bluebeanさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

キングスマン:ファースト・エージェント(2020年製作の映画)

4.0

20世紀はじめの歴史上の出来事の裏に、悪の組織の工作を絡ませる設定が上手いです。前作の予習だけではなく、ボーア戦争から一次大戦までの世界史の予備知識があった方がより楽しめます。
とにかくラスプーチンが
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狩人の夜(1955年製作の映画)

4.5

モロクロの映像表現とにかく美しいです。伝道師ハリーと母親の寝室のシーンがまるで教会のような雰囲気だったり、川下りのシーンの前景に動物たちを配置したりと、幻想的な雰囲気作りが素晴らしいです。夜明けの地平>>続きを読む

自転車泥棒(1948年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

貧困の中で盗みの被害に遭い、その結果として自分も盗む側になるという負のループの必然性に胸につまされます。その無力な親を見る子供の視点がまた切ない。ラストは現状認識だけで、安易な答えを示してはくれません>>続きを読む

素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

5.0

誰かのために夢をあきらめて地味な人生を歩む。でもそこにも確かに幸せがあり、幸せにした人達がいる。
高給のポストを断って帰宅するシーンが好きです。壁には月を捕まえる自分が描かれた絵があり、若い頃の夢を思
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

4.0

序盤からメタ視点の演出で、ストーリー全体が作り手自身の状況を象徴しているようでした。過去の自作品から付かず離れずの所に置かれ、他人の手でコンテンツの価値を吸い取られていく。それを自分の手に取り戻す話に>>続きを読む

マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.0

3作目は現実世界での戦闘シーンが多く、SF戦争映画といった感じです。エージェントスミスがネオにこだわる様がもはや恋愛のようだという印象。クライマックスの戦闘での殴り合いが、2人でイチャイチャしているシ>>続きを読む

マトリックス リローデッド(2003年製作の映画)

3.5

登場人物達の考え方のバリエーションを見ているだけで楽しいです。理性による世界のコントロール、全ては原因と結果という因果律で決まる、全てのものには決められた目的がある、人間の意志が結果を決める、なとなど>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.0

人間が認識する世界は実在するのか、自由意志はあるのか、快楽があれば幸福か、信じることで物事は実現するのか、などなど、いろんな要素が詰め込まれていて脳みそフル回転で観ました。
映像のイメージも盛りだくさ
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逢びき(1945年製作の映画)

4.0

恋心と罪悪感とのせめぎ合いがリアルです。鏡越しに夫に初めて嘘をつくシーンはしびれました。不倫ものですが、極端な盛り上がりも破滅もなく節度があり、上品な雰囲気さえあります。ラストの、安易でドラマチックな>>続きを読む

カサブランカ(1942年製作の映画)

4.0

まだ好きな元カノの幸せのために行動するハンフリーボガードが、切ないけどとにかくイケメン。視点が偏ってはいますが、戦時中の連合国側の人々のナチスに対する心情や雰囲気を感じることができます。

街の上で(2019年製作の映画)

4.5

初めのうちは自意識過剰で痛い主人公にちょっとイライラ。若い頃の自分を見ているよう。もっと器用に生きろよ!と言いたくなりました。でも次第にその不器用さが愛おしくなり、最後には肯定感が。オムニバス的に描か>>続きを読む

黒い罠(1958年製作の映画)

4.5

オープニングの長回しをはじめとするカッコいいカメラワーク。絶妙にコントロールされた動きのある陰影。ローアングルのアップや傾いた画面など。オーソンウェルズの映像センスを堪能できます。バルガスのキャラの薄>>続きを読む

モダン・タイムス(1936年製作の映画)

4.5

チャップリンの動きを見ているだけで楽しいです。次々とコメディのアイディアが繰り出されます。その上、社会的なテーマもしっかり入れ込んでいます。行き過ぎた分業、格差、能力のない者の疎外、犯罪の必然性。そし>>続きを読む

市民ケーン(1941年製作の映画)

4.0

画期的なカメラワーク、複雑な時系列の構成、複数視点でドキュメンタリー風に見せるなど、いろんなテクニックを導入した映画史に残るエポックメイキングな作品だと言われてます。1941年の作品ながら現代に通じる>>続きを読む

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)

5.0

圧巻の超大作です。登場人物のキャラが多様かつ見事に一貫されていて、まるで性格診断の分類リストを見せられているよう。その全員に善悪の判断をせずにフラットに接するサイコパスで利己的なスカーレット。そんな彼>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

3.5

第二次世界大戦前の貴族の群像劇です。残酷な兎狩りをゲームとして楽しみ、節操のない恋愛模様もまたゲーム感覚のよう。そんなどうしようもない貴族達ですが、自分たちの面目を保つためのルールだけはしっかり守ると>>続きを読む

或る夜の出来事(1934年製作の映画)

4.0

現在まで通じるラブコメのパターンがすでに完成されてます。ラストの伏線回収まで、お手本のような展開です。ロードムービーですが、移動が深夜バスというのがまた良い。

めまい(1958年製作の映画)

5.0

こんな映画だと一言で表せない、観客の視点を次々と変えていく演出はすごいです。サスペンス的な謎が解けてひと段落ついたと思ったら、そこからもう一捻り。キム・ノヴァクの妖しさ、サンフランシスコの風景、有名な>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

4.5

映画を語る映画だけに、いろんなテクニックが詰め込まれてます。画面のエフェクト。編集技術。作品と劇中劇とメタ視点の切れ子構造。劇中劇の主人公、本作の主人公、作り手、さらには観客までもを巧みにシンクロさせ>>続きを読む

抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-(1956年製作の映画)

4.0

派手な演出を廃して、脱獄までの日々の地味な積み重ねを淡々と描いています。逆にそれがリアリティと緊迫感を生んでいて、没入できました。ラストまで映画的な盛り上げをしないのが潔い。

ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.5

とことんズームで撮り、顔はどアップの連続。登場人物同士の距離も、観客との距離も近過ぎて密度が半端じゃない。それで家庭も上手くいかず、羽目を外そうにもイマイチはじけきれない閉塞感を見せられる。すごい映画>>続きを読む

白蛇伝(1958年製作の映画)

3.0

リミテッドアニメ以前なのでちゃんと絵が動くハイクオリティなアニメ。妖艶な魅力のパイニャン、正論を言う法海。かたや許仙は、ただ美女に執着するヘタレに見えてしまいました。

メリエスの素晴らしき映画魔術(2011年製作の映画)

3.5

初のSF映画を作ったメリエスの功績もさることながら、損傷のひどいフィルムからカラー版を復活させたスタッフの努力も素晴らしいです。人の顔の月にロケットが刺さるセンスは最高ですね。

西部戦線異状なし(1930年製作の映画)

4.5

1930年の映画とは思えない。戦争映画として完成されている。空爆の中を走るシーンをはじめ映像がすごい。戦場の異常さと、その現実を知らない本国の人々の軽い空気の対比が強烈。