自家製の餅さんの映画レビュー・感想・評価

自家製の餅

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ジョン・レノン 失われた週末(2022年製作の映画)

3.8

ジョン・レノンと「失われた週末」を過ごしたメイ・パンという女性を中心としたドキュメンタリ。
本作の性質をまず端的に表すならば、メイ・パン本人が製作に関わっている点に集約される。けっして告発や暴露の類で
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.4

なんだか不思議なファンタジー──と思いながら偶然の出会いから旅をして、日常の自分と向かい合う…テーマがなかなか明らかにならずにサスペンドされつつ、ラストスパートで一気に開くところでRADWIMPSとタ>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.1

即物的で深みはないものの、かなりおもしろかった。

素朴な夢を見る個人投資家たちと、富裕層の下剋上の見えない戦い。
現実に起こった話である。当時の実際の映像を交えたエンディングも良かった。

詳しく知
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ホタル(2001年製作の映画)

3.3

特攻の母という実在のテーマをもとに人情や戦争の消えない傷を描いた作品。

どうしても消えない戦争の影のある日常の描写は素晴らしくも、反戦のメッセージに演出が寄っていくときに、そのイデオロギーが情感をか
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駅 STATION(1981年製作の映画)

4.2

高倉健の名作、必見。
とにかく渋いんだけど、たまに笑わせてくる、樺太。

今回もまた北海道で、しかし警官。

また観ます。

告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)

3.4

完璧な脚本と画づくり、ゆえに少し退屈してしまった。芯がないというか、小手先で転がす感じ。罪とは何か、なぜ無罪になりたいのかという根幹にまで至っていないからか。

『インビジブル ゲスト 悪魔の証明』と
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愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

「ジュリエット・ビノシュだ」と思って観始めたらするっとそのまま観終わった。映像は美しい。街並みがきれいなのだが、基本的には家の中など限定された空間で話が進み、街との接続はバルコニーを介して映される。な>>続きを読む

ブラック・レイン(1989年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

これは良い日米合作。
マイケル・ダグラスと高倉健。高倉健が負けちゃいない。あのウザい敵役は、松田優作とのこと。ぜんぜんわからなかった。

もちろん「ガイジン」の見たジャパンが強調され、ヤクザと暴走族、
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大脱獄(1975年製作の映画)

3.2

1975年、またしても網走刑務所。
脱獄という点では『網走市番外地』と同じだが、カラー作品としてスター総出でより劇的に商業化した作品と言えよう。

昭和といういつまでも、戦争の影から抜け出せない時台の
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網走番外地(1965年製作の映画)

3.4

網走刑務所の獄中物語。高倉健、ジェームズ・ディーンのようだ、なんて思っていたら同学年なのね。

刑務所の生活を覗けること、どうしても若干コミカルな演出、トロッコ的なチェイスに列車スタントなど、古いなが
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幸福の黄色いハンカチ(1977年製作の映画)

4.2

数年振りの鑑賞でぼんやり覚えてはいるものの、何度観ても面白い昭和の傑作。高倉健の圧倒的な渋さに、若き武田鉄矢の軽薄さ、桃井かおりのウザさがぴったり噛み合った素晴らしい配役。
ひとことで表すならば人間ら
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658km、陽子の旅(2023年製作の映画)

3.6

オフビートが徹底したロードムービー、ゆえにノーテンポにすら感じるほど動きのない主人公(半ば社会的に死んでいる娘が、物理的に死んだ父に会いに行くのだ)が、北へ向う事に言葉や感情のギアを入れる様子、その描>>続きを読む

夢を生きた男 ザ・ベーブ(1991年製作の映画)

3.4

ベーブ・ルースの映画。当人についてあまり詳しくない身としては、本当にこんなやつだったのか?という驚きと映画ならではの脚色の見分けがつかなかった。少なくとも、不健康そうでとても運動のできそうのないデブ。>>続きを読む

わたしは金正男を殺してない(2020年製作の映画)

3.5

金正男ウォッチャーてあった私からすると、既知の情報や映像が多かったものの、独自に容疑者の女達の素顔に迫る点は、彼女らへの不当な非難を避けつつ事実を記録する上での重要な作品であると言える。

日本のテレ
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.2

人間をよく描いた優れた映画であり、また韓国という国の地政学的な立ち位置もメタに機能していて大変興味深かった。

大災害により取り残されたマンションと住民。当然、外からも人は来る。グレード・リセット後の
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007/オクトパシー(1983年製作の映画)

3.4

アヴァン・タイトルがダニエル・クレイグ版にも引き継がれているようなシークエンスで良かった。
シリアスではなくコミカル。欺きと罠に飛び入るボンドの余裕さが見どころ。
オクトパシー、美女盗賊のくだりよりロ
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バビロン(2021年製作の映画)

