ちゃいさんの映画レビュー・感想・評価

ちゃい

ちゃい

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.0

こういう生っぽくて映画っぽい映像大好き。

眠れない夜に見始めて、気づいたら窓の外が白んでいた。誰も知らない中で静かに動き続ける街の景色は、なんだか映画みたいでずっと見ていられた。

私は基本的に人生
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

映画館で見られてよかった〜系の映画でした。
全くあらすじを知らずに予告の写真しか見ていなかったから、東京のど真ん中の話なんだ!と結構衝撃。
主人公が人と交わっていくシーンがどれもこれも好きだったな。特
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.5

今まで、旅先で出会い、別れた人々のことを思い出した。
その瞬間にしか顔を合わせないのだからただの他人だ、と思うこともできる。特に都市ではそうしないとやってられないこともあるだろう。
それでも、一期一会
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.0

今、こういう作品が見たかった。
戦争の情報にばかり触れて、疲弊していた。しかし現地の人のことを考えるとそんなこと言っていられない、と。でもまずは自分平和だ。物語を欲していた。

すごく好き。絵も言葉も
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もののけ姫(1997年製作の映画)

4.5

久しぶりの鑑賞だと思う。昔見たときと随分印象が違った。こんなにも、人間を悲しく愚かで醜く描いていたことに、当時の私は気がつかないでいた。

物心ついた頃から、もののけ姫はジブリでも特に好きな作品で、親
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まずは、楽しかったな。わくわくして、前のめりで全部見届けようと必死な感じ、久しぶりで。ピアノの音に耳もそばでてて。

映画を観る時は、一人その世界にどっぷりと浸かる感じが好きなのだけど、今回はおっきな
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怪物(2023年製作の映画)

4.5

エンドロールを終えて、隣に友人の気配を感じ、立ち上がる人々を感じ、何か言葉にしようとしたが、何も声にならなかった。友人は隣で涙を流している。

「役者さんは全体像を掴まなくてもいい。その役を生きればい
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美しき緑の星(1996年製作の映画)

3.0

「宇宙の視点」「この世の仕組み」「宇宙人/地球人」「量子力学」なんて言葉を口にする人に出会う機会の多い今日この頃。自然界隈とスピリチュアルの親和性は前から気になっていて、純粋に「なんで?」「どういうこ>>続きを読む

ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ(2022年製作の映画)

3.0

作品と共に、素敵なオトナたちに囲まれて育った子役の俳優さんたちがとても羨ましい。そして自分の子ども時代にこの作品があったことに感謝しています。また、本を読んで、映画を観たくなった。

マトリックス(1999年製作の映画)

2.5

一度は見ておかなきゃと思ってやっと見られた。このコンセプトや世界観は面白い。当時は革新的な要素の多い作品だったのだろう。あり得ないとは言い切れない、みたいな絶妙さがいい。気味悪い。

最後急に愛の力〜
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RRR(2022年製作の映画)

3.0

楽しかった。あっという間だった。ただ、モヤモヤを放っておけず、エンタメとして無邪気に楽しみ切れなかった。というのが正直なところ。(追記:モヤモヤを抱えてる人もいると知ってちょっと安心)

どんなに楽し
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.0

「生まれ変わった」とシャロンは言う。「今」というのは、今までとこれからの間にあるこの瞬間だ。記憶なんてものは主観で、何度も思い返す度に形を変えてゆく。
だから、悲しくも、愛おしくも、その人はずっとその
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希望の灯り(2018年製作の映画)

4.0

布団にくるまって、お守りのように毎晩少しずつ見た。
ぼーっと浮かぶ蛍光灯の光が、暖かくもなく、冷たくもなくてよかった。痛みとlostを思いやりでそっと包んだような、おはなし。

Summer of 85(2020年製作の映画)

-

冒頭を再生して、そういえば数年前に観ていたのだと思い出した。ちゃんと見直してまたいつか言葉を残そうと思うけど、最後のシーンがすごくよかった気がする。あと港で自転車を漕ぐ様が好き。

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.0

A24の作品だとは知らず。パッケージから"aesthetic"が売りの作品かと思ってたら全然それだけじゃなかった。もちろん映像は綺麗。それだけでずーっと見ていられる。しかしなにより彼らの日常が映ってい>>続きを読む

心と体と(2017年製作の映画)

4.5

詩と静けさの余白ってセクシーよね。こういう人、すきだなぁ。綺麗な画。

余談: ああやって機械的に殺された動物を食べない生活、少しずつ見つけたいものだな、、

ミナリ(2020年製作の映画)

