田さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.0

 静かで慎ましく美しい。バベットが料理する姿が途端に生き生きとしてくる。キッチンに籠り食卓の様子を見ることもなく、直接のお礼を受け取ることもなく、喜びを人に与える。一仕事終えて満足げに残り物を食べるバ>>続きを読む

VIKING バイキング 誇り高き戦士たち(2016年製作の映画)

2.0

 中世ロシアにキリスト教を導入した聖公ウラジーミルの前半生。基本はアクション映画。ここら辺の歴史はふわっとしか知らないが、割と詳しく描かれてるように思った。が、キリスト教化はかなり突然に思った。強引な>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.0

 前回は字幕で、今回は吹き替えで観た。いかにも洋画風のイイ声がねっとりと喋る。自然では無いけど、この映画の雰囲気には合っていてすごく良かった。
 センスが独特すぎる。大まかなあらすじは突飛だがまあ意味
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PITY ある不幸な男(2018年製作の映画)

4.0

 あっさり淡々で冷たく盛り上がりも無い、しかし無表情の奥の感情の機微はよく分かる。面白かった。すごい。
 繰り返す日常とその中の変化、この描写が良かった。構図や音楽の使い方も好き。ところどころ笑いどこ
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教誨師(2018年製作の映画)

3.0

 初めは新人牧師だから、相手に振り回されて上手く語り合うことができなかったけど、だんだん吹っ切れていく様子がみてとれる。多少強引に自分の価値観を押し付けてイカれバトルに勝利しないと、対話はできないのか>>続きを読む

クヒオ大佐(2009年製作の映画)

2.0

 あっさりしたコメディでテンポが良い。ラストを見ると、日米関係は単なるフックではなく、この映画の裏主題とも言えるくらいなのかも。真実なんでどうでも良い、見たいものを見せてくれるなら。大佐はもう現実の世>>続きを読む

グリース(1978年製作の映画)

3.0

 こんな高校イヤだ。絶対に行きたくない。
 恋人にしっかりと向き合うことができず、仲間に格好つけて素直になれない所とか、もどかしいし頑張れって思う。色々酷い強引な展開だけど、登場人物は割とケロッとして
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博士と狂人(2018年製作の映画)

2.0

 辞書の編纂には途方もない労苦がかかっていたことに驚く。正気のままじゃやってらんない作業だ。
 そこにメロドラマや精神治療、陰謀とかがくっついていい感じにまとまってた。

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

2.0

 嫌な展開が最後までひたすらに続く。
 緑と赤、という色の対比に意味をつけてそう。正気/狂気 とか平静/動揺 とか。
 この映画の誰かに感情移入できるわけでもなく、ただ嫌な描写が続く…直接には見えない
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ザ・ゴーレム(2018年製作の映画)

2.0

 テンポのいいスリラー。子を想う母の愛情が暴走して哀しきモンスターを生み出す。ゴーレム伝説は面白い。
 グロ描写が少しあるが、ホラー表現は少なめ。主人公の狂気が恐ろしい。伝統に縛られて夫婦でじっくり話
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ひまわり(1970年製作の映画)

2.0

 若々しくて情熱的な恋、しかし逃げられない運命、凍てつく吹雪。
 戦争で疲弊し、すっかり老いたようになってしまい、お互いにぶつかり合うだけのエネルギーも無い。相手を酷く責めることがないのは、物分かりが
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斬、(2018年製作の映画)

1.0

 良かったところは、蒼井優迫真の演技。塚本晋也は自分が最も雰囲気出る取り方を分かってる。淡白な中に狂気があって良かった。
 それ以外はあんまり。なんとか映画の形にするため内容を薄めて尺稼いで頑張ってよ
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ユメ十夜(2007年製作の映画)

3.0

 挑戦的で力の入ったNHKのテレビドラマみたい。名前を知ってる監督が参加しているのに、全部安っぽい。だけど安い割に解釈が面白いし個性があって大変良かった。『夢十夜』は昔読んだきりで詳しい内容は思い出せ>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.0

 「自分らしい」人生を選んでいたはずなのに、ふと「普通の」愛し合う夫婦がいて子供がいて…という家庭を見ると、現実にはならなかったもう一つの未来を否が応でも想像してしまう。人は歳を取ると他人の幸せが自分>>続きを読む

マーク・オブ・ザ・デビル(2020年製作の映画)

1.0

 エクソシスト映画と思いきや、そのまんまクトゥルフ映画だった。彼らに憑いていたのは悪魔でもなんでもなく、祈りは聖書の言葉ではない。最後の手段も聖書でなく物理的。発想とかは面白いが、やはり見せ方の問題か>>続きを読む

騙し絵の牙(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 めちゃくちゃ面白い〜たくさんの思惑が絡まりながら速水と高野の物語に綺麗にまとまってて、単純なギャグを織り混ぜつつも最後には何か心に残るものがある。インフルエンサーとかSNSとかの雰囲気もリアルに思っ>>続きを読む

亀は意外と速く泳ぐ(2005年製作の映画)

