Barboncuraさんさんの映画レビュー・感想・評価

Barboncuraさん

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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

16mmフィルムで切り取られた東京の南側の景色は、今自分たちが生きる世界と地続きのようであり、小河ケイコが住む世界でもあるように感じた。
"理解の入口に立った時がときめき"という宇多丸さんの言葉には非
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

この映画を観たことがない人にあらすじを説明する時には、こんな風にした方が、ぐっと分かりやすい気がする。

第二次世界大戦後、核実験の責任者として名を馳せた理論物理学者のJ・ロバート・オッペンハイマー氏
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.2

本来仕事でミスした場合には、取引先から関係各社、エンドユーザーに謝罪をする。
この映画の主人公も同様に、自分が犯したミスのために、方々を回り火消しに奮闘することとなる。
しかし彼が持参するのは、とらや
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東京の女(1933年製作の映画)

4.5

面白い旧作を観る良いところは、想像の10倍面白いことである。
ショット、構図、役者の写し方どれを撮っても秀逸。敬意を込めて、やはり小津監督も映画ウマ男だと再認識させられた。

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.3

恥ずかしながらジョン・カサヴェテスの映画を初めて観た。
若い時分は知らない映画の話をされると、知ったかぶりをして話を合わせた後に、急いでレンタルして観るという阿呆な所業をしていたものだが、不惑を前に"
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.8

上田誠さん脚本の作品は映像作品だけ観ているのだが、テーマは一環しており、特にヨーロッパ企画が製作に加わった作品は、京都という土地が持つ雰囲気と一致して時間(と書いて"とき")を上手に描いている。(森見>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

観ている時より、観た後に酒を飲みながら思い出してる時の方がうるうるし、酒を飲み続けてしまうという映画体験。

観客は三つの視点から、父カラムを観る。一つ目はビデオカメラを通して11歳の娘ソフィの視点か
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

5.0

この映画は、D.Wグリフィスが作った映画文法を、ルネサンス期からポップアートまでの絵画芸術を用いて更新しにかかっている。
つまり全国の映画館でモナリザと広重とゴッホとピカソとバンクシーが2000円で観
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.9

109シネマズプレミアム新宿という、音響が素晴らしい映画館が出来たという話を聞いて、これは音楽映画観たいでしょ!っと思っていたが、中々行く機会を作る事ができなかった。
連休の最終2日間が空いたため、早
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.0

放浪ロバEOが、色々な人間社会をめぐる、いわば地獄めぐりのような映画という印象を持った。動物にはセリフや演技がない(と思われる)がない以上、映っている動物がどんなことを考えているのかを、観客が想像する>>続きを読む

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

5.0

「お前らの方がおかしいじゃないか」
本当そう思うし、今だって僕はおかしい。
"あの死ぬ程むかつくバレー部ゴリラは、ゴリラなりに一生懸命なんだ"って考えてしまう自分にも腹が立つ。
ドラフトを本気で追い
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パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.3

2023年のアカデミー賞発表に際して、友人と作品賞について話す。各々好みはあるものの、2人の中ではBAFTAの受賞作の方が好みなのではという話に。
(西部戦線異常なしはお互い未見)

そういえば202
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そうして私たちはプールに金魚を、(2016年製作の映画)

3.9

天国も地獄もどっちも死んでいる。
自分が感じている閉塞感を住んでいる場所のせいにして、自己評価だけは高いけれど周りを馬鹿にしないと自分を保てないくらいの客観性を持っている(と信じている)。

つらい、
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.8

アントマンという映画は、MCUシリーズにおける重要だけど説明がいる要素(ピム粒子、量子世界、カーンダイナスティ)を手際よく説明し、アベンジャーズシリーズのストーリーが飲み込みやすくなるチュートリアル的>>続きを読む

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.4

私が子供の頃には、東映アニメフェアというイベントが毎年あり、ジャンプ作品のアニメ映画を2〜3本立てで上映していた。
新作はあるものの、たいていはテレビアニメの合間という設定で、オリジナルサイドストーリ
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

4.4

都内に住んでいるメリットは、たくさん映画がやっているだけではなく、観たい映画館を選べるところもある。(そうでなければわざわざ高い家賃を払って住んでいるメリットは、美術館とお酒を飲みに行けるくらいだ)>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

朝一番の有楽町、久しぶりにヒューマントラストに足を運ぶと駅前の果物屋がパン屋になっていた。引っ越してから日比谷有楽町に行く時は、千代田線を使うようになっており、気づかないうちに街の景色が変わっている。>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.1

"ちゃんと眼を見て相手と話そう"という、真っ当なことを描くのに、とっても大仰に表現し、一体何を観させられているんだ。。と脳内の振り回されてまくった結果、あー楽しかった!って涙を乾かしながら帰る、最高の>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