4.5

どこまでも泥臭く、どこまでも美しい。それを「生きる」というのではないか。

子どもたちの素直さ、健気さ。父と母の愛とすれ違い。「おばあちゃんらしくない」祖母の力強さ。憎たらしい部分も、愛おしい部分も、
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杜人(もりびと) 環境再生医 矢野智徳の挑戦(2022年製作の映画)

4.5

「みんなが呼吸できるように、気持ちよくあれるように」
本当にそれだけなのに、どうしてこうも人間は難しいことにしてしまうのだろう。
「仕事だと思っていたらできない」かっこいい大人はそうやって、ずーっと先
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.5

井浦新さんと、森井監督のトークイベントがあると知り、アンコール上映にて鑑賞。

とても文学的、というか小説的な作品。こういうの好きです。

お父さんは、あみ子だったけど、あみ子であったことを忘れてしま
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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.0

このテンポ感、唯一無二!
綿矢さんと大九監督のタッグ、大好物です。

誰だって何度も何度も思い出してその人だけのものになった記憶と、日々の妄想があるよね。

ベースはずっと楽しい、わはははは〜なのにち
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

3.0

青が鮮やかだった。
アデルの無造作な髪や、はみ出たマニキュア、半開きの唇、パスタを頬張る姿に、生活の中の美しさが見える。
サルトルの「人間の顔の持つ弱さ」の話がよく頭に残っている。

ベッドシーンはあ
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劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション(2010年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「何かを欲しがると人生は複雑になる。見たら頭にしまい、立ち去ればいいのさ。」スナフキン、眩しい。

日曜には彗星の衝突によって世界が終わる。それでも、「家にいれば怖いことなんてない。」「日曜にはママが
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ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)

3.5

舞台はひとつ、淡々と進む議論。実際は議論とも言えないが。批判的、懐疑的な意見が上がるも、気づくと「みなさんの意見を汲みます」と微笑むハイドリッヒによって次の議題へと進んでいる。
- ユダヤ人は「運命的
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.5

映画館で観ることができて本当に良かった。みんながみんな違う形で優しくて涙が出た。
- 先日「バリバラ」にて、健常者が障害者を演じてそれを賞賛する声があることで、障害者が演者として活躍できる場がさらに狭
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

2.0

王道ジャンプアニメ!
このあいだチェンソーマンとかいう意味分からないスピード感と方向に展開するアニメを見た(読んだ)せいで、やや単調、冗長な印象を受けた。けどこれは、ジャンプ界ではまさに王道な要素を盛
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愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.0

今泉監督作品、観るのは3作品目。
映し方やそれぞれの表情、思わず目を離せなくなる。そういう画を撮る方だなぁと思う。
他の方の感想を聞いて、もっと狂気的な女の子を想像していた。けどある意味これが「リアル
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ルーム(2015年製作の映画)

2.5

世界は広い、知らないことをはじからはじまで知ろうとしたら時間が全然足りない。でもそうしていたい、そう改めて思わされた作品。
脱出した後の「世界」における変化に後半半分の尺を当てているのも興味深い構成。
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人間ピラミッド(1961年製作の映画)

4.0

「現代アートハウス入門 ドキュメンタリーの誘惑」という特集のなかでの上映
シネマ・ヴェリテという分類、初めて、とても新鮮な気持ちで観ました。

鑑賞後、映画館の方にお話を伺ったのがとても印象的。
-フ
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窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

1.5

映像のハナシ
4人ごはんの交差する視線めっちゃいい。みんな何か思いながら、察しながら、何も言わない感じ。私この場にいたらそんなみんなを見て笑ってしまいそう。

重なる二つの薄っぺらい身体をみていたら、
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窓辺にて(2022年製作の映画)

4.5

言葉の限界というか、でもそうしてしか表せないもどかしさを感じる場面がたくさんあった。「少し違うな」そう思いながら、それでも言葉を紡がなければ対話は生まれない。
クズ男も、したたかな女も、色んな人が出て
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ある男(2022年製作の映画)

3.0

アイデンティティの揺らぎ

もう少し、名の知れていない俳優さんを起用したら、「リアル感」が増したのでは、などとは思うけど、メッセージも一貫しててよきでした。みなさんの演技ももちろん凄かった。
名前って
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土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

3.0

動いて、お腹がすいて、食べる。とてもシンプルなこと。そのうちのできる限りを自分で出来たら、と私は思う。

内容も、主演のお二人も好きなのだけど、もう少し、静かにゆっくり進んでもよかったな。『リトルフォ
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愛を読むひと(2008年製作の映画)

3.5

まだうまく整理できない作品だな。だけど今この年齢で観られてよかったと思う。人との出会いが人の人生を変えてしまうこと。その可能性に私はまだ怯えている。

「道徳ではなく法の中でしか裁けない」
「法とはい
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