セルジロベルトさんの映画レビュー・感想・評価

セルジロベルト

セルジロベルト

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クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険(1996年製作の映画)

4.0

久し振りにみて面白かったっちゃ面白かったけど興味深いのが、ドイツ表現主義的な線の使い方。

当時の表現主義は素晴らしいものだけど、結局セットの美術を超える映像芸術に昇華する前にナチスに潰されてしまい、
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.5

モダンなピアノがこの映画には良い。
カメラと編集と演技に狂わされそうになる時の、安らげてくれる酔い止め薬になっていた。


舞台女優の持つストレスを、ここまで奥深く複雑に表現されて、とてもじゃないけど
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悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

4.5

重厚な汚職モノ
それがモノクロで黒澤の画でとなると垂涎が止まらない

自分の葬式を見せるシーンは神がかった演出だった。

業務的で無機質さで複雑な社会の仕組みを炙り出す脚本は日本でしか作れないと思う。
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台風クラブ(1985年製作の映画)

3.8

あの陰鬱とした空気感は嫌いだわ。
少年少女にエロティシズムを演じさせる生理的嫌悪感もあった
正直ロクなもんじゃないわ。

遊びはかなり効いてて見応えないこともないけど、「お引越し」の長回しがかなり良か
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白夜(1957年製作の映画)

4.6

時間をゆったり使った映像は、オールセットのイタリアの街並みの迫力にやられてしまうには充分すぎる
あれがセット?信じられない...
照明の当たり方が幻想的だった。

寄って引いてのカメラの塩梅がたまらな
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ニノチカ(1939年製作の映画)

4.0

流石だわ。
ルビッチワイルダーの系統が一番スターが輝いてる。

愛の囁きが映画の大半を占めてる。
なかなかそんな映画は楽しめないけどこれは洒落すぎてて見惚れてしまった。

なんであんなに華のあるシーン
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.7

退屈さに味があって良かったジム・ジャームッシュだけど、この映画は退屈さだけが残ったわ。

色味だったりセンスは感じるけど、これじゃあ声付きスライドショーと変わりないわ。
独特のリズム感なしで怠惰系オム
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恐怖の報酬(1953年製作の映画)

4.7

これほどスリリングな映像感覚に出会ったのは初めて。
長いドライブの合成映像のシーンでも、観客の心を掴むリズム感で飽きる事がない。


小さな街で存分に監督の感覚が味わえる前半が好きだった。
印象的なの
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リバティ・バランスを射った男(1962年製作の映画)

4.7

迫力、格が明確に映画技法からもたらされている。
純粋な作品だった。

フォードの哲学は画面構成、構図から始まっている。
素晴らしい部分を挙げればキリがないけど、構図に関しては飛び抜けた才能を持っていた
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桃色の店/街角 桃色の店(1940年製作の映画)

4.3

ハリウッド黄金期に何が長けていたかわかる。人の心を動かす術を知ってた。
感動にほとんど不感症だけどこの頃の映画には負けるわ

小物が映画を動かすところなんかは、ビリーワイルダーにしっかり受け継がれてる
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.8

編集の素晴らしい映画は気持ちいい。
映画でしか味わえない快楽のひとつ


ジョンカサヴェテスは今のハリウッド映画に大きな影響を及ぼしてる事がこの映画からわかった。

彼の映画における俳優の優先順位の高
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ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.7

演出の連続性を正確に捉えるカメラの感覚、圧倒させられた。

ルノワールは演劇に殉じてる分、映画としての演劇の本質はやはりカメラにあると理解していた。
それはボブフォッシーが従来の舞台的演出を大きく逸脱
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イースター・パレード(1948年製作の映画)

3.8

テクニカラーはやっぱ独特。
過剰装飾でも見れる

ジュディガーランドとフレッドアステアは合わなかったな。
それでも成立する二人の強いスター性

アステアのスローモーションは究極だった。
あれに耐えれる
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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(1988年製作の映画)

4.3

久し振りに見たけどやっぱ特別な作品だった。

アニメーションが実写に勝る部分はこういう映画でしか享受できない。
自由な表現力こそアニメーションだという基本をアニメ大国日本ですら忘れている。

宇宙空間
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ヴェラクルス(1954年製作の映画)

4.4

技巧派だなアルドリッチ。

つまり画面全体を構成する絵画としての芸術性より、節々を目で追わせる映像としての芸術性をアルドリッチからは強く感じる。
技巧派の映画はどう見れば良いか、導かれている様な優しさ
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鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)

4.0

自然美は有無を言わさぬ凄みがあった

北海道の大自然に積もる雪が画面いっぱいをフィルムの美しい白に染める様は絶景。

木造建築に灯る暖色がみてるこっちまでホッとさせる。

高倉健演じる鉄道員には今はも
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チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)

4.1

カメラの動きがシンプルで見やすい。
演技がコミカルすぎて軽く鑑賞できる、良い意味でも悪い意味でも。

オーソンウェルズの影は感じなかった。
愛の表現の美しさは、チャップリンが一番うまい。
毒入りワイン
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美女と野獣(1946年製作の映画)

