おこのみやきさんの映画レビュー・感想・評価

おこのみやき

おこのみやき

危険な関係(1988年製作の映画)

3.7

複雑な筋書きが最小限の説明で進む。この話は説明しすぎると面白くないからバランスとしてはちょうど良いと思うが、鑑賞者の負担は大きい。

シカゴ(2002年製作の映画)

4.0

ストーリー仕立ての豪華なショーを観た感覚。
予想できる展開ではあるけど、本当にショーのパフォーマンスが最高で、構造も面白い。

奇跡の海(1996年製作の映画)

3.8

信仰と愛という陳腐とも思えるテーマをも唯一無二の表現に昇華させる脚本と演出。

幸せになれない女性主人公と彼女を見捨てず支えようとする友達/親戚という構図は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と共通している
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パプリカ(2006年製作の映画)

3.8

最初から最後まで全部夢、というか現実と夢という区分も概念もそもそも無いのかもしれない。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

この映画をめぐって、「気分を害する」や「観なければよかった」という評価がされているのが散見される。果たして私にとってこの映画が気分を害するようなものであったかと問われれば、そんなことはないと言いたい。>>続きを読む

17歳の肖像(2009年製作の映画)

3.5

テーマをストレートに表現しすぎでは。教育がテーマだからこそ説教くさい映画になってしまっている気がする。結局主人公が選んだ道も、最後のモノローグから本人は完全に納得していない感じがあったし、本人が決心し>>続きを読む

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター(1993年製作の映画)

3.8

主人公エイダの考えていることは、映画の登場人物たちにとっても、観客である私たちにとっても掴みづらい。おそらく彼女自身も、自分の行動を理解できていない。それでも、自分の意識の外で自分を突き動かす不思議な>>続きを読む

サスペリア(1977年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

これ以上赤い赤を知らない。
最初の空港のシーンと最後の笑みが良かった。

あの寄宿舎は魔女たちが後継者の魔女を育成するために存在するのかなと想像した。だから、候補者たちはできるだけ側に置いておきたいし
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

メッセージの伝え方という点においては「バービー」よりも成功していると思った。これは映画の面白さという観点とはまた違うが、本作は映画としても面白かった。

アカデミー賞の授賞式を観ていて、日本の解説者が
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マリー・アントワネット(2006年製作の映画)

3.5

リドリー・スコットの「ナポレオン」と二本立て。本作→ナポレオンの順番で観るべきだったと思うが、時間的な問題で逆の順番で鑑賞。

パチ打ちの字幕で観る機会はなかなか無いが、パチ打ちの印象的なフォント(と
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.8

伝記映画は実在の人物に対する監督の解釈が見られるのが面白い。今作もリドリー・スコットの考えるナポレオン像が新鮮で、面白かった。

例えば、ナポレオンは確かに指揮官としての天才的な素質を持っていながらも
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華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)

3.6

バズ・ラーマンの作る映画は「一本丸ごとフラッシュバック」みたいな演出が特徴だと思っているが、ギャツビーの世界観と語り方にはその演出が合っていた。ただ、映像が現代的すぎて時代観が掴みづらいというのは、や>>続きを読む

カサブランカ(1942年製作の映画)

3.8

まず映画の舞台設定として、カサブランカの置かれた複雑な状況以上のものはない。そこに三角関係と駆け引きが加わって、最後まで結末が見えない面白さがある。

カラミティ・ジェーン(1953年製作の映画)

3.7

きちんと段階を踏んでいる脚本で、四角関係も面白い。歌を挟むタイミングもちょうどいい。何よりドリス・デイのSECRET LOVEが聴けるだけでこの映画を見る価値はある。しかし、インディアンの扱いは酷い。

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.7

シネスコサイズかつ明瞭なサウンドを体験できる映画館で観るべき作品。

ロードムービーの面白いところは物理的な移動、時間の経過によって登場人物たちの心境や行動に変化が現れるところだが、本作はまさにそのロ
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.6

英語音声、英語字幕。

ディズニーの実写版で最後まで観られたのは、これとシンデレラだけ。
自由とは地上の世界に生きること、これは今でも受け入れられる価値観だが、そこに「結婚」が加わると(アリエルはかな
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ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