2.0

退廃的。短絡で退屈。
過激なシーンを織り込むことで高揚を煽る手法は、監督の手癖か。かつて菊地成孔がチャゼル監督の『セッション』を冒頭に観客を殴って目が回ってなにがなんだかわからないうちに畳み掛けること
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.2

前作よりトーンダウンした、2作目のあるべき姿とも言える内容。より過激な暴力、より振り切れたキャラや演出に引っ張られて軽率さを感じ、鑑賞する目が不感症になる。

社会の表と裏の複雑な絡み方やシロクロはっ
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ハモンハモン(1992年製作の映画)

3.8

これが90年代のスペインにとってどういう位置づけなのかは気になるところだが、低予算ながら良いB級映画としてかなり楽しめた。

スペインというより、アメリカ南部の砂漠みたいなロケーションで、縫製工場で働
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スキャンダル(2019年製作の映画)

3.6

アメリカ右派メディアのFOXというケーブルTV局を舞台に、その緻密に築き上げられた構造をスタイリッシュに見せながらも、焦点はかつての大統領選挙、あのドナルド・トランプが候補として注目を集めていた頃であ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

2.8

ポスト-アウトレイジとして壮大な笑い(ただし、ストレートなものでなくシリアスに耐えかねて遂には到達するものとして)を届けてくれるものかと思って期待した。集大成あるいは新章を見せてくれるものかと。だがそ>>続きを読む

アオラレ(2020年製作の映画)

2.9

unhinged:〔精神的に〕不安定な、気の動転した、動揺した、錯乱した

原題は上の通り。煽り運転にフォーカスした邦題のミスリードが酷く、鑑賞体験の価値を下げた。
まずはアメリカ社会の不安定さ、運転
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おろしや国酔夢譚(1992年製作の映画)

3.4

漂流外交スペクタクル。
製作時期のムードなのか、コメディタッチの架空時代劇かと思いきや実話。開国のまえにロシアへ漂流した船の日本人らが。なんやかんやで現地で生き延びて、言葉を覚えてうまくやりつつ帰国を
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マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して(2003年製作の映画)

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レンタルで観て、手元に置いておきたくてパンフレットも合わせて中古ディスクを買った。
しかもレンタル落ちを入手したあと息子のインタビュー収録の販売版を買い直した。数年前。

というくらいには良かった。建
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怪物(2023年製作の映画)

4.8

あまりに良かったがゆえにレビューをしそびれていた。

脚本の丁寧さが、絵の隅々にまで至る繊細さが際立っていた。思春期特有の非言語的なコミュニケーションと、それゆえの(親子あるいはいずれの関係性において
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To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)

4.4

あまりに良かった。

どうしようもない落ちぶれた女が主人公なのだが、どん底とそこからの再生(そして多々の失敗)の運動が素晴らしい。
『ノマドランド』が話題になったことを多少想起させるようなその日暮らし
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ベアリー・リーサル(2014年製作の映画)

3.8

めっちゃかわいくてラブい。
登場人物の全員がかわいくて最高だった(顔とかでなく人間が)。

スパイ養成所・チームを偶然にも抜け出した少女が、失われた青春を取り戻そうとハイスクールライフを送るというプロ
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マージン・コール(2011年製作の映画)

4.3

リーマンショックのまさに前夜〜1日、リーマン・ブラザーズを思わせる投資会社の内情を極限までドライに描いた、リアリズムを追求した映画。

結論から言うとめちゃめちゃ面白かった。と同時に向き不向きで評価は
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レフト・ビハインド(2014年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

序盤の立ちあがりが秀逸で、その勢いで全部観てしまった。が、低い評価にも頷ける。
アメリカ人が苦手な、伏線を回収し切らないふわっといい感じにランディングさせる手法で好みが分かれそう。

父の誕生日に合わ
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ブロンソン(2008年製作の映画)

2.8

理由なき過剰な暴力と衝動を快楽とする実在の人物の狂気をうまく表している、特にトム・ハーディの狂演(フルチンで真っ白になったり真っ黒になったりする)が成功していると言えるが、一体なんの映画なのか途中でわ>>続きを読む

バッド・ティーチャー(2011年製作の映画)

3.1

スクールムービー、ただし主人公は三十代後半のキャメロン・ディアス。アメリカのフェティシズムであるカーウォッシュもディアスが演るスクールムービー。

大女優も、たまには息抜きするのが必要条件なのか、定期
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ランナーランナー(2013年製作の映画)

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最初の5分くらいの期待値がものすごいんだけど、すぐさま漂落する。がしかし、パンチドランク的なはじめの期待値があるゆえにそれを最大限に引き伸ばして感想が可能になる。

ディカプリオはこういう作品の制作に
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バスルーム 裸の2日間(2011年製作の映画)

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逮捕では?


原題はMadrid 1987
スペイン語の映画というだけで観たが、逮捕ですね、監督含め。
マリア・バルベルデは美しく、老人は醜い。

エロ映画ではなく、サン・セバスチャン国際映画祭かな
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