おこのみやきさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ほかげ(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

東京国際映画祭のアジアプレミア上映。

予算はそれほどかけられていないのだろうが、濃い映画であった。
第二次世界大戦直後が舞台の映画だが、「復興」とか「希望」とか、そういうものからは少し距離を置いたも
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バーレスク(2010年製作の映画)

3.7

とりあえず歌と踊りを楽しみたいときに良い。

ストーリー展開はお決まりという感じだが、主人公のシンデレラストーリーで彼女の力量で店を立て直すのかと思いきや、割と現実的な方向に行ったのが面白い。

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

3.6

図書館の公共性をめぐる、かなり政治的な争い。

市長候補者の検察官と中継キャスターの描き方はあまり好きではなかったが、他はかなりリアリティを持って描かれていたのではないかと思う。

邦題はどうにかして
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.5

画面の構成に隙がなくて、常に一定の緊張感を保っている。

ただ、展開としてはあまりにもクラシックで、ロマンスにもスリラーにも振り切らないぼんやりとした雰囲気に入り込めなかった。
それがこの作品の「上品
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コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.7

ロシアのキンとする寒さが少しずつほぐされていくような映画。

電車内のシーンは似たような映像、時間が多かったからもう少しメリハリがあってもいいような気がするが、それがまた長旅の象徴であるようにも思える
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ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

4.1

前作に引き続き、シンプルな構成であるがやはり脚本が面白い。

"サンライズ"では、探り合いで核心を避けるような印象があったけれど、今回は特にセリーヌがズバズバ言う。令和女子のヒス構文みたいな勢いで喋り
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

4.2

人生観と恋愛観が交錯する映画。

とてもシンプルな構造を持っていて、音楽も2人が聴こえている音楽、音が鳴るだけで何か大きな出来事が起こるわけではないが、なんとなくハラハラして観てしまう。

せりふがち
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ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

3.4

正直こういう設定に飽きてしまったというのもあるが、銃撃戦なのに人が死ぬ描写がない(これはテーマに沿って仕方ないのかもしれない)、ご都合主義で主人公たちがまったく逮捕されないというのが納得いかずモヤモヤ>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.7

ある程度ワインスタインの話とか#Metoo運動を知っていることが前提になっている印象だった。

とにかく名前がたくさん出てきて、それも彼ら全員が映像に登場するわけではないので、整理できない。そもそも話
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

3.8

Wet Legの「Wet Dream」という楽曲に「Buffalo '66 on DVD」という一節が登場するために、さぞかしおしゃれな内容なんだろうと思っていたが、めちゃくちゃ胸糞悪かった。

トイ
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(2023年製作の映画)

3.4

緊張感はあるがそこまで入り込めないのは、ストーリーを短縮しすぎて全部のシーンが山場になってしまっているからなのか。🐍

カナリア(2004年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

鮮烈な映画。

偶然出会った光一と由希の逃避行のような、はたまた冒険のような復讐の旅のシーンと光一が教団に入っていた時の回想シーンが交互に映る。
光一も由希も「社会は嘘つきだ」ということを悟っていて、
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害虫(2002年製作の映画)

3.8

ポスターから学校が舞台の物語なのかと思っていたが、学校から離れてふらふらする少女の話だった。

主人公を演じるのは宮崎あおいだが、彼女が自身を「害虫」だと思っているからだろうか、あまり魅力的に映らない
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夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)

3.9

子ども中心の物語かと思いきや大人側の物語も介入してきた。

ロケーションや雨を降らすタイミングは、やはり相米監督の本領発揮という感じである。

しかし、子どもたち3人それぞれを明確にキャラづけしている
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どこまでもいこう(1999年製作の映画)

4.3

『月光の囁き』と同じ監督とは思えないほど内容が違う。同時期に制作されたらしいが、こんなに作風に幅があるのはすごい。シンプルに映画作るのが上手い。

登場人物たちは演技慣れしている感じはないが、みんな表
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月光の囁き(1999年製作の映画)

4.0

これからスピッツの「運命の人」聴くたびにこの映画のこと思い出すのかな。

登場人物全員変態だけど、それを作ってる監督が一番変態かもしれない。
男目線の女の撮り方というか、切り取り方みたいなのがゾッとす
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カケラ(2009年製作の映画)

3.6

そこまで記憶に残る映画ではないが、観ている最中は面白いし雰囲気も良く思える映画。

リコのキャラクターもハルのキャラクターもそれぞれ際立っているのだが、2つのキャラクターが出会った時のドキドキがいまい
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