2.0

 丁寧な解説付きのんびりギャグ。日本らしいゆるいコメディ映画。平凡にみえる生活も、見方を変えればドラマになる!ということか? ひなびた小さい商店街が舞台で、スパイの真相は散々匂わせつつも明確に描かず、>>続きを読む

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

3.0

 抑圧的な父、不安定な政情、物質的な生活をとるか精神的な生活をとるか。大まかなあらすじは分かりやすいしそれほど奇抜ではないのに、ものすごく尖ったセンスで目が回る。泣けばいいのか笑えばいいのか顔をしかめ>>続きを読む

イカリエ-XB1(1963年製作の映画)

2.0

 いかにも古典的SFといった映像だが、未来技術の描写におかしなところは特にない。レーダーはフィーン…フィーン…といったいかにもな音を立てるし、20世紀のロケットはUFOみたいな形だし、ウラシマ効果、キ>>続きを読む

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

4.0

 ヒップホップとサムライとマフィアと鳩…なんだかわからん組み合わせだが、古いものと新しいもの、という対比で整理できるのか? 時代にそぐわない古い価値観に固執する者は死んでいく…
 おじいちゃんばっかの
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ピーターラビット2/バーナバスの誘惑(2020年製作の映画)

3.0

 皮肉が効いてて性格悪くて良い…。商業主義のアクションを散々に言いつつ、言及された要素(ボート、飛行機から飛び降り、ピンクの夕日)はしっかり入れちゃう。自然派で伝統的な世界観をひっくり返した滅茶苦茶な>>続きを読む

軽い男じゃないのよ(2018年製作の映画)

3.0

 男女逆転を描くのはつくづく難しい。性差別云々の問題の根源には体格差があって、「この世界」に生まれ育った私からすればいくら女が男にすごんでもピンとこない。主人公が本気出してぶん殴れば一発なのでは…と思>>続きを読む

名もなきアフリカの地で(2001年製作の映画)

4.0

 違いを受け入れ交流する。極限状態に追い込まれるまでではないからこそ、共同体としての家族が試される。

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

3.0

 気まずいシーンの連発に笑うに笑えずほっこりするわけでもなく、ただ当惑のうちに映画が終わった。真顔で冗談を言って、その後も黙ったままだから、脳がものすごく混乱する…。父親の不器用な愛♡では私はとっても>>続きを読む

ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

2.0

 露悪的で趣味の悪い童話といった感じ。時代に翻弄されながらも日々の生活のために風見鶏に徹する人々を、責めることはどうしてもできない。子供であっても大人であっても、本質的には望みは同じで、スカートの下に>>続きを読む

オンネリとアンネリとひみつのさくせん(2017年製作の映画)

2.0

 二人が少し大きくなってる!だけど基本的には変わらない雰囲気、可愛くて優しい〜
 大人だからこう、子供だからこう、とは絶対に言わないこの映画。しかも毎回、味方と敵役にはっきりと分かれているわけではなく
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渚にて(1959年製作の映画)

4.0

 もしも私が冷戦の時代に生きていたら、恐ろしくてこんな映画観られない。静かで穏やか、美しい描写が続くのに、どこまでも落ちていくような絶望感。実際はもっと暴動が起きたりして大変だろうから、この映画は最後>>続きを読む

ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

2.0

 主人公の空回りが痛々しくて見ていて辛い。母とのどうしようもないすれ違いが胸を刺す。が、モードの破天荒な振る舞いに触れて、ハロルドの表情が全く変わっていく。終始にわたって閉塞感が漂うが、希望もある世界>>続きを読む

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994年製作の映画)

2.0

 ダークファンタジーを真面目に見ようと思ってたが、だんだんコメディだったのではと思い始めた。なんとも言えない余白が時々匂う。
 不思議なこだわりのある主人公、謎のBL感(ヴァンパイア系は大体そう)、不
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ぼくを探しに(2013年製作の映画)

2.0

 テンポが良く、服装がおしゃれ、クセのある登場人物たちが楽しい。
 ラストになってようやく話せるようになったポールは、新しい人生を歩み出す。マダム・プルーストも、あの大木も、人生はつづいていく。
 後
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ピザ!(2014年製作の映画)

4.0

 ほのぼのなんてものじゃない、キツい展開の連続、グロテスクな描写、ただ兄弟の純真さに救われる。
 兄弟はただ自由に楽しそうに過ごしているようだが、丹念な格差の描写が続き、ピザ暴行事件で色々な問題が噴出
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世界でいちばんのイチゴミルクのつくり方(2014年製作の映画)

3.0

 子供映画特有のファンタジーさもあるが、どこかしら俗っぽい不思議なバランス。
 ミニチュアっぽい街の写し方、子供のダラダラした演技と舌ったらずの吹き替え、雰囲気が出てて良かった。研究大好き科学万歳なの
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サマー・ストック(1950年製作の映画)

3.0

 YouTubeでGet Happyを見つけて一目惚れ、これを目当てに観始める。と、田舎を舞台にしているのは珍しいし、時々のギャグも楽しめたのでかなり良かった。ジュディ・ガーランドの貫禄。
 子離れ・
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