bluebeanさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.5

過去の人気作の続編としては、ほぼ完璧ではないでしょうか。前作のファンが見たいものを余すところなく見せて、必要以上に現代的に洗練させず、かつ前作よりもすごい映像を見せる。そして、不用意に新しい要素を入れ>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.0

男女の破局を過去の愛し合ってた頃のシーンと対比させるところで『ブルーバレンタイン』を思い出しました。本作はさらに手が込んでいて、同じ日付を過去に遡っていきます。登場人物の状況や内面の変化を、同じ部屋の>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

4.0

都合で成り立っているえぐい男女関係を見せられる一方で、とことんピュアかつ地に足のついた少女の恋愛を同時に見せられます。その強烈な対比が見事です。絶妙なセリフ回しでえぐさを笑いに変えてくれる演出のおかげ>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.5

素直に観ると良くできた感動サクセスストーリーなのですが、どうにも引っかかる点が多い。

まず徹底して父親リチャードの主観から描かれていて、娘たちへの視点の移動が無い。彼の強権的な支配に対して娘たちが反
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ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)

3.0

街が魔術でガチャガチャ変形していく中で戦うシーンは圧巻。インセプションを思い出させる、まるでシュールレアリズム絵画のような描写です。でもそこにあるのは人間の深層心理ではなく、世界の別の側面という、客観>>続きを読む

雨月物語(1953年製作の映画)

5.0

セット、構図、陰影の技が相まったショットの数々が完璧に美しくてカッコ良いです。人混みの流れの中に京マチ子の怪しさを際立たせるシーンや、狭い屋内でカットを割らずに展開させるところなど、見ていて飽きません>>続きを読む

カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

3.5

ビジネスとして他人を盗聴する、覗く側としての立場の主人公ハリーですが、逆に、他人に部屋に入られたり、彼女に見透かされたり、同業者に冗談で盗聴されたりすると、過剰な反応を見せます。

そして徐々に自分が
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キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

5.0

ルパートの狂気が恐ろしい映画ですが、本当に怖いと思ったのは、彼が理解不能な異常者ではなく、その妄想のメカニズムがちゃんとリアルに描かれているところです。観ているこちら側が、彼の妄想による行動を肯定はで>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.5

家族愛がテーマで素直に感動できる作品です。みんなが聴覚障害の家族の中で一人だけ耳が聞こえる娘ルビーが主人公ですが、それを中心に至る所にひねりが加えられた設定が見事です。

障害はあるが明るくて仲の良い
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.5

セットやミニチュアを贅沢に使って、ポップでおしゃれで色使いまで完璧に作り込まれた画面に、完全に動きをコントロールされた役者の動き。この映像を見ているだけで楽しいです。

お話は正直一度観ただけではつい
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.5

オリジナルの映画は名作ですが、それに劣らない完成度でした。前作の歌と踊りが大好きなので、それをブラッシュアップしたミュージカルシーンが流れるたびにテンションが上がりました。

一方で、曲は編曲含めてほ
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.5

とにかく映像美につきます。広大な砂漠に舞う砂嵐の生々しさ。その自然と対比される、迫力の宇宙船からシールドなどの小物にいたる先進技技術のカッコよさ。ある程度の大画面で観る必要はありますが、その映像だけで>>続きを読む

ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.5

難解な映画でしたので取り留めのない感想です。

前半で語られる状況からは、戦後のベルリンの閉塞感を感じます。天使は大昔からの出来事を見て記録をしているけど、あくまで傍観者であり、色や匂いを感じることも
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ゴーストバスターズ(1984年製作の映画)

3.0

ゴーストと名が付いてますが全くホラー要素はなく、お気楽に楽しめるコメディでした。ストーリーはかなり適当なノリですが、それがチープな小道具や特撮と相まってなんとなくクセになる面白さ。

3人がバズって有
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イヴの総て(1950年製作の映画)

4.5

イヴの総てというタイトルですが、謙虚なふりをして嘘をつき、成り上がるためならなんでもするイヴを通して、裏側も含めた「演劇界」の総てが描かれている作品でした。

サイコパスのイヴを狂言回しとして、それに
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.5

主人公のスタンが父親の遺体と一緒に家を焼くシーンから始まります。崩壊した家族の中で育ち、感情に問題を抱えていることが示唆されます。その彼が、ロジックと人間観察を使ったトリックによる読心術を習得して、人>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

3.5

ファイトクラブのやってる暴力や破壊行為は、痛くて汚くて反社会的で、嫌悪感を抱かせるものばかりです。しかし一方で、忘れている動物としての本能を刺激されるような感覚がありました。ブラピの発言や行動は一見め>>続きを読む

サウンド・オブ・ミュージック(1964年製作の映画)

4.0

ザルツブルグの大自然と古い街並みのショットが美しすぎです。冒頭の山からマリアにクローズアップしていく空撮シーンが圧巻で、ワクワクさせてくれます。

今でも頻繁に耳にする名曲が次々と出てきて、あれもこの
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ワイルドバンチ(1969年製作の映画)

