NOBUさんの映画レビュー・感想・評価

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東京画(1985年製作の映画)

4.3

大学以来、十数年ぶりに見直す。
ヴェンダースの視点から撮られた1985年の東京は小津安二郎が見つめてきた日本の社会や人々をなぞるように語る。その姿勢は客観に満ちており、何処か未来から望遠鏡でこの時代を
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

2.8

ノーラン三部作であまりにも素晴らしいバットマン像を創り上げた中で、本作は難しい立ち位置からの出発であった様に思う。

ノワールな映像と、ノーラン版以上にヒーロー性を否定した生身のバットマン像は個人的に
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.5

80年代のヒット作映画を近年続編で制作された作品を幾多も観てきたが、失望ばかり、むしろ撮らない方がよかったと思わせることが多々あった中、
本作は見事に前作を超越して、しかも当時の一作目をリアルタイムで
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.8

まず感激の一言しかない映画。
実際に聾唖の俳優が演じていることもあってか、目の動きやなんとも言えない間、そこにコメディー要素が絡んでいてとてつもなく心地よくストーリーを展開させている。
父親役のトロイ
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浅田家!(2020年製作の映画)

4.0

前半が生、後半は死という構成が写真というテーマで結びつく作品になっていて、
様々な家族が伏線ストーリーとして中盤が描かれ、主人公が成長していくところがこの映画の醍醐味でもあろう。

時代を積み重ね生き
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落第はしたけれど(1930年製作の映画)

4.1

サイレント映画の中でも際立った良作。
音がない分、役者の表現力が要求されるが、コメディを取り入れた動きや表情が際立っている。

そして、シルエットで文字を表現したり、自殺を仄めかす様なシルエットなど、
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君と歩く世界(2012年製作の映画)

4.1

2時間の中でストーリーは意外な後半に進む。
この映画はシングルファーザーのアリと息子、そしてシャチの調教師ステファニーの二つのストーリーが混じり合って進んでいると言っていい。

と言うのも、2人にそれ
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.1

前作「オリエント急行殺人事件」と同様、今回は船ではあるが、乗り物、密室空間、そこに殺人が起きるのはシリーズとしては共通のコンセプトではある。

ただ、原作を補いながら描いだ2時間ではある様だが、ストー
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

端的に言えば本作は文芸作品に在りがちな、ダルさと言うものが全くなかった事が挙げられる。

文芸モノに3時間と聞くだけで、遠慮してしまいそうになるが、キャラクターを作品の進行に併せて丁寧に掘り下げており
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噂の二人(1961年製作の映画)

4.0

ミュージカルなど華やかなイメージのオードリーとは一線を画すテイストの作品。

二人の女性の少し常識を超えた距離感の友情が誤解を招き、後半はどん底の生活を強いられる訳だが、本作が素晴らしいのはそこからの
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アナと雪の女王(2013年製作の映画)

4.5

今になって観劇したが、ミュージカルアニメとしては歴代最高峰ではないだろうか??

松たか子と神田沙也加の台詞も歌も素晴らしすぎて、涙が出そうなくらい。。。

特に後半に差し掛かり、アナとエルザの再会を
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映画監督ジョニー・トー 香港ノワールに生きて(2010年製作の映画)

4.5

ジョニー・トー監督の映画に対する想いと2000年代の香港映画の様子が垣間見える貴重なドキュメンタリー。

トー監督の香港への愛が全編から滲み出てくる。

映画の内容が非現実的と言われる中、その映画で表
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誰かがあなたを愛してる(1987年製作の映画)

4.0

メイベル・チャン監督の作品の中では、最も素晴らしい作品の様に思う。

チャン監督作品では、初期の作品に入り、全体的には地味なテイストではあるが、主人公二人の描写が大変丁寧に描けている。

またチョウユ
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狼たちの絆(1991年製作の映画)

3.5

ジョン・ウー監督の作品群の中では希少なコメディースタイル。
香港映画の黄金期の最中に撮られた一本であって、レスリーチャンの主題歌が聴けるのも香港映画ファンにとっては重要な一本。

ストーリーの甘さや矛
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華麗なるギャツビー(2013年製作の映画)

3.5

全体的に予想したよりはいい作品。
ストーリーの構成はレッドフォード主演の1974年版よりも原作を忠実にして展開している。
しかし、語り手となるニックは冒頭から結末ありきでの過去の出来事として語るところ
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醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

4.0

三船敏郎と李香蘭こと山口淑子の貴重な共演作!!
と思いきや、この作品の主人公はもっぱら志村喬演じるダメな弁護士の姿であろう。

ストーリーの入り口は一人の画家と美人声楽家が被害を受ける身勝手な週刊誌に
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虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)

4.5

戦中、戦後にかけて製作された黒澤明監督の名作。
この混乱にかけてこれほどの良作を手がけ後世に残したことだけでも敬服に値する作品。
一時間に満たない作品ではあるものの、ボリューム感満載で展開の良さは黒澤
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マダムと女房(1931年製作の映画)

4.5

日本初のトーキー映画として映画史に残す本作は、生活の中から聞こえる音を効果的に使う演出にトーキー作品としての制作にたいする意気込みの強さが伺える。

映画に音が加わった事は革命的な進化だったのであろう
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欲望という名の電車(1951年製作の映画)

