bluebeanさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

フリー・ガイ(2021年製作の映画)

3.5

ゲーム世界でのアクションを楽しませるエンタメ要素と語りたいテーマが融合している上手い作りになっています。毎日同じことを繰り返すゲームのモブキャラ達は、プレイヤーに虐げられてもそれが当たり前だと思ってい>>続きを読む

プレイタイム(1967年製作の映画)

5.0

何よりまずセットの凄さに圧倒されます。パリという設定なのに、一面ガラスの無機質な高層ビル街を舞台にしています。そのビルのセットがあまりにスタイリッシュで、整っていて、清潔で、カッコ良いけど何か怖いもの>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.0

中世が舞台ですが、現代にもいまだに通じる、男性社会で抑圧される女性の姿が描かれています。男性達が、自分勝手な都合の良い視点から女性たちを眺めているため、そんな女性の生きづらさを全く理解することがないと>>続きを読む

ファーゴ(1996年製作の映画)

3.5

借金返済のために妻の偽装誘拐を計画しますが、それが悲惨な殺人の連鎖につながる展開が恐ろしいです。自己中心的な人間たちの醜さ、滑稽さが描かれます。

それに対するのがフランシス・マクドーマンド演じる女性
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奇跡の丘(1964年製作の映画)

3.5

『マタイの福音書』に書かれているセリフのみで構成した映画で、それゆえ聖書に最も忠実な映像化と言われているそうです。

まず印象に残るのが序盤のマリアのアップです。本当に美しい顔で、まるで宗教画に描かれ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

一貫して画面が暗く陰鬱なスタイルに統一されていて、しかもどのシーンも構図が良く、とにかくカッコいい映像が楽しめます。カーチェイスのシーンなんか、さらに雨まで降らせて視界を悪くする徹底ぶり。それで3時間>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.5

作られた偽物の家族だったメンバーが、20年後に再び集う展開はなんだか新鮮で不思議な感じ。偽物でも本物になれる、というある種ご都合主義的な流れではありますが、素直に感動できました。家族の関係性が希薄にな>>続きを読む

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

3.5

ストーリー展開はほとんどなく、フェリーニ監督の少年時代の原風景と思しきシーンの断片が繋がってできている映画です。でもなぜか、それほど退屈せずに最後まで観れてしまいました。

冒頭の綿毛が舞って春の訪れ
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ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

4.0

サスペンス的な面白さの前作に対して、今回は人間とガメラのドラマが見所でした。ガメラを純粋にヒーローとして見る人々、ガメラに親を殺されて復讐心を持った少女、怪獣を日本に対する脅威として冷静に捉える自衛隊>>続きを読む

ガメラ2 レギオン襲来(1996年製作の映画)

4.5

本作の構成は完璧なんじゃないかと思います。ちょっとした謎の異変から徐々にレギオンが姿を表していく流れ。レギオンが北海道から徐々に南下して首都東京に向かっていく流れ。南下するにつれて増していくレギオンに>>続きを読む

秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.5

娘が嫁に行く話ですが、結婚のタイムリミットが残酷に描かれます。笠智衆の職場の娘と歳が近い女性が結婚する。同じく妻を亡くして娘と過ごすひょうたんは、娘が婚期を逃して泣いている。
岩下志麻演じる娘はまだ結
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サイコ(1960年製作の映画)

4.0

淡々と進む序盤から、一転ショッキングなシーン。そこからは、また起きるのか…?というハラハラ感。徐々に謎に迫っていき、最後はどんでん返し。まさにスリラーのお手本のような作品でした。
最後に謎解きの内容説
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劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(2017年製作の映画)

3.0

ウェアラブルデバイスを使ったVRの描き方がリアルで、設定や使われ方もいかにもありそうな感じです。VRと言えば『電脳コイル』ですが、表現が一段と進化してる印象です。
相変わらずバトルシーンのスピード感や
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.5

魅力的な俳優陣とオシャレなファッション、当時の舞台などを眺めているだけで楽しく、長さも気にならずに観れました。
普通の人生を楽しんでいたパトリツィアとマウリツィオが、グッチ帝国に対する支配欲に徐々に引
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(1954年製作の映画)

4.0

救いのない切ない話なのですが、なんとなく人間に対する愛が感じられる美しい作品でした。
報われないかもしれないけど、自分を必要としてくれる人について行くジェルソミーナを見ていると、やめとけばいいのに…と
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なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

3.0

国民のために政治を変えたいと本気で思う若者だった小川淳也さんが政治の世界に足を踏み出してからの、選挙で勝つために苦闘する日々は観ていて辛くもあるが面白いです。
印象的なのは、この映画において小川議員が
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七人の侍(1954年製作の映画)

4.5

純粋に観て楽しい傑作です。画面に映るものが作り込まれていて、舞台に本物感があります。スピード感のあるカメラワークも相まって、すごい映像になってます。役者達の演技は素晴らしいですが、やはり三船敏郎は一際>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

5.0

過去作を踏まえた作中の仕掛けは、もう本当にすごいです。ファンが集まる公開初日などでもないのに、あるシーンでは観客が感動の声を上げていました。予習にだいぶ時間がかかりましたが、その甲斐がありました。
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

