水のまちさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

水のまち

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イット・カムズ・アット・ナイト(2017年製作の映画)

3.8

STAYHOME期間を終え、親しかった職場の人と久しぶりに会ったのだが、相も変わらず親密なディスタンスで話してきたので、え?って思ってしまう自分がいた。だが、この映画を観たら、そこまでして生き残る意味>>続きを読む

デッド・ドント・ダイ(2019年製作の映画)

4.8

Don't they know it's The End of the World. 右往左往と、レイシストからオカルトまで、皆が勝手な事を言っている、まるで現実世界だな。で、私もzombieなのだろ>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

4.5

時計の進みが、昨日よりも遅く感じていた時、雲は世界から切り取られたように静止している。しかしながら少し少しと変化し続けている雲と下界。どれだけ時間が経ったか定かでないが、次に空を見上げた時には、もうあ>>続きを読む

愛しのタチアナ(1994年製作の映画)

4.6

コーヒーとウォッカが心を潤し、ROCKとエンジン音で間を埋める。豆切らして、いざ港。女の口説き方なんてものを知っているのは、下卑た根性が低俗な情報を掻き集めたからだ。見ろ、いたいけな男が、好きな気持ち>>続きを読む

コックファイター(1974年製作の映画)

4.3

博徒が賭けてるもんはさ、金じゃないの、人生なの。だから、負けた時には死にたいくらい惨めになって、勝った時には今まで生きてきた中で、味わったことのない恍惚の光を手にするわけ。レートじゃないんだよな、レー>>続きを読む

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.8

誰彼構わずに打ち明けられない好きなもの、好きなのに嫌いと言う愛の原石。緑の田園風景、透明なエーテル、どこで呼吸していても、その歳になればかかる病。彼らの姿は、葛藤の重さに耐えかね、折れ曲がった、蹴りた>>続きを読む

反撥(1964年製作の映画)

4.7

口を開けば、男は女、女は男のことばかり。馬鹿ばっか、と言えるほど図太くないから、眠たそうに、爪を噛んで、髪をも噛んで、心の底からひび割れていく。やっと誰もいない部屋なのに、下心の大行進のように突入され>>続きを読む

コード・アンノウン(2000年製作の映画)

4.4

つまりは、悲しいことに「知り得ない」が正解だと言っている。伝達手段として完璧なような「言葉」は、結局はそれがただ便利なだけに過ぎず。「孤独」というのも、生きることに余裕があれば、精神的なものに留まるが>>続きを読む

殺人狂時代(1967年製作の映画)

3.7

『人類補完委員会』は、この映画の『大日本人口調節審議会』から着想を得たと思われるが、もしかして『碇シンジ』の”シンジ”もまた、主人公『桔梗信治』から来たのかもしれない。と、庵野秀明でなくとも、岡本喜八>>続きを読む

秘密の子供(1979年製作の映画)

4.8

心よりも近い距離で重なる身体、触れ合う肌、溶け合う唇は、容易に別れがあることを知っていた。どうしていいのか分からない、それぞれの葛藤、そんなことを分かち合いたいわけではないはずなのに、側にいる時、何故>>続きを読む

薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.3

ネオン管の放つ光彩を、ただ美しいと表現したのでは何か足りない。その輝きのために構造的な危険性を併せ持つからなのか、それともネオン街の裏に潜む危うい印象からなのか、理由はわからないが、危険と共存したよう>>続きを読む

マンディ 地獄のロード・ウォリアー(2018年製作の映画)

4.0

血塗れのBlack Metalの皮をかぶったDrone Doom。ストーリ仕立てのアルバムのような復讐劇に、何かを求める方が野暮なのか。精密に描かれたジャケットのような様式美のpsychedelicも>>続きを読む

5つ数えれば君の夢(2014年製作の映画)

4.4

普通なんていうものは定かでないが、当たり障りのないように普通でありたいと思う心は、少し普通ではないということのコンプレックス。言うなれば、まるでE♭。薄暗いところへと、柔らかくも真っ直ぐな光がさすよう>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.5

説得力。

阿南惟幾の割腹自決と、指で押す抗議のハッシュタグ。そう比べたら、平和な時代になったわけだが。

シテール島への船出(1983年製作の映画)

4.3

完成形と思われたイデオロギーも崩壊し、止む無く故郷に帰ったが、妥協できない精神の為、また疎外。さざなみを立て、靄の中へと吸い込まれていく、飽くなきユートピアへの探求の船出。その行き先が土地ではなく、隣>>続きを読む

GO!GO!L.A.(1998年製作の映画)

3.5

曇りがちなオフビートな冷たさと、夕日の似合うロマンスの熱が、どうしたって混ざり合えない滑稽さ。ただ素直に笑わせてくれないのは、身に覚えのあるような、それが恋の話だから。ここはハリウッド、映画の中でしか>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.7

”生活”という二文字に、生きとし生けるものの全てが集約されているかのような一片。果てもわからぬ広大な宇宙の中で、生きているようであり、生かされているようでもある、この一つの命の中に、善と悪とでは理解し>>続きを読む

水のないプール(1982年製作の映画)

4.6

平凡は幸せに違わないけれど、退屈のようで、欲望が満足してくれるわけもなく。家庭に、夫や父親としての居場所はあっただろうが、男としては窮屈だった。違う時代を生きている若者たちの自由奔放さに、生真面目に生>>続きを読む

ミラノカリブロ9(1972年製作の映画)

