biwacovicさんの映画レビュー・感想・評価

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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

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素晴らしい。愚かな人類。世界はこんな風に間抜けに終わる。『三体』の開始点は「こんな愚かな世界は滅びねばならぬ」だけど、この映画は更にそれを突き詰める。マーク・ライランスが特に最高。科学を軽視する世界、>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

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U-NEXTにて。感傷的になろうとするムードをまるで無視してガチの幽霊譚、ホラーを貫く映画。当時はどんな気持ちで見たのかもう忘れたが、今見ると過去へのノスタルジーもホラーのような現代の世に倦む感じもわ>>続きを読む

バワリイ(1933年製作の映画)

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1933年。ラオール・ウォルシュ。
猥雑な街で主人公2人がご陽気に喧嘩するほのぼのムービーなんだけど、ガキはとんでもない差別主義者で女性嫌悪だったり、最後はなぜか米西戦争の志願兵となって愛国的になった
>>続きを読む

苦い涙(2022年製作の映画)

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ファスビンダーが必死で隠蔽あるいは抽象化したオリジナルに対して、主人公をファスビンダーとしか思えない中年男性にすることでもう「そのまんま」な世界が出来上がる。それはそれでやはり切ない痛みに溢れてはいる>>続きを読む

私がやりました(2023年製作の映画)

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キネカ大森にて。ちょっと軽過ぎてあまり集中出来ず。オゾンってこんなだっけ?と思いつつ。イザベル・ユペールは大竹しのぶのよう。

イングリッシュ・ペイシェント(1996年製作の映画)

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これはこれで悪くないのかもしれないが、小説にあったまるでモルヒネにやられたような詩的散文が喚起するムードは感じられず、さらにはキップとハナは傍流に追いやられ、重要な最終章も省かれ、イギリス人の患者とキ>>続きを読む

レイクサイド マーダーケース(2004年製作の映画)

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早稲田松竹にて。20年前の公開時にも思ったけど、青山真治でありつつ2時間サスペンスみたいでちゃんと面白い。倫理的でないと思われた人間が倫理に接近し、無垢は容易に悪に染まる。それを一幕の舞台のようにクセ>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

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あらすじ書いたら3行にもならないようなお話を106分の素晴らしい映画するのがケリーライカートの素晴らしい魔法。あれもこれも現実でありメタファーであるような、簡潔にして豊かな表現。隣人、家族、陶芸、猫、>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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時系列はシャッフルされて語られるが、そんなに難解ではない。最低限オッペンハイマーが戦後に赤狩りの対象になったことさえ知っていれば大丈夫。圧倒的な音響、分かりやすい心象の演出、とても誠実な映画。有能で誠>>続きを読む

ハンズ・アップ!(2010年製作の映画)

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イスラーム映画祭にて。素晴らしい。終わって欲しくない幸せな夏休み。幸せ過ぎて泣いてしまう彼女。抵抗し、あるいは服従し生き延びる未来。サンパビエ、「不法移民」ではなく「非正規移民」と訳し分けられることの>>続きを読む

青春ジャック止められるか、俺たちを2(2024年製作の映画)

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最高に仕上がってる井浦新の若松監督と東出昌大が素晴らしい。80年代の空気、ミニシアター、作りたい気持ちばかりが先走る若者たち、全共闘崩れの予備校講師、ピンク映画からインディー映画へ・・・笑いながら、感>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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座席が揺れるほど響く重低音。圧倒的にデカい重機、宇宙船。それだけでもある程度満足だが脚本も良いと思う。ポールの成長譚でありつつ、血統主義や救世主思想に対する注意深い態度によって現代的な物語にアップデー>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

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いかにも少年漫画的設定とダイジェスト的な脚本は好みじゃないが、音響とスパークする映像表現はよかった。ライブシーンだけで充分な価値がある映画。

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

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スケッチブック、ペイント、メモ書き、映像の断片、脈絡を剥ぎ取る言葉、映像、音、永遠に完成しない映画の予告編。ヨボヨボしつつ、最期までかっこいいと素直に思ってしまう。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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タイトルが示す通り、丁寧に腑分けされてゆく夫婦、親子の関係性。犬(なんと名前はスヌープ笑)の演技素晴らしい。流れるのは50CENTのP.I.M.P。しかもインストバージョン。これも笑えるし夫の情け無さ>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

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アマプラに来てたので久しぶりに。すごい映画なんだけど、この頃から中盤に観念的で長い説明セリフを入れる芸風は確立されていたことを確認する。まあこれふざけたアニメのようで実は高尚なんだよ、とわざわざ言いた>>続きを読む

ラ・ポワント・クールト(1955年製作の映画)

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キマっててかっこいいのに、必死さも自己顕示欲も全く感じさせないのはやっぱり天才だから?まあ会話の内容は退屈だが、それ以外がとても良い。

ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

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無造作に見える撮影と、なぜか意味を持ってしまう天才的な編集。こんなにサラッと映画が作れてしまう不思議。スケッチのような、エッセイのような。真似しようと思っても誰にも作れない。

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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山下敦弘監督じゃなかったら、まあこんなに自分の嫌いな要素(紅、ボーイソプラノ、ヤクザのギャップ萌えというクリシェ)の三題噺を観に行こうなんて思うはずも無かったが、しっかり最後は感動してしまったので映画>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

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セーヌ川に浮かぶ、精神疾患の人たちを受け入れるデイケアセンター。岸から切り離され、川の上ではあるが動くことはなく固定された船、という状況はどうしてもその困難さの暗喩に思えるが、同時に希望のようにも見え>>続きを読む

音のない世界で(1992年製作の映画)

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早稲田松竹でニコラ・フィリベール。1992年作。ナレーションも説明的字幕も一切無い。聞こえなくても人間は「言語」によって世界とつながる。その困難さ。家庭による差異。笑顔。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

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ビクトル・エリセ31年ぶりの新作。失踪した俳優、彼を追う友人/映画監督/作家。とても整理された構造の小説を読んだような感覚。映画的には、フリオが(主人公の妄想の中で) GKのように構えるシーン、二人で>>続きを読む

血は渇いてる(1960年製作の映画)

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U-NEXTにて。解雇に抗議しての自殺未遂から一躍時の人になった木口が、生命保険会社宣伝部に目をつけられてコマーシャルスターになる。気持ちの離れた妻、醜聞狙いのマスコミ、宣伝部の女が入り乱れて物語は展>>続きを読む

江分利満氏の優雅な生活(1963年製作の映画)

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U-NEXTにて。戦中を経た戦後のサラリーマンの生活。天国でもなく地獄でもなくただ「楽しくない」日々が、泥酔して決まった小説家デビューで思わぬ展開に。軽妙なコメディとして描かれるが、裏には強い戦争とそ>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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天才三宅唱の完璧な演出、美しい光と闇をとらえた撮影、Hi’Specのクールな音楽(変な主題歌とか流れなくて本当に安心した)、などなど素晴らしい映画だった。みんないい人、の裏には描かれない社会の酷薄さす>>続きを読む

ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

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これはちゃんと怖いしグロいし面白い。監督自身の離婚と親権争いをここまでどストレートにホラーに落とし込む狂気。カナダの雪の風景の中、子供を誘拐して歩く「子供」のシーンが印象的。あとこれ、「怒りのメタファ>>続きを読む

裸のランチ 4Kレストア版(1991年製作の映画)

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目黒シネマにてクローネンバーグ特集。オーネット・コールマンとハワード・ショアのクソかっこいい音楽と、グロかわいいドラッグの産物達が繰り広げるバロウズの世界。そんなに好きな映画ではないが、今見ると極端な>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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素晴らしい。主演ウィル・オールダム(ボニー"プリンス"ビリー)良い。信じられないことに、おそらくはこの映画のクラマックスは、おっさん2人が秘湯に入ってぼーっとしてるシーンなのだ。そしてそれが信じられな>>続きを読む

クライム・オブ・ザ・フューチャー/未来犯罪の確立(1970年製作の映画)

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これもモノローグ、建築物の映画。カラーになっても、全然分かりやすくなっていない。なのに何故か眠くならず見ていられた。これに比べれば後年のクローネンバーグは親切心の塊のような映画監督に思える。

ステレオ/均衡の遺失(1969年製作の映画)

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こんな映画を撮ってた若者が後にクライムズ〜を撮るのかと思うと感慨深い。建物がクソかっこいい。モノクロであの建築物だけでSFになる。実験映画の習作。モノローグが説明過多だが難解。人間に対して突き放したよ>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

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目黒シネマにて。ヴィゴ・モーテンセンとレア・セドゥの佇まいがとにかくエロい。もう古いセックスなんてしない未来のアーティストたち。人間は環境に合わせて欲望する。全然楽しそうじゃなくても、あれはあれで興奮>>続きを読む

クーリエ:最高機密の運び屋(2020年製作の映画)

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カンバーバッチが普通のおじさん(スパイにされちゃう)を演じる。キューバ危機の頃は一見呑気な一般市民もこれほどに核戦争を恐れていたのだな。今の方がもっと世界は危機的状況なのに…と思う。

モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン(2022年製作の映画)

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低予算映画は超能力もアイデア次第でちゃんと面白くなる。子供が賢い。みんな優しい。拘束からの解放、がバーナデットと繋がるのね。

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

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早稲田松竹にて。Where’d You Go,Bernadette 鬱気味のケイト・ブランシェット。そこから解放される姿は感動的。シンディ・ローパーが流れるエンドクレジットの映像でボロ泣き。あの「建物>>続きを読む

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