「世間の求めるウェス・アンダーソン像」みたいなものが先走っていて、彼自身がそのことをどう捉えているのか、意識しているのか否かは分からないが、観ているこちらとしては意識せざるを得ない。
「ウェス・アンダ
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キャロル(2015年製作の映画)

3.6

キャロルという題だが、どちらかというとテレーズの方に目線がある。
キャロルは主人公にしては強さが足りないような気もする。テレーズが恋に落ちるような品の良さも、深く関わってみるとそれほど良くないように思
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少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.6

とても朝井リョウ原作らしい青春群像劇。

もう少し飛躍があった方が映画としては面白かったと思うが、4人の女子高生の描き分けが自然でよかった。

街の上で(2019年製作の映画)

3.9

よくあるサブカル映画にコメディ要素を上手く足して、変なエモさが中和されていて良かった。

女性陣の役、出番もバランスよく、彼女たちが出会った時に見せる化学反応を楽しめた。

コメディ部分と会話劇部分は
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生きててごめんなさい(2023年製作の映画)

4.1

序盤、莉奈の「生きててごめんなさい」なのかと思っていたが、実は修一の「生きててごめんなさい」でもあったことが明らかになってから急に物語が動き始める。

よくある恋人別れる系の映画なのだが、細かい話のひ
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嫌われ松子の一生(2006年製作の映画)

3.9

絶妙なアングラ感と支離滅裂に見えて案外繋がりがあるストーリーが良いです。

松子が善人であるとは思えないが、歌っている時だけは聖人のように輝いて見える。

最初から最後まで濃い。

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

3.8

倫理ない
倫理ないけど、相米慎二の画作りはいつもは退屈な長回しも冗長な物語も新鮮に思わせる力があるので、楽しい。
こういう実験的な映像が、大衆向けの映画として受け入れられていたことを考えると、日本の映
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.7

映像が美しく、安心する色味。

12歳(中学1年生)で友人との関係に疑問を持つようになるのが少し遅いような気がしたのは、『怪物』の2人が小学生の設定だったからだろうか。

主人公vsいじめっ子という構
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

※まだ後ほど書き足すが、取り急ぎ所感

初日初回って、やっぱり上映後拍手があるのか。

考察は色々できると思うが、私は宮﨑駿は自身の戦争観、平和観を表現した作品だと思った。ただ、戦争というものをわかり
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.1

鬱映画というよりも、主人公のミュージカルへの愛をひたすら語り続ける映画だと思った。

ドキュメンタリーのような映像の躍動感で、映画で起こることがまるで現実の出来事のように見えるが、主人公の歌声によって
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.6

これほど画が力を持った映画は他に観たことがない。
ゆっくりと流れる時間は、宇宙の時間の流れを表現するために必然。

冒頭で交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」の部分が流れるが、まさにこの曲は映画の内
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台風クラブ(1985年製作の映画)

3.8

やりどころのないイライラが台風によってさらに高められる。青春特有の狂気だね、とかではなく、どんな人の中にもずっとあり続ける狂気だと思う。

(映像ではなく、内容が)なかなかグロかった。セリフや動きがな
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.6

同じような題材としては「僕の巡査」の方が現実味があったが、映画としての完成度が高いのはこちらなんだろうな。

ラストが主人公2人を描くことよりも、物語の盛り上がりを狙うことを優先しているようであまり好
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さよなら、退屈なレオニー(2018年製作の映画)

3.7

レオニーは退屈なのではなく、考えることが多すぎて、もうどうでも良くなっているのでは。

自分がまわりより大人であることを自覚していて、そんな自分も嫌いというレオニーは、ほとんどの場合感情をコントロール
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blue(2001年製作の映画)

3.6

完全に共感はできないが、それぞれのキャラクターは面白い。

また、色づかいと光の表現はかなり好きだった。曇りや夜の場面も良い。

新潟の風景っぽいなと思っていたら、やはり新潟と富山がロケ地だった。ロケ
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醒めてまぼろし(2021年製作の映画)

3.3

空き地のシーンでの音の表現が良かった。発想が面白い。

内容はあまり好みではなかった。

怪物(2023年製作の映画)

4.3

台風接近中、人の少ない映画館で。
怪物とは誰なのか。私たちは物語を受け取る時、誰が善で誰が悪なのかを判断しようとする。本作ではそのような私たちの中の怪物が浮かび上がってくるようだ。最初、湊の母親(早織
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.7

固有名詞は多いが説明は少ない。これはこの映画の特徴で、悪いことだとは思わないが、字幕が不親切。

シネスコサイズだから一行の字数が増えるのは仕方ないが、ただでさえカタカナ語が多い中で、不必要なルビが多
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