3.8

ダイナマイトの長い導火線の猶予。犯人は誰だ?、と、太陽の下、9mm口径の咆哮。女に欲情し、鼻の穴からタバコの煙を出す硬派さは、伝わるほどに熱かった。事件も設定もわからぬままに進む、続編なのか?と思わせ>>続きを読む

恋恋風塵(れんれんふうじん)(1987年製作の映画)

4.4

必死に生きぬいたあの頃の、何も出来なかった空白の刹那。暗やみを走る、爆竹の導火線の灯り。恋だと知った痛み、それはなぜか美しい。

バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

4.3

とにかく全部がデカい。規模なりの視覚的な部分だけでなく、思考の規格がデカいことに驚かされる。そして、皆を愛し愛され、強い信念をもつバーフバリは、まるで完璧な人間のようで、とにかく格好良いのだ。AIとか>>続きを読む

ブランカとギター弾き(2015年製作の映画)

4.2

自分の力だけではもう戻れない、深い深い穴の底。その暗闇から聞こえてくる、ふたつの孤独が寄り添う音色は、目に見えないのにオレンジ色だ。屋根も、壁もないけれど、そこは彼女の帰る家。ただいま、おかえり。溢れ>>続きを読む

ニューヨークの巴里夫(2013年製作の映画)

3.9

日本語で”人生”と言うと、なにか重たく聞こえてしまう。だからこの映画には”La vie”の方が相応しい。しかしながら、”La vie”が重たくないものなのかは、本当のところよく分からない。ただ、その語>>続きを読む

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.0

外に漏れないイヤホンをつけ、誰にも聞こえないから気兼ねすることなく、自ら選んだ、自分の為の音楽を聞いている。好きになった彼女の名前を、誰かが歌っていたならば、それは運命のようだと、片耳だけのイヤホンか>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

5.0

習慣がドアを開ける瞬間は、漏れる陽がそうさせるのか、しばしの別れがそうさせるのか、まだ心の中にいたかったようだ。大切なものを守る鍵をして、日に決まって二周まわる短い針の四次元へ、決心とまではいかない目>>続きを読む

群衆(1941年製作の映画)

3.5

文明社会とは聞こえはいいが、結局は、金と権力とで情報を操る、極一部の上層階級が生き残る為の社会であり、その他大勢として庶民が苦しむのは、今も変わりがないようだ。生活苦の憤りの行先は、どこに向かえば良い>>続きを読む

砂漠の流れ者(1970年製作の映画)

3.8

人は死んで土に帰るが、砂漠では土というより砂であり、死生観さえ、平然と、乾いているようだ。必死に生き延び、愛に喜びを感じ、そしていつか死ぬだけの、たったそれだけのこと。それ故に、悩んだ答えの不条理さが>>続きを読む

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.1

抑々、生きるということは何故こうも苦しいのだろう。平安なのであれば、端から神は誕生していなかったのではなかろうか。そう思えば、神が天地を創造したのではなく、人が救いを求めて神を生み出したに違いない。沈>>続きを読む

爆裂魔神少女 バーストマシンガール(2019年製作の映画)

2.5

ターゲットスコープを、タモリが云うところの安産祈願マークにするほどの、いかがわしさには、内容なくともパンチラはある。希薄な物語性のせいで、エロとグロしか印象に残らない、小林勇貴らしさ。花影香音はどこへ>>続きを読む

幻の光(1995年製作の映画)

3.7

ペダルをこがなければ倒れてしまう自転車に、二人で乗れば重さも倍だが、何故自殺したかは、わからない。鈴の付いた鍵を残して死んだ彼が、何かを語るはずもない。生と死の間には、ある程度の距離があると思いたいが>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

2.0

関東ヒエラルキー(平野なのにね)において、絶対的頂点に君臨する東京。そこから見下され、迫害をうける埼玉。そこまでされたら革命しかないでしょ、と言わんばかりにメラメラと燃え始める埼玉県愛。一都六県巻き込>>続きを読む

バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作の映画)

5.0

”諸君を未来に連れて帰ろう!”
ロナルド・レーガン大統領の演説。
崩れたアメリカン・ドリームの再生、30年間のアメリカの歴史が詰まってたなんて、誰かさんの解説を読むまでは知らなかった。でも、やっぱりそ
>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

3.7

戦争が終わって平和が訪れるのなんて、勝利国だけ。何も無いところから始まって、何処で道を間違えたのか。
窮地に立った日本映画の決起に、手持ちカメラの荒々しさと、男達の必死、熱い。

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)

5.0

22ヵ月と18日後。
待ち焦がれた彼と夜の町へと繰り出す。彼が歌う愛の歌が、深くまで響き、濡れた。二人と二人以外の世界、飲み込まれないようにと狂ったように踊る。それでも虚しく、誰もが想像もしなかった望
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.8

発端は、その家に生まれたこと。経験は、その家で生まれたこと。殺人、自殺、貧困の末、生活さえもが首を絞めにくる。地上よりも低いところへは、微かな光も届かないような、黒よりも濁った色した救いのない世界で、>>続きを読む

LUCY/ルーシー(2014年製作の映画)

3.5

メタンフェタミンに、覚醒剤というキャッチな商品名をつけた大日本製薬のセンス。落ちた灰の重さで広がった五次元の空間よりも先にあった、想い出波止場の22次元。音が音楽に聴こえる4’33”の理論。ニューロン>>続きを読む