3.8

“欲望”という名の電車に乗って“墓場”という駅で乗り換えて“極楽”という駅で降りたいの〜。
ヴィヴィアン・リー演じる主人公ブランチが吐くこんな台詞から始まる本作はとても救いのない内容であることを暗示さ
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女王陛下の007(1969年製作の映画)

3.5

007第6作目、2代目ボンドとしてジョージレーゼンビーが出演した唯一無二の一本。

何故、邦題が「女王陛下の〜」となっているのか内容からちょっと理解に苦しむ。

公開当初、本作は不評でイマイチだったら
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.5

クレイグ版ボンド前4作を観直して、劇場で鑑賞する。
5作を通じてダニエルクレイグ演じるボンドは前5代のボンドにはない、人間味溢れるボンドであり、そして孤高に満ちて、繊細かつ大胆である。

本作は前4作
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乱れ雲(1967年製作の映画)

4.0

成瀬巳喜男監督の遺作にして秀作である。
交通事故で夫を亡くした女性と、その加害者の男が惹かれ合う姿が、切なく何とも言えない美しさが醸し出されている。
二人の距離が縮まってくいく様子を決してドラマチック
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めぐりあう日(2015年製作の映画)

4.0

「冬の小鳥」から6年、ウニー・ルコント監督の半生を題材に描き出されたある女性エルザの物語。
実母を探すエルザの葛藤や苦悩を台詞からではなく映像で見事に語らせている。そして彼女が理学療法士として働く医療
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君の誕生日(2018年製作の映画)

4.5

セウォル号の沈没で失った息子の父と母の葛藤を描いた映画。

遺族の気持ちを描くことは当事者でない限り難しいとは思うが、イ・ジョンオン監督は様々な遺族と関わり彼らのエピソードを引用したということで限りな
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

3.8

サムメンデス監督の力作で挑戦的な作品で、全編1カット風でジョージ・マッケイ扮するウィルを追い続け二時間途絶えることなく観客をハラハラとさせる。

ともかくも1カット撮影はミニシアター系の作品では行われ
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.1

今年一番の観るべき映画の一つと言って過言ではない作品であるように思う。

個人的にこのテイストの作品は苦手ではあるが、二時間近く集中して観入ってしまう自分がそこにあったので、やはり素晴らしい作品なのだ
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ユア・マイ・サンシャイン(2005年製作の映画)

3.8

チョンドヨンの演技力に魅了される一作品。

ファンジョンミンもこれまでの印象とは全く異なり、農村で過ごすダサくて不器用な男を演じており観ている方が笑ってしまう。

構成としても実話から脚本化されており
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

4.0

お金を巡って紛争する人間たちのエゴが、滑稽に人間臭く描かれていて非常に面白い。要するにクズ人間のオンパレードで笑えるのである。

原作が曽根圭介の同名小説という事であるが、日本の原作の映画化には韓国映
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ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)

4.0

ジョン・ナッシュというノーベル賞を受賞した一人の数学者の葛藤と栄光を描いた半伝記映画ではあるが、この作品は総じて、ジョンそして、妻のアリシアのジョンへの献身的な愛の姿が描かれた夫婦モノの映画と言ってい>>続きを読む

ここに泉あり(1955年製作の映画)

3.5

戦後まもない中、後の群響と呼ばれる高崎の市民オーケストラの出発点を描いた映画で楽団員の苦悩や恋などに笑いを込めて描かれたヒューマンドラマである。

今井正監督のもと、岡田英次を始め、小林桂樹、岸恵子な
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THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~(2018年製作の映画)

3.8

自分にとっては同世代の女性監督の作品である。
中国本土と香港を行き来する女学生の話ではあるが、邦題が原題に近い「過ぎた春」から「香港と大陸をまたぐ少女」と変えられた所に、日本でははなかなかこの設定の現
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セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

4.5

素晴らしい映画という一言に尽きる。
全く境遇の異なる盲目の元軍人と名門校の男子高生の全く釣り合わない二人の関係を描いている点がまた面白い。

シナリオの観点から言えば、これほどシナリオ教本として参考に
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暗殺の森(1970年製作の映画)

4.0

映画のカットから滲み出る主要キャラクターの葛藤が如何なく映し出され、そこに映像美が追求され、芸術作品として極めて高い作品である。
いくつかのシーンやカットから香港のウォン・カーワイが影響を受けたであろ
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1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.5

今日の韓国の社会を知る上で、見るべき作品であるように思う。
1987年というと日韓の間は今では考えられないほどの遠い存在の国。
その韓国の戦後近代史は実際、僕もあまり知らないのだが、ソウルオリンピック
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.0

冒頭から映像がスタイリッシュで美しく映画の世界に観客を惹きつける。
今日のアメリカの高校生の一人の姿を垣間見ることができるが、残念なのはストーリーが弱いことであろう。本作は映像の美しさが売りで、撮影技
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いつか家族に(2014年製作の映画)

4.0

この映画の作者、余華は僕の大好きな作家でありこれまで「活きる」「兄弟」と読んできたが、残念ながらこの作品の原作となる「血を売る男」を読まずに本作を観てしまった。
しかし、これまで読んできた彼の原作のイ
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