4.0

時代は1913年。自動車や飛行機が発明され、西部のフロンティアはとうに無くなり、荒くれ者たちの居場所はなくなってきています。主人公のパイクは歳を取り、ケガで身体の自由も効かなくなっています。強盗で一山>>続きを読む

バットマン フォーエヴァー(1995年製作の映画)

3.5

3作目ですが、一気にシリアスさがなくなりチープな印象の本作。でも個人的にはそのチープさがむしろ好きです。

ジム・キャリーのインパクトが強すぎで彼の独壇場という感じです。そのぶっ飛んだ演技と、絶妙にポ
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ケス(1969年製作の映画)

4.0

全編を通してとてつもない閉塞感です。ビリーを取り巻く人たちはダメで嫌な人間ばかりです。でもそれが悪いとかどうのではなく、その社会が生み出す結果として淡々と描れています。

尊厳を持って空を飛び回るハヤ
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キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗(1926年製作の映画)

4.0

面白いアイディア満載のアクションシーンが次々と繰り広げられ、サイレント映画なのに全く退屈する暇がありません。バスターキートンの体を張った演技も、すごすぎて当たり前に見えてしまいます。

構成も見事で、
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.0

序盤、石油が湧き出すシーンにも関わらず流れる不穏な音楽。徐々に分かってくる主人公ダニエル・プレインビューの人格のヤバさ。他人はどうなっても良いというサイコパスでありながら、息子や弟を名乗る人と家族であ>>続きを読む

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

4.0

主人公がお告げの声を聞いたり死後の野球選手の姿を見たりするのは分かりますが、家族を含め他の人にも見える展開がなんとも言えずおとぎ話的で、かなり変な話になってます。でも、なぜかそういうところの整合性なん>>続きを読む

大いなる幻影(1937年製作の映画)

4.0

フランス軍の偵察機のパイロットがドイツで捕虜になる不穏な冒頭ですが、そこで丁重な扱いを受ける意外な展開から始まります。捕虜収容所では、フランス人とドイツ人が信仰を深めます。お互いに職務や愛国心に忠実で>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

4.0

華やかなクイズミリオネアと、インドで貧さのどん底に生きるジャマールの人生が対比されながら、問題を通じてリンクしていく構成が最高です。

その彼の壮絶な人生を追いながら、宗教問題、物乞い、オフショアビジ
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

3.5

レオーネ監督が多用する顔のどアップですが、個人的には結構好きです。なにせカッコいいイーストウッドをはじめ、みんな味のある良い顔しすぎです。

お互い死ぬ寸前まで相手を追い詰めた仲のブロンディとトゥーコ
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.5

すごく重いテーマでありながら、痛快な復讐劇として楽しく見れてしまうすごい作品です。

過去に罪を犯した人が、自己保身のために、若気の至りだったと言って決着をつけて忘れる。その陰で、被害者は永遠に傷を負
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欲望(1966年製作の映画)

3.5

難解な映画ですが、60年代のロンドンの街並みやフッション、主人公のカメラマンがフィルム写真を扱う姿などを追うだけでも十分楽しめます。

主人公が風景写真を撮る中で、ある大きな事件が起きます。風景写真に
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きみに読む物語(2004年製作の映画)

3.0

身分違いの恋愛を描く直球の恋愛ストーリーで、感動しない訳にはいきません。ただ個人的にはもう少し乗り切れないところがあったのが残念でした。

老人になったノアのシーンが長い人生の時間経過を感じさせる割に
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裏窓(1954年製作の映画)

4.0

サスペンスのための舞台の作り方が上手すぎです。骨折して動けずに暇を持て余す主人公。職業は写真家なので、覗きをしたくなる性分が自然に見えます。

見事なセットで組まれた舞台は住宅地の中庭で、いろんな部屋
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tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

3.5

タイムリミットを気にして焦り、追い詰められた先には、またひたすら創作を続ける日々。しかし本当のタイムリミットは、想定外のところで唐突にやってきます。今を精一杯生きようと思わせてくれる作品でした。
恋人
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太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)

4.0

全てのものに飽きるのよ、と言う主人公が彼氏と別れるところから始まります。その後、飛行機に乗るシーン、アフリカのダンスを踊るシーン、証券取引の喧騒など、非日常が描かれます。
出会った男性との新たな恋愛に
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.5

いろんな要素が絡み合って一言では言い表せない映画でした。60年代ロンドンへのタイムスリップ、ファッション、音楽、そしてホラー。きらびやかなロンドンとそこで起こるドロドロした恐ろしい出来事。それらが全体>>続きを読む

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-(1998年製作の映画)

3.5

あえてなのかは分かりませんが、テレビ版と同じく、映画的な分かりやすい、スカッとした展開なしに曖昧に唐突に終わるラストでした。その外し方がこの作品っぽいな、と思えばそうなのですが。
素晴らしい作画で、画
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捜索者(1956年製作の映画)

4.0

テキサスの荒野を舞台にした映像が本当に美しいです。オープニングとエンディングが対応した、ドア越しに荒野を切り取るショットは最高です。イーサンが家族のいる家の敷居をまたがずに去っていく悲哀がこもった印象>>続きを読む