4.4

なぜ精巧に作られた現代の作品より崇高な映像になっているのか

映画にとって光と影がどれほど効果的かわかる。
特にモノクロには顕著にそれが出る。
画面全体を明確に見せる必要はない

スローモーションが美
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飾窓の女(1944年製作の映画)

3.7

フリッツラングにしては平凡なカメラ

女の帽子がいい

こんなに高評価なのはシナリオがウケてんのか

トップ・ハット(1935年製作の映画)

4.0

フレッドアステアの優雅さに見合うジンジャーロジャースが凄い。
あの気品はジュディガーランドでは見れないかもしれない。
ペアダンスの美しさは忘れられない

美脚越しのダンスのカットが良かった。

勘違い
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鉄道員(1956年製作の映画)

3.8

音楽が良い
家族の崩壊ほど見てられない映画はないが、救いがあってやはり映画はこうでないと

怒りの葡萄(1940年製作の映画)

4.7

もう素晴らしいの一言。
ジョンフォードの今作品での映像哲学は、果てのないアメリカの広大さに虚しい人間たちをポツンと置いて、残酷な対比で観客に直接に訴えかけるモノだった。

この監督の画面の作り方は惚れ
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情事(1960年製作の映画)

4.9

この感覚の鋭さは映画史において随一だと思う。
フェリーニに並ぶお気に入りの監督。

空間を活かすカメラワークが、ミケランジェロ・アントニオーニの一連の作品につきまとう虚無の感覚を作り出している。

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チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

4.2

チャップリンの最高傑作と銘打つ人も多いこの作品、いわゆるチャップリンらしさが溢れていた。

黄金狂というからには、人間の強欲をチャップリンがどのように描くのかと身構えたが、ただ純粋である人物を描いた暖
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

4.3

迫力の名シーンが多かった。
なんか芯が一本通ってないような若干の不満があったりもしたけど、黒沢美学が駄作になるはずはない

L.A.大捜査線/狼たちの街(1985年製作の映画)

4.3

フレンチコネクションのようなものを想定して見たら、良い意味で期待を裏切られた。

80年代の雑多さを多彩に動きながら捉えるカメラが、止まった時に見せる構図が美しい
重要なシーンになればなるほど客観的な
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疑惑の影(1942年製作の映画)

3.9

未だにヒッチコックがいまいちしっくりこない。

技法に価値を感じるけどいつもつくりに雑な部分を感じる。
何テイクも撮りたがらない監督だったのか?
カメラの道筋は良いのに動きがぎこちなく見える。
最高の
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第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)

3.8

ビリーワイルダーらしい筋のしっかりした映画だった。

捕虜収容所をクリスマスに彩るところがハリウッド映画らしい

夏の嵐(1954年製作の映画)

4.8

セットの美しさだけで震える。
オペラのシーンから始まるこの映画全体がオペラのような伝統と芸術を孕んでいる。

この作品や「山猫」の頃のヴィスコンティは絵画が動き出したような伝統に則った映像でクオリティ
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上海特急(1932年製作の映画)

4.6

マリーネディートリッヒが綺麗なのは分かるけど、演出がどうも素晴らしい。

映画は女が華だな。
現代の、女を演じる事を禁じられているような社会情勢ではこれ程のキャラクターは生まれてこない。
粋な外面と純
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豚小屋(1969年製作の映画)

4.4

うーん隙が無い。
1秒も個性欠くことなくパゾリーニ独特のナンセンスで清潔な映像を保っていた。

カメラワークの使い分けが毎回眼を見張る。
ドキュメンタリータッチなものと正確なもの。
表情のクローズアッ
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偉大なるアンバーソン家の人々(1942年製作の映画)

4.3

舞踏会のドアが開いてからのカメラワークが良い。
モノクロの暗さを活かした豪勢なセットに有意義な長回し。
これだけで見る価値がある。

赤ちゃん教育(1938年製作の映画)

4.0

やっぱアメリカ映画はこうでないと。
気持ちよく映画館を出られるような作品。

初めてのキャサリンヘプバーンだったけど、あの天真爛漫なキャラクターには心奪われる。

映画に一本通った筋が豹ってのがまたい
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フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

4.2

素晴らしい映画だけど、フェリーニの映画としては物足りなかった。

庶民に焦点を当てている分、「8 1/2」や「甘い生活」のような華やかさは鳴りを潜めた。

純粋なインスピレーションというよりは、記憶を
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生きるべきか死ぬべきか(1942年製作の映画)

4.0

ビリーワイルダーの師匠、コメディ映画といえばルビッチとの評判はどこでも聞くので、とうとう見てみた。

圧倒的なテンポの良さにまず驚く。
映画に関する重要な要素の中の一つでも突出的に秀でていれば名作にな
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オペラハット(1936年製作の映画)

3.8

さすがフランクキャプラ、ハリウッドの良心的映画だった。

当時のハリウッドに基づいた凡な映像だったけど、セットの重要性を感じた。
豪邸やパーティーのシーンで格が上がった。

ジーンアーサーは良いね