3.5

今回はかなりエンタメ寄りでしたが、楽しめる要素盛りだくさんで満足です。中盤のどんでん返しは予想外でしたが、それが今の社会現象、特にアメリカで起こっていることを皮肉った展開になっていて面白いです。
バト
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スパイダーマン:ホームカミング(2017年製作の映画)

3.0

前の2シリーズに比べてだいぶコミカルなタッチですね。自意識過剰で分不相応なものを求める少年が、大人の助言も受け取りつつ地に足のつけて成長していく、爽やかな青春ものになってます。
大人は敵も味方も絶対悪
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アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

3.0

ピーターの大事な人たちは、ただ生きるために生きるのではなく、死ぬリスクがあっても愛する人のため、守りたいもののために行動します。その結果、本当に命を落とす結果になったとしても。でもその思いをピーターが>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.0

映像のクオリティも高く、シリアス寄りのストーリーもまとまっていて、楽しめる作品です。でも個人的にはやはりサム・ライミ版の方が好きです。
まず前作にあったユーモアの要素がなくなり、少々息苦しい展開に感じ
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スパイダーマン3(2007年製作の映画)

4.0

敵が絶対悪ではなく、心の弱さによって過ちを冒すのは前作同様です。しかも今回は主人公自身もヴェノムから得た力に溺れてブラック化し、悪に堕ちかけます。もはや敵キャラ達との境界はあいまいで、善と悪の戦いとい>>続きを読む

スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.0

この映画には悪が出てこないんですよね。戦う相手は、悪ではなくて人間の弱い心。
Dr.オクトパスは、才能を世界のために使おうとするけど失敗します。そして自分の夢が失われることに耐えられず、得た力を暴走さ
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ローマの休日(1953年製作の映画)

4.5

ローマの魅力的な街を舞台に、オードリーの可憐な美しさを見ているだけで満足な映画です。身分の違うお姫様との恋というラブコメの定番ですが、ちょっぴり苦いラストが良いです。
一つの恋を消化して成長し未来に向
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東京物語(1953年製作の映画)

5.0

小津監督の、完璧に作られた構図を固定して低いアングルから撮るショットは有名ですが、まさにシーンそれぞれが一つの芸術作品のように美しいです。

家族の解体が描かれていますが、それは半世紀以上経った今でも
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スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.0

大いなる力には大いなる責任が伴う、というベン叔父さんの言葉通り、ピーターが偶然手にしたスーパーパワーは祝福でもあるが同時に呪いでもあります。

若さ故に取り返しのつかないことをしてしまい、その現実と戦
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雨に唄えば(1952年製作の映画)

4.0

明るく楽しいミュージカルを堪能できる映画です。トーキーに移り変わる映画業界が舞台ですが、没落するサイレント時代のスターの悲哀ではなく、新しい時代に向かっていくポジティブさが全面に出ています。

ジーン
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生きる(1952年製作の映画)

4.0

「忙しい、まったく忙しい。しかし、この男は、本当は全く何もしていない。」官僚主義に陥った仕事の無意味さを語るこのセリフ、現在でも全く古びてなくてドキッとしました。今でも既存の組織や仕組みを維持するため>>続きを読む

巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)

4.0

ラストの長いミュージカルシーンが圧巻です。スケッチした絵にクローズアップして、舞台が絵画の世界に。パリの近代画家たちの作風を模した舞台の中をガーシュインの音楽に乗せて踊ります。デュフィ、ユトリロ、ルソ>>続きを読む

サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.0

時代の流れに取り残されながら、過去の栄光の幻の中に生きる女優の狂気。それにすがって生きる売れない作家の悲哀。名作と言われていますが、とらえ方の難しい映画という印象です。
ハリウッド黄金期とその衰退の歴
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羅生門(1950年製作の映画)

3.5

人間の主観がいかに自分の願望と思い込みで歪められているかを見せつけられます。人間の業の深さと良心の2面性が見えるのも印象的。

白黒ですが、森の中の光の美しさが素晴らしいです。羅生門はとてもセットとは
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第三の男(1949年製作の映画)

4.5

主人公のホリーが、戦勝国で豊かでありながら教養のない田舎者のアメリカ人を象徴しているのに対して、悪役のハリーがむしろ魅力的に描かれているところが面白いです。並木道でのラストは名シーンですね。ホリーの扱>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

4.0

時代が変われば師匠と呼ばれた人も舞台から降りる。夢破れた歌手がストリップで身を立てる。そして時流に乗った才能はどこまでも羽ばたいていく。そんなリアルで切ない芸の世界が、ノスタルジックな昭和の浅草を舞台>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読です。

夏油は、優生思想や同族を虐げてきたものへの復讐で動いています。まさに国家やテロリストが戦争を起こす時の大義名分です。それに対して乙骨は守るために戦います。守る相手は世界などではなく、
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.0

バカバカしい展開のコメディという体ですが、実は全てが現実社会で起こりうる、いやむしろ起こっていることだという作りが上手すぎます。彗星衝突という架空の出来事のてんまつを見て笑う一方、現実の気候変動や国際>>続きを読む