3.6

英語字幕、英語音声

「夢を叶えた」あとの展開が面白い。ただ、ストライキの話は唐突で無理矢理感が否めない。

バービー(2023年製作の映画)

3.5

英語音声、英語字幕

ポリコレを意識しすぎて頭がかたくなっている人たちを皮肉る意図が感じられたが、結局それもポリコレの一つに過ぎず、結局何がしたいのか、作り手自身が分からなくなってしまっているように見
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007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)

3.5

英語音声、英語字幕

こんな話だったっけ。もっとカジノ中心の話なのかと思いきや、前半はアクション中心で(アクション映画なのだからあたりまえ体操)無駄に長いなと思ってしまった。

ヴィクトリア女王 最期の秘密(2017年製作の映画)

3.8

英語音声、英語字幕

よくまとまっている映画という印象。
ヴィクトリア女王の性格と王室のしきたりとアブドゥルの思い、それぞれの葛藤が見える。

裏窓(1954年製作の映画)

3.9

字幕なしで鑑賞。

大規模なアパートのセットを組んで撮影された本作。完璧なリアリティはないが、舞台装置のように洗練された背景になっている。必然的に役者たちの行動範囲も限られてくるが、脚本と演出によって
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つみきのいえ(2008年製作の映画)

4.0

時間が上から下へと視覚的に流れていく。それだけで面白い、アニメーションじゃないとできない表現。

タカラヅカ・レビュー・シネマ 星組公演「1789 バスティーユの恋人たち」リミテッド上映(2023年製作の映画)

4.1

舞台挨拶付きフィナーレ上映を鑑賞。

昨今のチケット難や公演中止の多さを考えれば、映画館で鑑賞できるのはありがたい。
別段贔屓がいない組であればオペラを上げる必要もないし、カメラは主要キャストを追って
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パン種とタマゴ姫(2010年製作の映画)

3.7

3回目?の鑑賞。なぜか私がジブリ美術館に行く時はほとんどいつもこれが上映されている。
音声を環境音やキャラクターが発する擬音と音楽に限り、動きの妙で魅せる。

初めて観た時は、魔女への服従に耐えかねた
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.8

高校卒業してからただただはっちゃける系映画ではなく、見た目の楽しさが確保された上でどんどん私的な内容に踏み込んでいく。
終わり方が好きなタイプ。

会話(2015年製作の映画)

3.7

最初の数秒の影が全てを語っていた。
一度観ただけでは気付けないささやかなどんでん返し構造。
ただ、それに気づけなくても日常系アニメーションとして成立している。

ルミナリス(2011年製作の映画)

3.4

世界各地の映画賞を受賞した作品。

さっぱりとまとまったウェルメイドな印象だが、もう少しパンチが欲しかったとも思う。

Lucía(原題)(2007年製作の映画)

3.7

オブジェクトとグラフィックが融合したアニメーション。

短い作品だが、刻々と変化する部屋の様子からとても長い時間を描いているように感じられる。

対話の可能性(1982年製作の映画)

3.7

オブジェクトアニメーションの金字塔的作品。

「アリス」に繋がる何とも言えない不気味さと不快感が癖になる。

技術的な素晴らしさに加え、監督の思想もうかがえる貴重な作品だと思う。

6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

4.0

この監督は本当に映画における時間の概念に関心を持っているんだなということが分かる。

かといってその斬新な取り組みを誇張するわけでなく、ストーリーは至ってシンプルに淡々と進む。

映画の中で人生を表現
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非常線の女 4Kデジタル修復版(1933年製作の映画)

4.1

東京国際映画祭のジャズ生演奏付き、修復版上映。

田中絹代に惹きつけられる。落ちたドレスの肩を直しながら、男を小突きながら、前髪を直しながら話す姿は、声は聞こえないものの彼女がそこで確かに存在している
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ほかげ(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

東京国際映画祭のアジアプレミア上映。

予算はそれほどかけられていないのだろうが、濃い映画であった。
第二次世界大戦直後が舞台の映画だが、「復興」とか「希望」とか、そういうものからは少し距離を置いたも
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バーレスク(2010年製作の映画)

3.7

とりあえず歌と踊りを楽しみたいときに良い。

ストーリー展開はお決まりという感じだが、主人公のシンデレラストーリーで彼女の力量で店を立て直すのかと思いきや、割と現実的な方向に行ったのが面白い。

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