思っていたのと違う!だけど、いい!
映画館の復興と、そこにいる人達のワンスアゲインが重なるような映画かなーと思っていたら、そうではなかった(そういう面もあるけれど)。
まず、映画館自体の佇まいとロケー
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

4.2

ジム・ホッパー署長扮するサンタが、自分を信じる子供のために、悪者達相手に大暴れ!
クリスマスグッズやサンタ能力を使った、見た事のないやっつけ方のオンパレードにテンションの上がる中、極めつけの武器は大ハ
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カランコエの花(2016年製作の映画)

5.0

放課後とあるクラスでLGBT(当時のまま記載する)について、先生が講話する。
講話が終わったあと、生徒達は自分のクラスだけ、この話があったことを噂する。

LGBTを揶揄する子、思わぬ失恋に動揺する子
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.8

原作ファンで上映を心待ちしていたが、都内で上映している映画館二館(しかもパンフレット無)という塩対応。。それにも負けず新宿武蔵野館へ。武蔵野館、ヴァーホーヴェンとオゾンの新作と共にあえて広告塔的な役割>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.8

「ちょっと」思い出しただけって笑える時は、しんどくても大丈夫な時。と思い込む。

整理できない一角だらけで、多角形になった人生を振り返って、何て顔をしていいんだろうって笑うしかない日々でも、東京の夜空
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

4.6

休日早朝の新宿は、まだ酔っ払っている人やラブホ帰りのカップルを見かけることが多く、"昔は自分もこんなだったな"と思いながら、朝帰りではなく早起きをして、朝一番の新宿ピカデリーへ向かう。

映画の中で、
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ゾッキ(2021年製作の映画)

3.7

「秘密、ある?」
そう聞かれて、あるような気がしたけど、だいぶ忘れてしまった気もする。


"ねえ、お父さん、やっぱりココアにすれば良かった"
"まあ、これからそんなことの繰り返しだぜ"

本当そうだ
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スプリング、ハズ、カム(2015年製作の映画)

3.8

東京カランコロンの「ひなげし」を聴いて、久しぶりに思い出した。好きな映画だったなあと。そういう映画。
東京映画というジャンルがあれば、そういう映画でもある。

映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

1クールシリーズアニメの映画化は、総集編になりがちであるが、本作品はそれを羅生門スタイルでまとめており、その発想は面白かった。
また一人一人インタビューする演出は、オールキャスト総登場での打ち上げ感も
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.7

会社の同期と会社帰りに2人で観に行く。
終わった後の日高屋までが映画です。

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.5

ユーロスペースのお昼の回からだから、渋谷で軽くラーメン食べてから行こう。
いざ劇場に着いて確認したら、テアトル新宿で予約していたという。。
タクシーで向かうも冒頭は見れず、立ち見フィーリングで観ること
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

5.0

ヨイヨイ爺さんとボンクラ息子のロードムービー。劇的な何かが起こる訳でもないのに、観てるうちにどんどんこの家族に引き込まれ、最後には涙する始末。と、普通の感想になってしまうのですが、この普通を作り出す為>>続きを読む

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)

4.5

暴力は許せない。主人公には親近感が湧かない。寧ろ吐き気すらする。よくよく考えてみたら、登場人物の誰にも共感出来ない自分がいる。
それなのに、こんなにも胸が締め付けられるのは何故なんだろう。麦茶の味をや
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幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

4.0

ピエール・エテックス2作目。
大恋愛だけかと思っていたら、短編も観れるとのこと。素直に嬉しい。
内容はエテックスがひたすら上手く行かないし、それにより周りも上手く行かなくなるドタバタ劇。めちゃくちゃ笑
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大恋愛(1969年製作の映画)

4.0

ピエール・エテックス3作目。
彼が監督した唯一のカラーフィルムであり、これが最後の長編映画。
カラーを使って何が表現出来るのか、スタジオを飛び出すことで、どのような映像が撮れるのか。
映画は、正に夢を
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泣いたり笑ったり(2019年製作の映画)

3.8

本日3本目の映画を観るために、久しぶりに恵比寿へ。恵比寿マルシェでフラップ・ジャック(ワインに合う!)とナガノ・パープルのドライフルーツ(贅沢!)を購入。(どちらもお土産用です。)
高橋ヨシキさん曰く
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非常宣言(2020年製作の映画)

4.5

2023年1作目として、いつも出社する時間より早い時間でグランドシネマサンシャインへ向かう。人気の少ない街を抜け、スクリーン2へ。
劇場入りは8割くらい。タイトルの出方からの、これは面白い映画が始まる
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ヨーヨー(1965年製作の映画)

4.6

アトロクのピエール・エテックス特集を聞いて鑑賞。
ショットが凄い!ギャグがしょうもない笑ヨーヨー可愛い!最後切ない。。
年の最後に観れて本当に良かった。

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